蒼穹を翔けた者、優しき少年と出会う   作:ホタル火

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蒼穹を翔けた者、優しき少年と出会う2

時雨先輩方と出会って私らの生活は大きく変化はしなかった。

 

小さな変化は稟くんと私の料理の腕が上がったことです。

 

時雨先輩とカレハ先輩が放課後の料理部で色々教えてくれました。

 

おかげで今では献立のレパートリーが豊かになった。

 

稟「翔子さん、最近何か悩んでいるんですか?」

 

夕食を食べている稟くんに私は心配された。

 

あの日から10日、私はずっと気になっていた。

 

『貴方はそこに居ますか?』

 

フェストゥムが放つその言葉。

 

それを先輩方は聞いた。

 

それだけで警戒をしないといけない。

 

もしフェストゥムが来たら・・・みんな死んじゃう。

 

フェストゥムの問いかけに頷いたら同化されて結晶になり消える。

 

首を横に振ったら殺される。

 

きっと・・・

 

私は稟くんを見た。

 

心配そうに見てくれるその瞳。

 

死なせたくない。

 

でも私には戦う力がない。

 

せめてファフナーがあれば・・・

 

今回は・・・稟くんの居場所を・・・守れないの?

 

稟「最近変ですよ翔子さん。」

 

翔子「何でもないよ。最近色々周りが変化して・・・疲れちゃって。」

 

幽霊の私は疲れないけど変な事言っちゃったな。

 

稟「そうだな、周りが・・・」

 

途中で言いたくないのか口を閉じた稟くん。

 

うん、男子生徒達の憎悪の対象になっちゃったから。

 

味方が少ない稟くんは更に味方が少なくなった。

 

稟くんは食事を終えると食器を片付けて洗い始めた。

 

翔子「稟くん、私がするよ。」

 

稟「今日は俺の当番ですよ。」

 

翔子「でも・・・」

 

最近の稟くんは疲れてるよ。

 

ずっと男子生徒達から追いかけ回されてる。

 

そして女子生徒からも小さな嫌がらせを受け始めた。

 

神界の姫様と魔界の姫様の婚約者候補になったせい。

 

あの2人に悪気はない。

 

だけど結果的に稟くんを追い詰めた。

 

稟「ありがとう、翔子さん。」

 

稟くんのその言葉は私の胸に突き刺さる。

 

何も出来ない私が歯痒い。

 

私は食器を洗っている稟くんの後ろ姿を見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

学園では授業中は何もない。

 

強いて言うなら体育の授業は樹くんと麻弓ちゃん、それと最近はリシアンサス様とネリネ様しか組を組んでくれない。

 

お昼休み。

 

稟くんの昼食場所は屋上以外に家庭科室が加わった。

 

時雨先輩が家庭科室の合鍵を貸してくれたおかげでお弁当を家庭科室に隠して置けるようになった。

 

だけど時雨先輩が合鍵を作れるわけじゃない。

 

裏では紅薔薇先生が動いていた。

 

元々稟くんが周りからいじめられている事に気づいて他生徒に止めるように動いていたりしてくれる優しい先生。

 

あの子の意見だけ聞かず稟くんにも聞いているけど稟くんは話さなかった。

 

普通なら稟くんの印象は悪くなるけど紅薔薇先生はそんな事なかった。

 

むしろ先生として信用されていないと思い落ち込んでいた。

 

この先生だけは信用できると思います。

 

そんな紅薔薇先生に時雨先輩がこの前の事を伝えて合鍵を学園に内緒で作ってくれた。

 

学園の先生としてはダメな事だけど1人の生徒を守りたいと思う事は人としていいことをしていると思います。

 

今回の稟くんは家庭科室で食べています。

 

その近くに、

 

亜沙「土見くんは翔子ちゃんの事どう思っているの?」

 

稟「何を突然聞いてくるんですか?時雨先輩?」

 

亜沙「だって長年一緒にいるのに恋愛のれの字も無いなんて変じゃない。」

 

私の顔が赤くなった気がする。

 

幽霊だから体温はわからないけど多分上がった気がする。

 

変な事を言わないでよ稟くん。

 

稟「まぁ好きですよ。」

 

絶対に顔が真っ赤になってる。

 

稟「俺の大切な家族ですから。ずっと見守ってくれる存在です。ですから大好きです。」

 

亜沙「それじゃあ女の子としては?」

 

稟「好きですよ。」

 

幽霊だけど気絶したい。

 

カレハ「まぁ♪」

 

稟「でも・・・叶わない恋ですので。」

 

カレハ「まままぁ♪禁断の恋。それはいいものですわ♪」

 

さっきからこの先輩は大丈夫なのでしょうか?

 

亜沙「土見くんは気にしないで。カレハはこういう恋愛の話を聞くと妄想に行っちゃうの。」

 

カレハ「そして翔子さんと土見さんは2人の・・・まぁ♪」

 

一体私と稟くんは先輩の中でどうなってるのかな?

 

その時家庭科室の扉が開いた。

 

撫子「ここに居たのかつっちー。」

 

紅薔薇先生が入ってきた。

 

稟「先生どうしました?」

 

撫子「いや、ちゃんと飯を食えているか気になってな。」

 

稟「先生のおかげで無事食事にありつけます。ありがとうございます。」

 

撫子「そうか、それならよかった。しかし・・・カレハのこの状態は何だ?」

 

亜沙「土見くんの恋愛事情を話したらこうなりました。」

 

撫子「何だ?つっちーに恋人がいるのか?」

 

亜沙「まだ進行途中です。」

 

稟「時雨先輩、それ以上は・・・」

 

亜沙「あら?事実でしょ?少なくとも土見くんは想っているじゃない。」

 

撫子「ふむ、その感じだとシアやネリネでは無さそうだな。あの2人には申し訳ないが恋愛とはそう言うものだ。」

 

私が顔を赤くしている間に話がトントンと進んでいる。

 

稟くんが私の事を想ってくれるのは嬉しい。

 

でも私は・・・

 

カレハ「そして2人は海の見える崖の上でたくさんの子供達と・・・まままぁ♪」

 

どこまで私と稟くんは進んでいるんだろう?

 

ちょっと気になってきた。

 

 

 

 

 

昼食後、先輩達が居なくなった時を見計らって私は稟くんに聞いてみたら。

 

翔子「私の事・・・好きなの?」

 

稟「はい、好きですよ。」

 

翔子「そんな素振りは全く無かったよ。」

 

稟「・・・翔子さんには好きな人が居ますから。」

 

あぁ、一騎くんの事だ。

 

私が昔稟くんに一騎くんのことが好きと言ったことがある。

 

でもそれは出会ってしばらくしてからの事。

 

翔子「何年前の話をしてるの稟くん?」

 

稟「今でもずっとその人が好きだと思っています。リシアンサスやネリネのようにずっと想って居ると。」

 

あの2人は本当に稟くんのことが好きだからずっと想って居たんだよ。

 

まいったなぁ、みじかに生きた実例がいるよ。

 

翔子「私はこの10年でもう一騎くんの想いは無くなったよ。それに私は死んでいるから。」

 

稟くんと一緒に居るせいで私は稟くんに想いを寄せていった。

 

稟「翔子さん・・・」

 

翔子「でもダメなの。私は死んでいるから。だから・・・」

 

私は稟くんの頬を振れる。

 

触れない。

 

透けて通り抜けるだけ。

 

翔子「私の想いを消してください。」

 

稟「翔子さん。」

 

翔子「私はここには居ない。」

 

稟くんが涙を流した。

 

きっとこれは・・・失恋だね。

 

ごめんね稟くん。

 

私は泣いている稟くんをただただ見守るしか無かった。

 

 

 

 

 

 

教室に戻るといつもは席に着いている生徒達がオロオロと動いている。

 

稟「どうしたんだ樹?」

 

樹「やぁり・・・どうしたんだい?目が赤いよ?」

 

稟「ちょっと失恋をしただけだ。」

 

稟くんは赤い目を隠すように樹くんから目を逸らす。

 

樹くんは何かを察したのかそれ以上は聞かずに稟くんの質問に答えた。

 

樹「さっきから『貴方はそこに居ますか?』と声が響いていてね。それで魔法の類かもしれないとこうして騒いでいるんだ。稟には聞こえないのかい?」

 

私の背筋がゾッと悪寒が走る。

 

シア「魔力を感じないから魔法の類じゃ無いと思うよ。」

 

ネリネ「ですがこの声はなんでしょうか?」

 

どうしよう。

 

フェストゥムの事は稟くんにしか教えていない。

 

樹くんに教えたほうがいいのかな?

 

全員がそう疑問に思いながら授業を受けて行った。

 

 

 

 

放課後稟くんは樹くんと麻弓ちゃんと一緒に帰宅。

 

その際に私と入れ替わり2人にその声の事を伝える。

 

翔子「あの声は私が元いた場所で私達人類の敵、フェストゥムが放った言葉です。」

 

麻弓「ちょっと待つのですよ。人類の敵って規模が大きすぎですよ?」

 

翔子「私の住んでいた島では日本の本島は壊滅していたと言われていました。」

 

樹「それほどまでにこの声の敵は強大なものだったんだね。」

 

麻弓「でもちょっと待って、それなら何でそのフェストゥムって奴はここにいるのです?」

 

翔子「それは私にはわかりません。ですが・・・今この瞬間人類は危険だという事です。」

 

樹「でも翔子ちゃん、大切な事を言うけどそのフェストゥムに対抗する手段はあるのかい?それがないとここで翔子ちゃんに警告されても意味がないと思うんだよ。」

 

そう、ここにはファフナーが無い。

 

だからどれだけ警告されても意味がない。

 

翔子「できる事は・・・ただ逃げることだけです。」

 

今回の私は無力です。

 

前と同じです。

 

樹「そうか・・・ならその時になったら俺様は避難誘導をしようかな。麻弓は放送室に真っ先に向かって全校生徒に避難放送をする。その時稟か翔子ちゃんは俺様と一緒に避難誘導をする。その手筈で行こう。」

 

麻弓「賛成なのですよ。明日放送部の子に合鍵と放送機器の使い方を聞くのですよ。」

 

翔子「樹くん、麻弓ちゃん・・・ありがとう。」

 

麻弓「私と翔子ちゃんは友達でしょ?」

 

私は泣きました。

 

麻弓ちゃんは私を抱きしめてくれました。

 

樹「今まで翔子ちゃんは俺様達に嘘は言ってないだろ?だから俺様達はそんな翔子ちゃんを信じてる。」

 

翔子「樹くん。ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

翌日麻弓ちゃんは放送部のデイジーさんという紫髪の神族の女の子から合鍵を預かった。

 

デイジー「いいですか?決してイタズラで使ったらダメですよ?ただでさえ廃部の恐れのある放送部が更に危険になるんです。」

 

まず放送部と言う部活がある事に驚きです。

 

そして廃部になる可能性もあるのですね。

 

どんな活動をしているのでしょうか?

 

麻弓「分かっていますよ。そんな事したらなっちゃんに殺されるのですよ。」

 

うん、紅薔薇先生はいい先生ですが怖いです。

 

平気でグラウンド50周とかバーベル付き階段兎跳び30往復とか熱血教師顔負けの事を言います。

 

それの餌食は樹くんですが・・・

 

 

 

昼休み。

 

今日は私は家庭科室でお弁当を食べています。

 

亜沙「ねぇねぇ翔子ちゃん。昨日の話を聞いていたのよね?土見くんの事をどう思っているの?」

 

翔子「昨日のうちに気持ちを聞いて振りました。」

 

絶対に聞かれると思いあらかじめ考えていた台詞を言いました。

 

亜沙「やっぱり・・・自分が幽霊だから?」

 

翔子「はい。どれだけ私が好きであっても私が稟くんを好きでも・・・触れ合えないので・・・」

 

亜沙「そっかぁ。残念だなぁ。でもこれ以上2人の間に入るのはダメよね。」

 

カレハ「翔子さんは土見さんの事は好きのなですよね?」

 

翔子「はい。ですが・・・」

 

カレハ「それならそれでいいではないでしょうか?」

 

カレハ先輩、何を言っているのですか?

 

カレハ「好きな事を無かった事にするのは難しいです。特にお二人はずっとそばに居ますので無くなることはないと思います。」

 

カレハ先輩がすごく痛いところを突いてきた。

 

私のように死んでフェストゥムのいない世界に来て10年。

 

一騎くんの想いは忘れることが出来ました。

 

その代わり稟くんへの想いが少しずつ増えていきました。

 

それが10年分。

 

カレハ「想いを無くすのは本当の自分を殺す事です。」

 

その言葉で私は先輩に対して何も言えなくなりました。

 

その時扉の方からノックする音がしました

 

「すいませーん。」

 

亜沙「開いてるよ。」

 

時雨先輩が返事をすると扉が開いて、

 

「失礼します。」

 

入ってきたのはリシアンサス様とネリネ様。

 

シア「こちらに土見稟くんが入って来たと思うのですが・・・」

 

亜沙「こっちに来てませんよリシアンサス様。」

 

ネリネ「シアちゃん、残念ですが・・・」

 

シア「うん、ずっと稟くんに避けられてるから・・・嫌われちゃったかな・・・」

 

うぅ、少し罪悪感が・・・

 

時雨先輩が私を見てくる。

 

私は何となく考えていることがわかった。

 

亜沙「よかったらここで食べませんか?お二人も良くも悪くも目立っているから静かに食べれますよ。」

 

その容姿と2人の肩書き。

 

そしてここに来た理由。

 

目立たない事はない。

 

ネリネ「シアちゃん、今回はそうしませんか?」

 

シア「うん、すいません。」

 

2人はテーブルの席に座った。

 

亜沙「僕は時雨亜沙だよ。」

 

カレハ「カレハですわ。」

 

この感じだと私も自己紹介しないといけないよね?

 

翔子「羽佐間翔子です。」

 

シア「私はリシアンサスです。長いのでシアって呼んでください。」

 

ネリネ「ネリネと申します。出来たら・・・リンと呼んでいただけると嬉しいです。」

 

ネリネ様は何でリンなんだろ・・・NERINE・・・RIN・・・リン・・・なるほど。

 

亜沙「流石に王女様を愛称で呼ぶのは・・・」

 

シア「できれば学園に居る間は王女とか気にしないで欲しいかな。気を遣われたくないので。」

 

それって難しい事では?

 

カレハ「私は神族ですのでリシアンサス様と一緒に居るだけで・・・恐れ多いですわ。」

 

私も総理大臣と同席されたら萎縮します。

 

亜沙「まぁ本人がそう言うのなら・・・シアちゃんとネリネちゃん!」

 

さすが時雨先輩、速攻でフレンドリーになりました。

 

シア「はい!時雨さん!」

 

亜沙「僕の事は亜沙って呼んで欲しいかな。」

 

シア「はい!亜沙先輩!」

 

ネリネ「あの・・・でしたら・・・カレハ先輩?」

 

カレハ「はいネリネさん。」

 

仲良くなるのが早いです・・・これが先輩クオリティ?

 

ネリネ「先輩方はどうしてここでお昼を?」

 

2人は料理部である事を知らないネリネ様。

 

・・・あれ?私に先輩枠に入ってる?

 

亜沙「僕とカレハは料理部だからここの鍵を持ってるの。それでよくここで食べてるかな?」

 

カレハ「たまに翔子さんと3人でよく食べていますわ。」

 

シア「翔子ちゃんって料理部じゃないの?」

 

あくまで部外者の私。

 

更に服は私服だから私はこの学園の生徒じゃない事はバレる。

 

亜沙「翔子ちゃんは体が弱くて授業に出れないの。今は保健室登校をして授業に出れる時はこうして3人で食べてるの。制服は今はちょっと汚れちゃって・・・」

 

何で私服なのか考えてない様子の先輩。

 

でも何かを察してくれたリシアンサス様とネリネ様は追求しなかった

 

シア「そっか・・・すいません込み入った事を聞いちゃって。」

 

翔子「いえ・・・大した事ではないので。」

 

前の私もまともに学校に通えなかったから。

 

亜沙「2人は土見くんを追ってこの学園に来たって聞いたけど本当?」

 

シア「はい!昔稟くんに助けてもらってそれで好きになりました。」

 

ネリネ「私のシアちゃんと一緒です。公園で1人でいる時に稟様に・・・」

 

カレハ「まぁ♪」

 

あっカレハ先輩の妄想が始まった。

 

亜沙「そうなんだ。土見くんってそんな時から女の子に優しかったんだ。」

 

カレハ「まままぁ♪」

 

今回は稟くんはどこまで行くんだろ?

 

シア「でもこの学園の稟くんの噂は変だよ。」

 

ネリネ「はい、何でも人を殺したとかどうか・・・そんな噂が流れて来て・・・」

 

絶対に耳に入るよねその噂。

 

亜沙「一つ上の僕らにもその噂は聞こえているよ。芙蓉さんのお母さんを殺したって。でもその噂って聞いた話じゃ10年前よ。小学生が大人を殺すことなんて出来ないわよ。」

 

先輩の口から殺すなんて聞きたくなかった。

 

でも先輩は噂を信じてなかった。

 

亜沙「それに土見くんは私とカレハを助けてくれた。そんな人が誰かを殺すなんて考えられない。」

 

シア「そうですよね!稟くんがそんな事をする訳ない!」

 

ネリネ「お父様に少し調べて貰います。流石にこの噂はタチが悪すぎます。」

 

稟くん、少なくともここにいる人達は稟くんの味方だよ。

 

私はそんな3人の会話をただただじっと聴いていた。

 

カレハ「そして土見さんはシア様とネリネ様と翔子様の4人で絶海の孤島の崖の上のコテージで何人もの子供達と・・・まままままままぁ♪」

 

それは行き過ぎですよカレハ先輩。

 

 

 

 

 

 

数日後の授業中、それは突然やって来た。

 

『貴方はそこに居ますか?』

 

稟「えっ?」

 

翔子「そんな・・・」

 

ついに私や稟くんにも聞こえるようになりました。

 

そして・・・外が輝き出した。

 

稟「麻弓!」

 

麻弓「わかったなのですよ!」

 

麻弓ちゃんは急いで廊下に出て走って行った。

 

撫子「落ち着けお前ら!落ち着いて席に座るんだ!」

 

先生が叫んでいるけど相手は待ってくれない。

 

輝きが収まると私の因縁の相手が居た。

 

「キレイ・・・」

 

誰かがつぶやいた。

 

金色の・・・私たちの敵。

 

樹「みんな!早く体育館まで避難するんだ!」

 

樹くんが叫び出したが、

 

撫子「緑葉!事を大きくさせるな!今は校長から指示を待って・・・」

 

樹「そんな暇はありません紅女史!奴は俺らを消しに来ます!」

 

樹くんの滅多にない焦りと真剣な表情に紅薔薇先生は驚いていたが判断が遅すぎた。

 

フェストゥムは金色の触手を稟くんの教室に伸ばして来た。

 

狙いは・・・樹くん!?

 

稟「樹!」

 

稟くんは樹くんを突き飛ばして自分は後方に下がった。

 

教室の窓を突き破り樹くんの居た位置が砕けた。

 

その瞬間教室中がパニックになり。

 

麻弓『全生徒に伝達します!外には未知の生命体フェストゥムと呼ばれる化け物がいます!大至急全生徒は体育館に避難をお願いします!またフェストゥムの呼ぶ声には耳を傾けないで下さい!もし返事をしてしまいましたら私達が消えてしまいます!どうか急いで!』

 

麻弓ちゃんが放送を終えると教室中が一斉に廊下に飛び出た。

 

ネリネ「キャッ!?」

 

その際にネリネ様が他の生徒の押されて転ぶ。

 

稟「ネリネ!立てるか?」

 

ネリネ「すいません・・・足が・・・」

 

足を押さえるネリネ様。

 

転んだ時に捻ったみたい。

 

稟くんがネリネ様を抱きかかえて走る。

 

その間にもフェストゥムは格教室に触手を伸ばしている。

 

他の教室や廊下血の跡があったり緑色の結晶が砕けていたり・・・

 

ネリネ様を抱えている稟くんは足が遅い。

 

フェストゥムが稟くんの近くに触手を伸ばした。

 

稟「うわっ!?」

 

ネリネ「キャッ!」

 

廊下が砕けてその衝撃で転ぶ稟くん。

 

ネリネ「稟様!?よくも・・・」

 

ネリネ様が怒り出して壊れた壁の向こうのフェストゥムに向かって手を伸ばして。

 

ネリネ「稟様を傷つけた罪を報いなさい!」

 

そう言って魔法を放つ。

 

黒い球体がフェストゥムを襲うけどそれを避けるフェストゥム。

 

ネリネ様は更に放つがそれを全て躱すフェストゥム。

 

ネリネ「そんな・・・」

 

無理もありません。

 

フェストゥムは人の思考を読みます。

 

ネリネ様の考えている事はわかり躱されます。

 

稟「ネリネ!逃げるんだ!」

 

ネリネ「嫌です!稟様を置いて逃げるなんて出来ません!」

 

どうしよう。

 

ここで私が稟くんと交代しても意味がありません。

 

フェストゥムが再び2人に目掛けて触手を伸ばします。

 

助けられないの?

 

私は何も出来ないの?

 

稟くんはネリネ様を庇うように抱きしめます。

 

ネリネ様も稟くんにしがみつき目を瞑った。

 

お願い!助けて!一騎くん!

 

叶えられるはずのない願い。

 

だけど、

 

何か破裂するような音と同時にフェストゥムの触手は稟くん達に届かなかった。

 

何?

 

更にフェストゥムが何かに押されて学園から遠く離れました。

 

何が来たの?

 

見覚えのある少し灰色の入った白い金属。

 

ネリネ「あれは・・・何?」

 

翔子「マーク・・・ゼクス・・・」

 

何でここに?

 

私と一緒に爆発してファフナー・・・

 

稟「ファフナー・・・あれが・・・」

 

マークゼクスがこっちにやって来た。

 

そして壊れた壁の前で前屈みになって操縦席が開いた。

 

誰も乗っていない。

 

そして・・・乗れと言っている。

 

私は無意識のうちに前に進んだ。

 

稟「翔子さん?」

 

ネリネ「稟様?」

 

私に乗れと言っているの?

 

稟「やめろ・・・行かないでくれ・・・翔子さん!」

 

ネリネ「稟様!落ち着いてください!翔子様はどこにも居ません!」

 

私はマークゼクスに触れた。

 

その瞬間体が重くなった。

 

ネリネ「えっ?翔子様?」

 

地面に足がつくことが無かった死んだ私がちゃんと足がついた。

 

私の存在が今ここに出来た。

 

稟「翔子さん・・・お願いだ・・・行かないでくれ。」

 

翔子「稟くん。大丈夫だよ。」

 

私は操縦席に乗り込んだ。

 

翔子「今度はちゃんと帰って来るから!」

 

操縦席が閉まり周りの風景が映し出される。

 

翔子「ごめんね。また私が乗っちゃって。」

 

返事がないとわかっているけど思わずファフナーに声をかける私。

 

稟「翔子さーーーーん!」

 

稟くん。

 

ネリネ様が稟くんの側に来た。

 

稟くんをしばらくに間お願いします。

 

私はフェストゥムの方向を向いた。

 

久しぶりの感覚。

 

だけど・・・

 

翔子「動かせる。」

 

戦える。

 

武器はナイフ型のマインブレードと小型拳銃デュランダル。

 

それに腕につけられたロケットワイヤーのレージングカッター。

 

あとは見たことないけど一騎くんが使ってたレールガンとマインブレードを大きくしたロングソード。

 

皆城くんのノルンの援護は無いけど十分な武装だよ。

 

私はデュランダルを構えて私は再び蒼穹を翔けた。

 

翔子「はぁぁぁぁ!!!」

 

デュランダルを撃つ!

 

だけど効いている感じはない。

 

フェストゥムは触手を伸ばして来る!

 

私は攻撃を避けて再びデュランダルを撃ちながら近づいた。

 

翔子「私は帰る!今度こそ!稟くんの居る場所に!」

 

もう片方の手でマインブレードを逆手持ちで持ち、

 

翔子「はぁ!」

 

フェストゥムを斬る!

 

見えた!

 

フェストゥムの核が!

 

私はデュランダルをマークゼクスに腕ごと斬った場所に突っ込み、

 

翔子「消えろーーーーーーーー!!!」

 

連射する!

 

私の腕からフェストゥムの同化現象で緑色の結晶が出て来るけどそんなもの、

 

翔子「そんなの!稟くんの今までの痛みに比べたら!」

 

ましだ!

 

弾を撃ち尽くしたと同時に私は後方に下がる。

 

フェストゥムの動きが止まっておりそして、

 

消えた。

 

倒した。

 

その瞬間私の身体から力が抜けた。

 

稟くんを守れた。

 

この街を守れた。

 

私はファフナーを学園の校庭に下ろした。

 

稟「翔子さん!」

 

稟くんが近づいて来る。

 

私は操縦席を空けて外に出る。

 

稟「翔子さん!」

 

稟くんが私を抱きしめようとしたが、

 

私の体をすり抜けた。

 

やっぱり。

 

稟「なんで?」

 

翔子「稟くん。」

 

私は稟くんを見る。

 

涙を流す稟くん。

 

翔子「私はもう存在しない。稟くんか・・・ファフナーが無いと存在が許されてないみたい。」

 

稟くんに取り憑くことで私は表に出られる。

 

ファフナーに触れることで私は存在を許される。

 

死んでいる私は本当は表に出たらいけない存在。

 

翔子「だから言ったよね?私はここには居ないって。」

 

私がファフナーから離れるとファフナーはどこかへ飛んで行った。

 

穴が空いた学園を見ながら私は泣いている稟くんの側にずっと佇んでいた。

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