異世界イズク   作:規律式足

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 オリジナル設定及び原作キャラ改変あり、閲覧注意。
 オリジナルカップリングあり。 


20話 職員室にて山田堕つ。

  

 雄英高校職員室。

 そこは日本最高峰学府にして日本最高峰ヒーロー育成機関、その育み手の集う場所。各々がヒーローとして名を馳せ栄華を欲しいままにする存在でありながら、後進育成という崇高なる任を選んだヒーローの中のヒーロー達が戦場。

 その武、一騎当千。

 その智、才気煥発。

 その外見、色物集団。

 今日も彼らは未来がため戦い続けるのだ。 

 

 そんな日々、年に一度の雄英体育祭のハードスケジュールに追われる中、一人のヒーローが物憂げに自ら机に座り無駄に色気を振りまいていた。 

 ヒーローの名は十八禁ヒーロー ミッドナイト。彼女は何かを悩んでいるようだった。

 

「どうしたんですかねミッドナイト先生?」

 

「ほっとけ、どうせいつものだ」

 

 その色気に対しロクに反応しない同性の13号と枯れ気味なイレイザーヘッド。とはいえ聖人揃いの雄英教師で彼女の色気に反応するのは、学生時代から懸想しているプレゼント・マイクこと山田ひざしくらいなものだが。

 

「いつものですか?」

 

「ああ、先輩の子供が小学生になったとか、元同僚に子供が生まれたとか、後輩が結婚したとか、世話した事務員が付き合いだしたとか、そんな話を聞いて凹んでるんだろ。近寄るなよ13号、やけ酒に巻き込まれる」

 

「それは嫌ですね。あ、山田先生が声かけた」 

 

「やけ酒の後のアレコレ期待してんだろ?見ろ、あの長く伸びた鼻の下」

 

「普通に最低ですね。あっさり拒否されて落ち込んでますけど」

 

「香山先輩はプライベートだと身持ち固いからな。あの馬鹿も十年以上もよく懲りないもんだ」

 

「学習能力皆無ですか。というかドン引きなくらいめげないですね」

 

「鳥頭だからな、トサカあるし」

 

 そんな容赦無き同僚達と、送り狼に失敗をし落ち込む山田(全戦全敗)。

 遠巻きに見るセメントスとエクトプラズムも呆れ果てている。

 

 

「んでどうしたんです?」

 

 かと言って学生達も訪れる職員室で無駄に色気を振りまかれてもよろしくない。

 そのため教師陣(山田除く)でジャンケンして負けたイレイザーヘッドが話を聞くことになった。

 

「はあ、いい男いないかなあ」

 

「アンタなら選り取り見取りでしょうが」

 

「此処に居るじゃないKA」

 

「「お前は三枚目以下のお笑いキャラだろ」」

 

 彼女の(イレイザーヘッド的に物凄くくだらない)呟きにしゃしゃり出てアピールする山田。即座に想い人と親友に否定されて轟沈する。

 

「ねえ聞いてくれる?相澤君」

 

「合理的じゃないから嫌です(キッパリ)」

 

「別にね、私そんなに理想高くないのよ」

 

「聞けよ。なら山田で良いでしょ」

 

「彼ってギャルゲーの友人エンド枠キャラじゃない。テレビの向こう側以上の距離じゃないと付き合う気にならないわ」

 

「鬼かアンタ」

 

 そしてそのギャルゲーの主人公は相澤か亡き友か。山田ならヒロインを取り合うライバルキャラにはならないだろう。

 

「青春は生徒達で摂取できても、私も相手が欲しいのよね」

 

「アンタならどんな相手でも鞭の一振りで下僕でしょうが」

 

「誰が怪人だ。あと下僕は恋人じゃないわよ」

 

 実のところミッドナイトこと香山 睡はモテる。日本屈指の女ヒーローであり、日本屈指の美女。彼女を欲する男は星の数ほどいるだろう。

 だがいかに自らを求める男が、外見に秀でて、個性に恵まれ、富に溢れ、武力に優れ、社会的立場があろうとも、彼女の心は動かない。

 彼女の求める基準はただ2つだけ。

 だがその2つの基準を満たす男は未だに現れない。

 そう、

 

「私より強い男でぇ」

 

「「「「いねーよ」」」」

 

 ミッドナイトこと香山 睡は強い。

 その実力は、戦闘向けではない個性でありながら雄英高校教師に就任できるほどのトップヒーローであることから明白である。

 外見から周囲、特に男の視線に敏感である彼女は体捌きの練達者。

 自らの身を狙う男(ヴィラン)共を冷たいアスファルトに沈めてきた実績は伊達ではなく、こと純粋な体術ならば雄英高校最強である(オールマイトは体術よりパワー)。

 また苦手な遠距離にしても対処法を熟知しているため遅れをとることは無い。

 日本の女ヒーローでも五指に入る実力者なのだ。

 そんな日本屈指の女傑より強い男など、見聞広い雄英高校教師陣とてビルボードチャートトップ10メンバーくらいしか思いつかなかった(それらにもやり方次第では勝てそうだとも思う)。

 

「私とセガで語り合える人」

 

「「「「いるかそんな珍生物」」」」

 

 無個性(全人口2割)より希少なセガユーザー。というか生産終了しているゲームについて語れるのはコアなゲームオタクかその世代の人間くらいなものだろう。またオールマイト活躍期とも言える彼女の青春時代に実力があれば自然とヒーローになり当たり前のように既婚者だ。

 ミッドナイトより強く、セガユーザー(しかもガチな彼女レベル)、まさに珍生物と言われても仕方ない存在なのだ。

 ちなみにミッドナイトに懸想しているプレゼント・マイクこと山田ひざしは、所詮古いゲームじゃんと彼女の前で言ってしまいシバかれたことがある。

 

「どこかにいないかな?私の運命の人」

 

「妥協しましょうよ、山田で」

 

「アンタが友人エンドで回収なさい」

 

 叶わぬ初恋に泣き叫ぶ友人のうざ絡みに辟易しているイレイザーヘッドは押し付けようとするが一切取り合われずに断られる。

 やはり脈は無いのだろう。

 

「このままだと13号にも先を越されますよ」

 

 煽る言葉も理想がある彼女には響かない。

 

「な、なんだったら先輩が貰ってくれますか?」

 

 その宇宙服のようなコスチュームからは分からないが、マスクの下の素顔を真っ赤にして憧れの先輩に便乗して告白する13号。

 

「ヒーローが結婚とか合理的じゃないだろ」

 

 13号撃沈。

 

(ナケナシノ乙女心ヲ振リ絞ッタダロウニ、哀レナ)

 

 ミッドナイトとは別の意味で難物なのがイレイザーヘッドなのである。

 

「君達っ!なんてこと言っているのさっ!」

 

 そんな混沌とする職員室を切り裂くような声。その声の主はネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、校長である。

 

「全く、相手は選り好みするとか、送り狼しようとするとか(後で説教)、合理的じゃないとか、子孫を残さないのは生物として失格なんだよっ!!」

 

 

 個性を発現した人類以外の希少生物。

 その中でもハイスペックという人類以上の知恵をもってしまった唯一無二の個体。

 番う相手の存在しない悲しき固有種のその言葉に、ヒーロー達は頭に冷水をぶっかけられたように冷静になり、

 

「肩もみましょうか?」

 

「ブラッシングデモ」

 

「チーズありますよ」

 

「ヒマワリの種はいけましたっけ?」

 

「回し車をとってくるZe」

 

 なんか優しくなった。

 

(流石は校長、この場を見事収めましたね)

 

 話に一切混じれず、隅で小さくなっていたナンバー1ヒーローにして新任教師は雄英高校責任者の手腕にただ感服していた。

 なお最近できた知り合いにミッドナイトの条件を満たす珍生物がいることは気づいてない模様。

 

 これはミッドナイトが運命の出会いをして死の未来を逃れるきっかけを得る、僅か一週間前の出来事である。

 なおプレゼント・マイクではない。

 

 




 
 これは好き嫌い別れる展開かも?正直不安です。
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