答え合わせ(?)、その一。
理論自体は投稿開始前の時点で決めてあったんですが、如何せん文字起こしがきっつい。
―――白。
白、白、真っ白。
右を向いて、左を向いて、上も、足元も、背後も、一面の白。
……病院の天井……なわけがない。
突然歩道に突っ込んでくる車なんぞ、世界を隔てた記憶の彼方だ。
しかして直近の記憶に残る学園の教室とは似ても似つかぬ白世界。
いやあ…………すっごい既視感ありますなぁ。
「こんにちは……それとも、こんばんは? えっと、確か時刻によって違うんだったわね?」
そして唯一、視界が白一色でないのは真正面。
にっこり微笑んで立っていらっしゃる、金髪碧眼、胸部装甲十二分な女性の姿。
その美貌溢れる御尊顔、麗しき花唇から流暢に紡がれるは───耳に久しき、
「おはこんばんちは……なら間違いないかしら?」
…………イヤ、それはどうかと思うっす。
「あらそうなの? まあともかく───初めまして、
「アッハイ」
……何だよその返し? じゃあ他に何と言えと。
―――怒りと思い付きに任せた己が身体への無茶振りから、沸き出した白く輝く文字列に視界が埋めつくされたのが、私の主観で数秒前。
束の間の浮遊感を経て晴れた視界に映ったのは、
……
いやまあ、何となくそうかなーとは思ったよ? あの『メッセージ』を見た時に。
だからこそ、諸々込めて
それでもこう、一対一の面談方式でお待ちかねってのはちょっと予想外っていうか……それに、一緒に引っ張られてたはずの
「折角の機会に余人を交えたくはないでしょう? 陽気な幽霊っぽいナニカさん?」
あ、これ、私が今まで何をやってたか、キッチリバッチリ把握してはる感じやな?
……いや待て、まだ慌てるような時間じゃない。ここはひとつ気の利いた一言でも。
「……貴方は女神様の眷属でしょうか、それとも女神様ご本人ですか?」
「ふふ、貴女とあの少女の最初のやり取りね。……後者よ」
うわっは、こんなんにまで反応してくれるとか間違いなく本物ですわー。確定ですわー。
「あら、こんなので確信するのね」
「あ、や、なんかすいません?」
「楽だし良いわよ。いつの時代も、どうやって信じさせるか、が一番の難題なのよねえ」
手をひらひらさせて上機嫌に笑う女神様(確定)。
……声を聞く限り、転生させてくれた神様とは
「そうね、それはあっちの世界の神がやった事よ」
しかしさっきからすごい自然に心読んできますね。おかげで話の調子が速い速い。
「嫌かしら?」
いえ全く。すっげー便利っすね。何より取り繕う意味も必要も皆無ってのが。
「……やっぱり結構変わってるわよね、貴女」
それほどでもない。
「あら謙虚。……それじゃ、貴女が今気にしていることから順に話していくとしましょうか」
うぃっす、お願いします。
「まず貴女が
ああ、まあ……そりゃ
あいつがやってきたことが悪かどうか、なんて結局は私の判断でしかないわけで。
もっと究極的に言えば、私があいつの行いについて気に食わなかったってだけですし?
それを以て天罰落としてもらおう、なんてつもりも全く……いやそもそもこんな状況になるとは夢にも思ってなかったもんで。
それに悪人にいちいち天罰落とす感じの神様じゃないですもんね、私が知る限り。
えっと……シャニム様、で良いんですかね?
「ええ、そう呼んでくれて構わないわ。……そういうことなら、あの子の扱いについては私の方で決めてしまうことにするわね?」
……あれ? その口振りからして、もしかして私の要望聞いてくれる予定だったんで?
「ええ、まあ、その…………ちょっと貴女には、
…………。
…………あー。
まず一つ、確認させていただいてよろしおす?
「……よろしおすえ」
今の私の状態って、やっぱ予想外というか……想定外の事態だったりします?
「……だったりします」
で、その事態になった原因って……今しがた連れてきた
「……しますです、ハイ」
それじゃ、最後にもう一つ。
私を転生させたのは向こうの神様だそうですが……あいつを転生させたのって───
「わたしがやりました」
デスヨネー。なんせ前々から疑問には思ってたんよ。
私を転生させてくれたあの神様が、本当に
そして出来なかったんだとしたら、果たしてその
そんで、今回の
ちょいと
丁度それを機に、
残念ながら『私』は、その因果関係を繋ぐことは出来なかったらしいが。……そら無理だわな。
転生だ、認識改変だ、テンプレだ……ってな予備知識無しにアレを見破れる道理が無いもんよ。
───神様が用意した筋書きが崩れたのは、同じく神様が為した何かしらが要因であった。
うん、実に道理の通った結論ではないか。いっそ清々しいまでに。
……『私』をイラつかせてくれたあのハゲデブ三段腹親父も、
「……弁解を、させてください」
あ、はい、どうぞ。
「あっちの神の事情で転生者を受け入れたわけだし、私が同じ事を求めても悪くないでしょう?」
まあ、そりゃあ、そうですね。
「でもどうせなら、あっちの世界の人間をこっちの世界に招き入れた方が面白いわよね?」
……いやそれは知りませんけども。
「え、だってめっちゃ流行ってるじゃない? 現代日本人異世界転生」
…………まあ、そういうことにしときましょう。それで?
「で、その……貴女の選んだ転生タイプって、『始まる』までに時間掛かるじゃない?」
ああ、時期が来たら『思い出す』タイプでしたもんね、私。
……察するに、
「あ、うん……で、そうなるとやっぱり『転生特典』も付けるじゃない?」
……はあ。
「折角だから……盛大な『特典』を乗せてみたくなるじゃない?」
…………。
「だから、その、流行に乗ったというか、
あっのぉ~、私ってば今どういう状態なんでしたっけねぇ~?
この身体についてぇ~、さっき何と言ってましたっけぇ~?
予想外で、想定外で、パル○ンテじみたこの身体をぉ~、あなたは
「……許してヒヤシンス」
ヒヤシンスどっから出てきた。
「…………うん、まあ、その辺り説明するつもりで招待したっていうのもあるんで、ハイ」
……ホウ、それはそれは。
しかし事は私───もとい、『私』とその家族にまで及んでるんで、弁解にせよ何にせよそこはしっかりとお話して頂きたいところでごぜーますよ?
「いや、その……あくまであの子に持たせた
あー……元から追い落としやすそうな家ではあったみたいだからねぇ。主に金回りで。
それが
……まあ、これ以上は話進まなくなるんでいいですけど。他に気になることも一杯ありますし。
というかさっきもちょっと触れてましたけど、
「……私からすると、『憑依型転生者』の魂担いだ貴女の身体が……あー……
私の無茶振りに対応しようとした結果なのかもしれんが……そもそも捻り出したらそんな結果が飛び出すって時点で何かおかしくないっすかね? いよいよ何で出来とるんや、このボディは。
「それを今から説明するわ。……あ、ここは
おぉう、流石は神様、スケールでけぇ。……しかしそんなに長話になりそうなんです?
「そこは貴女次第、と言ってもそう苦労しないとは思うわ。この世界の人間に理解してもらおうと思ったらどれだけ時間が掛かるか分かったもんじゃないけど」
……というと、基礎教養的な?
「的な。これから神の力……ないし、その作用について貴女に理解しやすい言葉にして話すから、厳密には違うけど『そういうもの』として聞きなさい」
理解しやすい言葉、ですか。
イヤしかし教養と言われましても、私そんなに成績良い方ではなかったんで若干の不安が―――
「まず世界全体を『動作中の実行ファイル』、そして
アッハイ(本日二回目)。
成程こっちの世界の諸兄には無理っすね。
「色々と差異はあるから、あくまでもイメージだけどね? ……
……それ大丈夫なんです?
「……貴女だってOSの『更新プログラム』とか、中身確認せずにインストールしてたでしょ? ダウンロードしたソフトウェアの『利用規約』とか一度でも隅から隅まで読んだことある?」
あ、まあ、それは……発行元確認するのが精々ですかね、ハイ。
しかしその例えからすると私、ブラウザの拡張機能か何かにでもなった気分なんですが?
……あ、すると、ウイルス対策ソフト的なのもあったり?
「あったり。……だからこそ確認したのは後になってからだったわけだけど、私の世界に悪影響を出さないための『エラー処理』の類なんかもしっかり整えてあったわよ」
エラー処理……引数の形式が間違ってた場合にその部分だけ脱出させて全体は継続、みたいな?
「みたいな。転生特典も色々付けてたし、それがこの世界的に
ああ、転生者の要望を転生先世界の様式に合わせたら
提案した当人にも予想外の効果になってるやつとか。
「そうそう、あれも面白いわよねー。……で、貴女の場合は特定の年齢になった時に前世の記憶を思い出す、というプログラム関数……的なモノがそこに入っていたわけよ」
確かに赤ん坊期再経験はつらいと思って、そういう要望出しましたな。
なるほど神様同士のやり取りとしてはそういう感じに……まあ、イメージの話だろうけど。
「この世界で生まれ育った『ヤーネ=スペクハイド』と、あちらの世界の『糸々山雨巫』、二つの世界で培われた記憶が一つの魂の中で混じり合い、ひとりの人間となる……より端的に言うなら、そのときそこに存在する『貴女自身』が何者であるかを定義する関数だったわ」
……ふむ。するとやっぱり『私』と私の魂同一説は正しかった?
しかしそうすると【記憶の部屋】の何某がどうなのかという疑問が―――
「……その辺は後で。で、その中にエラー処理の一環として、正しく関数が実行されたかどうか、すなわち魂が整合性の取れた形になったかどうかを、『戻り値』にて判定、成功判定が得られないようなら何度か同じ処理を繰り返し、それでも失敗判定が出るなら
あー……メッセージボックスが出てきて「○○が××できませんでした、△△しても解決しない場合は管理者に問い合わせてください」な表示がされるアレかな?
「そういう感じのソレよ。ただ───
…………
イヤイヤめっちゃ想定外の予想外や言うてはりましたやん? 思いくそ失敗してますやん?
それなのにその関数とやらは、未だ
「……それ以前の問題なの。今言った通り、成否判定が出るのは処理の最後なのだけど―――」
……私の状態を傍から見た限りは明らかに実行失敗。
しかし失敗の通知は発信されていない。
成否判定のタイミングは処理の最後。それって、つまり―――
「「
…………イヤ、いやいやいやいや、それってつまりどういうことだべさ?
転生処理が終わってない、今もまだ実行中? 私ってば未だに『転生中』だとでも?
「ここからはプログラム系の例えをちょっと外れるのだけど……実はこの戻り値、処理後の魂から発信される仕組みになっているのよ。本来の挙動を考えればそれで問題ないんだけどね?」
……何か、そこで例外事項起きたと。
「ええ、実は今世の貴女であるヤーネさんが死亡したのが、この関数が動き始めた直後だったの。そのせいで彼女の魂は死亡者に対する処理……『成仏関数』とでも呼びましょうか。そんな感じの普段この世界で動いている別の関数へと、転生処理の途中で送られてしまったみたいなのよね」
お、おおう、よりによってそのタイミング……あれ? でも私「今の年齢近くで記憶覚醒」って頼んだよね? でもヤーネ嬢の享年は十二歳で───
「あっちの世界で貴女が暮らしていた国は二十で成人でしょ? 享年が十六歳だから、成人年齢の五分の四。対してこっちは全体的に十五歳で成人、そこに五分の四を掛ければ、ホラ十二歳」
…………おぅぁ、転生先に合わせた調整……本当に行き届いたサービスだったんだなぁ。
それがこうまで裏目に出るとは……ん? あれ、じゃあ結局『私』って既に成仏済みなん?
それだと私は、その…………結局、
「……『貴女自身』定義関数の中身を大雑把に表すと、『新規記憶の取得』、『旧記憶と統合』、『魂へ反映』の三工程になっていたわ。中でも特に不味いことになってるのが最後の工程ね」
…………反映する魂が無いから、処理が終わらない?
「それも間違ってないんだけど……この部分もまた既存の関数の一つでね? 具体的には、新しく人間が生まれる時の処理の一部を呼び出す形になってたのよ」
……ああ、本来は生まれる前の魂に対して働かせる処理の一部だったと。
それなら処理の最中に魂がどっか行っちゃうなんて想定してないわなぁ。
となれば
「……『人間の魂である』という前提が失われ、あるのは先の二工程で統合された『記憶』のみ。それでもそこに『何か』があるのは確かだから、『何か』にはならなければならない。……結果、それが何なのかという『定義』が『記憶』及びその周辺プログラムにまで要求されてしまったわ」
……うわぁ、なんかRPGのバグみたいですな。
本来エンカウントしない場所で戦闘画面だけ出したら、アイテムデータか何かを敵データとして無理矢理読み込んじゃって、名前も見た目も能力もぐっちゃぐちゃな敵が出現、みたいな。
アレって型というか、要求されるデータ量がそもそも違うもんだから本来なら使われないはずの周辺領域まで読んじゃってたりするんですよね。
「まさにそんな感じよ。……曲がりなりにも『何か』として活動することで『記憶』は更新され、 また『旧記憶』との統合も延々と繰り返されている。成功か複数回の失敗という判定を得ることが停止条件なのに対し、そもそも成否判定が為されないせいで。その度に『定義』もまた更新され、常に一瞬前の存在とは違う『何か』になっていく」
うっわぁ、何ていうか…………マジで私はいったい自分を『何』だと言えばいいんですかね?
聞けば聞くほど分っかんなくなってくんですけども。
「……その問いの答えは貴女の『記憶』に、ひいては『自身に対する認識』に左右されているわ。それが人なのか、魂なのか、はたまた―――
…………。
……え、ちょ、待……
いや、それ、まさか───ウッソやろ?
「『己は幽霊っぽいナニカである、という認識から自身をそのように定義更新し続けている関数』―――それが、貴女の正体よ」
……………………マジっすか。
????さん「お か の し た」
名前:
inanisipse({n[nuUrit[n[)
inanis ipse({n[nu Urit[n[)
void myself(Amami Itoyama) ※()内キー位置一つ右ずらし
関数名 私自身(引数:糸々山 雨巫) ※バグってたのは引数でした。
種族:
privatusd,p.d_ko.d,@
privatus d,p.d_ko.d,@
privatus anima_humano ※「_」前後、キー位置二つ左ずらし
private souls_human
プライベート変数 「人間の魂」 ※バグってたのは変数型でした。
年齢:
15601371429
15601371429(msec)
15601371.43(Sec)
260022.86(Min)
4333.71(Hour)
180.6(Day)
実行時間 半年と少し ※プログラム関数故に単位が
スキル:
『aliquidsimileexspiravit』
『aliquid simile exspiravit.』
『something like a ghost.』
『幽霊っぽいナニカ』 ※バグってませんでした。
日本語原文 → 英訳 → ラテン語訳 → (一部キー位置ずらし) → 空白詰め(by 某翻訳ソフト)
トンチキ再翻訳的なアレになるだろうことも織り込み済み。解読させないことに注力しまs(ry
前話やC3-12の文字列についても解説はそのうちに。
Q. 要するに今回の騒動って……
A. 女神様のニワカ知識によるやらかし(人選&バランス調整ミス)に起因する玉突き事故。
Q. 女神様謝罪軽くね? 人が死んでんねんぞ?
A. 視座の違い……以外にも理由があったりします。詳しくは次回。
Q. 作品タグに偽りアリじゃね?
A. 「転生」や「憑依」といった必須タグは「該当要素がある場合は必ず選択して下さい」というハーメルン様よりの御達しがありますので。
本編中に出しましたからね、『神様転生式憑依型転生者』。
神様転生タグさん「―――釈然としねえ」
転生タグさん「ああ……奇遇だね。俺もしないんだ、釈然……」
憑依タグさん「憑依要素は前からあったからセーフ」