これって転生に入りますか?   作:非単一三角形

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 前回のあらすじ(?)

  教祖♂@巫女服「何故ですか神よおぉ!?」
      信者's「「「うわぁ……」」」
     冒険者's「「「えぇ……?」」」

    ユズちゃん「……たぶんコレ全部レインのせいですよね!? やり過ぎなんですよ!」
    レインさん「解せぬ」



C5-8 これは天罰です。たぶん

 

 

 しっぺー、デコピン、○バチョップ。

 

 しっぺー、デコピン、バ○チョップ。

 

 

 ハイどうもー、現在絶賛『二度と人様に迷惑かけんじゃねえぞ折檻』実施中のレインさんです。よろしくお願いしますありがとう。あ、しっぺー、デコピン、バ○チョップっと。

 

 

 さてさてしかし皆様、疑問に思われたのではないでしょうか。

 思いっきり物理的な嫌がらせ(?)しとるやん、神様謹製チート防止化機能さん御乱心かと。

 

 いやいやこれには訳がありましてですね。

 というのもコレ現在、()()()()と『共同作業』させて頂いてる次第なのでしてー。

 

 

 

『……キモチワルイ……オッサン……フザケンナ……バカ……』

 

 

 

 ……ハイ。はいじゃないが。ヘイ。

 

 え~、こちらの声が何処(どこ)何方(どなた)様か。

 はっきりと明言いただいたわけではないんですけども……多分、その、彼ら教団の言うところの『破壊神』様ご本()なのではないかとね。そんな状況でございますなのですよ、ええ。

 

 

 …………何がどうしてそうなった?

 そんなもん私が一番知りたいんですわ、こんちきしょう。

 

 

 

 邪教団(一般認識は人攫い組織)討伐に向かう冒険者に先行し、古砦の偵察に訪れたは数日前。

 

 その時にも『生贄』が『洗礼』がと何やら宜しくない響きの言葉は漏れ聞こえていたわけだが、攫ったと思しき少女達に対して然るべき時まで丁重に扱うという雰囲気は見て取れたこと、加えて儀式(?)の準備とやらについても完了までそれなりに時間はありそうか、というのが私目線でのファーストコンタクト(一方通行)による見立てだった。

 

 

 ……私一人、或いはユズちゃん一人で集団相手にどうにかなる筈もなし、なるべく早く討伐隊の到着に漕ぎ着けよう、という判断に至ったわけである。この時点では。むべなるかな*1よ。

 

 その点で言えば、彼女が指揮官の立場に据えられたのは実に好都合であった。

 埋もれた街道? 獣道? 先導は任せろー、ばりばりー。……という経緯により、当初の想定を大きく超えた進攻速度を記録した冒険者一同である。なおユズちゃんの心労。むべなるかな*2よ。

 

 

 状況が変わったのは、一同が拠点を目前にした突入前夜。

 最後の確認にと向かった先で、私の目に飛び込んできたのが教祖氏の()()である。

 ……どうしてそうなるのよ。やっぱり宗教家コワイ。なんか方向性の違う怖さだったけども。

 

 兎にも角にも、()()を加えた『巫女』さん達に危害が及ぶようなら大人しく見てはいられない。

 何とかして時間稼ぎをと、傍らに積んであった『御欠片』───彼らの教義的に重要物っぽいし心霊現象の一つも起こせば騒ぎに出来るかと考えて───に触れた瞬間、()()は起きたのだ。

 

 

 

 …………なんか、頼まれたんよね。「その『()()()()()」、って。

 生贄にされそうな子達に関しても、悪いようにはしないからって……うん。

 

 まあ、ほら……私ってば、この世界で神様に会うのは初めてじゃないわけで。

 それを踏まえて何となく、「あ、本物だわコレ」と判断できる部分があったというか……。

 

 

 

『……イケニエ……フザケンナ……イノチヲ……ナンダト……オモッテル……!』

 

 

 

 ……そして現在、漏れ出る御言葉がこれである。破壊神とは。

 コレ絶対神格勘違いされてるアレですわぞ。……どうも現状、私にしか聞こえてないっぽいが。

 

 教典とやらでどういう記述になってるのかは知らんが、『御欠片』というのが彼……声からして彼女か? に関係する品であるのは事実なのだろう。

 あの『霊力』を発射する謎の杖……『神杖』もまた、その力を活用した代物であるらしい。

 

 発言や伝わってくる思考が途切れ途切れな訳は、ここにある『御欠片』が全体の極一部だから、という辺りになるのだろうか。上座っぽいとこに積みあげてあるやつ全部ひと纏めにしたとしてもハンドボールぐらいにしかならんもんな。……いや元々の全体サイズなんか知らんけども。

 

 何しろ降臨に加えて、教祖、という名の名状しがたい装い(パツパツ巫女装束)のオッサンをベチベチやってるコレについても、提供した『霊力』が物理的な衝撃に変換されて私の手元に返ってくる形ときたもんだ。

 おそらく御自身で直接ぶん殴るには力が足りないとか、そういう感じの何某なのだろう。

 

 まあそこはそれ、ここ数日でエライ数の幽霊を成仏させまして、特に使う当てのない『霊力』が有り余ってた次第ですんでね。お気が済むまでどうぞですだよ。

 

 

 思うにこの御方、本当は彼岸とか冥府とか、そちら関係の神様だったりするんじゃなかろうか。

 専門故に命の雑な扱いに御立腹、という構図だとすれば理解しやすい。私の勝手な想像だが。

 

 重ねて推測になるが、元々何らかの形で天罰落とすつもりだったとこに、お仕置きするつもりの私が来たんでコレ幸いと協力を頼んできたんじゃないだろうか。そんなら否やは無いってもんで。

 ここ最近の謎だった『霊寄せ』に始まる霊関連の諸々についても、連想できなくは───

 

 

 ……アレ? もしかして集められてた幽霊って、その為の『霊力』確保目的だった?

 それを私が横から掠め取っ(成仏させ)ちゃった構図? やったからには協力しろよ(圧)な感じだった?

 

 わ、私は悪くぬぇ……

 

 

 

『……チガウ……タスカル……アリガトウ……』

 

 

 

 あ、さいですか。こちらこそどうもです。

 そんじゃ引き続き……しっぺー、デコピン、バ○チョップ。富士山、赤富士、往復ビンタっと。

 

 さて景気良くベチンベチンやってるコレですが、見た目ほど威力は出てません、実は。

 破壊神(他称)さんが上乗せしてくれてるとはいえ、やはりチート化防止は働いているらしく、実のところは局地的な強風に延々煽られてる程度でしかないという。痣一つ出来とらん不思議よ。

 

 まあ、それでも信奉する神様そのもの……と認識している存在から、これだけボコにされたなら二度と降臨の儀()なんてものに手を出そうとは思わんやろ。

 この光景の傍ら、冒険者達に絶賛ふん縛られ中の信者達も含めて。……ならんよな?

 

 

 ……なんか教祖氏が想像以上に奇想天外(エキセントリック)な発想にトんでたせいで、ちゃんと奉じれば大丈夫とか考える人間が出そうな気配が多分に……

 こりゃ、もうちょっと別のインパクト必要かもしれませんな。何かアイディアとかあります?

 

 

 

『………………マカセル』

 

 

 

 任されちまったぜ、わっほい。

 

 

 

        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

「───えっと……君達、大丈夫かい?」

「あ、はい」

 

「えっ」

「え?」

 

「あ、いや……思ったより軽く返ってきたから驚いて……ええと」

「ああ、成程……あ、ここが何処なのかは聞いても良いですか? 気が付いたらこの状況で……」

 

 

 詳細不明の大いなる存在に弄られる(?)教祖を尻目に、邪教団の制圧に移った冒険者達。

 

 数を頼りに抵抗を見せた信者達であったが、同じく頭数を揃えられれば物を言うのは質の違い。大半が低位とはいえ荒事を生業にする彼らには及ぶべくもなく、また響き続ける()()()への動揺も相俟ってか鎮圧捕縛は恙無く進められていくことに。

 

 そうして、冒険者の中でも手の空いた数人が声を掛けたのは、祭壇付近に固まっていた少女達。

 事態の進行(?)を身を寄せ合って見守っていた彼女達の返答は、問い掛けた彼らが肩透かしを食らうほどに軽い声音のそれであった。

 

 

 不思議に思った彼らが尋ねて曰く、町中を歩いている中で背後から襲われ口を塞がれた記憶こそあるものの、次に目に映ったのが『この光景』とのこと。

 それなりの期間、眠っていた(?)感覚はあるので、そちらの混乱は少ないが……ここは何処? そして、()()は何? と。

 

 

「…………すまん。アレに関しては俺達が知りたい……いやマジで……」

「ああ……おい、お前ら一体ここで何をして……何がしたかったんだ?」

 

「「「…………」」」

 

 

 縄で縛った信者達の内、意識のある者へと数名の冒険者が問い質さんと詰めていく。

 しかし意地の類か、或いは出せる答えが見付からない故か、彼らは一様に口を噤むのだった。

 

 

 されど、そうして手も足も出せぬ状態に追い込まれた彼らは一縷の望みを賭けるように、一点に向けて視線を注ぐ。

 未だ威風と、打擲音と、叫び声が絶え間なく送られてくるその方向へと。

 

 何が起きたのかは分からない。

 何か不手際が……あったにはあった。確かに。

 それでもそこに()()()は信心の(よすが)。我らが全て。

 

 今この瞬間は苦渋を舐めようとも、()()()()のお怒りさえ鎮められたなら、その時が───

 

 

 

 

『───ざ……』

 

 

「「「……っ!」」」

 

 巨影から、声が発せられた。

 吹き付ける威風同様、頭に直接響くような囁きに、誰もが俄かに身体を硬直させて。

 

 

 

『ざ……っ、ぁ……』

 

 

 必然、訪れた静寂の中に()()()の声だけが厳かに流れ落ちる。

 

 魂に刻み込むように克明に、それでいて掠れたように不明瞭に。

 それはまるで、只人の魂に届かせる為にと微調整を繰り返しているが如く。

 

 

 

『ざぁ……ざ……』

 

 

 誰かが、或いは誰もが、すぐ隣で嚥下するように喉を動かす音を聞いた。

 

 総身が、魂が、知れず震わせられる感覚の中で、彼らの意識は一方向へと惹きこまれていく。

 

 

 やがて発せられるだろう『御言葉』を、信心とは無縁の者までもが待ち望むようにと───

 

 

 

 

 

『ざぁこ♡ ざこざこ、ざぁこ♡』

 

 

 

 

 

 ────── ?

 

 

 

 一同の頭に疑問符が飛んだ。

 

 飛び交った。

 

 爛漫の花吹雪も斯くやと。

 

 

 

 

『ざぁこ♡ よわよわ男♡ 神様にすがらなきゃ生きてけない弱虫♡ ダメな大人の生物標本♡ 自分に価値があると思ってる♡ わたしを破壊神だと勘違いしてた♡ スネ毛がまばら♡』

 

 

 

 ……いつの間にか、教祖と呼ばれた男への物理的な制裁(?)は止んでいた。

 しかし何故だろうか。成り行きを見守る彼らの目には、先程まで以上の憐憫が浮かんでいく。

 

 

 

『……あれぇ~♡ 泣いてる♡ 泣いてるの♡ 自分からわたしを喚んだんでしょ♡ こーやってわたしにイジメてもらいたいから喚んだんでしょ♡ あ、分かった♡ 興奮してるんだぁ♡ やだコワーイ♡ イジメられて興奮するなんて何考えてるんだろー♡ 変態さん♡ 変態さんだぁ~♡ よしよし♡ 遠慮しなくていいんだよ♡ もっと、もぉっとイジメてあげるからね♡』

 

 

 

「…………なあ、マジで何がしたかったの、お前ら」

 

「……いや、そんな、ハズは……」

「ばかな……そんな馬鹿な……」

 

 

 呻き声は啜り泣きに。

 

 切望の眼差しは虚無の瞳に。

 

 見る間に生気という生気を失っていく信者達を目にして、冒険者達および少女達は思った。

 

 

 

 ───よく分からんけど、もう気にしなくて良さそうだなコイツらの事は。よく分からんけど。

 

 

 

        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

『…………』

 

 

 …………ハイ。はいじゃないが。ヘイ。

 

 えっと、こういう感じに仕上がった次第です、ええ。

 

 これならもう、生贄集めて儀式ー、なんて二度と考えもしないだろうと。

 あと万が一、(ヘキ)に目覚めちゃったとしても、破壊神信仰よりは健全(KENZEN)で済むかと、ハイ。

 

 

 

『………………』

 

 

 え~……私どもとしても、なにぶん急な振りでしたし選択肢は多くなかったわけでして。

 あとは、その、破壊神様(?)の声が妙に幼女(ロリ)っぽいのも一因だったと言いますか……

 

 いやあ…………そういや私、昨日から寝てなかったですわ! 寝不足って怖いですね!

 あ、でも幽霊()になってから眠ったこと無かっゲフンゲフン!!

 

 

 ……へ、へへっ……誠に、申し訳ありませんでした。

 

 

 

『……………………アリガト』

 

 

 沈黙なっがい。めっちゃくちゃ色々飲み込んだ上での感謝だよコレ。

 お、お役に立てたなら何よりでごぜーます……あ、もうお帰りに? あ、はい、ではお達者で?

 

 

 

『……アッ、ソレト……サイゴニ……』

 

 

 はひ? な、なななんでございませう?

 

 

 

 

『……レイヨセ(霊寄せ)()()()()……ナニソレ……?』

 

 

 えっ。

 

 

 

 

 え、ちょ……

 

 え……

 

 …………

 

 

 

 ど~~して納得できたと思った瞬間に前提引っくり返してくるんだ、この世界の神様はよぉ!?

 

 

*1
いかにもその通りだ / まったく残念なことだ

どちらの意味で使う言葉か、勘違いしている人も結構多いそうで。

*2
果たしてレインさんはどっちでしょうねー。





教祖なオッサン「何故ですか、神よぉ……」
  ユズちゃん「何なんですか、コレ……」
  レインさん「どうしてこうなった……」
破壊神(?)様「ナニソレ、シラナイ……」

 地獄絵図☆

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