異世界イズク   作:規律式足

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 久々おじさんサイドです。



36話 ミッドナイトとおじさん。

 

 職場体験三日目、現在サー・ナイトアイ事務所は修羅場と化していた。

 保須市ヴィラン暴走事件の後始末もそうだが、問題なのはステインの記憶。限られた人員にしか知らせられない関係上その記憶を調書としてまとめる者が必要でありそれがサー・ナイトアイ事務所に回ってきたのだ。そこには警察内部に少なからずアンチヒーロー思想のステイン信者がいるという裏事情もあるが。

 そのため流血沙汰に慣れている緑谷出久がステインの起こした凶行の詳細をまとめているのだった、最初は手伝っていたルミリオンもそのスプラッタ映画どころではない記憶にダウンし、休み休み手伝う形となっている。ヒーロー殺しの殺人シーンを見返しその情報を文書へとおこす過酷な仕事ではある、だが警察とて違法ポ○ノ摘発時にはその膨大な映像全てを確認してまとめているのだから、どんな苦行も誰かがしなければならない役割なのだろう。

 

(これ職場体験なんだよね?)

 

 そんな疑問が脳裏をよぎるが緑谷出久は無心で作業に没頭した。

 だが、彼が仕事に忙殺される中で彼の身近な所へ忍び寄る魔の手があった。

 その事実を緑谷出久はまだ知らない。

 

 

 

 某市某アパート、そこにはそろそろドリーム○ャストに手を出すかと悩む異世界帰りのおじさんと雄英体育祭のネビルレーザーに触発され個性を使って眼鏡を買い直すハメになった青年が生息している。

 ピンポーン。

 そんな穏やかな日常に新たな変化がチャイムの音と共に現れようとしていた。

 

「あ、俺出るよ。なんか通販で頼んだ?」

 

「いや今日はない筈だけど」

 

 いつもの宅配かと思って応対しようとするおじさんだが、敬文にその心当たりはない。勧誘やら押し売りならやだなーと思いながら扉を開けたら、そこには黒い長髪のスタイル良い美女がいた。

 

「お隣に越してきた香山睡と申します、これからよろしくおねがいします」

 

 誰もが見惚れる笑顔と共に引っ越し蕎麦(手打ち)を渡される。

 

「あ、ご丁寧にどうも。私は甥っ子の所で厄介になっている嶋ザキ陽介です今後良いお付き合いを」

 

「ハイ♡もう生涯を共にする感じで♡」

 

「(オーバーな表現だなあ、最近の人はこんな感じなのかな?)。ところで気になったのですが」

 

 するとおじさんは香山睡(ミッドナイト)をまじまじと見る。彼女はヒーローコスチュームのような過激な格好はしてはいない、だがその上半身はソ○ックをプリントされた薄手のシャツだ。彼女の抜群のスタイルによりプリントが歪み、その可愛らしい青いハリネズミが可哀想なことになっていた。

 

「お好きなんですか?セガ」

 

「ハイ勿論です♡もしかして陽介さんもですか(名前呼びして大丈夫か確認しないと)?」

 

「人生そのものと言っても過言ではありません」

 

 異世界からの帰還という不可能。それを成し遂げた最大の理由である以上、誰も否定できない事実だろう。

 

「(名前呼びは問題無し、よっしゃあ!!)私もなんです。ただ身近に一緒にやってくれる人がいなくて複数プレイができないことが悩みでして」

 

 男ならそのまま飛びかかりそうな色気ある上目遣いで誘うように香山睡(ミッドナイト)は言う。彼女は明らかに何かを狙っている。

 

「でしたら今度一緒にプレイします?私も最近友人ができて、足で二人プレイをする必要なくなったんですが、彼はどうにも多忙でして」

 

 その匂い立つ色香に欠片も反応せず、ましてや女性を連れこむ下心一切なしに彼女を誘う。敬文氏がいるので大丈夫だろうという意識はあるのかも知れない。

 

「(約束ゲットオオオッ!!友人も男ならライバルで無し!!)是非ともご一緒させて頂きます♡」

 

「楽しみですね。私は基本的に自宅にいますので気軽にお尋ねください」

 

「ハイ♡(嫌われない程度に通いつめる!!)」

 

 そう言って香山睡ことミッドナイト(31)は自室へと戻ろうとする、初日から乗り込むのは流石に悪印象だろうと計算してのことだ。

 

「あ、そういえば」

 

 すると何かに気づいたおじさんが背を向けた彼女を呼び止めた。

 

「雄英体育祭でお会いしたヒーローの方ですよね?そのお姿もお似合いですよ」

 

 と藤宮さんによる教育の成果を見せた。

 敬文攻略の前段階としてのおじさんに女性の扱いについての教育を彼女は行っていたのだ。

 

「ありがとうございます。結構私服だと気づかれないのですが一目でわかってもらえて嬉しいです」

 

 彼女の場合は如何に個性を活かすためとはいえその過激なコスチュームに目が行くのは仕方ないことだろう。内心の小躍りしたいほどの歓喜をおくびにも出さないで彼女は答えた。

 

「? 見れば分かると思いますが」

 

 そのごく自然な呆気にとられたおじさんの素の表情が香山睡(ミッドナイト)にはどストライクだった。

 

「(さらに天然とか最高かよ)それではこれで」

 

 楚々と自室に戻る彼女だが、その脳内はどうおじさんとの関係を進めるかで占められていたのだった。

 

 

 職場体験に疲れ切った緑谷出久が、ミッドナイトの行動に恐怖とおじさんのいつものに呆れを感じるのはこの暫く後のこととなる。

 

 





 起伏あるスタイルの人がキャラのプリントされたシャツ着るとか最高ですよね?崩れるキャラの姿が超良い。
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