異世界イズク   作:規律式足

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 独自設定ありです。



48話 二人の英雄 前日譚

 

「うーん」

 

「どうした緑谷、悩み事か?」

 

 期末テスト終了後の夏休み開始までの緩やかな学校生活。悩む僕に尾白君が何事かと尋ねてきた。

 悩み事の内容は夏休みの予定。

 夏休み中に一週間の林間合宿はあるものの長期休暇であることに変わりはない。学校の施設を借りて自主練なども可能だが、あの生真面目な飯田君ですら兄とバーベキューだと楽しそうに予定を話していたくらいだ。

 今までの中学二年生の頃までの僕なら、夏休みの宿題を早々に終わらせて夏休み中にいかに効率良くヒーローイベントを巡るか予算を含めて計画を立てていただろうが、今年はどうしたものか。

 去年の今頃はまだグランバハマルだったから確かおじさんと海で海竜の群れからバタフライ(おじさんは犬かき)で逃げていたりしたんだっけ?孤島の遺跡に渡ろうとして船を壊されたんだよね。

 

「フフフ」

 

「またトラウマか?大丈夫かよ本当に」

 

 おっと辛い記憶を思い出してしまったよ。とりあえず海水浴は無しだね。

 

「予定でちょっとね。体育祭優勝特典のI・エキスポ参加について」

 

「流石の緑谷も誰を誘うか悩むか」

 

 ウンウンとようやく理解したかといった感じで尾白君が頷くけど、

 

「? いや誰に譲ろうかと」

 

「なんでだよっ!!塩崎と行かないのかっ!!麗日誘わないのかっ!!八百万でも大丈夫だろっ!!」

 

「何を言ってんの君?」

 

 まあ誰かと行く選択肢もあったけど何で彼女達なんだろ?

 

「本気で言ってる緑谷が怖い」

 

 なんか慄かれているし。

 

「オールマイトから元サイドキックで友人であるデヴィットシールド博士を紹介したいと言われてね。せっかくだからI・エキスポの時期に行くことにしたんだよ」

 

 土日で行ける場所じゃないから夏休みまで待ってたんだよね。トップヒーローであるオールマイトの出国許可が許されないのもあったみたい。特に元サイドキックの頼みでアメリカに移られるのではと心配というか警戒されていたようだ。

 

「オールマイトから直々とは凄いな。まあ意外と距離感近いというかポンコツ臭する人だよな」

 

 見抜かれてますよオールマイト。

 カンペがやっぱり駄目だったんだな。

 

「デヴィット博士の娘さん、オールマイトにとっても姪みたいな娘が無個性だからってのもあるみたいでね。是非とも話がしたいそうなんだ」

 

 当然それだけが理由じゃない。

 オールフォーワンの生存と暗躍が確認された以上、巻き込まないようにとワンフォーオールについて秘密にしていたデヴィット博士達にも累が及ぶ可能性が高い。

 僕を後継に定め、引退を視野に入れつつある今だからこそきちんと打ち明けておきたいのだそうだ。

 まあ元サイドキックのサー・ナイトアイには教えたのに、アメリカ時代の相棒には伝えてないとバレたらものすごくブチ切れるだろうと怯えていたのもあるだろうけどね。

 

「それであのトラウマ映像見せるのか?やめといた方が良いと思うが」

 

 不謹慎に面白いと思ってしまうが、それでも辛い映像というのが尾白君の本音。

 

「個人的には異世界の物品の解析とかして欲しいと思っているけど」 

 

 異世界の道具もいくつか持っているんだ、殺傷能力高いから使わないだけで。

 

「どんなのがあるんだ?」

 

「1日7回定刻で色が変わる七色珊瑚を埋め込んだ時計みたいなのとか」

 

 あと魔鎧獣モータルアゴニーも持っているけどこれは見せたらヤバいよね。鎧の形した罠魔獣で開放したら凄まじい力を発揮するけど回復し続けないと三分くらいで死ぬし。

 

「そういったのはワクワクするよな、不謹慎だけど」

 

 話すたびにシリアスに捉えられても困るけどね。

 

「まあ話がそれたけど、それでチケットが余るから誰かに譲りたいんだ。けど体育祭の特典だから一般の人には渡せなくてね。クラスの誰かにしたいけどどうしたものかなと」

 

「麗日達じゃないなら、順位的に爆豪か?」

 

「それもそっか、おーいかっちゃん!!」

 

 幽遊白書を読んでたかっちゃんに声をかけて事情を話せば、

 

「俺はいらねえ、チケットならミルコから貰ったしな」

 

 そっかヒーロービルボードチャート上位ランカーにも贈られるんだっけ?となるとかっちゃんはあの美人ヒーローと二人でI・アイランド宿泊か。

 

「随分と遠い所に行ってしまったんだね、我が幼馴染は」

 

 男として完全敗北した気分だよ。

 

「異世界行ったヤツが言うと笑えねえからな。あとミルコは行けねえよ。オールマイトが抜けた状態で日本からトップヒーローの出国は許されねえ」

 

 そういえばそんな規制があったね。

 余程の事態じゃないと国防力(ヒーロー)の流出は認められないんだ。

 トップヒーローが外国に行く場合はその人の評価によって変わるけど、何があっても対応できる戦力は確保されるんだよね。

 トップヒーロー間のプライベートな付き合いがあまり無いのってこれのせいなんじゃ?ベストジーニストとエッジショットが親しいのは雄英高校の先輩後輩だかららしいし。

 

「轟や飯田も身内からチケット貰えるみたいだし、行きたいヤツは高いが自費でなんとかできるだろ」

 

 となると八百万さんもスポンサー枠で行けるかも?なら先生方に相談してこのチケットを誰に譲るか決めた方が良いか。

 ヒーロー飽和社会の最先端技術の集まるI・アイランド。できれば皆で見て回りたいよね。

 

 

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