異世界イズク   作:規律式足

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 投稿遅れてすいません、ドラゴンクエストモンスターズ3をやってました。システムの具合がとても良い感じです、タマゴがかなり手間なのが苦労しましたが。

 文化祭が終らないですね。


107話 文化祭前 異世界おじさん宅。

 

「お疲れ様ー」

 

 雄英高校職員室、全寮制もあって教職員も雄英高校敷地内に暮らす中で私は特例として自宅通いが認められている。それは内通者疑惑が完全に晴れているという事実と本人の意思の尊重という理由、さらに有事に備え異世界おじさんと強固な繋がりをもっておきたいという校長の計算のためだ。もっとも表情の分かりにくい齧歯類フェイスでありながらもニヤニヤとしている態度から、その計算もあくまで建前で単にかつての教え子の恋愛状況を愉しんでいるだけかもしれない。

 まあよいか、今日は陽介さんの所で夕食。それだけで大抵の事は許容できるというものだ。

 

 

「ただいま~」

 

 自室にて着替えと化粧落としを済ませてからあらためて挨拶。もう私はこっちでこれを言わないと帰ってきた気にならない。

 

「おかえりなさい」

 

 それは返事をしてくれる想い人がいるからだろうな、と自分の発想に恥ずかしくなってしまう。

 

「あーいい匂い。今日は餃子だっけ?」

 

 漂う香ばしい匂いに空腹もあって食欲が煽られる。帰宅前に送られてきたメールで伝えられていてとても楽しみにしていたのだ。

 

「うん、エリが手伝いたいって言うから藤宮さんの案でね。餃子の時は子供が包む担当なんだって」

 

 つまり自家製餃子か。

 本当に何年ぶりだろ?下手したら実家を出てから食べてないから(ピー)年振りかしら。

 そもそも餃子自体、人に見られる立場になってからあまり食べてない。年頃の女として口臭が気になる食べ物だし、女ヒーローはイメージ商売だから人目に付く場所だと食べるもの一つにも気にしてしまうものだ。

 

「もうエリったら初めてなのに凄いよ!あんなに綺麗に沢山包めて、餃子作りの天才かもしれない!」

 

 それはそうとエリちゃんの事で我が事のように喜ぶ陽介さんが可愛くて尊いわ(注、恋する乙女フィルターごしの視点。実際は異世界おじさんのアレな笑顔)。

 

「ほらー二人とも席について、もう焼きあがりますよー」

 

 焼き担当は藤宮ちゃんなのね。エプロン姿の彼女とテーブルをセッティングする敬文君とエリちゃんで若夫婦に見えるわね、羨ましい光景だわ。

 

「「「「「頂きまーす」」」」」

 

 皆揃って食事をはじめる、あの日強引に押しかけてからできるようになった心温まる当たり前。まあ一人暮らしの私だけじゃなくて、異世界生活をしていた陽介さんと実家がアレなアレである敬文君と辛い境遇だったエリちゃんもそう感じてるみたい。

 一家団欒って本当に尊いのね。

 

「今日もお疲れ様でした睡さん」

 

「ありがとう陽介さん」

 

 グラスに注がれたビールを餃子と共にあおる。

 

「プハーッ、熱々っ餃子にキンッキンに冷えたビールの組み合わせはサイッコー!!」

 

「もうオッサンみたいですよ睡さん」

 

 女としてどうなんだと呆れ気味に藤宮ちゃんは言うけど仕方ないのよ。だってビールを注がれた時に夫婦みたいって思っちゃったから顔が熱いんだもん。

 

「独身女ヒーローなんてプライベートはオッサンみたいな生活よ。仕事終わったら自室で楽な格好してワンカップ片手にコンビニおでんを摘んでいるわ」

 

「聞きたくなかったそんな現実」

 

「いやまあプライベートだからどうこう言わないけど、もっとこうキラキラしてるものだとばかり」

 

「お父さんコンビニおでんってなーに?」

 

「そういえば久しく食べてないな、今度一緒に買いにいこうか。はんぺんとか白滝とか竹輪麩とか美味しいぞお」

 

「コンビニおでんにコラーゲンを入れることで美容に気を遣ってる気分に浸るのよ」

 

「睡さんの実体験だこれ」

 

 そんな女ヒーローでもイレイザーヘッドよりはマシな生活してるのよね。アイツは食事はゼリー食で済ますし、どこでも寝袋で寝るし、給料は装備か募金か猫カフェに費やすってめちゃくちゃな生活してるから。早く13号でもミスジョークでもくっつきなさいよ。

 

「睡さん、ビールの泡がヒゲになってますよ」

 

「まっしろなおヒゲだ」

 

「あうう」

 

 口元をハンカチで拭うなんて不意打ち気味なことは止めて陽介さん。こっちは恥ずかしいのよ。

 

「睡さんってオッサンと乙女が行ったり来たりしてる人だよな」

 

「おじさんが絡まないと姉御気質なのにね」

 

「そういえば冷蔵庫に沢山ビールがあったけどどうしたの?おじさんは飲まないし敬文も苦手だったよね?」

 

「塚内さんが持ってきたんだよ。最近疲れてるのかセガをする時に飲んでる」

 

「あの人もすっかり馴染んでいるなあ」

 

「駄菓子のイカを消費してくれるから有り難いよ。今日も誘ったけど仕事が忙しくて無理だったみたい」

 

「それは残念だったね」

 

「うん、電話の向こうで『オノレェヴィランガァ』って怨嗟の声を上げてた」

 

「そんな苦労する人達がいてくれるから今の平和があるんだな」

 

「だねえ」

 

「ちなみにシールド博士は七瀬楓を再現したアンドロイドの件が娘さんにバレて折檻されたみたい」

 

「現役女子高生とアンドロイド、どっちがマシなんだろうな」

 

 

 そんな食事の時間も過ぎて後は藤宮ちゃんを送るまで雑談して過ごす。いつもは陽介さんの異世界話になるのだけど今日は別の話題になった。

 

「雄英高校文化祭かあ、楽しみだなあ」

 

「生徒達が頑張っているからどの出し物も期待に応えられるわよ」

 

「イズク君のクラスのライブは絶対に行かないとね。そうだ、せっかくだから敬文は藤宮さんと二人で見て回ったら?エリは俺が面倒みとくから」

 

 その言葉を聞いた二人は衝撃を受けたようなリアクションをして、

 

「そんな、おじさん」

 

「なんでですか、おじさん」

 

「「ボク(私)もエリちゃんと見て回りたいよ(です)っ!!」」

 

 揃ってそう叫んだ。

 

「あなた達、年頃の男女がそれで良いの?」

 

 今のって陽介さんが二人がくっつくようにと気を遣ったのよ。

 

「じゃあ皆で見て回ろうか、睡さんはお仕事になっちゃいますよね」

 

 ああ陽介さん、そんな寂しそうに言われてしまうと私はもう参ってしまいます。

 

「なんとかなりますよ、ヒーローですから」

 

 そらもうスケジュールをなんとかするしかない。そうどんな無理を通してでも。

 

「ヒーロー関係ないような?」

 

「これは教師としての仕事だよね」

 

 お黙りそこの若夫婦。

 陽介さん達との文化祭を見て回る時間の捻出、これはプルス・ウルトラしかないわね。

 

 

 

 エリちゃんの加わった新しい僕達の日常。藤宮発案の餃子作りはとても楽しく団欒って感じがした。僕の家族がこんな風だったのはいつ頃までだったっけ。

 睡さんのおじさんへの反応は見ていて飽きない。このまま上手くいったら良いなと甥として思う。

 イズク君も準備を頑張っている雄英高校文化祭、今から楽しみだなあ。

 

 あとエリちゃんが自分が包んだ餃子をお祖父ちゃんにも食べさせてあげたいと呟いていたから、おじさんと相談して焼く前の餃子を死穢八斎會へと送った。組長自ら焼いた餃子はとても美味しかったそうです、ただ付けすぎたタレがしょっぱくて目に染みたとか。

 

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