これって転生に入りますか?   作:非単一三角形

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 Q. ただでさえリアルが忙しくて執筆の時間取れないのに、どーして喋らせる度に余計な手間がかかるキャラなんか出しちゃったんですか?
 A. ノリです(若干後悔中)。

 てなわけで再登場。
 なお彼女達の台詞も大体ノリで書いてます。本職(?)の方々には多分通じないと思われます。



C7-3 迷宮の木陰

 

 

「「「───ボク達(我ら / あーしら)と臨時のパーティを組んで(泡沫の誓擬えし砌が / チルめハコ担希望)もらえませんか(如何也や / おなしゃ~)!?」」」

 

「…………………………………………………………………………………………………………………………………………たぶん内容同じなんでしょうけど、一人ずつお願いできます?」

 

 

 ……我がボディの敗北を知った『魔物部屋』検証から数日後。ふらりと訪れたギルド内部。

 そこには鈴生りに下げられた、忘れも()()()()三人娘の頭を前に、ちょっぴりぞんざいな返しが飛び出すユズちゃんの姿があったのでした。

 

 

 

 指名依頼であった最下層までの地図も提出し、あとは評価を待つばかりとなった今日この頃。

 ギルド側で踏破して確かめるわけにもいかないが、ある程度は正確性の確認も必要だからと一際忙しそうに駆け回るようになった職員さん方を眺めつつ、そこそこ暇してた我々。

 

 折角だしもう少し潜ってみましょかー。せやねー。……なんて言いつつ腰を上げた、その刹那。

 元気良く我々の視界に飛び込んできた三人娘の揃えた(?)第一声が、先程のアレである。

 

 ……たぶん意思の統一はしてたんだろーな、とは思うんだよ。うん。

 

 

 

「我ら過日の亡羊、誠哭き難く……巧導の師成りし輩各有と望縋の岸に流離いて永き也」

 

《……私たち、この前の事で実力不足を思い知りまして……誰か指導してくれそうな実力者の方がいないかと、切実な想いで探していたところだったんです》

「…………な、成程? 良い心掛けだと思います、ええ……」

 

 

「んで暇ピーなパイセン発見、かまちょ全開あげぽよ水産よいちょまる~、で突っ込み案件。マジチョッパズやばみさわ~」

 

《そこにお暇がありそうな高位の方を見つけ、堪らず飛び込んでしまった次第でありまして。実にお恥ずかしい限りでございます》

「……そう、ですか。まあ、特に予定もなかったのは確かですし、構いません、よ……?」

 

 

「す、すごい……二人の言葉をあんなに早く読み解くだなんて……流石はCランク冒険者……!」

 

《おう、Cランク冒険者のハードル爆上げテロやめーや》

「あ、あはは……雰囲気で凡そは分かるというか……はは……」

 

 翻訳用幽霊()と化した私を何度もチラ見しつつ二人の言い分に鷹揚に対応、すぐに三人目から向けられるようになったキラキラとした眼差しに苦笑するユズさんでございます。

 なんか一番の苦労人までありそうやね、このボクっ娘ちゃん。相対的なキャラの薄さ含めて。

 

 ……え、私は何で分かるのかって? そりゃ、あれですよ。どっちも一度通った道というか? 後者に至っては割と現役世dげふんげふん。……ノリと勢いと感覚とフィーリングって奴ですな!

 

 

「(それ全部同じでは?)……こほん。話は分かりました。ですが……その向上心に応えなければならない理由が、わたしにはありませんよね?」

 

「う……」

「わかりみ~。あーしらムシ良すキングマジ卍。ほんまゴメンやで~」

《はい。私ども一同、都合の良いことを言っているとは存じております。申し訳ありません》

 

 

「(っ、丁寧語に訳されると落差が……)ごほんっ! ま、まあ、断る理由も無いのは確かです。このランクになったからには、そろそろ後進の指導も義務として経験しなければと思ってましたしわたしで良いなら引き受けましょう。……他に示しが付かなくなるので無償とはいきませんが」

 

「ほ、本当ですかっ!?」

「縋我の享督真也や!? 幸甚筆舌に尽くせじ!」

《引き受けてくださるんですか!? ありがとうございます! ……良いのん?》

 

 おそらく駄目元だったのだろう申し出に、まさかの前向き回答を貰って盛り上がる二人である。

 うむ、やはり落として上げては交渉ごとの基本やな! ……え、違う?

 あとリアクション追い付かないからやめて? ふぁい。

 

 しかし思ったより迷いなく回答したね、ユズちゃんや。

 後進指導を義務と捉えとるのは相変わらずのキミやけど……何か琴線に触れるとこでもあった? 私は勿論バチバチに触れとるけども。こんな見るからに面白い連中、スルーできるかいってね。

 

 今から確かめるからちょっと待って? ふぇーい。

 

 

「……それで、本音は?」

 

 

「「《えっ》」」

「あ~……」

 

 ……気まずげな顔を見合わせるボクっ娘ちゃんに邪気眼ちゃん。何やら悟り顔のギャル嬢さん。

 そんなお三方に殊更にっこり笑みを深めるユズさん。そして目をしぱしぱする私である。

 

 お、おおん? 本音とはどういう意味ですかね、ユズさんや。

 彼女ら特に嘘ついとる様子ではなかったと思うでありんすけども?

 

 

「早晩、このダンジョンの初踏破を目指す一団の募集が始まる。当然相応の足切りが設定されるでしょうし、その境界を現状の自分達が跨げるとは思えない。けれど高確率で参加するだろう人物の知り合いになっておけば、その誼で末席に加わることができるかも……そんなところですよね?」

 

「「…………はひ(是)」」

「即バレあたりき~……」

 

 

 あー……そういう。あわよくば的な。まあ、それぐらいはご愛敬の域かね。

 しかしまあ、そうなると……そちらの意味では()()()()()、という他ありませんな。

 

 

「先に言っておきますが、わたしはダンジョン初踏破に参加する予定はありませんよ?」

 

「「「えっ(マ?)!?」」」

 

 

 告げられた言葉に、漫画(コミック)の世界なら目玉でも飛び出してそうな驚愕を顕にする三人娘。

 これに関しちゃ私にも気持ちは分からいでもない。傍から見りゃ、何言ってんだ案件だもんね。

 

 

 私らが作った地図の最低限の確認が済み次第、ダンジョン踏破を目指す一団が結成される。

 ───これは、ギルド員さんとの世間話で耳にした事実。

 

 この世界におけるダンジョン初踏破者の栄誉は然り、今回その道に待つ困難の多く───最奥に続く道を探す過程───が排除されている以上、その一団こそ『それ』に辿り着く可能性は高い。

 

 故に人員の選考も相当なものになることが予想されるが、公正な第三者の目で見ても間違いなくその立て役者と呼べる彼女ならば、推考の余地もなく名を連ねているに違いない。

 外野から見てそのように考えるのも、実に自然な帰結と言えるだろう。

 

 

 ……でも、うちの子はそういうの興味無いんすよね。

 元より『勇名を馳せる』系に対する欲はめっちゃ薄い子なので。

 それこそ『踏破の立て役者』と認識されてる時点で十分なんすわ。いや本当に。

 

「(レインの子になった覚えは以下略。)……そもそも幾らなんでも、上層と呼べる範囲で窮地に陥った面々を最下層への道行きに推薦できるわけないですよ。一度や二度、指導を受けたぐらいで人が劇的に成長するはずないんですから」

 

「「…………ですよね(是)」」

「正論過ぎてぴえん超えてぱおん。……ケドあーしらチョリ目はバリサンなんでマジおなしゃ~」

《……指導を求める心は我々皆真摯な願いであります。どうかお願いいたします》

 

 

「(……それ、本当にあってます……?)そ、それでも良いということなら、出来る限りの指導はさせてもらいますが───」

 

「「「ぜひお願いしますっ(煌々奇貨ッ / 激卍あざまる水産)!!」」」

 

 

 

        ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 えー、そんなわけで始まりました、駆け出し三人娘を連れてのダンジョン行……から早数時間。

 あれから大きな階段を二つ降りまして、かつて彼女達が窮地に陥った場所の一つ上、第三階層と呼ばれる場所が現在地でございますときた。

 

 彼女達の地力を鑑み、全力で気を張ってないと危ないラインの二歩手前というのがユズさん談。

 そんな程良い緊張を得られる階層にて暫し活動後、()()()()()により安全を確保しました地にて休憩中というのが現在の状況でありましてー。

 

 

 ……え? 道中の指導光景? んなもんカットよ、カット。だって特に面白いこと無かったし。

 なにせこいつら、あれだけ濃いキャラしといて戦い方はめっちゃ普通だったんやもん。

 

 邪気眼のCちゃん(シフル)辺りが無駄に長い詠唱使おうとして援護がずれるー、とか。

 ギャル語のB嬢(ビライザ)とかが『映え』気にして連携に支障がー、とか。

 ボクっ娘Aくんちゃん(アルマ)なんかも…………うん、何やろ? まあ、この手のイベントにありがちな問題行動とか誰もやんなかったからね。それが当たり前? せやな。

 

 結果、皆揃ってCランク冒険者の指導を真面目に受けてました、の一言で終わっちゃうという。

 あの特濃キャラでこの普通さ。もう新手の詐欺やろ。シャザイとヨーキューをバイショーする。

 

 

「(どうしよう。わたしもちょっぴり期待、もとい危惧してただけにツッコめない)……けほん! 休憩の後は、なるべく口出しせずに帰路に臨んでもらおうと思いますから、そのつもりで準備しておいてくださいね」

 

「はぁ~い(是~ / よいちょまる~)」

 

 すっかり懐いた様子で元気良く返事を揃える三人に、何やら板についた指導役振りをお見せするユズさんである。

 これ見てると意外と教師適性もあるんじゃなかろうかね、我が相棒。それともこの娘らが素直で純朴過ぎるだけやろか。……なんでこのキャラでスレてないんですかね(偏見)。

 

 

 

「それにしても……()()()()()でダンジョン内に安全地帯を作れたんですね。知りませんでした、ボク達……やっぱり『狐鼠姫』さんの言う通り、情報って大切なんだなあ……」

「あー……」

 

 思い出したようなボクっ娘アルマちゃんの一言に、各々の視線が()()()()()に集まる。

 そこに在る……いや、そこに()()のは何の因果か、弱りに弱った様子の犬面の魔物───たしか名前は『コボルト』とか言ったっけな?───が一体。縛り上げられて転がっていた。

 

 

 ───()()に初めて気付いたのが誰だったのか。最早記録には残っていない。

 しかし遥か昔の誰かが確かに辿り着いたという、現在に通ずる『魔物部屋』の利用法なのだ。

 

 内部に入ると閉じ込められる。湧いた魔物を全滅させるまで出入り不可。

 入室時に湧いた以外の魔物が新たに湧出することは無い───この性質を使えば然らばと。

 

 

《……トドメを刺さずに弱らせた魔物を一体残して、ふん縛って転がしとけば安全地帯を作れる。これ最初に思いついたヤツ間違いなく天才だよね。ある種の。……なんかグリッチ(glitch)染みとるけど》

 

「……わたしも実際にやるのはまだ二度目ですけどね。ダンジョンに潜った回数で言えば初心者もいいところですし……しかし、見た目が本当にヒドイですよね、これ」

「わかんのかんのか〇のみほ~」

 

 さんざ小突かれた末に縄でグルグル巻きにされ、死んだ魚の目で横たわる魔物が一体。

 その傍らで腰を落ち着け休憩休息。時には食事や睡眠の機会にも使うという冒険者達。

 ……絵面よ。正義の意味を問いたくなること必須である。

 

 なお大人数によるダンジョン行の場合、うっかりヤっちゃう可能性考えて二、三体確保するのが基本だそうな。これで寂しくないね! ……ちがうそうじゃない。

 

 何が凄いって、おそらく現地の方の発見だと思うんよね、コレ。この発想はゲーマー視点からは多分出てこない。このそこはかとなくゲームっぽさのある世界で生まれ育った人間ならではよ。

 ……TRPG勢なら或いは? いやGMキレさせて次から鬼のような対策されるのがオチやな。

 

 

「……擦刻の那辺にて歴智たれば咆虚の誘い非ず。之、判ずば慟哭避けじ也。我が友アルマよ」

「うぐ、それはその……」

 

《ええっと……ちゃんと調べて知ってたら、この前の危険だって避けられたかもしれない。これに懲りたら……勢いで行動するのはやめようね、アルマ…………かな?》

「(が、頑張ってください、レイン! わたし、さっぱり分かりませんから……)」

 

 そしてこのかつてない強敵、邪気眼担当ことシフルちゃんである。……嘗て同じ『途』を歩んだ同志とはいえ、造語マシマシ系は普通にキツイんよ。

 むしろよく分かるね、ボクっ娘ちゃん。付き合いの長さって偉大だなあ。

 

 

「ま、さげぽよわずはジャネバでJK~。ちょまSKPでリバればMMTじゃね、アルっち?」

「……あ、そうだね! 『狐鼠姫』さん、ちょっと質問していいですか!?」

 

《…………あ、やっべ年代ズレた。わっがんね》

「(えぇっ!? そんな、諦めないでください、レイン!?)……え、ええ、なんでしょうか?」

 

 前言撤回。ビライザ嬢も『友』と書いて『強敵』でござったわ。……年代が一つ変わると一気に様変わりするんがギャル語なんよね。幅広く使うのやめてもろて……

 ひょっとしてあれか? ほぼ初対面だったとこから段々馴れてきたんで口調崩し始めましたとかそういう感じ? ……逆に余所行き状態だったのかよ、今まで!?

 

 

「そのランクになるまでに、色々とご活躍されてきたんですよね? こう、お貴族の方から依頼を受けたりとか、どこかで大きな功績を残したとか、色々と!」

「そ、そうですね……それなりには……」

 

 

 

 

「それじゃあ───どこかに()()()()()()のお知り合いとか居たりしませんか!?」

 

 

 

 

「《………………ほぇ?》」

 

 ……ビライザ嬢に何を言われたやら、目を爛々と輝かせたアルマくんちゃんの質問に忽ち宇宙を背負いました我々でございます。……え、急に何言い出しちゃってんの、この娘?

 

 

 

「ボクの夢は、将来素敵な玉の輿に乗ることなんです! だから、こんな田舎に居られるかーって幼馴染みのシフルを誘って一緒に故郷を飛び出したんですよ!」

「《は、はぁ……》」

 

「でも玉の輿に乗るには王子様の目に留まる必要がありますよね? それならまずは『女子力』を磨かないとと思いまして! だから、冒険者として名を上げる事を目指すことにしたんです!」

「《……んん?》」

 

「だけど中々そう上手くはいかなくて……やっぱり、できれば目標が近くに見える状態で頑張りたいと言いますか! 色んな国で活躍してきたっていう『狐鼠姫』さんならイイ感じにキラキラして優しい感じの王子様とかご存じじゃないかなーと! ああっ、でも白馬より黒馬が似合う感じの野性的な王子様とか、武勇を轟かせるより知性で活躍する方向のひんやり王子様でもボクは全然アリなので! あとできればできれば両手で抱えて花畑を歩いてもらうとかやってみたいので腕とそれから胸板はなるべく逞しい方が───」

「《…………》」

 

 

 

 …………いやあ、参ったね。他の二人と違って言葉は分かるのに言葉が分からない(哲学)。

 しかし成程々々。こういう感じでキャラ出しされますか、ボクっ娘ちゃんくんよ。

 

 うむ。再びの前言撤回。この娘も十分濃かったわ。

 





 邪気眼は初めからコミュニケーション目的の言語じゃないから良いとして(?)ギャル語はこれ本当に会話成立するの……? とか思いながら書いてる作者です。

 前回、漢字混じりの高密度ルビが読みづらいという意見をいただきました。それはそう。
 そこでまた色々と試してみた今話でありますが、やはり直後にレインさんの翻訳を挿し込むのが一番丸い解決だなと思っております。頑張れレインさん。

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