前話に想像以上の反応をいただき狂喜乱舞しておりました作者です。
他の連載作と比べてライブ感で書き散らしているのを若干申し訳なく思いつつ、ぼちぼち進めていきます第二部でございます。目安は週二~三更新になるかなあ。
ちなみに作者的に最も情熱(と
そして一番UA数が少ないのも同作なのです。
(´・ω・`)
……第一作目のヒロアカ二次?
アレに叩き込んだのは情熱と呼ぶには如何せん黒々してるナニカでしたので……
───彼女には私しかいない。
私には彼女しかいない。
揺るぎない、何者にも揺るがせられない誓いが、そこにはあったのです。
……後悔? していませんよ。
結果としてどうなろうと愛を貫いた末なのですから、悔いなどあろうはずもありません。
……未練? まあ、そちらは……無いと言えば嘘になりますね。
許されるならば彼女と、何ということもない日々を送りたかった。それは否定できません。
あの静謐に整えられた庭で、彼女と共に日の光の中で───
いえ、いずれは二人の間に舞い降りてきてくれただろう天使達と共に───
…………なんでしょう? え、彼女さんとは一緒じゃないのか?
そうですね……おそらく
『死が二人を別つまで』……笑止!
想いは時に死をも超越する! 今の私こそが、その生き証人なのですよ!!
……生きてはない? あ、いやまあ、それはそうなんですが……コホン。
…………船? いえ知りませんよ。
あの船に乗っていたのは、なんとなくそうしたいと思ったからです。他意はありません。
海難事故? 船内で刃傷沙汰? ……心当たりはありませんね。
そもそもそう長い間あの船の上に居たわけでもありませんし……ええ。
……もういい、次?
いえいえお待ちください、お嬢さん。もう少しばかり聞いていただけませんか。
私と彼女が如何に運命に愛された存在であったか。
そんな我々を引き裂かんとした彼らが、如何に愚鈍で救いようのない蛮人であったかを───
《───要するに、
《……間違いなく『彼女』とやらにも相手にされてねーよ! というか、絶賛『箱詰め』されとる最中の男から愛だ何だ叫ばれてもそりゃポカーンだよ! 言えることがあるとしたらコレだけだよお馬鹿! とっとと成仏しろ、おバカ!!》
《ハイ、おばか一名様『成仏関数』にご案内! ……ちゃっちゃと逝け! 来世ではもっと安全で健全な恋愛しろよ、このエセ耽美系ナルシスト勘助!! 次っ!》
───えっと……わたしも船に起きた事は知りません。ごめんなさい。
この船に乗り込んだのも、ここ一週間程の事で……だから、その……
……聞いていただけるんですか? 全然関係無い話になると思いますけど……
前の奴がアレ過ぎただけで元々それも兼ねてる? そ、そうだったんですね、でしたら───
わたし、旅商人になろうとしていたんです。
いつか、すっごい宝物を取り扱うような大商人に……なんて、子供っぽいですよね。
……十五歳なんて、子供みたいなもの? え、でも成人……が夢を抱いて何が悪い? ……あ、ありがとうございます……?
旅の途中……と言っていいのかなあ、アレ……
えぇっと、前々から十五歳になる日を旅立ちにしようと色々準備していたんですよ。
特に最初の目玉商品にしようとしてたのが、どこからか流れてきた故の分からない宝飾品です。
はい、故郷の蚤の市で……いえいえ! 案外そういう所に掘り出し物があるものなんですよ?
それに、こう見えても小さい頃から目利きには自信があったんですから!
一見、ちょっと変わった手触りの石だけど、見る角度を変えると黄金色に光る宝石とか。
表面は光を吸い込むみたいに真っ黒なのに、ちょっと磨くと柔らかな銀色に輝く鉱石とか。
傷の入った勲章、のようで……よくよく調べると中に小さな女神像? らしきものが仕込んであったお守りとか! どれも見る人が見ればきっと価値の付く物だったと思うんですよ!
…………まあ、
……
丁度、旅立ちの日に……はい。町の門を潜って何歩目かってところで───
背中から、
……ええ、もう、スパっとやられちゃったみたいです。
痛いとか、熱いとか、感じる間もなかったぐらいに。
一応、誰にやられたのかは確認できましたよ? 全然知らない人でしたけど……
多分アレ、どこかの神殿とかに勤めてる聖職者さんだったんじゃないですかね、雰囲気的に。
……ああ、えっと、服装とか、立ち振る舞いとか……台詞的にそうだったんじゃないかなって。
その、わたしを斬った直後に祈りを捧げるみたいな仕草をして、こう言ってたんです。
───神よ。邪なる者の手に堕ちた少女の魂に、どうか清らかなる救済を……って。
《───言いたかない。言いたかないんだけど、それ……なんか厄ネタ仕入れちゃってたんだよ! その自称『掘り出し物』の中にヤバイの紛れてたんだよ! 主に宗教的な意味で!!》
《ていうか怖っ! 十五歳の女の子を背中からブッタ斬っといて『救済』とかコッワっ!? 私はこれで聖職者きらいになったなあもりにもこわ過ぎるでしょう? ……ごめんちょっとテンション迷子になったわ……ええと、うん、お話ありがとね》
《……あ、ちゃんと弔いはしてもらったんだ? 場所と相手と理由がアレだもんね。マジで悪気は無かったってことなんだろうね。むしろその方が怖いけど……それじゃ、君も逝こっか。来世ではもうちょっと慎重に夢を叶えられるように頑張ってね……。次の方、
───待っておったぞ、お嬢ちゃん。
船乗り一筋三十年、この老骨に答えられることなら何でも聞くがええ。
ふむ、この河で起きた事件かの?
そうじゃのう……あれは今から遡ること十五年前───
……何? もうちょっと最近の話が聞きたい?
全く近頃の若いモンは仕方ないのう……。
ふむ……時にお嬢ちゃんは『水先案内人』という仕事を知っとるかの?
長年の知識と経験、それに勘を加えて船を通す水路水域の把握と実際の操船を指示するっちゅう実に重い責任のかかる仕事なんじゃが……ホレ、ここは内陸にある河じゃろう?
水の流れも水底の状態にしても、そうそう大きな変化など起こりはせん。
故に案内人に限らず、誰も彼もが知らず知らずのうちに油断しておったんじゃろうなあ。
……異変に気付いたときには、もう随分と
今思えば確かに響いた聞き鳴れない音に振動。あれが
…………そのまま船と運命を共に? いやいや、儂らは懸命に抗ったとも!
船底に近い位置にいた乗客にも呼びかけ、避難指示と同時に排水、また船の傾きを止めるべく、反対側の船底にも、こう……
ぬ? 後が
まあ、色々あって予定より数日遅れとはなったが、無事に対岸に辿り着いたんじゃ。
うむ、
河の真ん中で船底に穴が開くという未曽有の事故に遭ってじゃぞ? どうだ、凄いじゃろう!
…………『そうじゃねえんだよ』?
これ、何を言うんじゃ、バチ当たりな……求めてたのと違う? そう言われてものう。
儂の船乗り人生の中でもとっておきの話だったんじゃが……何? いつの事かじゃと? ふむ、凡そ五年ほど前じゃな。あれから水域の確認も厳に……先に言え? むう。
……儂がこの姿になったとき、か。
ああ、忘れもせぬよ。あの日は雲の綺麗な、よく晴れた日じゃったなあ。
丁度と言うべきか、遠くの街に嫁に行った娘が里帰りに来てくれていてのう。
かわいい孫達が「おじいちゃん、おじいちゃん」とじゃれてきてくれるのを、どうにか動かせた腕でしっかりと抱き締めてやることができたんじゃ。
長年連れ添った婆さんと、お互い孫の頭を撫でながら顔を合わせて……
幸せとはこういうことを言うんじゃろうなあ、なんて笑いながら……
そうして娘夫婦の視線も感じながら、気が付くと、すぅっと身体が軽く、気も遠くなって───
《───ものっっっそい理想的な大往生じゃねーか!! 船も河も一ミリも関係ない最期でしたね布団の上で孫と子に見送られるとか本当に良かったですねありがとうおめでとう!?》
《でもちょっと今聞きたかったのって別の話なんですよ、というか何でこの船に乗ってたんですかお爺ちゃん? ……あ、そちら連れ添ってこられたお婆ちゃん? 死は二人を別てなかったということですね素晴らしい。あ、ハイ折角ですし、どうぞご一緒に……来世でも再び巡り合えることをお祈りさせていただきます、はいー……》
《……というかヤバイなコレ。故人の記憶を問答無用で視聴(?)しちゃうのが忍びないからって聞き取り形式に変えたもんだから終わりが見えぬ。いや、だって、こんな一斉に成仏させる機会がくるとか思わんやん……》
《あー、大変申し訳ないんですが…………残りの方は
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───おかしくないですか?」
《おかしいかおかしくないかで言えば惜しい人だらけではあったね》
「突っ込みどころを増やさないでください。ええと、そうじゃなくて……」
対岸より到着した船に、てんこ盛りされていた幽霊達からの聞き取り調査、兼送別会。
迷える(?)魂達を残らず成仏させた私を、ユズちゃんは急遽取り直した宿にて迎えてくれた。
……いやあ、思わぬ大仕事であった。
正直、情報の精査が全く追いつかん。仕様変更も良し悪しやな。
《まあまあ。それでそっちはどう? 何か変わったこととかあった?》
「……いえ、何も……というよりは誰も、
《ほほう、それはそれは……良いこと、なんだろうか?》
「…………」
幽霊てんこ盛りの船の到着に、私達が真っ先に考えたのは大規模かつ直近の水難事故。
何らかの要因で沈んだ船でもあって、その犠牲者が近くを通った船に同乗してきた、的な光景を頭に浮かべたのは、お互い言葉を交わさずとも理解できた。
これから同じ型の船に乗って同じ航路を進もうって時に、そんな兆しを見ちゃったもんだから、さあ大変。せめて何が起きたやら確認しようとしたわけだ。
……そうして、集まった情報を聞いた彼女の第一声が先の一言。
惜(か)しいというか何というか、聞けば聞くほど謎だらけなのはそうだよねえ。
「……本当に気付いてないんですか、レイン?」
《えっ? 何に?》
「なんで……あ、そうか。レイン自身が例外の極みですし、意識から外れても仕方ないですか」
《うぇい!? あれ、これもしかして凄い初歩的なこと見逃してる感じ……?》
いつ以来やら、じっとりとした眼差しを向けてくるユズちゃんに、慌てて頭を捻った。
む、むむう……何だ? いったい私は何を忘れている?
彼女の反応からして、間違いなく私も知っている筈の情報なのだろう。
というか、何で考えつかないんだと、ちょっぴり非難がましい視線も混じってるような───
「……普通の幽霊は、死んでから一週間も経つと形が無くなっちゃいますよ」
あっ。
「幽霊になるのも、死ぬ前に強い未練があった人だけだと……思います」
……
「船に乗っていた期間だけでも一週間という方に、どう考えても未練が残るとは思えない老夫妻。その二件だけでも、わたしがおかしいと思った理由は分かりますよね?」
アッハイ。
「……乗員の方々にも、数多くの幽霊と同船していたことに気付いている節はありませんでした。つまり彼らが船上で……『延命』に勤しんでいた様子も無い、ということです」
あー……
「……その顔からして綺麗に忘れてたみたいですね。……わたし達が初めて会った日に、あんなに話し合ったことなのに……もぅ」
…………。
成程。これは私が悪いな! ごめんッ!
1年+α振りの物語進行につき捻じ込んでみました、基幹設定おさらい回でした。
記念日(?)の出来事を忘れられて、ちょっぴり御機嫌斜めなユズさん概念。さもありなむ。
でもきっと忘れていたのはレインさんだけではないはず。
聞き取りパート時点で違和感を持てた方だけが彼女に石を投げなされ。