なんとか書けました。
けど話は全然すすんでません。
長かった準備期間も終わり、いよいよ迎えた雄英高校文化祭当日。
はじめて挑戦することだらけの出し物はしっかりと形になり、後は来場してくれる人達に自分達の成果を見てもらうだけだ。
楽しんで貰えるかなと不安に思う、瀬呂君の言うように素人芸なんて見るに堪えないかもしれない。
けど見てほしい、楽しんでほしい。
だって僕はこの一ヶ月が楽しかったのだから。
「そんな気分に僕が浸っているわけだけど、どうしたの峰田君?」
ハイツアライアンス共有スペースのソファにて、峰田君はそれはもう見事なまでに、
某ボクシング漫画のワンシーンの如く真っ白に燃え尽きていた。
「これから文化祭が始まるんだけど」
なんで始まる前に終わってるの?
「一ヶ月」
「?」
「30日だ」
うわ言のように呟かれる言葉というか時間?
「720時間で43200分」
あーこれってもしかして。
「つまり2592000秒だ」
峰田君の言葉の意味に薄っすらと気づいて僕は心配して損した気分になってきた。
「それだけの時間があって、なんで女の子から一度も誘われないんだチクショウーー!!」
漢 峰田実、魂の叫びである。
「全世界の男子高校生の九割九分九厘は女子から文化祭を一緒に回ろうと誘われないから」
悲しいけどコレ現実なのよね。
「雄英高校を合格したオイラがその一厘に入ってないわけがないだろうが!!」
うーんなんたる自信、なんたる過大評価。
そして微妙に否定しにくいなあ。前に聞いた話だと女子生徒の中にはヒーローになるためやヒーロー関連の仕事に就くためでなく、将来を考えてハイスペック男子とお近づきになるために雄英高校に入学する人もいるらしい。そんな目的の人は雄英高校に相応しくないと思われそうだけど学校側もハニトラ対応練習や、ヒーローの生涯独身率改善になるとかで放置してるようだ。だからヒーロー科で将来有望でチョロそうな峰田君は彼女達には狙い目な筈だけど。
「スペック高い男子達ばかりならイケメンを選ぶのが世の常だよね」
普通科と経営科の生徒も雄英高校生、戦闘能力以外は劣りはしない。なら容姿や安全性や日頃の行いや付き合いで選ぶって。さらに雄英高校生なら有名大学進学は確定で大手企業に就職できるだろうから将来性抜群だし。
「おかしいっ!!これはありえないっ!!こんな現実間違っているっ!!」
「人の話を聞いて」
但しイケメンに限る、という当たり前過ぎる現実をなんとか伝えようと試みるも聞きたくないとばかりに峰田君は叫ぶ。
「そうだこれは誰かの個性のせいだ!!誰かがオイラが誘われないように個性を使用してるに違いない!!」
「そんな個性は流石に無いでしょ」
特定の個人を女子から誘われないようにするなんて、そんなギャグみたいな個性が有るわけ、
「前に緑谷がオールマイトから聞いたって言ってたアメリカNo.1ヒーロー スターアンドストライプの『新秩序』が発動しているんだっ!!そうに決まってるっ!!」
あったよ、そんな個性。
使い道を間違っているけど。
「『峰田実は女子生徒から誘われない』って新たな秩序が設定されているんだっ!!」
「『世界でもっとも無意味かつ無駄に使用されたバグ個性』でギネス認定されそうなことをしないと思うよ」
個性関連のギネスブックは見てて飽きないよね。ギャグみたいな事を全力でやっているし、ヒーローの偉業とかも記載されているから。ただ更新頻度が高いのが難点だけど。
「ああそうさ、そうでもないと俺達が誘われないのはあまりにもおかしい」
「君もかい」
ビシッとポーズを決めて登場する上鳴電気君。
「俺なんて休憩時間のたびにわざわざ雄英高校敷地内の女子のいる所へ足を運んで、障子や口田と談笑しながら『ライブの後は暇なんだぜ☆』ってさり気なくアピールしまくったのに誘われてない。これは何らかの力が働いているに違いない」
「そんな不審者に声をかける存在は教師か警備員かヒーローくらいだよ。巻き込まれた障子君と口田君はお疲れ様です」
「気にしてはいない」
「上鳴君が必死だったから」
そんなことをしながらバンド演奏をあのレベルでできるようになったのは素で凄いと思うけど。
「「なのになんで誘われないんだー!!」」
「ほら、誘われない理由として雄英高校の男女比率とかもあるから、ヒーロー科以外も男子が多いじゃん」
そんな非モテを嘆く二人を宥めようと思いつく限りの理由を言ってみる。
「それに雄英高校文化祭は一般のお客様がたくさん来られるからお店をやるクラスは容姿の優れた女子を自由にできないんじゃないかな」
「まあ配膳を女子がやってくれるだけで食い物は万倍旨くなるしな」
「同じ店なら女子かどうかで買う店を決めるな」
欲望に忠実すぎだよ二人共。
「ヒーロー科とサポート科は基本的に忙しくて無理だから君達が誘われないのも仕方ないって」
「そうだよな」
「ああ、俺らがモテないからじゃないんだな」
いやそれは十割君達がモテないからだと思うけど黙っておこう。
「おーいなんの騒ぎだお前ら」
「朝から元気過ぎだよ」
ようやく二人が落ち着いたところで切島君と尾白君が現れた。なんかテンション低めだけど。
「バンド発表の後に出し物を見て回ろうって話しててね。盛り上がっちゃった」
「物は言いようだな緑谷」
いやほら女子と(誘われなかったけど)見て回ろうって話だから。
「そうか(ズーン)」
「そうなんだ(ズーン)」
なんでこの話題で君達まで落ち込むのさ。
「切島は芦戸を誘うとか言ってなかったか?」
「尾白君は葉隠さんとホラーハウスに行こうとか言ってたよね」
それが理由じゃないかな。
障子君と口田君の言葉で二人が落ち込んでいる訳の察しがついた。
けどあの二人が断るとか想像できないな。こういったイベント大好きで友達感覚のまま異性とか意識しないで見て回りそうなのに。
「声をかけたんだけどよ」
「駆舎那先生の即売会に行くって断られた」
「「「「(哀れな)」」」」
「むしろ即売会に一緒に行かないかって」
「息を荒げながら誘われた」
「「「「(どんな罰ゲームだ)」」」」
「青春って」
「なんだろうな」
煤けた表情の二人に僕達はかける言葉が見つからなかった。
「記憶、消しとく?」
「それは解決にはならないだろ」
「同じことの繰り返しになりそう」
どうやら僕が二人に出来ることは何もないようだった。
「爆豪なんて他のクラスの女子に誘われたのによう」
「その場で断ってたけどね」
いやその情報はまずいって。
「あああん?!フザケンナよ爆豪!!」
「これは浮気だよな、浮気の現行犯だよなあ」
鎮火した焔にガソリンがあ。
「オイラ達がフリーなのになんでアイツは誘われてんだよ!!」
「つーか緑谷の話と違うじゃねえか?!」
「いや但しイケメンは別だから」
かっちゃんはモテるからなあ。
「ミルコにチクろうぜ」
「連絡先なんて知らねえよ」
「思い出せミルコの個性を」
「ウサギっぽいことは大抵できる」
「「なら」」
「「屋上から叫べば聴こえるよなあ!!」」
この二人は文化祭当日に何をやらかす気なんだろうか。かっちゃん共々伝説になるよ。あ、
「随分ゆかいなことをしようとしてるなテメエら」
額に青筋を浮かべたかっちゃんが嫉妬で騒ぐ二人の肩を優しく叩いていた。
「ちょいとこっちこいや」
BOOM!!BOOM!!
「おい演出班」
「うす」
「おお」
「確か予定だと開始と共に花火を二発打ち上げるんだよなあ」
かっちゃんは焦げた二人の首根っこを掴んで持ち上げている。
「いえそんな演出ないです」
「そうっす。緑谷が煙幕で竜を形作って走らす予定ッス」
「(コクッコクッ)」
「そうか、アドリブで花火が欲しければ言えよ?いつでも打上げてやるから」
「「「わかりました」」」
かっちゃんの目はかなりマジだった。
というか文化祭開始までにこの二人を僕が治すんだろうな。
「ところでかっちゃんはなんで誘いを断ったの?ミスコンを見にいかないからフリーだよね」
「ミルコ以外の女と二人で出歩く気なんかねえよ」
かっちゃんって普通にミルコのことが好きだよね。実に漢らしい言葉だ。
「皆そろそろ会場に移動しよう!!」
「峰田と上鳴は爆破オチか、アリだな」
飯田君達も降りてきたし移動しないとね。そして轟君、ライブで爆破オチはしないからね。
色々あった一ヶ月。
いよいよ本番だ。
文化祭開始前の早朝の出来事で一話を使う作者がいるらしい。
ヒロアカ世界のギネス記録はかなり楽しそうなネタですが、犯罪ネタとかヤバそうですね。