異世界イズク   作:規律式足

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 準決勝は飛ばします。
 あと三人称です。
 


29話 やはりセ○は人生の役に立つ。

  

『さあいよいよラスト!!

 雄英1年の頂点がここで決まる!!

 瞬速連撃の飯田をそれ以上の速度で斬り伏せた、勇者 緑谷出久!!

 変幻無敵な常闇を的確に弱点を暴き叩き伏せた、天才 爆豪勝己!!

 決勝戦、今!!スタート!!』

 

 かつてテレビ越しに憧れた夢の舞台。

 そこに己が立っていることに緑谷出久は現実感が持てずふわふわした気分だ。

 何もここに立つことがヒーローに必須な訳ではない。けれどここに立てたヒーローが名を馳せていることもまた事実だ。

 

(そういえば飯田君大丈夫かな?)

 

 友人にかかってきた突然の電話。あの焦燥とした表情が気になってしまう。

 集中しなければいけない戦いなのに、魔炎竜変身の影響か緑谷出久の思考はアチラコチラに飛んでいた。

 

 爆豪勝己においてこの戦いは野望の一歩だ。

 トップヒーローになるためには必須な勝利で、何があっても負けられない。

 相手が明確な格上であることが不幸だと思ってはいるが、集中できていない状態を勝機とするしかない。

 いやそんな勝利はゴメンか、と思い直す。

 

「オイ、クソデク!!んな呆けた面でやり合うんじゃねえ!!敵は!脅威は!目の前だろう!」

 

 周囲の気を引くために叫ぶガキみたいだなと自嘲してしまう。だがそれでも、緑谷出久には勝てて当たり前な戦いであっても爆豪勝己には待ち望んだ最高の舞台。ならばそれに相応しい戦いをしてほしかった。

 あのヘドロヴィランの事件からの始まった半年間の後悔、目覚めた出久に敗北してからの鍛錬の日々。雄英高校入学という結果は出した。ならば次は、頂点を争う戦いだ。

 

「たくっ、君は変わらないな」

 

 緑谷出久にとって爆豪勝己は理不尽の権化だ。

 異世界生活で理不尽順位の上位まるっと更新されたのだが、こっちの世界なら文句なしのトップ。

 感情的で、横暴で、気に入らないことには噛み付いて、踏みにじってきて見下す。

 けど、

 目標のために夢のためにブレないその精神は、昔から揺らがないくらい尊敬している、

 きっと彼が叫び続けていたから僕もヒーローを目指し続けていたんだろう。

 決してブレない彼がいたから。

 折れぬ凄さを間近で見てたから。

 まあ理不尽クソ野郎なのは事実だけどね。

 

「ごめんごめん、ちょっとコロシアムでフル武装したゴブリン集団と戦わされたことを思い出していてね」

  

 魔法具で魔法封じられてピンチでした。

 

「どんな半年間なんだ、まじで」

 

 かっちゃんも全部見たわけじゃないからね、途中で気絶してたし。

 

「さあ、かっちゃん。見せつけよう世界に。

 次代のテッペン此処にあり!!ってね」

 

「端からそのつもりだボケェっ!!」

 

 それからの両者の戦いは苛烈を極めた。

 光の軌跡を描く光剣の乱舞、

 打撃とともに炸裂する爆破の個性。

 緑谷出久は距離を取れぬために魔法を追加で放てない。爆豪勝己はリスクを承知で接近戦を挑み続ける。異世界生活で培った無尽蔵のスタミナに、道場巡りで鍛え上げた体力で対抗する。

 一撃必殺の爆破打撃が光剣に逸らされ、一太刀当たれば決まる斬撃が一向に当たらない。

 鍛錬の末に身につけた見切りと、経験の果てに染み付いた反応。触れ合える程の距離での攻防はいつまで立っても決定打が当たらない。

 そう、なんというか。

 

「「無茶苦茶だよお前(君)」」

 

「「「「二人ともだよ!!」」」」

 

 溢した本音に観客から突っ込まれる。

 とんでもない実力、これでまだ伸び代ある十五歳なのだから将来がすえ恐ろしい。

 

「時間の無駄か」

 

 極限まで集中しての接近戦で決着がつかないのであればやる意味はない。

 体温上昇は火力向上につながるが、どこまで効くのか分からない。

 ならば、

 最大火力の最強の一撃で終わらせる。

 爆豪勝己はそう覚悟を決めて距離を取った。

 

 この間合いなら魔法は撃てる。

 爆豪勝己の必殺技に精霊魔法で応じることは可能だろう。だが殺傷力を極めた精霊魔法をこの世界の人間に放つ気は緑谷出久には無い。

 ならば、やるべき技は。

 

 

 この時、試合を眺めていたオールマイトはドキドキしながら期待していた。明らかな爆豪勝己の必殺技モーション、緑谷出久ならそれに応え同じく必殺技を放つと。それは殺傷力マシマシな精霊魔法ではない。きっと自分の後継者らしい必殺技なのだとっ!!(フラグ)

  

 

「ウオオオッ!!」

 

 最大火力で宙に飛び、両掌の爆破を繰り返しながら回転。巻き込んだ熱気が爆豪勝己の肉体と共に一直線に相手に叩き込まれる。さながら自身を爆弾かミサイルにするかのような必殺技。

 

「榴弾砲着弾ー(ハウザーインパクト)」

 

 当たれば異世界にてダメージや苦痛や衝撃になれた緑谷出久とてノックアウトする必殺の一撃。

 だが、

 

(おじさん、貴方から教わった必殺技を今ここでっ!!)

 

 その瞬間、この体育祭を視聴していた全世界のコアなセガユーザー達が一斉に立ち上がる、そして。

 

 緑谷出久は自身に襲い来る人間ミサイルに対しその場で垂直にジャンプして回避、そして回る爆豪勝己を狙い真っ直ぐ落下してその体に光剣を突き刺した(注、光の精霊様が加減してくれたので刺しても死にません)。それはダッシュからの大ジャンプ中に攻撃ボタンで出せるゴールデン○ックスの大ダメージ技。

 

「「「「「『ゴールデン○ックスの下突きだああああああっ!!!!』」」」」」

 

 主審のミッドナイトが叫んだ、観客席でおじさんとセガユーザーの方々が叫んだ、警察署で見てた塚内さんが叫んだ、世界中のコアなセガユーザーの皆さんが叫んだ。そして全員が確信した、やはりセガのゲームは人生の役に立つのだと。

 

 その数倍の人達がナニソレ、と虚無な表情になっていたのは語るまでもないが。あと期待してたオールマイトがガチ凹みした。

 

「決まったね、当てるのが難しい技だけど」

 

 フー、とやり遂げた感溢れる表情の緑谷出久を薄れゆく視界の中で見上げていた爆豪勝己は、

 

「なんだ、このスッキリしない負け方」

 

 そう呟いて意識を落とした。

 

 

『爆豪君気絶!!よって緑谷くんの勝ち!!

 良い物見せてもらったわよ☆』

 

 主審であるミッドナイトの判定。

 

『以上で全ての競技が終了!!

 今年度雄英体育祭1年優勝は、

 A組 緑谷出久!!!!』

 

 そしてプレゼント・マイクの宣言によって、この戦いは幕を閉じた。





 ぶっちゃけ最後のシーンをやりたかっただけの体育祭でした。
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