文才に乏しい上に思いつきなので文章が滅茶苦茶なのはゆるちて...
続き書くかもしれないし書かないかもしれない。
最初は、中央にスカウトされたとは思えないほどオドオドしてる子だなと思った。
良く言えばそれなりで、悪く言えば特別目を奪われるような子が居ない。そんな中で、最後にパドックに呼ばれたのがその子だった。
小柄なその子は、幕から出た瞬間に何も無いところでズッコケるわ、緊張で歩みは固かったし辺りをキョロキョロと見渡す様はヒト馴れしていない証拠。パドックで彼女を初めて見た時、良くも悪くもメイクデビューに来たほかのウマ娘とかわらない。いや、その中でも一際''本番に弱いのだな''と、
地方では大いに期待されてたらしいけど所詮はぽっと出の地方か。誰しもがそう思っていた。
「......しょうがないじゃん!!私こういうの苦手で、...いやモモちゃん何言って、ってこらぁっ!!」
「ま、まって、ただでさえ今悪目立ちしてるのに入って来な...皆も見てないでとめっ、あぁっ!?」
何やら1人で顔色をコロコロと変えてたと思ったら彼女の体がビクッと大きく跳ね上がり、その後顔と手がだらんと垂れ下がった。
メイクデビューを見守るトレーナー達、--私も例外では無い--は何事かとざわめく。本番前に怖気付いたのか、はたまた緊張のし過ぎで気を失ったのだろうか。 心配そうな、呆れたような視線が彼女に集中する。
その直後、項垂れていた彼女が唐突に前髪をかきあげながら顔を上げ...
「スゥゥ...オレ、参上ッ!!」
そう、けたたましい声でそう叫んだ。
...意味がわからない...あの威勢よくポーズをキメている彼女が、先程までオドオドしていたイマジンズプラット本人なのだろうか?
「へへっ、久々に決まったぜ...。おい観客共!耳かっぽじってよぉ〜く聞いとけよ?オレの走りに前置きはねぇ。 最初から最後までクライマックスだッ!!」
彼女が高らかに宣言する。それは絶対の自信の現れかただの虚勢か、はたまた自信過剰がすぎるだけか。
それは定かでは無いが、ただ、漠然と彼女なら何かやってくれるんじゃないか。そんな根拠の無い想いに駆られている自分に気がついた。
そして、彼女の宣言が決して虚勢でないことを思い知る事になった。
ソイツは、初っ端から宣言通りにスタートから殺人的なペースで先頭を走り続けていた。
だが、その走りには技術なんてものはまるでなかった。ただ、その小柄な体躯のどこに隠してるんだと言わんばかりのパワーでターフを蹴り、強靭な脚力を持って爆発的にスピードを出しているだけ。 いくら距離が短いとはいえ、そんな全速力を出し続けていれば直ぐにガス欠する筈だ。 最初はそう思っていた。
けれど、
(うっそだろ!?どんなスタミナしてやがんだ!?こいつ、全くスピードが落ちねぇ...!)
「オラ行くぜ行くぜ行くぜェェ!!」
『速い!速い!イマジンズプラット、エブリワンライクスを除く後続を突き放し、とてつもない速度で最終コーナーに突入しています!!2番手エブリワンライクス必死に喰らいつく!!』
『これは掛かってるかも知れませんね。ペース配分がまるで出来ていないように思えます。最後に失速しなければいいのですが』
なんなのだ、これは。
直ぐにガス欠する筈だ。そう思っていたのに、あのウマ娘は最終コーナーを抜けて尚スピードを緩めず、それどころか逆に直線に入って更なる加速を始めた。 ペース配分がまるで出来ていない?違う、逆だ。
コイツは、''ハナっから自分のペースでしか走ってねぇ''。
あまりにも鮮烈で、強引で、どこまでも自分を貫き通す走り。
『暴走特急イマジンズプラット!そのまま1着でゴーール!!文句の付けようがない会心の走りを見せつけたッ!!』
ある意味で完成された走りの極地。
今のままじゃ、勝てない。 けど、次こそは...!!
「あ゛ぁ゙〜っ!ぜぇっ はぁっ あー死ぬかと思ったァ...あぁ?良いじゃねぇか勝てたんだしよ!んじゃ後はよろしく〜!...ちょ、そんな勝手に...えっふ!?ごほっごほっ!モモちゃ...遠慮なく...やりすぎ...ッ!」
「おい、アンタ」 「あ、はい?」
気づけばあたいは彼女に話しかけていた。話しかけられたイマジンズプラットの方は、後から思えば、先程までの威勢が嘘のようになりを潜めていたと思う。けど、悔しさと、同期にこんな凄いやつがいたのかという興奮で頭がいっぱいだったあたいは、そんなことに気づかなかった。
「 今回はあたいの負けだ。だけど、次はその暴走特急を真正面から打ち負かしてやるよ」
「ひんっ!?(な、なんかおこってらっしゃる!?)い、いえあのそのっ、わ、私正確に言えば私じゃないんですけどぉ...な、なにか怒らせちゃいま...」
なにかまくし立てるようにそういう彼女は、会話の途中でプツンと、糸が切れたかのようにうなだれた。 パドックの時のように。
「お、おいどうし...!?」
思わず心配になり駆け寄った。次の瞬間、急に起き上がった彼女はずいとあたいの方に顔を寄せ、腰にに手を回してきた。何事かと思い見れば、
「いやぁ君もとっても素敵だよ。その走りも、君自身も、ね?」
「はぁ!?なにって...」
オドオドとした物言いが一変、ナンパ師の如く歯の浮くようなセリフをつらつらと並べ立てる少女。
はっきりいって訳が分からない。
「良かったらどうだろう、このあと時間があれば/こらこら亀の字!桃の字もそうだが勝手にヒトん体使うな言われとろうが!すまんなジンこの馬鹿どもg/3人ともずるーい!僕だって最近入れさせてもらって
/みんな喧嘩しちゃダメだ!!プラットが悲しむ!!それに相手の子に対しても」
あたいは芸でも見ているのだろうか、暫く、2転3転する口調でイマジンズプラットの一人会話が続く。周囲を見渡せば、他の人たちも異変に気づいたようで、ヒソヒソと話しているのがわかる。...なんで、あたいが恥ずかしくならなきゃ行けないんだよ...。
そうこうしていると
「/おめェらだって勝手に入ってんじゃ〜〜5人ともいい加減にしてえええ!!」
急な大声をあげると共に、1人会話がピタッと止んだ。レース中よりも疲弊してるんじゃないかと言うくらいヘトヘトになった彼女は、冷静になってきたのか辺りをキョロキョロ見渡して...
「〜〜〜っ!!!!お、おおお見苦しい所を見せましたぁ〜!!///」
顔を真っ赤にして走り去っていった。
なんだったんだあの娘は。
嵐でも来たかのように颯爽と洗われては一瞬で消えていった彼女。
ヘンなやつだ。ヘンなやつだけど、彼女の姿は、私の心に深く刻まれたような気がした。
そして後にこの出来事は、あらゆる距離、馬場をものともせず型に囚われない走りで予測不能のレースを魅せる『変幻自在の特急列車』と呼ばれる彼女の始まりでしか無かったと思い知るのだ。
なお、その後5人の''彼女たち''は、暫くイマジンズプラット本人に口を聞いて貰えなかったそうな。