異世界イズク   作:規律式足

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 おじさんサイドの三人称です。
 かなりサラッと流す試合もあります。




26話 雄英体育祭最終種目とおじさん。

 

「なんかこの光景、異世界でイズク君がトレントとしてコロシアムに参加させられた時の事を思い出すなあ」

 

「だからそんな気になる話を今しないでよっ!」

 

「試合より気になるじゃないですか」

  

 雄英体育祭。

 そのイベントにはヤバい女性にロックオンされた異世界帰りのおじさんと、元同級生の眼鏡美人大学生と二人きりで屋台を回ったリア充な甥っ子が観戦に来ていた。

 昼休憩をチケットをくれた緑谷出久と一緒に過ごした異世界おじさん御一行。その時、食事とともに同じクラスの子の事情というヤバいスキャンダルを聞いたり、とある頼まれ事をされたりした。

 

「まあそれはまた今度で」

 

「絶対だよっ!!」

 

「食いつくなあ、気持ち分かるけど」

 

 二人の期待の差は緑谷出久の存在が大きい。おじさんの記憶から見た過去の緑谷出久は、おじさんには及ばないものの紛うことなき強者であり、その実力は荒事に通じてない二人から見てもそこらのプロヒーローより強く見えた。

 

((子供と戦わせてよいのかアレ))

 

 が二人の本音だ。

 第一種目の圧倒的な魔法。

 第二種目のやらかし。

 第三種目では何をしでかすのかと戦々恐々としている、同時に僅かにワクワクもしているが。

 なおこの二人、おじさん借り物競争時には二人で屋台を回り綿菓子に齧り付いていたので(それを見た某巨大化女性ヒーローが舌打ちしたため先輩ヒーローに頭を叩かれた)衝撃シーンを見逃してたりする。

 

 そして(失恋確定した)プレゼント・マイクによる開始の言葉とともにいよいよ始まる雄英体育祭のメインイベント。

 

 一回戦、緑谷出久 対 心操人使。

 

 盛り上がる観客に包まれた舞台で両者の紹介とルールを説明され、高まった熱狂の中始まった一回戦は、

 

「なあ緑谷出」

 

「闇剣顕現ー(クローシェルギド リオルラン)」

 

 心操人使の発動した個性を言葉ごと闇剣が切り裂き、紫電走る右拳の一撃で吹き飛ばした。

 緑谷出久容赦無き瞬殺である。

 

 

「ねえおじさん、出久君ガチ過ぎじゃない」

 

「話しかけられたのを無視とか性格的にらしくないような?」

 

「ん〜、多分対戦相手の子が洗脳タイプの個性だったからかも? 出久君て洗脳調教服従使役支配従属にトラウマあるし」

 

「「どれか一つでもトラウマもんだよ、何があったの出久君」」

 

「いや向こうでトレント扱いだったから」

 

 おじさんによるざっくりした説明。

 トレントは狩られる対象の魔物の一種だが、獲物としても需要が高い。

 木材としての価値、果物の恩恵と様々だ。

 ましてや彼はオークに使役されるトレント認識だったため飼えるトレントと周知されよく人間に狙われたそうだ。捕まって二足歩行のトレントとしてコロシアムに立ったことすらある。

 さらに神聖魔法まで使えることが発覚してから、教会で聖樹認定までされて何度捕まり地面に植えられたか。

 

「見れば人間だと分かるじゃん」

 

「目が腐ってんのか異世界人」

 

「冬虫夏草が発見されてたのが不味かった。ソレの亜種扱いでね」

 

 流石のおじさんすら頭痛に耐えるように表情を歪める。あらゆる手段で攫われ鎖に繋がれ洗脳され植えられる緑谷出久の姿は悲惨そのものだった(その過程で同じくらい吊るされたオーク扱いのおじさん)。

 

「だからつい洗脳とかは条件反射的に闇剣で対処しちゃうんだよ出久君、あと首輪と首枷が絶対に無理だって」

 

「条件反射になるくらいの被害て」

 

「半年間でどんだけ捕まったんだ」

 

 異世界のいつものに二人はげんなりとした。

 

 緑谷出久勝利、二回戦進出。

 心操人使、彼もまたドラマある生徒なのだがひたすら運が無かったと言える。

 経験からの洗脳キラーである緑谷出久、この組み合わせはあまりにも相性が悪すぎだった。

 ワンフォーオールで強化された一撃で気絶した心操人使は普通科の仲間達から祝福と慰めを受けながら搬送ロボによって運ばれていった。

 

 轟焦凍 対 瀬呂範太。

 不快な出来事(父との会話)で苛ついていた轟による大規模氷結で瞬殺。

 

「アレ辛いですよねー」

 

 瀬呂範太の姿に自身も凍り付いた経験のある藤宮さんは指差しながら言う。

 平謝りのおじさんとその後のことを思い出した敬文君は赤面。

 

 塩崎茨 対 上鳴電気。

 

 既にぶっ飛んだ行動がA組でも知られている塩崎茨との戦いに上鳴電気は試合前から土気色の表情だ。

 

「この勝利、勇者様に捧げます」

 

 痛みなく負けたい、という彼の切実な願いは、襲いくる舞台を覆う程のイバラの津波に呑まれて消えた。

 

「やったーっ!茨ちゃんが勝ったーっ!」

 

 親しくなり妹分だと思っている少女の勝利に藤宮さんは飛び跳ねて喜んだ。その残虐シーンに男性二人はドン引きしているが。

 

 飯田天哉 対 発目明。

 発目明によるアイテムの発表会に会場は大興奮。おじさんもゲームのアレコレが再現できるのかなと目をキラキラさせていた。

 

「可哀想」

 

「藤宮、同情が一番彼を傷つけるから」

 

 芦戸三奈 対 青山優雅。

 

「レーザーか、羨ましいねぇ」

 

 敬文君が個人的な理由から暗い眼差しとなる中、芦戸三奈の勝利。

 副作用はあれど、眼鏡ビームに比べたら紛うことなき強個性だからだ。

 

 常闇踏陰 対 八百万百。

 

「黒龍波かな?(ドキドキ)」

 

「違うよおじさん」

 

「火じゃなくて影だって」

 

 黒影が強すぎて、常闇の勝利。

 

 鉄哲徹鐵 対 切島鋭児郎。

 個性ダダ被りの殴り合いに盛り上がりはしたが、こういった生々しい暴力が苦手な藤宮さんは顔を俯かせていた。おじさんの異世界の記憶はより内容が酷いが非現実的だからまだ平気なのだろう。

 両者ノックアウトで決着は持ち越し。

 

 一回戦最終組 爆豪勝己 対 麗日お茶子。

 

「例の子かあ」

 

「出久君の幼馴染らしいけど」

 

 緑谷出久の記憶を見たがゆえに本人は気にしてなくとも印象は悪い。

 だからつい対戦相手の麗日お茶子を応援したくなっているようだ。

 

「麗日、引くなら今の内だぞ」

 

「爆豪君はヒーローを目指すのを痛いのが嫌で引くの?」

 

「そうか、なら」

 

 加減は無しだ。

 爆豪勝己はそう言い、構えを取り指先に集めた爆破液を爆ぜさせる。

 

「〇丸だ!リアル霊○だ!」

 

 はしゃぐおじさん、それにジト目な二人。

 クラスター、爆豪勝己のとある作品を元に生み出した新境地は予め準備する必要があるため短期戦で多用はできないがその威力は充分。

 切島鋭児郎などの防御特化個性でなければ耐えることすらできないだろう。

 

「ヒーロー基礎学の時みてえに軽くして衝撃から逃げようとしてもコイツには意味がねえ」

 

 加えて飯田天哉の蹴撃とは違い、爆破の衝撃と火力は回避より早くその身を焼く。

 

「まだまだぁ!!」

 

 奮い立とうとする彼女の叫びも放たれた追撃が捻じ伏せる。

 

「近づけねえよ」

 

 直撃したダメージで立てなくなる。

 焼けた皮膚よりも衝撃で脳が揺れていた。

 たった2発で満身創痍、それが彼女と爆豪勝己の現時点での差だった。

 

「こんなんじゃ、この程度じゃ緑谷君の横に」

 

 彼女の家族に楽をさせたいという願いと、雄英高校で出会った闇深い少年の横に立ち支えたいという思い。だがそれはこの場では叶わない。

 

「終われ」

 

 3発目直撃。

 彼女の思いと諦めぬ根性を知るがゆえに容赦はない。勝ち方にこだわり万が一を許す余裕は、異世界生活を経験した緑谷出久に挑む彼には存在しなかった。

 

「負けられねえよな、よく分かる」

 

 圧勝。

 一回戦最終試合、爆豪勝己の勝利。

 女の子相手にと批判する間も無くついた決着。

 だが、彼女を弱者と嘲る声はない。

 爆豪勝己のその強さと麗日お茶子の根性は誰の目にも明らかだったからだ。

 

「すっごい試合だったねえ」

 

 感服するようにおじさんが言う。

 

「ちなみに異世界だと彼ら(緑谷と塩崎と爆豪を除いた面々)ってどれくらいの強さなの?」

 

 甥っ子の興味本位のその質問におじさんはしばし悩んでからこたえる。

 

「刺殺獣に殺されるくらい?」

 

「逆にわかりにくい」

 

「プロヒーローでも勝てないですよ」

 

 そもそも試合と害獣駆除を同系列に並べるのは無理があるのだろう、刺殺獣にしてもおじさんだから瞬殺できたが本来なら騎士団出動が必要な生物だ。

 ちなみにもし口田甲司がグランバハマルに行った場合、彼は魔王になれたりする。

 なにはともあれ、一回戦は終わり休憩ののちに二回戦へと続く。

 

「出久君に頼まれたことが起きないと良いけど、間違いなく雄英高校は消し飛ぶし」

 

「ナニをやらかす気だ出久君っ!」

 

「何を頼まれたのおじさんっ!」

 

 おじさんによる不穏な一言を添えて。

 

 





 なんかざっくりですいません。
 三作目となると書き分けガガガ。
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