異世界イズク   作:規律式足

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 かっちゃんをキャラブレイクします(今更)



12話 入学初日と霊○。

 

 春。

 それは高校生活の始まり!

 

「出久!超カッコイイよ」

 

「行ってきます!」

 

「流石は勇者様、雄英高校の制服もお似合いです」

 

 そして当たり前のように居る塩崎茨さん。

 県外から雄英高校に受験した彼女は高校生活と共にうちの近所で一人暮らしを始めた。

 この春休みの間でうちの母とも顔なじみになり、側に居るのが当たり前のようになってしまった。

 いやすっかり母が懐柔されてません?

 

「だってオールマイトの筋肉や年齢が二倍の女性に夢中になるより健全だと思うの」

 

 というのが母の意見。

 心配かけているのは申し訳ないが、そこはほっといてほしい。

 食事を共にすることも増えてなんか外堀埋められているみたいで怖いんだけど。

 そんな恐怖体験を経てから雄英高校まで通う。

 その最中キョロキョロと周囲を見て誰かを探す塩崎さん。

 

「どうしたの?」

 

「いえ同じ従者である、戦士 爆豪がいないのでどうしたのかと」

 

 かっちゃん戦士枠でパーティー加入。

 個性が爆破だから魔法使いでもいいけど、気質的には戦士か。いや従者じゃないけどね。

 

「先に行ったんでしょ。僕らも行こう」

 

「はい、勇者様」

 

 まあ彼女と居ることは不快ではない。エルフさんなんかおじさんの気を引こうとつい暴言吐いちゃって普通に嫌われてたし。

 ツンデレは実際にいても理解されないという実例だったなあ。

 おじさんもエルフさんがデレてる時には大抵謎解釈するし。

 

「その勇者呼びじゃなく普通に名前で呼んでほしいのだけど」

 

 雄英高校で女子生徒に勇者様呼びなんて別の意味で勇者だよ。

 

「それは、その、恥ずかしいので」

 

 顔を赤くして俯く塩崎さん。

 顔を赤くするくらい恥ずかしいのか僕の名前。

 あるいはイズクって読みで恥ずかしい意味の方言とか外国語でもあるのかな。

 

「なら仕方ないか」

 

 女性に恥ずかしい思いをさせるのもね。

 そのまま二人で雄英高校まで辿り着き、あらかじめ伝えられていた別々の教室へと移動した。クラスが違うことに彼女はとても残念そうに見えた。

 雄英高校ヒーロー科は一般入試で定員36名、推薦入試で4名。合わせて40名のA組B組の2クラスしかない。バリアフリーなのか巨大なのに重さを感じずスッと開いたドアの向こうには同級生となる全国トップエリート達の姿が、

 

「おうおう、初日から女連れとはずいぶん弾けてんなオイ」

 

「不純異性交遊の罪で死刑に死刑な死刑だコラ」

 

「是非ともお二人の馴れ初めなど?!」

 

「幼馴染?恋人?将来を誓い合った仲?」

 

 無いね。

 

「すいません間違いました」

 

 これは一年A組の扉じゃなくて異世界への扉だ。

 開けるなり、金髪な男子にブドウみたいな頭の男子に肌の色が独特な少女に服が浮いてたから透明な女子がいて絡んできたから間違いない。

 世界の境界線ガバガバだなあ(実際ガバガバの可能性が高くて怖い)。

 

「あ、あの時の」

 

「うん?」

 

「一般入試で一緒だった勇者様」

 

 異世界魔法やワンフォーオールを誤魔化すために表向きは個性を勇者にしてるけど、既に勇者認定されているだと。

 

「君は零ポイント仮想敵の時の娘だよね」

 

 名乗るタイミングで塩崎さんが乱入して流れてしまった、麗らかというより朗らかな感じの。

 

「覚えてくれてたんだ。ウチは麗日お茶子」

 

「緑谷出久、あらためてよろしく」

 

 試験後のリカバリーガールの手伝いも真面目にやってくれた良い子だから彼女が受かって良かった。

 

「それじゃ、早く教室に入ろう?」

 

 駄目だっ!そこは異世界の、

 

「今度は別の女の子だとっ?!」

 

「不純異性交遊の罪で市中引き回しの上に打首だコラ」

 

「ねえねえ、どんな風に出会ったの?」

 

「一目惚れ?不良から庇った?事故から助けた?」

 

 やっぱり異世界の扉だコレ。

 なんで僕は入学初日から同級生に絡まれてるんだろうね。けど、

 

「昔のかっちゃんを思い出して、なんか懐かしい」

 

「俺を引き合いにだすな」

 

 教室の中で席につき幽○白書の7巻(一緒にプレイしたメ○ドライブミニのソフトでハマった)を読みながらかっちゃんは言った。

 だってこっちの世界でこうして誰か(9割かっちゃん)に絡まれるの一年ぶりくらいだからつい。

 

「君、入学初日から漫画を持ち込むとは何のつもりだ!!」

 

「授業中には読まねえよ」

 

 そしてかっちゃんも真面目そうな眼鏡をかけた生徒に絡まれていた。

 

「別の女の子?」

 

 ただ麗日さんが聞き捨てならない言葉を聞いてグリンと向きを変えて僕を見てきた。

 なんかその反応、エルフさんみたいで怖いよ。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

 声はすぐ後ろの足元から聞こえた。

 そこには寝袋に包まり、横になる男性の姿が。

 気配には気づいてたけど何してるのこの人。

 

「ここはヒーロー科だぞ」

 

(((なんか!!いるぅぅ!!)))

 

 さらにゼリー食を一飲みしたからわけわからない存在に見えるよね。

 

「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」

 

 寝袋もゼリー食もこの人なりの合理性を突き詰めた結果なのか。

 

「担任の相澤消太だよろしくね」

 

(((担任!!?)))

 

「早速だが体操服着てグラウンドに出ろ。出席番号順に割り振られた机の中に入っているから。更衣室は案内見て行け」

 

 指示に従い体操服に着替えてグラウンドに出れば、そこで驚きの内容が告げられた。

 

「個性把握テストォ!?」

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」

 

 そういえば入学式なのにお母さんが外出の支度してなかったような?県外の人もいるから保護者には事前通知してたんだろう。

 

「雄英は自由な校風が売り文句。

 そしてそれは先生側もまた然り」

 

 中学までやっていた個性禁止の体力テスト(まあ異形タイプは禁止のしようが無いけど)をこの場で個性を用いてやらせるようだ。

 身体能力強化ならともかく、個性を単に発動するだけじゃなく、どう応用できるかの発想力も試されているね。

 

「首席の緑谷は去年昏睡状態で入院してたから測ってないか。次席の爆豪、ソフトボール投げを個性使ってやってみろ。去年は67mだったな。円を出なきゃ何してもいい早よ」

 

 去年の体力テスト結果は把握してるのか、比較するのにデータは重要だから当たり前か。

 まあ僕の事情でクラスメートの注目集めてしまったけど。

 

「んじゃまぁ、指先に一点集中しソフトボールを爆風で撃ち出すー!!」

 

 右手の親指を突き上げ、人差し指をまっすぐに伸ばし、他の指は握る。左手を右手首に添えたまるで拳銃を放つような、その構えはもしや?!

 

「○丸っ!!」

 

 霊○じゃん。

 上に投げたボールにタイミングを合わせて一点集中した爆発力を撃ち出した。

 ガッツリ影響受けてるのね、かっちゃん。

 

「まず自分の「最大限」を知る。

 それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 記録907.4m。

 うん、漫画の技の再現とは思えない威力だね。

 掌全体の爆破より負担少なくて合理的だし。

 

「なんだこれ!!すげー面白そう!」

 

「個性を思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」

 

 盛り上がる気持ちは分かるけど、この反応はちょっとどうかと。

 

「面白そう、か。ヒーローになる為の三年間。そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?

 よしトータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」

 

 気配が変わった、不真面目にはしゃぐことが相澤先生の逆鱗に触れたのか。退学ではないのが少し気になるけど。

 

「生徒の如何は先生の自由、ようこそこれが。

 雄英高校ヒーロー科だ」

 

 見かけに反して熱意ある先生。

 これは気を引き締めて、全力で臨もう。

 

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