リアルが本格的に忙しくなる前に急いで書き上げ。
視点が定まらなくて普段より分かり辛い仕上がりになってる気がががが……
とはいえ種明かし回の直前で更新止まるよりはマシかなと思った次第なのです。
しかしこれ今話までを6章扱いで良かった気がする(安定のノープラン)。
そのうち章組み設定し直すかも。
※章設定を変更しました(2025/6/5)
「───この指輪をきみに贈るよ、ミコル」
「わぁ……ありがとうございます、メルクリオさま!」
それは正しく、運命の出会いというものだったのだろう。
栄華を誇った悪魔の都が、人間の聖女達に滅ぼされた日から数百年。
我々の力を無に帰す聖女に抗う術などなく、いつの間にか姿を消してしまっていた主を探す術もまたあらず。このまま滅されるくらいならと、見目良い宝石に魂を宿して聖女達の目から逃れんと屈辱を呑み込んだあの日から、数百年目に辿り着いた、俺の運命。
俺の宿った宝石をあしらった指輪を握り、ふうわりと微笑んだあの少女。
嗚呼、その
嗚呼、その
「みてみて、ルーシア! これ、メルクリオさまにもらったのよ!!」
「はい。良かったですね、ミコルさま。……なくさないように気をつけましょうね」
……忌々しきは、俺の運命に近しくあった、あの娘。
こいつさえ居なければ、直ちにこの身体を俺のモノに……俺だけのモノにできたものを。
「こちら、鍵のかかる頑丈な箱を用意してもらいましたから、夜にはこちらにしまっておくようにしましょう。それから鍵は私が持っておきますから安心してください、ミコルさま」
「うん! ありがとう、ルーシア!」
「ふふ、どういたしまして。……いつも返事は良いのになあ」
その身から、僅かながらも
俺の依り代たる指輪を、
あれさえなければもっと早く、俺の運命との逢瀬に……いや、それには力が足りなんだか。
嗚呼、その
「───ルーシア? どこにいるの? ねえ、ルーシア……?」
……俺にとっての最大の障害は、呆気なく姿を消した。
俺の運命の心に、その存在を深く深く刻み込んだままに。
「屋敷に帰る途中で
……この時ならば、真の意味でその身体を俺のモノにすることも出来ただろう。
それも、赤子の手を捻るよりなお容易に。……だが、本当にそれで良いのか?
この女の、見るも無残に欠けた心の隙に忍び込む? 誇り高き悪魔たる俺が?
……否。断じて否だ!
そんな
『───お呼びですか、ミコル様?』
「え…………る、ルーシア?」
『はい。貴女様の心の友、ルーシアです。私はどこにも
……見せてやろう。俺の術で。
魅せてやろう。お前の望む『ルーシア』の姿を。
俺の運命が、俺に魅せられた幻覚を「そうだ」と認識したとき。
その時こそが、最大の障壁であった貴様を俺が乗り超えた瞬間となるのだ!
そうだ……俺が! 俺こそが! 俺の運命の片翼、『ルーシア』だ!
《そうはならんやろ》
「……なんだか最近、気付くと部屋の中の物が動いているような気がするのよね」
『気のせいではありませんか、お嬢様』
「ルーシアの声が二つの方向から聞こえた気がすることもあるし……」
『気のせいでしょう』
俺の運命の身の回りで不可解な現象が起き始めたのが、それからすぐの事だった。
どうやら我が最大の障害が『化けて出た』らしい。
おのれ我が最大の障害よ。死してなお俺の前に立ちはだかるか。……ふん、それでこそよ。
「あとルーシアのお茶の味が、以前より落ち……あっ、ごめんなさい! 気のせいよね!」
『…………いえ、精進します』
……そして、俺が代わりに淹れた茶では、俺の運命の笑顔を引き出すことはできなかった。
それでも「美味しい」と労ってはくれるが、それが本心ではないことなど俺が一番知っている。
既にかつての力を十全に取り戻した我が身。その気になれば屋敷内の人間をまとめて操ることも可能だが……今はまだ、その時ではない。
この難題を乗り越えられぬ限り、真に俺が勝利したとは言えぬままなのだ。
俺は俺の、俺の運命への義理を通し、正々堂々と貴様に勝利すると己が魂に誓ったのだ!
「いつの間にか指先に小さな火傷が出来てたりもするし……やっぱり悪霊か何かの仕業───」
『そうかもしれませんね! ここはいっそお祓いでも受けてみてはどうでしょう!』
俺が争うべきは俺の運命の心に刻まれた貴様だ。つまり既に死した貴様ではない。
心意気は結構だがお呼びではないということだ。死人はさっさとあの世に帰るがいいわ。
…………お祓いはあかん。
お祓いはあかんかった。
お祓いはあかんかったんや。マジやべーよあの婆さんふざけんなちくしょう!?
「ひ、一人じゃなかったわよ? ちゃんとルーシアが一緒に……あら? ルーシア?」
「───ですから、お嬢様はお一人で外出されたのですよ」
「あら……? そう、だった……わね……?」
声が届かん! 幻術が届かん! 意識を塗り替えた諸々が解除されてしまっている!
幸いなのは効果を自覚できなかったらしい俺の運命が帰路を選んでくれたことだが……は、早く術を掛け直さねば! 特に俺の運命が部屋に戻り、お茶を欲しがるそれまでに!!
「帰ったわよ、ルーシア……あら、どうしたの?」
『い、いえ……お帰り、なさい、ませ……ッ!!』
……ぎりぎり間に合った! ギッリギリで間に合った!!
お祓い屋から離れるごとに封印(?)が緩んでいく気配があったから何とかと思ったが……力の大半を使い尽くしちまったじゃねえか畜生!! 絶対に許さんぞ、あんのババア!!!
こうなったら屋敷の人間を誰かしら操ってあの店に……くそっ! そこまでの力は残ってねえ!
仕方ない、一時的に俺の魂を移して…………いや、それはダメだな。
俺の運命を差し置いて、別の誰かにこの魂を移すなど───そんな
……ああ、婚約者殿か。毎度毎度、結構なことだ。
俺の運命が心を傾ける相手など、当の昔に決まっているというのに。
俺と俺の最大の障害との間にも挟まれぬ者が、滑稽極まるとはこの事よ。
───友人?
まあ、いいのではないか。好きにすれば……む?
この娘、どこか で見 た よう な
《……やってみたら出来たな。指輪霊改め指輪悪魔からの記憶回収。ちょっと懐かしい感覚だわ》
《しかし霊とは違った筈なんだけど……魂か。まあ、
《さて、間に挟まる不埒な輩も排除したし、あとはお若い方々にお任せして……んぁ? いやいやキミは『お祓い屋』兼友人枠として呼ばれてんだから離席はできんでしょ。がんばれ、がんばれ。さてさて、わたしゃその間にっと───》
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「………………え?」
「っ、ミコル!? どうしたんだい? 急に涙なんて……まさか、今のお茶に何か……!」
「い、いえっ、違っ、違います!? ただ、その……」
「……ミコル?」
「あの……『狐鼠姫』様? 今のお茶の淹れ方は、どこで、と言いますか、そのぉ……」
「…………実家の秘伝、ですかね」
「ご実家、の……そうですか」
「…………」
「……《お幸せに》」
「えっ?」
「……? どうかされました?」
「今、ルー……いえ、気のせいよね」
《えぇっと、なになに……
『素顔を知らない者には醜女に見える呪い』、
『心を向けた相手への想いを増幅する呪い』、
『見初めた異性への不義理を働きづらくなる呪い』、
『執着対象に最も近しい他者への妬心を強化する呪い』───
……え、待って? 何の目録だ、これ? 茶会の後ろで何見てんの、この従者さん……?》
《……ん? ああ、もう良いの? もうちょっとゆっくりしてっても……そっか》
《まあまあ気にせんで。わたしゃ
《使いっぱしりがお礼を受け取るわけにゃいかんのさ。……キミの
《……というか、キミが居なきゃ普通にお嬢様通り越してエライことになってた事実よ。向こうに逝ったら存分に胸張ってきな。───ルーシアちゃん》
C6-9開始前→
例の黒欠片が銀に見えた系メイド幽霊ちゃん「誰かお嬢様を助けて……」
現在力取り戻し中の真初代聖女様「願いが聞こえる……助けてあげて、幽霊さん」
メ〇ガキ風評被害反省中の幽霊(笑)さん「あいあいさー」
付き合いの良い霊能少女ちゃん「南の山……この山間の街でしょうか」
ポンコツお嬢様「最近身の回りで変なことが起きるような……」
生き残り指輪悪魔B氏『お祓いしましょうそうしましょう』
C6-10→
珍しく無茶振りされた幽霊(笑)さん「精神干渉弾き……上手くいったんか? わがんね」
流れ弾に被弾した指輪悪魔B氏「あ゛あ゛あ゛あ゛!? ふざけんなババアぁ!?」
普通に仕事してたお祓い婆さん「解せぬ」
Q. 指輪悪魔さんに何が起きたの?
A. お嬢様の身体を乗っ取ろうとした瞬間、装飾品達の呪いにまとめて激突。不幸な事故でした。
Q. 指輪が最初の贈り物なのに時系列おかしくない?
A. 某黒の欠片が銀に見える=聖女適正(真)持ちのルーシア存命中は手が出せず。
そのため初めて乗っ取りを敢行したときには既に装飾品の呪いでみっちりだったのです。
Q. 出会いの時点で運命だったとか言い出してるんだけど?
A. 恋心は過去を書き換えるものですから。
Q. もしC6-10時点で各装飾品の呪いが解けていたら?
A. 無駄な執着の消えた指輪悪魔がハッスル(意味深)して街規模で大惨事不可避でした。
束縛彼氏の呪いが街を救ったのです。ありがとう、守護()のアクセサリーズ!
束縛戦隊アクセサリーズ「「「いや私ら普通にアレな呪物なんすけど……」」」
何も悪くないお祓い婆さん「解せぬ」
Q. これお嬢様大丈夫なの?
A. 彼に一途な限りは概ね無害なので……