異世界イズク   作:規律式足

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30話 メダル授与と空の旅。

 

「それではこれより!!表彰式に移ります!」

 

 ミッドナイトの声と共に熱狂した雄英体育祭の締めが始まった。

 表彰台の上に立つ、僕とかっちゃんと常闇君。同着3位である飯田君はお兄さんであるプロヒーローのインゲニウムがヴィランに襲撃されて重体なため早退した。飯田君が尊敬する立派なヒーロー、無事でいてほしいと願わずにはいられない。

 

「メダル授与よ!!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!!」

 

 確か三年なら校長先生で、二年は生徒から要望されたヒーローだっけ?多忙だからと今まで参加しなかったオールマイトに贈呈される僕達は幸運だと思う。

 

「私がメダルを持って来たぁ⤵⤵「我らがヒーローオールマイトォ!!、テンション低め?」」

 

「かぶってごめんなさい、でもなんでテンション低めなの?」

 

「平和の象徴でも凹む時があるからね」

 

「でもごめんなさい。私の胸で慰めるのはもう運命の人だけだからっ!!」

 

「なんか告白してないのに振られたぁっ!!」

 

 お色気ヒーローの代表みたいなミッドナイトに運命の人がいたんだ、どんな人なんだろ?

 

「気を取り直して、常闇少年おめでとう!強いな君は!必殺技もセンスあったぜっ!」

 

「もったいないお言葉」

 

「ただ相性差、苦手な状況を覆せる地力を身につけるんだ!そうすれば君はトップヒーローにだって成れる!!」

 

「御意」

 

 常闇君は超強いからね。

 光剣との相性が悪いから僕も有利に立ち回れるけど無手なら厳しいし。

 

「爆豪少年、おめでとう」

 

 次に意気消沈しているかっちゃんに銀メダルを贈呈するオールマイト。

 

「うん、落ち込む気持ちはよく分かるけどもっと喜んで。2位も凄いし、君の実力はトップ張れるレベルだからね」

 

「理解してるさオールマイト、敗北したのは俺が弱いからだ。ああそうだ、弱いヤツは負け方すら選べねえ」

 

 そんなにイヤだったかな、ゴールデン○ックスの下突き。でも下手にオールマイトリスペクトのワンフォーオールパンチを人に打ったら肉片になりそうで怖いんだよね。向こうと違って魔獣みたいな練習できる存在もいないし。

 

「君は強いんだ、今回は相手が緑谷少年でセガユーザーだったからだよ。その強さを誇ってこれからも進んで行くんだ!」

 

 いやおじさんに教わった技なだけで僕はそこまでセガユーザーじゃないですって。

 かっちゃんも超強いし、何より才能差がなあ。グランバハマルを経験してないのにこの実力とか正直凹みそうになるよ。

 

「さて緑谷少年!!見事だったよ!!」

 

「ありがとうございます」

 

「今回の体育祭(色んな意味で)キミこそが中心だったと言っても過言ではないと思う!!」

 

「恐縮です」

 

 やらかしたからなあ、魔法とか変身とか。

 

「だからこそ問おうっ!!君はどんなヒーローに成りたいっ!!どんな在り方でその力を振るうのか!!」

 

 どんなヒーロー、どんな在り方。

 そんなモノ、もう決まっている。

 

「貴方のような誰かのために苦難に立ち向かえるヒーローに!!当たり前のように困っている誰かに手を差し伸べられるそんな存在に僕は成り、そのためにこの力を振るいます!!」

 

「良い決意だ!!ならば先達として君がヒーローになるその日を楽しみに待っている!!」

 

 首にかけられた金メダル。かかる期待によりさらに重みが増したように感じた。

 

「さァ!!今回は彼らだった!!

 しかし皆さん!

 この場の誰にもここに立つ可能性はあった!!ご覧いただいた通りだ!競い!高め合い!さらに先へと登っていくその姿!!

 次代のヒーローは確実にその芽をのばしている!!てな感じで最後に一言!!せーの」

 

 楽しかった。

 今はその気持ちでいっぱいだ。

 

「プル「お疲れ様でした!!!」ト、えっ?」

 

「そこはプルス・ウルトラでしょオールマイト!!」

 

 なんか締まらない終わりだけどオールマイトらしくて笑えてくるよね。

 普通の学校ならここから生徒総出で後片付けだけど、雄英高校は作業ロボットと職員に業者さんのお仕事だ。僕達生徒は着替えた後に教室で休校と指名について告げられた。

 

 

 その後、異世界についてA組の皆に伝えたいと相澤先生に相談したら少し協議させてくれと言われた。僕からしたら平気だけど普通にショッキング映像だからね。

 いつもは側にいる塩崎さんは観戦しにきていたご家族と一緒に食事してから帰るそうだ、誘われたけど家族水入らずに混じるのはね。

 

「お疲れ様、出久君」

 

 帰路についた所で校門で待っていてくれたおじさんが声をかけてきてくれた。

 

「おじさんも楽しめましたか」

  

「うん、楽しかったよ。ナイス下突き!!」

 

 なら良かった。

 この人はもっと幸せにならないといけない人なんだ。それだけの苦労をしてそれだけの善行を積んできたんだから。だから恩返しも兼ねて僕は喜ばせようとするのかもしれない。

 

「見応えあったよ出久君」

 

「やらかしに肝が冷えたけどね」

 

 敬文さんと藤宮さんも楽しかったと言ってくれる。歳の離れた友人みたいなこの二人との関係も僕には新鮮で嬉しいものだから。

 

「さーて優勝のお祝いにみんなで焼き肉にでも行こうか、奢るよ」

 

「いや、そんな悪いですよ」

 

「大丈ー夫。出久君の活躍でおじさんの動画メッチャ伸びてるし」

 

「関係も疑われてるけどどうすんだ?」

 

 そういえばおじさんて光剣を動画投稿してたっけ?

 

「なんならお母さんも呼んでお祝いしよう」

 

 たまにはいいかなと、おじさんの誘いに応じようとした所で、

 

「イズク坊!!」

 

「リカバリーガール?」

 

 こちらへと走ってきたリカバリーガールに呼びとめられた。

 

「どうしました?」

 

 常に冷静なこの人が急ぐなんてよっぽどな事態だろう。

 

「インゲニウムの治療に力を貸しておくれ、このままだと間に合わない!」

 

「分かりました!すぐに行きます!」

 

 神聖魔法に頼るほどの事態か、なら急がないと。

 

「おじさん、すいません。急な事態なので」

 

「場所はどこ?」

 

「え?」

 

「敬文、藤宮さん」

 

「分かっているよおじさん」

 

「出久君もまた今度ね」

 

 おじさんは敬文さん達にそう告げて、僕とリカバリーガールを右腕と左腕を胴体に回して抱え込んだ。

 

「保須総合病院だよ、超特急でね」

 

「一分ですね。舌を噛まないように気をつけて」

 

「ちょ、まっ、おじさあああああんっ!!」

 

 色々と法にひっかかるし、途中で精霊力が切れると怖いから僕は飛行魔法を使い慣れていないのに。

 地上で手を振る二人に見送られ病院まで超特急で出発した。

 

 着いた保須総合病院でリカバリーガールの指示の元、神聖魔法を唱え無事飯田君のお兄さんは助かった。ヒーローとしての復帰も充分に可能だろう。飯田君が到着するころには意識も取り戻すだろうから僕とおじさんはその前にお暇した。

 激動の一日は最後に一仕事をしてこうして終わったのだった。

 

 

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