お母さん、なんで私のお名前はしょうこなの?
それはねこの広い大空に羽ばたくって意味よ。
おおぞら?
そう、青くて広い大空を翔ぶように・・・
お母さん、一騎くん。
この日私の目の前から空が消えた。
そう思った。
雨の降る音で私は目を覚ましました。
私・・・生きてる?
なんで?島は?一騎くんは?
そう思い体を動かす。
どこかの公園かな?
竜宮島にこの風景の公園は無かったと思う。
体が弱い私は島を全部見て回ってないから分からないけど。
その時気づいた。
私の体が透けていたことに。
あぁ、私は死んだんだね。
不思議と涙は出なかった。
それどころか島は守れたよね?と自問自答した。
その時、
「りんくんがかわりにしんじゃえばよかったんだ!」
女の子の叫ぶような声が公園に響いた。
私は声のする方向に向かうと雨の中男の子と女の子が立っていた。
「りんくんなんか死んじゃえばいいんだ!」
女の子がそう言いながら走って行った。
女の子に死ねと言われるなんてこの子は何をしたんだろう?
「これで・・・いいんだよ・・・楓がこれで生きていけるなら・・・」
何か事情があるのかな?
私は近づいて男の子を見る。
りんくん・・・でいいのかな?
触れないと思うけど思わずこの子の頭を撫でようとした。
その時目が合った。
「えっ?」
それが私と稟くんの出会い。
それから10年経ったかな?
翔子「稟くん。起きて下さい。」
私は寝ている稟くんの耳元で声をかける。
稟「ん・・・おはよう翔子さん。」
翔子「今日は稟くんが料理当番だよ。」
眠たそうに目を擦る稟くん。
稟「そうだったな。今準備する。」
翔子「うん。待ってるよ。」
あの日から私と稟くんは一緒に暮らしている。
そしてあの日の事を聞いた。
どう言えばいいかわからないけど稟くんが傷つくのは見ていられない。
それにあの子が稟くんを傷つけている所を真横で見ることが多かった。
そして学校でもあの子の好きな男の子達に虐められている事が多々あった。
私はこの子を守れないのかな、そう思っていたらまさか稟くんの体に取り憑いて更に生前の私の体になる事ができると思わなかった。
身長も私が取り憑いている間は死ぬ前と同じ身長になる。
そして嬉しいことに体は痛くない。
病気が無い。
それだけですごく嬉しかった。
それがわかって一日中走った事もあった。
稟くんにどうしたのと聞かれたため説明をした。
死ぬ前の体は病気で動く事が難しかったこと。
私の住んでいる所に怪物が襲いかかってくる事。
そして島を守って死んだ事。
稟くんは泣いてくれた。
私の事で泣いてくれた。
それだけで嬉しかった。
リビングで待っている私。
この家は稟くんの実家の土見家。
あの子のいる芙蓉家だと身が危ないと思って稟くんを説得して土見家に移動した。
稟「お待たせ。」
稟くんが朝食を持ってきてくれた。
料理は私が初めに作って稟くんは見ながら私が教えて覚えた。
私も初めは料理は上手じゃ無かった。
初めての料理は真っ黒の目玉焼きに固い芯の残ったご飯。
更に味が薄すぎる味噌汁。
散々だった。
でも私と稟くんは諦めないで何度も何度も練習した。
そして今の私と稟くんがいる。
私の分と稟くんの分。
私は稟くんに取り憑いて私の分の朝食を食べる。
美味しい。
一騎くんの作ってくれた料理も美味しいけど稟くんの料理も美味しい。
翔子「美味しいよ稟くん。」
声は聞こえているけど会話は出来ない。
寂しいな。
食べ終わった私は稟くんから離れた。
稟「どういたしまして翔子さん。」
次は稟くんが食事を食べる。
少し冷めてると思うけど稟くんは美味しそうに食べてる。
稟「我ながら上手に出来たな。」
翔子「稟くんの練習の賜物だよ。」
ほのぼのした朝食。
私は死んでるから食事はいらないけど稟くんが食べる楽しみを与えてくれた。
稟「ご馳走様。」
稟くんは食べ終わると食器を片付け始めた。
稟「翔子さんはテレビを観て待ってて下さい。」
翔子「わかった。」
私はテレビを観た。
ここには神界と魔界が存在する世界。
そして魔族と神族が居て共存している世界。
何度も見かけるし稟くんの通っている学校にも神族と魔族はいる。
神族と魔族は魔法が使える。
御伽話のような事だけど何度か魔法を見た事がある。
稟くんに向けて来る攻撃の魔法。
それで何度も傷ついている。
どんな御伽話の魔法でも人を傷つけるためにあるものじゃ無い。
テレビには神族と魔族のお姫様が映ってる。
その両隣にはお父さんかお兄さんかな?
かっこいい男の人が映ってる。
稟「神族と魔族のお姫様だな。」
翔子「留学かな?」
稟「わからないな。まぁ俺らには関係ないけどな。」
稟くんはそう言ってテレビを消した。
稟「翔子さん、もう行くよ。」
翔子「うん。」
国立バーベナー学園。
ここはテレビでも出ていた神族と魔族、そして人族が同じ校舎、同じクラスで学ぶ事ができる学園。
稟くんが教室に入る。
扉越しでも騒がしかった教室が稟くんが来ると一気に静かになる。
原因はわかってます。
あの子のファンクラブのせい。
稟くんは席に着くと1人の男の子が近づいて来る。
「やぁ稟、今日も辛気臭い顔をしているね。」
メガネをかけた男の子。
稟「朝からご挨拶だな樹。」
彼は緑葉樹くん。
稟くんの数少ない友達。
樹「それと翔子ちゃんもおはよう。姿を見る事ができないのは残念だよ。」
翔子「おはよう樹くん。」
稟「翔子さんがおはようだって。」
樹「うーん野郎を通して挨拶されるのは嫌だな。今度また直接姿を見せてよ。」
稟「翔子さんは見せ物じゃない。」
樹「稟は羨ましいよ。あんな可愛い子が見えるなんて。」
側から聞いたら見えない私に挨拶をする樹くんは以上に見えるかもしれない。
でも樹くんはそんなのお構いなく私に挨拶をして来る。
樹くん曰く「俺様が美少女に挨拶をしないなんて例え天と地がひっくり返ってもありえないね。それにそこに確かに翔子ちゃんという女の子がいるんだ。俺様は何も間違った事はしていない。」と堂々と言った。
私は嬉しかったけどそれと同じくらいの樹くんに申し訳なかった。
私と稟くんが樹くんに出会ったのはバーベナー学園入学前。
路地裏で樹くんが複数の男の人に囲まれていた所稟くんが助けた所がきっかけ。
そして男の人が更にいっぱい来て2人が逃げる時に私が交代した。
体が思うように動いてから私は色々と特技ができた。
その一つが早仮装早メイク。
簡単に説明すると1人当たりのメイク時間が数秒で終わって服も数秒で終わらせる特技。
自分でも魔法かなって思うくらい早くできるようになった。
樹くんを女装させて何も無いように男の人達から逃げた。
それが樹くんが私を知っている理由。
入学後も稟くんと樹くんと私で色々出かけたり勉強したりしてた。
たまに私と交代して一緒に過ごしたりもした。
稟くんがなんで樹くんを助けたのか、それはあの子と樹くんを重ねちゃったんだって。
優しいよ稟くん。
お昼休みは雨の日や雪の日以外は私達3人は屋上でご飯を食べる。
樹「翔子ちゃん。今日のお弁当は君が作ったのかい?」
翔子「今日は稟くんが作ったよ。1つ食べる?」
樹「生憎野郎の作った手料理は俺様は食べないよ。」
美味しいのに。
私は稟くんのお弁当を食べていると屋上の扉が開いた。
「緑葉くん、それに翔子ちゃん。」
樹「やぁ麻弓、遅かったね。」
翔子「麻弓ちゃんこんにちわ。」
彼女は麻弓=タイムちゃん。
人間と魔族のハーフの女の子。
目がオッドアイで綺麗だけど本人はそれがちょっと嫌みたい。
そのことを本人に伝えるとありがとうと言ってくれた。
麻弓ちゃんとの出会いは樹くんと私が表に出ている状態で出会っていてそれを麻弓ちゃんが目撃。
その後樹くんと別れて稟くんに変わった瞬間を見られたためそこから交流が出来た。
麻弓「ねぇ翔子ちゃん、今日のニュース観た?」
翔子「どのニュースですか?」
麻弓「神族と魔族のプリンセスよ。リシアンサス様とネリネ様!」
名前まで知らなかった。
稟くんは知ってるかな?
翔子「職員室前に行ったら先生達がこのバーベナー学園にそのお姫様が来るって言ってたのですよ!」
樹「ふふふふふふ」
そうなんだ。
私と稟くんには関係無いかな。
麻弓「でもこの時期に急に転入する形で来るから先生達も不思議がってたのですよ。」
翔子「そうですね。この学園に好きな人でも居るのでしょうか?」
樹「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
麻弓「そんなギャルゲーやご都合的主義漫画の主人公みたいな事現実にあるわけ・・・翔子ちゃんを見てるとあながち間違ってないかも・・・」
それを言われるとちょっと否定出来ないよ。
樹「ふはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」
麻弓「さっきから気になっていたけど緑葉くん変なクスリやってるの?」
樹くん壊れたよ。
樹「これが笑わずに居られるか麻弓!神界と魔界のプリンセスがこの学園にやって来る。その時点で俺様のハートが最大まで燃え上がっているのさ!」
麻弓「緑葉くんに言わなきゃよかった。」
多分遅いよ麻弓ちゃん。
そう思っているとチャイムが鳴った。
放課後稟くんと私は急いで家に向かった。
上級生の人に呼び出されたけど上手い事私と交代して逃げた。
でもいつまでも学園に居られないから急いで学園から居なくなる。
光陽町、稟くんの住んでいる町。
稟くんは夕飯の材料を買うために来た。
来たのだけど・・・
「離してください!ボクたちは急いでいるんです!」
「いいじゃねぇかよ!」
男の人4名くらいに囲まれた稟くんの通っている学園の制服を着た上級生の2人の女の子。
緑色の髪と金色の髪。
稟くんは私を見た。
優しいよ稟くん。
私は頷いた。
稟くんは走り出した。
向かう先は上級生の女の子2人。
稟くんは一瞬で2人の手を掴んでそのまま走り出す。
男の人達は唖然としたけどすぐに稟くんを追いかけてきた。
女の子2人も驚いてる。
稟「翔子さん!次の曲がり角で!」
翔子「うん!」
私は返事をした。
稟くんは宣言通り曲がり角を曲がると私はすぐに稟くんに取り憑いた。
そして稟くんの鞄の中に密かに入れていたメイク道具とカツラを出して、
翔子「失礼します。」
特技早メイクと早仮装を実行。
更に私も帽子を被って見事に別人になった。
緑色の髪の子は赤髪に、
金色の髪の子は黒色に。
メイクでちょっと男の子っぽくした。
服装も制服から男の子っぽい服にした。
鞄の中に数着入れておいてよかった。
2人は何がどうなっているのかわかってない様子だけど私は2人の手を握って走ってきた道を戻る。
それまでにかかった時間は3秒くらいかな。
途中追いかけてきた男の人達とすれ違ったけどバレてないかな。
翔子「・・・うまくいった。」
私は手を離して2人のメイクを急いで落としてカツラを外して服装も瞬時に変える。
もう魔法のような一瞬の出来事だけど魔法じゃ無いよ。
翔子「失礼しました。」
私はそう言ってお店に向かおうとしたら、
「ね、ねぇ!ちょっと待って。」
私は緑色の髪の女の子に呼び止められた。
「助けてくれてありがとう!出来ればお礼をしたいんだけど。」
翔子「急いでいますので。」
私はバッサリとそう言って帰路についた。
途中で稟くんに変わりお店で材料を買うためによる。
稟「肉は・・・俺と翔子さんはそこまで食べないしお得パック1つでいいよな?」
翔子「うん。何度も言うけど私の分は準備しなくてもいいんだよ?」
稟「翔子さんに食べてもらいたいから。せっかく俺の身体に取り憑いて食べる事が出来るからせめて美味しいものを食べてもらいたい。」
稟くんの言葉にちょっとドキッとした。
でもダメだよ。
稟くんにそんな想いを持ったら。
私は死んでるから。
稟「後は・・・ん?」
稟くんが止まった。
私は稟くんの視線の先を追うと、
「どうしよう、お父さんの為にお肉を2つ買うのか・・・でもこっちのお買い得用の方が良いのかな・・・どうしよう。」
可愛い女の子が頭をうんうんと悩ませてる。
美少女って買い物していても絵になるんだね。
でもあの子って。
翔子「稟くん、あの子って。」
稟「恐らく・・・神界の姫様だ。」
お姫様がお肉の前で悩むって。
そう思っていると女の子がこっちを見てきた。
「ねぇねぇ、稟くんはどっちのお肉がいいかな?」
なんで稟くんの名前を?
そう思うと・・・昔稟くんと出会った数日後に迷子の神族の女の子と稟くんが遊んでた記憶が・・・
もしかして、
稟「さっきの会話が少し聞こえてたけど君のお父さんが大食らいなら2つでいいと思うけど・・・財布が心配ならそっちのお得用がいいと思う。」
でもその時稟くんにお別れのキスしたよねあの子。
翔子「稟くん、その子昔稟くんと遊んだ迷子の神族の子かも。」
私がそう言うと稟くんが少し驚いた表情をした。
まず覚えてないかも。
「ありがとう稟くん!」
稟「どういたしまして。もし今度会えるようなら昔のように遊べたらいいな。」
あっ、稟くんが余計な事言った。
女の子が驚いて物凄くいい笑顔になった。
「稟くん覚えていてくれたの!?」
稟「・・・今まで忘れてたけどついさっき思い出した。」
私が教えたんだけど。
「思い出してくれて嬉しいよ!」
稟「でも君はお姫様だから昔のようには難しいな。」
でも同じ学園に来るんだよ稟くん。
それ忘れてるよね?
「大丈夫だよ。私は今度バーベナーに通うから。」
稟「・・・そう言えば麻弓が言ってたな。」
忘れてたんだ。
「ごめんね、もう少しお話ししたかったけど時間が少ないから。またね。」
そう言ってお姫様は走って行った。
翔子「稟くん、迂闊だよ。」
稟「ごめん翔子さん。」
翔子「次から気をつけてね。」
稟くんの安全と安心の学園生活のためあまり大袈裟にしたく無い。
帰り道にどこからか綺麗な歌声が聴こえた。
私らは歌声に惹かれるように歩き出す。
公園に着いたらブランコに何処かで見た女の子がいた。
魔族のお姫様。
こうして立て続けに有名人と会うと稟くんは不思議な力があるのかな?
しばらく私らは聴き続けると、
「あっ。」
歌は終わってしまった。
女の子が稟くんを見ていた。
気まずい空気が稟くんと女の子の間を漂う。
稟「あ・・・すまん勝手に聴いてしまって。」
「いえ、こちらこそお聞き苦しい物をお聞かせしました。」
そうかな?
すごくいい声だけど。
それにこの子もさっきの子とおんなじ・・・昔稟くんと遊んだことがある・・・だけどなんだろう?
眼の色が・・・違う。
赤色じゃなくて・・・紫色だったよね?
その事を稟くんに伝える。
稟「すまんけど・・・昔迷子の魔族の子と遊んだ記憶があるんだけど・・・」
稟くんがそう言うと女の子が笑顔になった。
「はい!稟様!その女の子は私です!」
・・・嘘じゃ無い様な気がする。
稟「でも・・・眼の色が違うんだ。もしかして君の姉妹と勘違いしたかもしれない。」
「あっ・・・そこも覚えて・・・いるのですか。」
稟「君を傷つける訳じゃ無いんだ。だけど不思議で・・・。」
「いいんです・・・ちょっと・・・事情がありまして・・・」
これ以上は聞いたらダメな気がする。
「いずれは、ご説明いたします。」
稟「いや無理に言わなくてもいいよ。家庭の事情だと思うから。」
「稟様には・・・本当の事を伝えないといけないので。」
女の子はブランコから立ち上がって歩いて行った。
翔子「ちょっと踏み込みすぎたかも。ごめんね稟くん。」
稟「大丈夫だよ翔子さん。今のは俺が悪いんだ。翔子さんが気にする事は無いよ。」
そう言いながら帰宅した。
翌日学園の教室は人が全然居なかった。
麻弓「おはよう土見くん!その様子だと職員室前には行かなかった様子ね。」
稟「誰が朝からあんな憂鬱な場所の前を通らないといけないんだ?」
稟くんの言葉に私は苦笑いをした。
麻弓「まっ賢明な判断なのですよ。今は職員室前はプリンセスらを見る為に男子生徒達がごった返しの密状態なのですよ。しかもその密状態のうえ将棋倒しの如く転倒事故が起きてすでに救急車で数名運ばれたのですよ。」
私の通っていた学校では考えられない様な出来事。
麻弓「翔子さんもこんな男どもを見せられないわよ。」
稟「見たくも無いだろう。」
ごめんね稟くん、ちょっと興味があるよ。
そう言う会話をしていると教室の扉が開いて男子生徒達が戻ってきた。
数名少ない気がするけどその人達が救急車に運ばれたのかな?
その中の樹くんがいた。
樹「いやー俺様は思い知ったよ。翔子ちゃんや楓ちゃん以外にも美少女って居るんだね。」
私って美少女なんだ。
ちょっと嬉しいな。
昨日見たけどすごく可愛い子だった。
稟くんも頷いた。
麻弓「あれ?土見くんは職員室前を通らなかったんだよね?」
稟「実は昨日買い物先と近くの公園でたまたま出会って。」
樹「なんだと稟!ずるいじゃないか!何故俺様も誘わなかったんだい!?」
稟「KKKに追いかけられながら俺と一緒に下校したいなら止めないぞ樹。」
KKK、きっときっと楓ちゃんという非公式ファンクラブ。
あの子は可愛いからそんな変なファンクラブが出来るんだね。
樹「ふっ、美少女ある所に俺様あり。その俺様が美少女を見逃す。そんな事があってはならない。」
樹くんが力説してるけどちょっと怖いよ。
稟「樹、翔子さんが怖がっている。落ち着け。お前は美少女を怖がらせるのか?」
樹「なんと!翔子ちゃんが怖がっている!?すまん翔子ちゃん!」
樹くんが私に謝ってるけどその向きに私は居ないよ。
クラスのみんなが樹くんを変な目で見てる。
麻弓「緑葉くん。もうその辺にしておこうね。なっちゃんが来るわよ。」
なっちゃんとはこのクラスに担任の紅薔薇撫子先生の事。
すっごく綺麗な女の人でスタイルもモデル顔負けの人。
稟「それは怖いな。それじゃあ席に着くか。」
稟くんが席に着く。
それと同時にそれと同時に紅薔薇先生が入ってきた。
撫子「よしお前ら席に着け!特に男子!気持ちはわかるが今は静かにしろ!騒ぐのは自己紹介が終わった後だ!いいな!?」
『うっす!』
なんかこの瞬間だけ男子生徒達の心が1つになった所を見た気がする。
撫子「はぁ、いつもこれくらい素直な子達なら良かったんだが・・・よし。では入って来てくれ!」
先生がそう言うと教室の扉が開いた。
そしてパンパンとクラッカーの鳴る音がしたけど・・・
そこに居たのはムキムキの男の人だった。
「おっ?異性にいいやつらじゃねーか。」
この瞬間男子生徒達の心が壊れた所を目撃した。
すごく鍛えてる。
「なんでぇさっきまでの勢いはどうしたんだい?」
貴方のせいですとは言えない。
言ったらダメな気がする。
「しんちゃん、これはきっとシャイって奴だよ。」
男の人の後ろから更にカッコいい男の人が出てきた。
でもシャイじゃ無いですよ。
「所で・・・どの坊主がそうなんだ?」
「待ってね・・・いた、あの子だよしんちゃん。」
一瞬稟くんを見た気がした。
いえ、見た。
男の人達は稟くんの元に来る。
周りは好奇心の様な視線と憎悪の視線。
「初めまして稟ちゃん。」
稟「あの・・・なんでここに?」
「ほぉしっかりと鍛えられた体をしてるじゃねーか。これならうちのシアを任せる事が出来そうだ。」
「何を言ってるんだい?稟ちゃんはネリネちゃんと結婚して魔界を総てもらうんだから。」
「何言ってんだまー坊!稟殿はうちのシアと結婚して神界の王になってもらうんだよ!」
「僕の方だよ!」
「俺の方だ!」
なんか稟くんの前で喧嘩をし始めたよ。
稟くんが困っていると何処からかパイプ椅子が飛んできた。
ムキムキの男の人は首が変な方向に曲がった。
私らが驚いてると、
「お父さん!何稟くんを困らせてるの!?」
「いやシア!これはだな・・・」
「問答無用!」
パイプ椅子で殴り続ける昨日出会ったスーパーの女の子。
「お父様もです。稟様が困っておいでです。」
「しかしネリネちゃん・・・」
「これ以上稟様にご迷惑をお掛けするなら金輪際一切口を聞きません。いいですね、ま・お・う・さ・ま。」
「ね、ネリネちゃん!ぱぱと!パパと言っておくれ!」
青髪の女の子の絶対零度の視線が男の人に突き刺さる。
稟「・・・何この状況?」
翔子「知らない。」
稟くんの呟きに私はそう言うのであった。
その後も大変だった。
なんとこの2人のお姫様は昔迷子になった時に一緒に遊んでもらった稟くんに一目惚れをしたらしい。
そして好きな人と一緒にいたい、あわよくばそのまま自分を選んで欲しいと思いバーベナーに来たらしい。
稟くんの日常は壊れた。
全男子生徒から恨みを買い小休みのトイレのたびに魔法やらが飛んできた。
そして昼休み。
ゆっくりとしたい稟くんは上手い事男子生徒達を撒いて私と交代。
その足で屋上に向かい昼食を食べ・・・
翔子「お弁当・・・」
稟くんのお弁当の中に死んだネズミや泥が入ってた。
悲しいよ。
私は表に出ている間は空腹は感じないけど稟くんに変わるとお腹が空いちゃう。
学校サボっちゃおうかな。
稟くんがサボり魔扱いになっちゃうけどこうなったら仕方ないよね。
紅薔薇先生以外の先生のイジメられていますと言っても取り合ってくれない。
みんなあの子の味方だから。
私はため息を吐くと、
「ねぇ、ちょっといいかな?」
私に声をかけて来た人がいた。
声の方向を見ると昨日助けた緑色の髪の子と金色の髪の子がいた。
「やっぱり!カレハ!この子だよ!」
「亜沙ちゃん、落ち着いてください。昨日はありがとうございます。」
私は何もしてないよ。
稟くんが動いたから、私も手伝ったんだよ。
「僕は時雨亜沙。この子はカレハ、貴方のお名前は?」
時雨さんにカレハさん?
樹くんが言ってた。
料理部に美少女が居るって。
驚愕の時雨と癒しのカレハって言われてたかな。
それがこの2人?
翔子「・・・名乗るほどの者ではありません。」
言えない。
私は幽霊だって事。
でも入れ替わる瞬間を見られたから・・・でも稟くんの負担を減らしたい。
私が悩んでいると、
亜沙「大丈夫だよ。貴方方2人の事は誰にも言ってない。」
時雨さんが私に言ってきた。
亜沙「僕は土見くんの事は光陽中学から噂は知ってる。会った事ないけど芙蓉さんに酷い事をした人なんだなって。でも昨日助けてくれた彼はそんな酷い事をした子に見えないから。それに貴方のことも。」
稟くんの事をそんな目で見ない。
カレハ「改めて、お名前を伺っても?」
カレハ先輩が聞いて来た。
私は・・・
翔子「羽佐間・・・翔子・・・です。」
そう答えた。
カレハ「翔子さんですか?いいお名前ですわ。」
いい名前だよ。
だって、
翔子「お母さんが付けてくれた。この大空を翔けるようにと付けられたから。」
亜沙「そっか。本当にいいお名前だね。」
その後は稟くんのお弁当を見た先輩方が怒って自分のお弁当の中身を少し分けて貰った。
そして私の身の上をお話しして稟くんとの出会いもお話しした。
カレハ「・・・翔子さんは今は幸せですか?」
カレハ先輩は泣きそうになりながら聞いて来た。
翔子「幸せです。稟くんが居て、樹くんや麻弓ちゃんが居て。そしてそこに先輩達もいます。すごく・・・幸せです。」
稟くんに出会わなかったらきっとみんなとお話しはできなかった。
亜沙「そっか。ねぇ翔子ちゃん。」
私は時雨先輩の方向を見た。
亜沙「貴方はそこに居ますか?」
その言葉に背筋が凍った。
亜沙「たまに聞こえてくるの。その言葉。何か知ってる?」
カレハ「亜沙ちゃんもですの?私も時折聞こえております。」
なんで?なんでなんで!
私はまた・・・戦うの?
私は何も答えられずに居た。
一部訂正しました。
ご迷惑をおかけしてすいません。
簡単な設定ですが稟のついた嘘はバーベナーに入ってもバレていません。
稟は料理をできるが凝ったものは作れない。
翔子は一度死んで霊体になったことにより病弱では無くなった。
稟に取り憑くことで性別、容姿、更には服装まで変わる。
口調や考えは10年稟と一緒にいた為変わりつつある。
稟は亜沙と出会っていない。(亜沙も楓とも出会っていない)