ホラー?タグさん「(っ'ヮ'c)」
「───あら、どなたかいらっしゃったのかしら?」
ふと、顔を上げた老女の口から、柔らかな呟きが溢された。
「……確認いたします。少々お待ちくださいませ、
「ええ、お願いね」
寝具の上から零れ落ちた指示を、傍らに騎士然と控えていた女性が拾い上げ、厳かに礼を取る。
聖女と呼ばれた老女は実直な従者に小さく頷くと、手に広げた白い装丁の本へと視線を戻した。
そこは、雄大なる大河を臨む神殿の一室。
歴代の聖女達が好み、その多くが終の棲家にと選んできたその部屋で、年老いた当代聖女もまた俗世より切り離された静寂を過ごそうとしている最中のこと。
そんな
「……外の者に確認が取れました。どうやら
「あらあら……あの子も仕方のない子ねえ」
「……いかがなさいますか、聖女様」
「ふふ、心配要らないわ。お通しなさい」
「ですが……いえ、畏まりました」
隠しきれない渋顔を浮かべる従者に、聖女は皺の刻まれた苦笑を返しつつ、再び頷きを与える。
それに応じ、部屋の内外で数人が動きを始めて幾許か。やがて静謐の内にあったその場所へと、硬い足音が近付いていく。
迫る音が部屋の前で止まって、一拍。
不鮮明ながら剣呑さの滲む声音を室内に届かせた後で、勢い良く扉は開かれた。
「───お加減はどうですか、お祖母様?」
「……まずは入室の挨拶をなさい、マリータ」
眩しい笑顔を浮かべ、部屋の中へと駆け込んできた訪問者に、老女が小さく溜息を吐く。
無作法を咎める一言にも「えへへ……」と、はにかんで見せた童女は、人好きのしそうな笑みをそのままに寝具の傍まで歩み寄った。
その様はさながら、病床の祖母を訪ねてきた心優しい孫娘。
されど、そんな童女の顔とは対照的に目を据わらせる従者の前で、老女は静かに問いかける。
「……お見舞いに来てくれるのは嬉しいけれど、今日のお勉強はどうしたの? また勝手に部屋を抜け出してきたのではないでしょうね、マリータ?」
「だって先生のお話はつまらないんだもの! それに、あんなお勉強なんて───」
「
溌剌と紡がれたその言葉に、室内の空気が冷気を纏う。
当代の聖女が目を細め、その従者が歯を噛みしめる中で、童女だけがにこにこと笑っていた。
───当代聖女の死後、聖女の証となる『スキル』が王家の女性に発現する。
その『継承』が確認され次第、その者を新たな聖女として扱う───それが建国、より正確には初代聖女の没後から続く、この国における絶対の法の一つ。
聖女の力は、唯其処にあるだけで土地を浄化し、国の永き安寧を支えてきたもの。
故に聖女となった者には、他の王女とは全く異なる待遇が用意されている。
王家に生まれた者として求められる責務責任とは無縁の立場になることもまた、確かな事実。
それらを知る者達にとって、無垢な響きを込められた先の言葉がどのような意味を持つのか。
その答えこそ、年老いた聖女の傍らに控える従者の表情に顕れていた。
「……マリータ、殿下。あなたは……御自分が何を言っているのか───」
「おやめなさい」
「っ、ですが……! いえ、己が分を越えておりました。申し訳ありません……」
覆いきれない憤怒を乗せ、諫言を口にしかけた従者を、主の声が引き留める。
しかして目の前で行われるそれらのやり取りにさえ小首を傾げるばかりの童女に、老女は改めて重い声音を作り上げ、語り掛けた。
「……よくお聞きなさい、マリータ。誰が次の聖女になるかは神様が決める事。当代の聖女である私にだって分からないの。貴女の思う未来にならなかったとき、苦労するのは───」
「あははっ! もう、お祖母様ったら……あんな意地悪で根暗で不細工なお姉様達が聖女になんてなれるわけないじゃない。神様だって一番可愛いわたしを聖女にするに決まってるんだから!」
「…………そう」
表情を消した聖女の周囲で、怒りすら忘れて絶句する従者達。
相も変わらず他者の顔色を視界に入れない童女は、尚も朗らかに持論を謳う。
「
「……おねだり?」
「そうなの! ほら、そこの棚に入ってる指輪や髪飾り! あれって、お祖母様には
「王女殿下! お迎えが来ております! ご支度ください、さあ!!」
衝撃からいち早く立ち直った従者が、不敬ギリギリの手付きで童女を部屋の外へと誘導する。
突然のことに憤りより驚きが勝っていたのか、童女特有の甲高い声による抗議が始まったのは、その声が聖女の耳には届かぬ距離となってからのことだった。
「…………しばらく、一人にしてもらえるかしら」
「…………心中、お察しいたします。何かあれば、すぐにお呼びくださいますよう……」
表情を動かさないままのポツリと呟くような指示に、控えていた者達が一斉に首肯を示す。
波が引くように部屋を離れていく彼らを、老女は彫像のように固めた眼差しで見送った。
そうして部屋に残されたのは、閉じた扉を冷えた瞳で見つめる老女が一人。
遠ざかる足音に、微かに響く衣擦れの音が消えていく様にも、聖女は身動ぎ一つなく───
「なにアレ、うっっっっっざぁ」
再びの静寂に包まれた部屋に、艶めきを宿す呟きが溢された。
「毎回毎回、似たような
余人を、他者の耳目の一切を排したその場所で、老女の顔は軽薄に歪められる。
「ああいうのが真実を知って絶望するのも面白くはあるんだけど、こうも同じような娘だとねえ。威勢は良いくせに変に打たれ弱くて、大体一年もしないうちに反応が無くなっちゃう、しっ」
呟きながら、老女は自らの胸を軽くつつき、己の身の内を探るように目を瞑る。
そのまま数秒、目を開けた彼女はどこか不機嫌さ混じりにせせら笑いを浮かべた。
「…………次は冒険者にでもなってみようかしら」
長くも無い思考の後に、ぽん、と軽く手を叩き。
思い付きのように口にしたそれを、これこそ名案だとばかりに老女は頷く。
「そうだわ。何もこうやって一人になるにも苦労する立場をずぅっと続けることもないじゃない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───この指輪を市場に、ですか?」
明けて翌日。
そこには主より渡された、
途方に暮れる、とまでは言わないまでも、意図を掴みかねた様子の彼女へ、聖女は微笑みと共に己が指示に込めた『真意』を語った。
「ええ。……私の、数少ない『私物』、なの」
「っ!」
「このまま『聖女』の持ち物として、あの子の手に渡るくらいなら、ね。……お願いするわ」
「……畏まりました! 直ちに!」
傍目にも気力に満ち満ちた礼を取り、従者は限りなく駆け足に近い速度で部屋を後にする。
その背が消えていった扉に顔を向ける『老女』の瞼は、やがてゆっくりと落ちていった。
「……少し、疲れちゃった、ようね。後は……お願い、するわ……」
「っ、はい。……お疲れ様でした、聖女様」
瞳が閉じられる直前、微かに口角が上がり。
徐々に弛緩していく四肢の中で、片手だけが微かに広げられる。
伸びた糸がぷつりぷつりと外れていくかように。
押さえつけていた重しが不意に外されたかのように。
「……ぁ」
───んー……こうやって見ると、なかなか良さそうな候補は居ないものねぇ。
私の力なら元々の実力なんかどうでもいいし、見目さえ良ければいいのだけど……
……ん、ん~、彼女はちょっと齢がいきすぎかしら? もう一回りぐらい若い身体がいいわ。
あら良い男! ……じゃなくて、今捜してるのは私の器よ。後で見付けたら粉かけときましょ。
っ!? あは、ちょっとびっくりしちゃったわ。他人の空似にしてもなかなか……
……そうね。あの子なんて良いんじゃない?
よくよく見れば結構引き締まった身体もしてるし……あっは、声も結構似てるじゃない。
ふふ……決定だわ。これも巡り合わせってものかしら。それじゃ、そこの貴女?
こんにちは。そして……さような
…………あ?
何よ、今のは?
いま、なにか に
ぶつ か
て
Solinsenondolet Earesattingerepotest Salinsenondolet え Argentiinsenondolet Faciemsuam insuperficieaquaeponerepotest なに これ Marcamnigramrelinquerepotestinquacumqueret etigerit Notaenigraeinfaciesvertipossunt Sutraslegiturapudmonachosquoddoletdesuo Sacr aeresinsenondolet たす ケ Easomniorumimpedirepotest Talismaninsenondolet Flammamn onhabetcalorisnecaliisinvisibilispotestcreare シ ニたク ナ Haecflammaeosquiintradomumsuntf orisducet Earebumcorporavivendovim Illavoxanimosaliorumtorporemhabet ワタ シハ えイエ ニ A liorumanimasintusservareeteascustodirepotest キエ ヤダPotestatemnocendisolasabaliisposses saslargiripotest ヴィク テ Sonareinquolibetlocopotest Dolorumoculosetpicturasmutarepotest
Servatus.
《───んぁ?》
「(レイン? どうかしました?)」
《いや……ユズちゃん、今どっか身体ぶつけなかった?》
「(え? いえ、そんなことないと思いますけど?)」
《ほなら気のせいか~……や、でも、なんか覚えのある感覚だったような……?》
【速報】裏ボスさん終了のお知らせ【インガオホー】