すっごい疲れた。
さっきの轟君との試合、本当に疲れた。
轟君をリカバリーガールの元に送ったあと、ドラゴ○ムだ、ドラゴ○ムだ、とはしゃぐクラスメート達にもみくちゃにされながら観客席へと座る。
やっぱり変身魔法はやりすぎたかな?と思うけど轟君に壁を見せるには僕自身でやるよりは正解だと思ったのだ。
というか、おじさんの影響受けまくった僕は速攻一撃必殺が基本的なスタイル。それでは伝えたいことも伝えられない。ならメイベル(ダメ人間)に変身して氷使いとして格上を見せようと思ったけど、凍神剣ありきの実力だからなあの人。
「ケロ、緑谷ちゃん。私気になることはなんでも聞いちゃうの」
「正直さは美点だと思うよ」
観客から視線を集める中、A組で固まってるスタンドに座る。すると横にいた梅雨ちゃんが尋ねてきた。
「貴方に何があったの?」
現在、舞台はセメントスによって修復中。魔炎竜の姿では暴れてないけど轟君の全力放出で壊れたからね。
「いつのこと?」
何があった、だと色々あるからな。
ぶっちゃけ雄英高校生活も充分に濃いし、それ以前のオールマイトに雄英高校受験を誘われた以降も騒動ばかりだった。
「緑谷ちゃんに辛いことがあったのは分かるわ。爆豪ちゃんと何かあったのかも。だからクラス内で爆豪ちゃんをよく思われたりはしてなかったの」
かっちゃんんんん!
なんか色々飛び火してたんだね。
村八分寸前だったのかっちゃん。
「けどそれだと違和感があるの、貴方が感じた絶望や苦痛って本当にこの社会であったことなのかなって」
一部あったから闇深いよねこの社会。
いや異世界に比べたら遥かにマシだけど、少なくとも医療機関と公共サービスは問題なく受けれるし。
「というかあんな竜はいないわ(断言)。どこで遭遇したの?」
うーん、そろそろ話そうかと思ってたけど先に聞かれるとは。
僕も日頃から異世界節を隠してないからな。
八百万さんや耳郎さんの頭キレる組や、尾白君や瀬呂君の感性普通組は違和感あって当たり前か。
「近い内に見せるよ、許可がいるんだ」
というかR指定かかりそうなんだよね僕達の記憶、敬文さん達は二十歳だから大丈夫だけど。
エッチィイベントはおじさんだけが遭遇してたから僕の記憶にはないし(隣の部屋でドッタンバッタンして迷惑だった)。
「いいの?」
「かっちゃんが誤解されるのもね」
もうすっかり改心?しているのにね。
いやワンチャンダイブは今でもアウトか、映さないように気をつけよ。
「無遠慮に踏み込んでごめんなさい」
「気にしなくて良いよ、僕も親しい君達には知ってほしかったから」
見たら泣きそうだから、見せる抵抗も同じくらいあったけど。
とりあえず気にしてたクラスメート達も納得してくれたようだし。
第二試合の観戦に移ろう。
飯田君と塩崎さんの戦いか。
どうイバラを回避して捌くかがキモだね。
『レシプロスラッシュッ!!』
回避させないよう逃げ場をなくしたイバラの覆いからの上鳴君を轢き潰したイバラの津波。
機動力を封じた塩崎さんの波状攻撃を、飯田君の蹴撃が切り裂いた。
『緑谷君を参考にさせて貰った、そうヒーローは人を過剰に傷つけてはいけない。だが襲い来る障害を粉砕して進むことは許されるっ!!』
光剣でスパスパ斬ってた影響かな?まさか蹴撃を斬撃まで昇華させてるなんて。
『まだですっ!!』
そして、負担のかかるレシプロバーストを片方しか発動していない。
『終わりだ』
接近された塩崎さんの苦し紛れの足掻きも吹っ飛ばし飯田君は勝利した。
走るなら片脚がエンストしたら終わりだが、攻撃だと割り切れば最速の攻撃が2発打てるか。
かなり厄介だね。
二回戦、飯田君の勝利。
この障害物の無い視認できる舞台は飯田君に有利だ。
続いて芦戸さんと常闇君の戦い。
『螺旋貫殺黒影波っ!!』
高いフィジカルにバランス感覚そして凶悪な個性を持つ芦戸さんに、常闇君は敢えて接近し至近距離で黒影を叩き込んだ。
突き出された常闇君の右腕から黒影が勢いよく螺旋の動きで飛び出して場外まで吹き飛ばした。
なるほど、最小限の守りで黒影を温存しての極め技か。瞬間的に威力を出すのは良い考えだね、カッコいい。っていうか、かっちゃんから借りて読んでた幽遊○書の影響受けてない?熱はないけど黒影の動きが黒○波だったよ。あと貫殺はヒーローとしてアウトな気が。
二回戦、常闇君勝利。
そしていよいよ二回戦最終戦、切島君とかっちゃんの試合。この勝者で雄英高校一年のベスト4が決定する。
周りからの評価だとかっちゃんが不利。
硬化の個性に喧嘩根性殺法の切島君は接近戦なら文句なしの強者。かっちゃんの個性である爆破を耐えきれるなら勝ち目はある。
そう周囲は思っていた。
『グハッ!!』
『実戦喧嘩殺法が武術に勝るって思ってたか?そいつは奇を衒って不意をつけたらの話だ』
だけど予想に反してかっちゃんは個性を使わずに殴りかかる切島君の腕を取り投げ飛ばしていた。
「柔道、だけじゃないか?」
格闘技に精通している尾白君がかっちゃんの動きが武術によるものだと推測する。
僕が異世界から帰還してから一度かっちゃんと戦ったことがある。その敗北後にかっちゃんが自分を高める手段として選んだのが武術だったのだ。個性により規格が揃えられなくなった武術は現在廃れている。だが数千年の人類闘争の歴史の中、突き詰められ最適化された戦闘理法は今だ健在。
だからかっちゃんは生来の天才性で僅かな期間であらゆる流派を体得して回ったとか、うん道場荒らしだよねソレ。
結果、あらゆる武術を修めた無手の戦闘で並ぶ者無しの実力者に至っていた。何ソノ一人多国籍軍、そこに爆破の火力が加わるからエグいって。
コンクリートに叩きつけられ衝撃を全身に受ける切島君、生身には危険な行為だけど硬化してる切島君には容赦する必要がない。
だが全身のダメージもそうだがそれ以上に、攻撃を全ていなされて傷一つ付けれずに投げ飛ばされ続ける事実が心に響く。
どうしても勝てない現実に心が折れる。
根性で立ち上がる相手を打ち負かす方法をかっちゃんはしっかり理解してたんだ。
膝をついた切島君がギブアップするまでそう時間はかからなかった。
二回戦全試合終了、一年ベスト4決定。