すいません、展開が思いつかなくて。
A組を小隊ごとに分けるとしたらそのまま採用できそうなバランスの良いチームは覚醒塩崎さんという規格外に蹂躙された。
そのきっかけであろう僕にクラス問わず集中する白い眼差し。
ただ個性のアーマー化や纏いは生成系個性ならば身につけておくべき技だと思う。
生成系個性の異形系・増強系個性よりも身体能力で劣るという弱みを克服できるからだ。
そんな自分の考えを述べてみたら、それは確かにと何人かの生徒が頷いていた。
「やってみるか、フレイザード」
幽遊白書から古い漫画にハマりつつある轟君がそんな一言を呟いた。
そう言えば轟君の最初のコスチュームってそんな感じかも、炎はでてないけど。
「キノコジャイアント、ありノコ?」
「ケヒヒ、イケそうだなあ」
「ドビャンとジャンル違いな気もするけどね」
む、B組にもネタ提供になってしまったか。
個人で無理でもチームで組めばできるかもしれないしね。
第二セット開始前の僅かな時間、圧倒的脅威に対抗するための手段としてチーム内でコンボ技、戦略の話し合いが行われていた。
「これよ、これですよ!若人の青い春」
「冬だけど」
そんなやんやかソレソレしている生徒達の姿にあーと満たされるミッドナイト先生とやや引き気味なオールマイト。
雄英高校に入学してからもう年の暮れ、総ざらい的な授業はまだはじまったばかりだ。
「治すよー」
そんな輪の中に入れない僕。
圧倒的脅威として対抗される側だから仕方ないね。
ボロボロになったA組チームを治しながらクラスでの自分の立ち位置がちょっと気になった。
「では第二セット、チーム2!準備を」
チーム2。
A組は、八百万百、常闇踏陰、青山優雅、葉隠透、という振り分け。
攻撃力、決定打に欠けるチームという印象。夜の常闇君ならともかく、今の時間なら一方的に蹂躙できるほどではない。青山君のネビルレーザーは意外と殺傷力高くて威力調整が難しいから対人戦にはあんまり向いてないしね。葉隠さんの隠密能力をどこまでいかせるかがキモかも?
対してB組は、拳藤一佳、黒色支配、吹出漫我、小森希乃子。
マップ兵器が二人とか巫山戯んな、ってチームだよなあ。小森希乃子さんという個人でヴィラン拠点を落とせる規格外(通風孔とかから胞子を散布するだけでイケそう)。擬音を具現化できるという、ある意味八百万さんよりも万能の体現者である吹出漫我君。
さらに肉弾戦ならば下手したら一年最強の女子でありB組委員長という点から指揮能力の高い拳藤一佳さん。常闇君と個性の相性が良い搦め手を得意とする黒色支配君。
B組最強チームじゃないかなこのチーム(塩崎さんは除く)。
画面の向こうで話しながら進む両チーム。
職場体験でのCM出演もあり親しげな八百万さんと拳藤さん、なんかアレな同類っぽい常闇君と黒色君、そんな二人にわぁーとなる葉隠さんと、マイペース気味な青山君、吹出君、小森さんはそれぞれの開始地点へと移動した。
『それではガンバレ拳藤第2チーム!
START!!』
「偏向実況やめろー!」
ブラドキング先生。
いやでもテレビ中継でもよくあるよね、テレビリポーターがテレビ局がスポンサーしてるヒーロー相手に偏向実況したりとか。
開始したチーム戦。
様子見として先行した黒影は黒色君に乗っ取られ、常闇君狙いと思わせてからの青山君拉致。黒に溶け込むという個性、影を利用した移動速度はかなりのもの。しかし掴みやすいマントってコスチュームとしてやっぱり良し悪しだな。
工場地帯という煩雑なステージは追うのは難しい、けどそれに常闇君の新技『黒の堕天使』で対処。
黒影は常に浮遊状態、常闇君を抱っこすれば空だって飛べるという理屈だ。堕天使関係ないとかツッコんじゃ駄目だよね?
黒色君に追いついた常闇君が青山君を取り戻し、すかさず八百万さんの指示で青山君のネビルレーザーをコスチューム各所から乱射。『ネビル・ビュッフェ』という文化祭での演出にも使った技だ。
溶け込んでいた影が光の乱射で無くなり弾き出される黒色君。そこに溶け込み黒の無い葉隠さんが捕まえるという、八百万さん想定内の流れ。
だが、B組の姉貴分拳藤一佳はそれを読んでいた。A組の居場所は黒影をたどれば知れる。そこに黒色君対処の為にネビルレーザーを打たれれば確定。
「生えろや生えろ。世界をキノコで魅了しろー!」
拠点に待機せず前進していたB組チームは、ここで一気に畳み掛ける。
小森希乃子さんのキノコぶっぱ攻撃。グランバハマルで似たような攻撃をされたことのある僕としては背筋が寒くなるね。
捕らえようとした黒色君もキノコに溶け込み逃げられた。
身体にキノコが生えるという恐怖体験。けれど菌類は菌類、グランバハマルならともかく現代社会ならば対処は可能(なおグランバハマルではおじさんが僕の全身をこんがり焼くことで対処した)。
「皆さん落ち着いて、まずは一かたまりに」
推察になるが八百万さんが滅菌による対処をチーム全員にしようとした所で、
「ゴンッ ガンッ ドガッ あ〜、ズドッズンッ」
吹出君のコミックによる分断。
大きさ、飛び出した速度、青山君のレーザーでも傷つかない硬さ、それを見るに彼なら体育祭で最終種目に出てたら轟君にも勝てたんじゃないかな?
「ジメジメ」
「わ、何あれジメジメ?加湿器だー!キノコ増える!」
さらに具現化した擬音に効果を付けれるという反則ぶり。なんでこんな怪物が居るのにA組より評価が下なんだろB組。
そして分断された八百万さんに拳藤さんが力で攻めきる。
なんでも対処できる八百万さん。だからこそ対処される前に潰す。
彼女の得意分野の格闘戦。
大拳というシンプルな個性を活かす、鍛えられた武術。
「やるじゃねえか」
「強いね」
それは道場通い(荒らし?)したかっちゃんと、同じタイプの尾白君を唸らせるほど。
その掌底は八百万さんが咄嗟に創造したタングステンの盾を容易くひしゃげさせる。
棘付きの盾ならなんとかなるか?いやそうしても殴り方を変えるだけか。
そんな僕の発想よりも八百万さんは物騒だった。彼女は巨大な大砲を創造したのだから。
砲口をむけられた拳藤さんの顔が引き攣るも、流石に人に撃つのはハッタリでその意図に気づく(なお、僕が居るから撃つんじゃないかなと少し思ったらしい)。
大砲で吹出君のコミックによる壁を破壊することが狙いだと予測した拳藤さんだが、そうではなかった。
撃ち出されたモノは砲弾ではなく、『ヤオヨロズラッキーバッグ』。
即ちキノコ対策セットと居場所を探るサーモグラフゴーグルだ。
青山君が捕まり、キノコ攻めにジリ貧だった二人に最高の援護となった。
エタノールで滅菌し、サーモグラフゴーグルとガスマスク(常闇君の容姿からペストマスクみたいになった)を装着した常闇君は、インターン先のウイングヒーローホークスの教えにならい、速さをもって黒色君と小森さんを打ち倒した。
そして吹出君には滅菌した葉隠さんが襲撃。本気モード(コスチュームキャストオフ)状態の彼女と格闘戦は厄介だからね(なおかっちゃんなら躊躇わず爆破液をぶっかけるらしい、鬼かな)。
大砲にて援護を行った後の八百万さんと拳藤さんの戦いは一方的となった。
大拳の打撃に八百万さんは為す術もない。
けれど、
(まだ)
塩崎茨の覚醒を見て、八百万百とて何も思わないわけではなかったのだ。
(まだですわっ!!)
論理的な思考を持つ彼女にいきなり塩崎茨ほどのぶっ飛んだ発想を思いつける筈もない。
だが打つ手はあった。
普段の彼女なら合理的な理由でつかわない、非合理な自らの身を顧みない手段。
それに必要なのは不退転の決意だけ。
「ガァッ?!」
殴った拳から全身を駆け抜けた衝撃に拳藤一佳は崩れ落ちる。
殴ったのは自分なのになぜこんな衝撃なのかと八百万百を見れば、パチリと言う音が鳴り、彼女の肉体から肉の焼けたような臭いが漂い、皮膚が火傷のように爛れていた。
「そらできるでしょうけど」
八百万百の個性は創造。
彼女は自らの脂質を用いてその構成を理解している物質を創り出せる。
「覚悟、決まり過ぎでしょ」
ならば電気そのものを身体の表面に創り出すことも可能。拳藤一佳の拳打に合わせて彼女は電気そのものを創り出したのだ。身体からスタンガンを創り出しては狙いに気づかれるだろうと判断しての無茶な手段。
しかし帯電の個性持つ上鳴電気と異なり八百万百の身体は電気に耐えられるように進化していない。
その電気に焼かれる痛みと衝撃は攻撃した拳藤一佳の比でない。
「これくらいしないと彼女に、彼に、追いつけないと、そう思いましたの」
途切れそうな意識をなんとか繋ぎ止める。幾度となく見た異世界転移を経験した少年と、彼に寄り添う少女の姿を脳裏に描いて。
「身体を焼く程度の電気なんて、なんともありませんわ」
彼女は震えながらもその足でたっていた。
そこにはプルスウルトラした一人の恋する乙女がいたのであった。
第2セット。
3ー1でA組の勝利。
黒色支配、小森希乃子は常闇踏陰が打倒。
吹出漫我は葉隠透にフルボッコ。
拳藤一佳は八百万百の電気で気絶。
捕縛されたB組4人は黒影が運んだ。
八百万百の意地で掴んだ勝利、轟焦凍の八百万百を警戒するなら4人の総力で潰すべきという発言は真実であった。
なお、八百万百の火傷は緑谷出久が全力で傷一つなく治しました。
クラスメイト女性陣からの責任とれやと突き刺さるような視線が辛かったとか。
補足、説明。
展開に悩んでました。
いっそスルーしようかなと思うくらい。
八百万百による電気創造はオリ設定です。
常闇君に渡したガスマスクは緑谷出久から聞いたグランバハマルでの冒険から用意されたものです。
しかし小森希乃子、テラフォーマーズにでたあのキノコを生やすことができたらよりヤバいですね。