異世界イズク   作:規律式足

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 今回、緑谷君の態度に不快な方がいるかも知れません。閲覧注意。



53話 二人の英雄5 とおじさん

 

 レセプションパーティーに参加するために正装に着替えて約束の場所に行ったらそこには男性陣が到着していた、女性陣はドレスだから時間がかかっているのだろう。あと招待状を持っているからおじさんと香山さんも参加できるのだけど、そこまでヒーローに関心は無いので来ないそうだ。せっかくだし二人で夜景とか楽しんでいたら良いけど、おじさんの性格と香山さんのヘタレ具合からして望み薄だろう。

 

「ごめん、遅刻してもーたぁ」

 

 時間厳守と飯田君が唸っていると、可愛らしくも大胆なドレスを着た麗日さんが到着した。

 

「遅れて申し訳ありません」

 

 塩崎さんも落ち着いた大人びたデザインのドレスに身を包んでいる。

 さらに八百万さんと耳郎さんと美少女のドレス姿に素直に「眼福だねえ」と僕は呟く。耳郎さんを馬子にも衣装だなんてとんでもない、良く似合っているではないか。

 

「やっぱホテルで寝てれば良かったか」

 

 そんな華やいだ空気が性に合わないのかかっちゃんはどこか面倒そうに呟いた。

 

「皆まだここにいたの?パーティー始まってるわよ」

 

 自動ドアが開き現れたのはメリッサさん。メガネを外し華やかで大胆なドレス姿は綺麗どころ揃いの中で一際目立っていた。

 女性陣はドレス姿に盛り上がり、上鳴君、峰田君は大興奮。飯田君は時間を気にして、轟君は無反応で、かっちゃんはうんざり気味と皆それぞれの反応だった。

 

 だが穏やかな時間はそこまでとなる。

 鳴り響く警報、発動する警備システム。

 セントラルタワーにて閉じ込められた僕達は、I・アイランドをよく知るメリッサさんの存在もあり現状に疑問を抱いていた。

 

「携帯も圏外だ、ミッドナイトにも繋がらねえ」

 

「エレベーターも反応ないよ」

 

「マジかよ~」

 

 出来ることは試してみるがその反応は思わしくない。グランバハマルの魔法では機械の対処ができないからやれることはない。

 

「パーティー会場に行くべきかな?」

 

 とりあえずそこには各国のトップヒーローにオールマイト、そしてI・アイランド屈指の頭脳であるデヴィット博士がいる。ならまずは合流すべきだろう。

 

「だったら非常階段から会場近くに行ける筈よ」

 

 隅にある重そうなドアを指差しながら彼女は言う。ならば行動あるのみだ。

 

 行った先、パーティー会場を覗き込めばそこはヒーロー達が拘束されヴィラン達により銃を向けられていた。とりあえず殲滅しようとしたらかっちゃんに羽交い締めにされて止められた。人質がいてもこの範囲ならまとめて縛動拘鎖できるのだけど。とりあえず情報収集としてオールマイトに携帯の光で気づいてもらい、耳郎さんのイヤホンジャックで聴こえるように小声で話してもらった(これくらいの距離なら僕も聴こえるけど)。

 

「とりあえずパーティー会場から殲滅?」

 

「黙れ力押し野郎。こっちの動きに感づかれたら警備ロボットによる虐殺が始まるだろ」

 

 ヒーローが多く来ていても全員がヒーローではないからね。

 

「となると警備システムの無力化が必須だね。ここから魔法で吹き飛ばす?」

 

「ヴィランだけならともかく、ふん縛られた警備員がいるだろうからやめとけ」

 

 魔法の威力的に巻き込んで皆殺しにしかねないから駄目だね。

 

「じゃあ警備システムまで行って、システムを元に戻すのが最善かな?」

 

「だな。ついでに遭遇したヴィランも殺れば良いしな」

 

 とかっちゃんとサクサク方針を決める。

 パーティー会場の救出は容易い。だがそれで警備システムを動かされることが問題なのだ。

 だったら警備システムを解放してから殲滅すればそれで問題は解決だ。

 

「あとは連れてかれたデヴィット博士と助手が厄介だな」

 

「目の前に居たらなんとかできるよ、対面して人質をとるなんて行為は武器をこちらに向けられないから対処は可能」

 

「って何を動こうとしているのかね!オールマイトは逃げろと言っていたではないか!?」

 

「飯田さんの言うとおりですわ。私達はまだ学生、ヒーロー免許も無いのに敵と戦うわけには」

 

「どこに逃げんだ、島だぞ此処」

 

「資格とか罰とかは助けた後で考えるよ」

 

 規律やルール、さらに自分らの実力を加味した飯田君と八百万さんの判断は正しい。けどそれで助けられるモノを取りこぼすことを僕は許容できないんだ。

 巻き込むつもりは無い、これは僕の勝手な行動なのだから。

 

「じゃあ後は僕がやるから皆は避難してて」

 

 フルで身体強化をすれば警備システムのある最上階までもそう時間はかからないだろう。辿り着いたらヴィランを撃破して神聖魔法で職員達を治療すればなんとかなる。

 

「足手まといか俺らは」

 

「純粋に機動力の問題だよ」

  

 ケッと吐き捨てながらもかっちゃんも否定しない。オールマイトがNO1ヒーローである所以はその究極の肉体による誰も追いつけない機動性にある。だからこそあれだけの規模のエンデヴァー事務所に比肩するほどにヴィランを捕らえているのだから。掌握された警備システムによる警備ロボットや降ろされた隔壁も僕なら対処できるしね。

 

「だったら戦力として当てに出来る異世界おじさんには連絡しといたらどうだ?携帯以外の連絡手段とかあるんだろ?」

 

 確かに魔法を用いれば可能だけど、

 

「それだけはしない」

 

 たとえ最善であってもおじさんは頼らない。

 

「はあ?」

 

「あの人は17年間もグランバハマルに居たんだ。これ以上の戦いなんてあっちゃいけないんだ」

 

 僕のように自らの意思で鉄火場に身を置くのではない。力があるのに使わずに一般人として生きることを選んだのだからその生活を邪魔してはいけないのだ。

 

「なら仕方ねえか」

 

 不承不承かっちゃんは頷く。

 

「待ってっ!!」

 

 電子機器は電波障害とかで使えなくなるからアナログな地図は必須だよね。と空間魔法からセントラルタワーの見取り図を取り出していると、メリッサさんの必死な声がした。

 

「イズクがなんとかするの?イズク一人でなんとかする気なの?」

 

「それが最善だからね」

 

 全員の心が決まっている訳ではない、まだどうするか揺れている状態だ。ならば協力を仰ぐべきではないと思う、迷いを抱えて戦いの場にでるべきではないのだから。

 

「勇者様、何か私にできることはないのですか?」

 

 塩崎さんの共に戦いたいという言葉、しかし目指す場所が最上階、200階となると集団で動くメリットは無い。

 

「同感だ、俺も出来ることはしたい」

 

「ウチだって」

 

 轟君と耳郎さんも同じ気持ちだ。いやヒーローを志す皆がなんとかしたいと思わないわけがないのだ。

 

「どうしようかっちゃん?」

 

 僕が単独で突貫するのは確定だ。あまりに移動速度に差があるからだ。けど皆の気持ちを無下にしたくない。

 

「囮だな」

 

「「「オトリ?」」」

 

「連中も予備戦力を警戒して対処できる配下ぐらいいるだろう?そういった腕自慢のヴィランを引き付ける役がいたほうがいいだろ。そもそもそうやって動いてる連中とは別に本命がいるとは思わないだろうしな」

 

 つまり本命は僕で皆が囮になるわけか。

 

「つーか確かイズクは飛べたよな?空から侵入は出来ないのか?」

 

「それは出来るけど」

 

 精霊魔法に浮遊の個性でいけるかな。

 

「あ、外部からの侵入は止めた方が良いわ。警備用のドローンがある筈よ」

 

 隙がないなあ、流石I・アイランド。

 

「えっとなんでも昔の警備主任がキャプテンセレブリティに恋人を奪われたことがあって、それで彼を撃ち落とせるレベルの空中対策をしたらしいわ」

 

 何してんだアメリカのメジャーヒーローと当時の警備主任。

 

「なら目立つ囮はより必要だな」

 

 突破できても隠密行動のための外部侵入だからね。発見される可能性があるならやめた方が良い。

 

「よし、そんじゃイズクは爆走して警備システムの奪還。もう一組は非常出口から隠密行動と見せかけた囮役どっかでわざとらしく警報鳴らすぞ。あとの残りはパーティー会場近くで待機だ、警備システムが奪還されたらヒーロー達の援護をすりゃいい」

 

 やっぱりこういった時の仕切りはかっちゃんがいると助かるよね。

 

「緑谷君に負担が大きいが仕方ないか」

 

「機動性の問題ばかりはどうしようもありませんわ」

 

「無重力で軽くなって引っ付いていくとかならどうやろ?」 

 

 皆もどうやらそれで納得してくれたみたい、怖い気持ちがあった峰田君もそれならばと了承してくれた。

 

「待って、私もイズクについていくわ」

 

「まあ警備システムの設定変更できるヤツは必要だし、妥当だな。場所にしても携帯のナビが使えねえから案内してもらった方が確実だ」

 

 確かに一人くらいなら背負えば大丈夫だけど(あと峰田君ならぶら下げて連れてける)。

 

「お願い」

 

 彼女もヒーローを志した誰かを助けたいと思う人、引き下がりはしないか。

 

「分かった、一緒に行こう。君は必ず僕が守ってみせるから」

 

 危険があることはわかっている、それでも出来ることはしたいという彼女の思いを無下にはしたくない。

 

「決まりだな」

 

 飢えた肉食獣のような獰猛な笑みを浮かべたかっちゃんは宣言する。

 

「三方別れての襲撃犯撃退、テメェらしくじるんじゃねえぞ」

 

「「「ああっ!!」」」

 

 その場の全員が力強く頷いた。

 





 200階までの移動が問題過ぎになりました。
 皆で行動解決はやりたい手法でしたが、戦闘力以上に機動力が問題になりまして。
 皆に合わせてゆっくり移動できる状況でも無いので、緑谷君が単独行動することを強調されてチート主人公らしい傲慢な態度に見えてしまいました。
 不快に感じたらすいません。
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