こっちの更新が先になりました(即落ち二コマ並感)。
メインとして書こうとしている作品の『息抜き』に据えると途端に筆がノる不思議よ。
Q. 憑依仲間?
A. 少なくともレイン&ユズの目には何も映ってません。何が見えてるんでしょうね、彼女。
ちなみに度重なる『経験』から別行動中でもない限りは憑依状態を維持しているレイユズです。むべなるかなよ。
「───おおっ、これはこれはいらっしゃいませ、お嬢様方。儂が店主のディ・タラメですじゃ。ふぇーっふぇっふぇっふぇっ……!」
「(うわぁ、ダメそう)」
《うわぁ、ダメそう》
路地裏にて遭遇したお嬢様から店名を聞き出し、程なく見つけましたは件の『お祓い屋』。
程良く(?)うらびれた店へと足を踏み入れた彼女、および同行するユズちゃんを迎えたのは、怪しい口出し仮面とくたくたのローブに身を包む、絵に描いたような怪しい老婆であった。
……いや、見た目(と
これでもちゃんと霊能力者してるという可能性も…………あ、ねーわ。目の前で縦回転した私にひとっ欠片も反応してねぇわ。少なくとも『視える』目はお持ちじゃないっすね。うわぁい。
「……こちらで『悪しきモノ』を祓っていただける、というのは本当かしら?」
「ふぇっふぇっ……ええ、勿論ですとも。それでは失敬……」
《「…………」》
とはいえ私らが抱いた確信(?)めいた疑いなんぞ伝えられるわけもなく。
怪しい婆さんの矯めつ眇めつな怪しい視線を、大人しく受けるお嬢様を無言で見守る我々です。
……というか祓って欲しいのか、悪霊さん(仮)。
貴女が人目憚りなく元気に喋ってる相手が
《……再三確認するけど、何も見えんよね?》
「(はい、何も……レインこそ何か見つけられませんでした?)」
《いや、なーんも。物理的に何か居ないか『手探り』してもダメだったし、会話中? のお嬢様に近付いてみても、聴こえるのは本人の声だけやったね》
「(そうですか……うーん……)」
「ほうほうほう成程成程……これはまたなんともタチの悪い……さて何から手を付けたものか」
「っ、そんなに、なんですの?」
「ええ、それはもう。……心当たりはおありですかな?」
「…………」
やれる調査はやり尽くして悩む我々。婆さんの言葉に徐々に顔色を悪くしていくお嬢様。
そんな彼女の様子に、鼻から上を隠した仮面の下で口角を上げていく推定自称霊能力者。
……さて、ここまでは実に
「ではそうじゃのう……その指輪と腕輪、それから髪飾りに耳飾り、あとは……首飾りもですな。こちらで『祓い』を行いますので、数日から数週間程度お預けいただけますかな?」
《はい、
「
「? なにか?」
「いえ、なんでも……」
うむ。ツーストライクからのインコース高め。空振り三振ってね。見事にアウトですわコレは。
……おや、なんだいユズちゃんや? つられてアウト判定口に出しかけたのは私のせいではないですやろ。そうジト目で睨まんでもろて^^
「(確信犯でしょうに……)ですが、そうですね。本当に『お祓い屋』と呼ばれるに違いない力をお持ちなのかと、少々……。特に、指定された品は素人目にも高価に見えるものばかりですし」
「……!」
「ぬ……」
取り繕いつつも怪しげババアに割と鋭い目を向けるユズさん降臨である。まあ気持ちは分かる。
悪徳同業者、と呼ぶべきかは悩むけど、
ま、それでなくともこんな路地裏の草臥れた店の主に、そう煌びやかな装飾品なんぞ保証無しにホイホイ預けていいもんじゃないですわぞ。このお嬢様、やっぱ危機感足りねえな?
「それは───っ、確かにそうね。貴方を信用していいのか、何か判断できるものが欲しいわ」
「…………ふぇっふぇっふぇっ……そりゃ道理ですなあ」
そして疑いの言葉には同調───推定悪霊氏の声も併せて?───するお嬢様と、長めの沈黙を経つつも不敵に笑ったババアさん。……こちらもこれぐらいは想定内か。年季入ってるもんねえ。
「では証明を……の、前に確認しますが、その腕輪は本日ずっと着けておられましたかな?」
「え? ええ。朝の支度の時からここに来るまで外してはいないけれど……?」
「それからもう一つ。そちらの娘さんとは、まだ出会ったばかりなのではありませんかな?」
「……っ」
「……ええ、ついさっき雇ったばかりの護衛よ」
……お、おお? なんか凄いなこの婆さん。人間観察力ってやつか?
急場の護衛なんで距離感があるのは確かだが、ひと目見ただけで分かるもんかね、そういうの。
まあ、その辺も含めて
「ふむふむ、ならば話は簡単ですな。略式となる故、効果は一時的にはなりますが……その腕輪を今すぐ『祓って』しんぜましょうぞ」
「……それで、証明になると?」
「ええ、一目瞭然となりましょうな。ふぇっふぇっふぇっ……」
「……どうなさいますか?」
「そうね───分かったわ。とりあえずやらせてみてから考えましょうか」
うおい、大丈夫なんか、お嬢様&御付きの悪霊(仮)! 特に後者の
一度やらせてみるって……わりと精神操作系能力者多いんやぞ、この世界!?
……私らがやたらと遭遇してるだけ? んまあ、その可能性は無きにしも非ず。
「(……もし、その手の何かだったとしたら
《おおう、珍しく無茶振りがきた……ユズちゃん以外にやったことないからなあ……》
ギロっと鋭い眼光を宿しての
実際、急場の護衛の立場から強硬に反対は出来んもんね。頼れるは私だけか……う、うむぅ。
「……腕輪は着けたままでいいのかしら?」
「ええ、勿論ですとも。それではお手を拝借……」
なんて唸ってる間に怪しげ婆に右腕を差し出しちゃうお嬢である。ああもう、この子はもう。
こうなったら唸ってる暇なんぞねえ! 今こそ唸れや我がトンチキプログラムボディ!
精神防御……保護……マ〇バリ的な? それともブレ〇方面か……ええい、やらいでか!
できるできる絶対出来る頑張れもっとやれるってぇ!
「ハァッ!! ……さて、どうですかな?」
「…………」
…………あれ、できたんか新能力? それともできてないんか? 分かんねえのす。
見た目には何も変化は無かったが……どないですか、お嬢様? そしてユズちゃんや。
「「……どうって、何が?」」
「ふぇッ!?」
口を揃えて首を傾げたお嬢様&ユズちゃん。ぽっかり口を開けて驚愕した様子のババアさん。
……これは上手くいったんか? それともそもそもババアさんがアレだったのか?
私の中で何か起きたような感覚は……あったような無かったような…………うん。わがんね。
「お、おかしいのう……? 今、確かに……本当に何も感じないかの?」
「何故それをわたしに……どうですか?」
「いえ、わたくしも全く。……どうやら無駄足だったようですわね」
横に振られた首にて問いに答え、こればかりは『隣の方』への確認も挟まず踵を返すお嬢様。
そのまま店を後にしようとする彼女に、それに追従して動き出すユズちゃんに、引き留めようとするような「ああ……」という老婆の声が零れ落ちて。
「……安心なさい。わたくしがここを訪れたことは『秘密』です。少々、質の悪い店があったことなど、
振り向かないまま、僅かに足を止めての宣告一つ。
少女達が立ち去った店内には、くたりと項垂れる老婆が一人、残されるのであった。
「…………やれやれ。いよいよ儂もヤキが回ったかねえ……」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───重ねて感謝しますわ。貴方のおかげでおかしな店を避けることができたようです」
「いえ……わたしが個人的に、ああいった店に思うところがあるだけですから……」
「ふふ、それでも助かったのは確かですわ。あのまま店主の口車に乗せられていたら、婚約者から送られた装飾品を全て失っていたかもしれませんし……」
「……婚約者、ですか」
「ええ。……ふふっ。彼ったら、自分が送った装飾品で、わたくしを飾り立てることに夢中みたいなんですのよ。腕輪から始まって、首飾りに耳飾りに……衣装を合わせるのも大変ですわ」
「それは……愛されていらっしゃるんですね」
「ええ、それはもう! 特にこの髪飾りなど彼の『ブレイハート家』に先祖代々伝わる由緒正しき品だそうで本来ならばあちらの家に入ってから送られるべきなのですけど、彼が特別に───」
「えっ……あ、あああ待ってください! それはわたしが聞いても良い内容ですか!?」
「あっ」
「…………」
《それにしてもこのお嬢様、ポンである》
「…………まだ、ここは表通りでは、ありませんから。他言無用、ということで、はい」
《婚約相手の家名が分かったら、お嬢様の素性も多分調べられるんだよなあ》
「……はい。では、そのように」
「ふう……あ、でも結局、当初の問題は振り出しに……うう、どうしたものかしら……」
「…………」
《……名乗り出ないの? 本家本元の『お祓い屋』さん?》
「(このタイミングは流石に……信頼が一気に胡散臭さに変わってしまいますよ)」
《そりゃそっか。むーん、困ったもんやねえ》
「(……というか何処の本家なんですか、わたしは)」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「───ハァッ! ……うーむ、やっぱり腕が錆びついてたわけじゃなさそうなんじゃが……」
陰鬱な空気漂う店内で、老婆がひとり、首を傾げて嘆息する。
「儂の目が曇ったというわけでも……ううむ、あのお嬢さん大丈夫かのお」
商い用に繕った胡散臭い立ち振る舞いを潜めさせ、ぽりぽりと白髪を掻きながら。
「あの腕輪に掛かっていた、『
すなわち
先入観にやられたレイユズ(主に敵愾心抱いちゃってたユズさん)迫真のガバ。仕方ないね。