異世界イズク   作:規律式足

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 原作改変、オリ設定、キャラ改変有りです。
 


31話 ハグとヒーローネーム決め。

 

 これは現実ではないな。

 ふわふわとした不思議な感覚。

 直前まで何をしていたっけ?眠りに落ちる瞬間がわからないように、ここに来るまでの記憶がすっぽりと抜けていた。

 まさかまたグランバハマルかっ!

 焦りながら見渡せば、見飽きた自然だけは豊かな魔境はない。

 部屋?

 何か建造物が見えた。

 宇宙空間を漂うコンクリート製の一室。

 そこには椅子に座った人達が並んでいた。

 近づき音も無く降り立てば、椅子に座っていたまま項垂れていた人影達は僕に気づいて顔を上げた。

 貴方達は一体?

 言葉にしようと音にならない。

 僕の口元は黒いモヤのようになっていた。

 すると彼らは椅子から立ち上がると、

 

「頑張ったな」

 

 と一人ずつ慰めながら抱きしめてくれた。

 

 

 

「オッサンばかりなんですけどっ!!」

 

 雄英体育祭が終わり休日明けの登校日。

 爽やかな朝は夢の世界の筋肉質なお姉さん(多分)とオッサンズのハグからはじまった。

 なんだあの夢。

 何か重要な事の気がするけど、ハグのインパクトが強くて思い出したくない。

 とりあえず気にせず学校に行くとしよう。

 一応お姉さんもいたから役得だったんだろう、きっと多分メイビー。

 今日の天気は雨、結局爽やかでもなんでもなかったなと思いながら僕は準備を始めた。

 

 雄英高校。

 今日は早めな時間に登校。

 それはA組にはグランバハマルの事を伝えようと決めたからだ。

 僕の過去やら発言でこれ以上誤解が積み重なるのも避けたいし、いい加減この力を個性で誤魔化すのも限界なのだ。

 だから手っ取り早く記憶再生でグランバハマルライフを見せても良いかと休日前に尋ねたのだけど、

 

「やめとけ、事情は話して良いから」

 

 記憶再生は駄目でした。

 僕は慣れてるけど、知った顔が火炙りやらリンチに拷問される映像は一生モンのトラウマなのだ。

 なのでまだ早いらしい。

 なんでまだなのかと言うと、この手の映像は3年の最初のヒーロー基礎学でヒーロー科全生徒に視聴させるからだそうだ。

 組織的なヴィラン活動がほぼ壊滅している日本では滅多にないが、海外ではヴィランに敗北し捕まったヒーローはほぼ確実にこのような目に合う。

 それをまだ進路の変更可能な3年の開始時に見せるそうだ(年齢的にもギリ可能なため)。

 だからまだ映像はやめとけ、という判断を相澤先生と校長先生にリカバリーガールは下したのだ。

 とはいえ言葉だけでは納得と説明できない、という問題に関しては僕じゃなくて、おじさんの記憶ならと許可は出た。ただうまくいったエピソードにしろと念は押されたが。

 おじさんの記憶か、誰かに見せることは既に許可を得ているから見せる分には大丈夫だ。

 グランバハマルで何度も見たから本人がいなくても、おじさんの記憶を見ていた記憶を映せば再生できる。

 とりあえず、見せるなら職場体験の後かな?異世界の説明はしても。

 皆のヒーローになる上で大事な行事である職場体験をショッキング映像のインパクトで台無しにしたくはないし。

 

「大丈夫ですよ、皆さん受け入れてくれますから」

 

 相澤先生のやり取りの時も当たり前のように隣にいた塩崎さんに支えるようにそう言われた。

 そっか、怖くもあったんだ。

 おじさんも僕も人殺しこそしてないけど、魔獣やら亜人種のゴブリンは散々討伐してきたから、皆にそれを知られて怯えられるのが怖いんだ。

 言う機会はあっても梅雨ちゃんに問われるまで黙っていた理由はそれだったのかと納得した。

 

「私は変わらず側に居ますので」

 

 最初はかなり怖かったけど(本音)、今では彼女が横にいるのが当たり前だ。何があっても側にいてくれる人がいるとなんとかなると思えるね。

 勇気つけられた僕は塩崎さんからお弁当を受け取りA組教室へと入った。

 

 なお余談だが、ミッドナイトが自分の席でどこからか手に入れたおじさん(どんな接点?)の写真を見てニヤニヤしていて、それを見たプレゼント・マイクが両手を床についてこの世の終わりかのように嘆いていた。

 何してんだあの人達?

 他の先生方はスルーしてたけど。

 

 

「天誅ーっ!!」

 

 いつの間にか恒例になった峰田君のドロップキックから始まる雄英高校の朝。

 女子から手作り弁当を貰うヤツは(モテない)男子の敵だと彼は元気に襲撃してくるのだ。

 とりあえず面倒だからと彼渾身のドロップキックを片手で床に撃ち落とすのも毎度のことで、最早だれも反応しない。

 ラブコメ(そんなんじゃないのに)に飢えていた芦戸さんに葉隠さんも、前に一通り塩崎さんを弄ったら後は優しい眼差し(葉隠さんは多分)で見守っている。まあ麗日さんは未だにこっちを見て麗らかではない顔になってしまうけど、確かに不真面目に見えるからなあ。

 その一連の流れを除けば、クラス内は雄英体育祭後の周囲の反応に湧いていた。

 瀬呂君と上鳴君(もしかしたら心操君も)は小学生からドンマイコールされたそうだ。

 テレビ効果は半端ないことを実感するよね。

 

「あ、飯田君」

 

「緑谷君か」

 

 登校してきた飯田君に声をかける。

 お兄さんは万全に治したが大丈夫だろうか。

 

「兄の件なら心配無用だ。リカバリーガールを親切な一般の方が連れてきてくれたから重体だった兄は無事完治していたよ」

 

 神聖魔法の治癒はどこまで出来るかを周囲に知られるわけにはいかない。擦り傷程度ならまだ平気だが死ぬ一歩手前、或いは死者蘇生すら条件次第で可能な事実は絶対秘匿事項だ。

 だから実績あるリカバリーガールが治癒してくれた扱いで誤魔化しているのだ。

 

「しかしスピードヒーローを志す身としては考えさせられたよ。最速で事件解決もそうだが、必要な人員を最速で連れてくることも目指すべき道なのかも知れない」

 

 彼が兄の襲撃で復讐心を抱くことを懸念していた、けどこの調子なら大丈夫そうだ。

 

「緑谷君も回復の呪符を分けてくれたらしいな、ありがとう。あとどんな人がリカバリーガールを連れてきてくれたか知らないかな、是非お礼をしたい」

 

「ヒーローだよ、僕が知る限り最高のお人好し」

 

 お礼をされることなんて考えもしてないお人好しなおじさんを思い浮かべて僕は笑った。

 

 そんな会話をしてたらチャイムと同時に相澤先生が現れた。

 ピタッと行儀良く席につくトコが教育の成果みたいに感じる。

 相澤先生から告げられた授業内容は、コードネーム即ちヒーロー名の考案だ。

 

「「「胸ふくらむヤツきたああああ!!」」」

 

 沸き立つクラスメート達。

 まあこれしたくてヒーロー科に入学したようなものだからね。

 

「というのも先日話したプロからのドラフト指名に関係してくる、指名の本格化は即戦力として判断される2、3年から。つまり今回来た指名は将来性に期待した興味に近い。卒業までにその興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてことはよくある」

 

 受け入れ先も生活かかっているから当然だよね、ヒーロー自体が慈善事業の親戚みたいなノリもあるけど。

 つまり一年で貰った指名数が、二年三年で下がったらその程度だったと周囲にがっかりされてしまったことになるのか。

 心エグる話だなあ。

 

「で、その指名の集計結果がこうだ。

 例年はもっとバラけるんだが、三人に注目が偏った」

 

 緑谷 6249

 爆豪 4216

 轟  3514

 常闇 465

 飯田 374

 上鳴 272

 八百万 108

 切島 68

 麗日 20

 瀬呂 14

 

 うん、僕とかっちゃんと轟君が凄いね。

 特に轟君はベスト4じゃないのにトップ3に入ってるよ。麗日さんは指名入ってて良かった。第三種目参加したのに指名入らないのは意外だけど、芦戸さんとか。

 

「これを踏まえ指名の有無関係なく、いわゆる職場体験ってのに行ってもらう」

 

 コスチューム着て、公の場で活動するからヒーロー名が必要なのか。

 

「俄然楽しみになってきたァ!」

 

 そして相澤先生の言葉を引き継いで現れたミッドナイト。迂闊なヒーロー名をつけたら地獄を見る、なるほどかっちゃんが心配だ。

 名は体を表すを意識して決めろと告げ、相澤先生は残りをミッドナイトに丸投げして寝袋に潜り込んだ。

 

「(ところで緑谷君、貴方この人と空の旅をしたんでしょ?詳しい話を聞かせて)」

 

 仕事してミッドナイト。

 大事なヒーロー名を考えてるのにおじさんのことを聞き出そうとミッドナイトが迫ってくるんですが。

 あの人はこっちでも難儀な女性を惹きつけるのか。借り物競争での遭遇がおじさんに面倒事を呼び寄せたようだ。どうしよ、このままだと非合法に調べそうだから第三者挟む前に直接伝えた方がマシかな?おじさんも女性と縁あってもよいだろうし。

 とりあえずまずは塚内さんに相談してからにしようと決めた。

 そして十五分後。

 発表形式で大喜利展開からマトモなのと十人十色なヒーロー名が出た。

 一部手直しがある中、不安なかっちゃんの番。

 

「爆拳ヒーロー ダイナックル」

 

 意外とマトモだ。

 というか武闘家っぽい。

 勇者パーティで転職し過ぎだよ君は。

 

「どうしたのかっちゃん、頭でも打ったの?」

 

 てっきり爆殺王とか爆殺神になるかと。

 

「道場の師範達にな。こないだ聞かれたから答えたら元から決めてたヤツだともう指導しないと脅されてな。爆殺王の何が駄目なんだよ畜生」

 

 そんなヒーロー名の門下生がいたら問題だからじゃないかな?

 武術は基本的に活人だし。

 飯田君は名前と足の速さをもじって「ブーステン」にして、最後に僕の番。

 

「異世界ヒーロー トレンドール」

 

 名前の由来は皆には明かせないかな?

 異世界でのトレント、こっちでのデク人形、両方背負って僕はヒーローに成る。

 

 

「ねぇねぇ異世界ってことは、やっぱり異世界おじさんと関係あるのよね?私の運命の人とどんな関係なのかしら?ねぇねぇ?」

 

 異世界つけたのは失敗だったね。

 うん、後で直そう。

 なんかおじさんを運命の人にロックオンしてるミッドナイトに再び迫られながら、ヒーロー情報学の授業は終わった。

 

 




 オリヒーロー名。
 緑谷出久 トレンドール。
 とある方考案。
 爆豪勝己 ダイナックル。
 ポケモンかな?ダイナマイト+拳から。
 飯田天哉 ブーステン。
 お兄さん引退しないので、名前から。
  
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