異世界イズク   作:規律式足

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38話 語られる過去(グランバハマル)。

 

 幼馴染ともども疲労で死に体な状態で一日を過ごす、ヒーロー基礎学の密集工業地帯を模した運動場による救難実技をこなしついには放課後になった。

 

 教室の前に立ち、クラスの皆に語りかける。

 

「え、とそれじゃあ僕の過去について語るわけだけどかなりヤバい情報だから秘密にして貰えると助かるかな?」

 

 体育祭中に梅雨ちゃんと約束したこと。

 皆が疑問抱く、僕の過去についてだ。

 

「ケロ、時々緑谷ちゃんからでる異世界という言葉についてね」

 

「あと調べられる範囲での緑谷さんの過去と緑谷さんが語る話の違和感ですわ」

 

「おう、爆豪とマジなダチになりてえけど、緑谷を自殺に追い込んだとかの過去はスッキリさせたいからな」

 

(自殺教唆はしているんだよなあ)

 

 まあ僕の語りから事実の6割増しくらい印象悪化しているだろうけど。

 とりあえず聞きたがっているのは青山君を除いたA組全員プラスミッドナイト先生だ。

 なんでも青山君としては無個性時代の辛い過去とかノーセンキューらしい。

 ミッドナイト先生は、

 

「陽介さんの過去なら是非見ないと、あと誰か教員は知っておくべきと校長にも言われたわ」

 

 らしい。

 まあおじさんの過去を見せると言ってあるからね、やり方はどうあれおじさんの理解者が増えるのは望ましいし。

 

「そもそも過去を見せるってなんだ?」

 

「それからだね、峰田君ちょっと良い?」

 

 ちょいちょいと手招きし峰田君を呼ぶ。

 

「どした」

 

「まあ朝なら平気だよね?記憶再生ー(イキュラス エルラン)」

 

 記憶の精霊が気を遣ってくれたのか黒板サイズの大きさで画面が出現する。

 その中には峰田君が今流行の服を着て姿見の前でポーズを決めていた。

 

『フッ、キマっているな今日のオイラ』

 

 同じデザインだけどサイズが色々あるのが個性社会の良いとこだよね。

 救急車とかもかなり構造に気を遣われているし。

 映っている峰田君をスルーして画面を消す。

 なんか笑うに笑えないからだ。

 

「ってオイラの毎日の習慣じゃねえかあっ!!何映してくれとんじゃ緑谷ァ?!」

 

 ごめん毎日の習慣は君の暴露。

 

「とまあこのように僕は触れた相手の記憶を再生できる魔法が使えるから、それで僕に何があったかを見せることができるんだ」

 

「無視か、テメェー!!」

 

「メンゴ!!」

 

 峰田君には手を挙げて謝罪。

 

「便利な魔法だな」

 

「色々使えそう」

 

「悪用もな」

 

「まああくまで記憶の精霊にお願いしてるから、公序良俗に反したことは映せないけどね。勝手に処理してくれるし」

 

 そこら辺が精霊魔法の厄介でありがたいトコだよね。おじさんなら微調整できるけど僕には無理だし。

 

「さて、とはいえ今から流すのは僕じゃなくておじさんの過去だけど、その前に事前知識を。

 僕はヘドロヴィラン騒動と呼ばれるあの日、トラックに轢かれそうな少年を助けようと飛び出して半年間の昏睡状態になった。

 その間だけど魂は異世界グランバハマルで過ごしていたんだ」

 

「異世界転生?」

 

「いや転移か?」

 

「にわかには信じ難い話ですわ」

 

「あ、因みにこれ証拠の魔剣。こっちだと再現できないテクノロジーでできてるよ」

 

 収納空間からニュッと一振りの魔剣を取り出す。見た目はシンプルなロングソードだが斬った相手の血を吸って持ち手の体力を回復するヤバい逸品だ、持ち手と同じ種族にしか効果が無いと言う所が特に。

 

「つまり緑谷ちゃんの個性は、勇者という個性じゃなくて異世界で身につけた技術なの?」

 

「大体そんな感じ、まあ神とかアレコレあるけどね」

 

 転移ボーナスまで語ると時間が足りないし。

 

「ならなんで緑谷の過去じゃなく、おじさんという人の過去なんだ?というか誰だよ」

 

「身近な友人のエグい姿を見せるのはまだ早いって、知ってる人達からのアドバイスがあったからね。あとおじさんは僕の恩人、こっちの世界に戻れたのはおじさんの17年間の頑張りがあったらだよ」

 

「という事はこっちだと17年ぶりに目を覚ましたのか、家族と感動の再会だな!!」

 

 切島君、僕もそう思ってたんだけどね。

 

「おじさんの処遇を巡って家族で言ってはいけないことを言い合って一家離散したそうだよ。おじさんはその記憶消してるから黙っててね」

 

「「「あ、うん」」」

 

 現実の酷さに皆が項垂れる。

 クラスの皆は善良な性格だから特にね。

 

「ケロ、既にお腹いっぱいになりそうよ」

 

 これは酷かったからね。

 

「まあ比較的マシなエピソードだから、えっとおじさんにあの記憶を見せてもらった時期はと、記憶再生ー(イキュラス エルラン)」

 

 

『おおトレントよ、村に恵みを!!』

 

 そこには小さな村の中央で下半身を地面に埋められて水をかけられる僕の姿があった。

 確かこの後だったよね。

 

「「「いやちょっとおおおっ!!」」」

 

 記憶再生はまだ続く。

 

 

 

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