ちなみに作者はドリームキャストでサクラ大戦を全作品クリアした程度のセガユーザーです。
なのでセガ知識は異世界おじさん頼りです。
2日後(オールマイトの心労のため)朝6時。
オールマイトからワンフォーオールを託され、それを使いこなすための訓練の時間だ。
「うーん半年前ならワンフォーオールを使いこなせるように肉体作りをしてもらってたけど、緑谷少年には必要なかったね」
「グランバハマルだと移動手段は徒歩か、あっても馬車がせいぜいで自然と体が鍛えられてたみたいです」
「えー、ルー○とかテ○ポとか魔法に無いの?」
「おじさんがロープレを駄目な人でしたからね。あと元の世界に帰るためのダンジョン攻略メインな生活だったから一度行ったトコはあんま行かなかったんですよ(行ったら襲われるし)」
「うーん、こういう生異世界トークは正直胸膨らむねえ(なんか緑谷少年達焼かれてたけど)。おじさんも若い頃エルフと冒険とかに憧れたもんだよ」
「グランバハマルだとチョロくて病んでて独占欲強くてツンデレなストーカーでしたけどね」
「属性てんこ盛り過ぎじゃない?おじさんはディー○リットが良いよ」
「尽くす系なのは一緒ですけどね。おじさんからの印象は十七年の付き合いあっても嫌な奴止まりでしたけど」
「緑谷少年の恩人のおじさんて、なんか頭おかしいよね?」
「何を今更」
「「ワーハッハッハッハ」」
10月の早朝から笑い合う二人の男達。
だがそれにはある理由があった。
「ところで緑谷少年、そろそろ現実に目を向けるとしようね」
「心から反省しています」
「謝るの早っ!!いや良いことだけど」
それは周囲の市営多古場海浜公園の現状が理由。本来、というかつい数分前までは海流的なアレで漂着物が多くそこにつけ込んだ不法投棄に溢れゴミだらけだったこの地は、
もう焼け焦げた臭いだけをのこして、そこには何もなかった。
「これ、人に撃っちゃまずいですよね(おじさん以外)」
「どうしよ、この区画一帯の水平線を蘇らせることを課題にしようとしたのに十秒で終わっちゃった」
オールマイトから修行内容はゴミ掃除。ヒーローとしての本質である奉仕活動、心構えと身体作りを兼ねたその修行は、オールマイトによる誰もいないしせっかくだから派手な攻撃魔法見てみたい、の一言で朝露とともに消えた。
その魔法はおじさんにとって不快な記憶の一つである刺殺獣に使ったもの(若い頃のアリシアさんも綺麗でした)。
炎凰殲滅(バライブート フォルグバストール)。鳳凰を模した業火は海浜公園一帯を擦るように駆け(一応撃つ前に生命反応は確認した)、そこに在ったモノ全てを焼き尽くすを通り越して蒸発させた。
「攻撃魔法全般は人に撃てませんね。向こうの魔物は完全に害獣だから容赦の必要なかったけど、ヴィランを殺しちゃまずいですし」
「エンデヴァーみたく威力抑えて使えないの?」
「おじさんなら微調整できそうですが(注、したら精霊がキレます)、僕は覚えた魔法を使うことしかできないので」
威力を抑えたらそれはもう別の魔法。だが基本おじさんが使った魔法しか覚えてないため、そんな丁度良い威力の魔法は知らなかった。
「まあこの状況は誰も見てないし私が誤魔化しておく(塚内くんに丸投げしよう)から良いとして。私考案の合格アメリカンドリームプランができなくなったね」
渡された用紙に記入されたスケジュール。
そのきちんと考案、計算されたメニューに、感動の涙が溢れてくる。
だっておじさん、ダメージ受けても勝つまでやればいいじゃんって主義だったし。エ○リアンソルジャーのスーパーハードに八年賭けたおじさんの根気は異次元のレベルだ。
「筋トレは普通に出来るレベルですが、食事内容とかは参考になりますね」
「そう言って貰えると嬉しいよ。異世界の食事とかも気になるけど(ウキウキ)またの楽しみにとっておこう」
何気に楽しんでいるなオールマイト。まあ僕も向こうでおじさんの記憶を見るのが楽しみだったから気持ちは分かるけど。
「しかし緑谷少年ってワンフォーオールをかなり制御できてるのかい?」
「ええ凄いパワーですよね、昔アメリカでオールマイトが倒壊したビルを一人で支えられたのも納得です」
「かなり覚える、というか習熟早いね。異世界生活が土台になっているのかな?私も師に託されて直ぐに扱えたけど、それまで訓練とか実戦は積んでたからね」
「半年前まではこんな簡単に物を覚えられなかったんですけど」
異世界生活だけではない要因がありそうだけど、イマイチ原因が分からない。
この身体まだ何かあるのだろうか。
「うーん、これだとあと数ヶ月余裕があるね。時間が勿体ないし、プランを組み直すより実戦、というかぶっちゃけ手加減を覚えた方が良さそうだね」
手加減、それは確かに。
拘束、無力化は(主に村人相手に)慣れているけど、ワンフォーオールを用いてのヴィラン相手ならまた別だろう。
「やっべーよな、おっかねーよな、でもグラントリノには連絡して。あとはお詫びしてからナイトアイにもお願いしよう、彼も推してる子いるけど緑谷少年なら大丈夫だろうし」
プランを組み直してくれるオールマイトを見ながら、そういえばと収納魔法から呪符を取り出す。
「よし、方針は決まったよ。あちこち頭下げる必要あるけど緑谷少年も顔見せついでに一緒に行こう」
「わかりました。それでオールマイト」
「どうしたんだい?」
「呼吸器官と胃袋などの損傷で血を吐いているんですよね」
「それ以外もあるけど、主な要因はそれだね」
「ならこの回復の呪符を使えばマシになるのではないでしょうか?」
「ありがたいけど、唐突にオーパーツを出さないで欲しいかな(ゲボォッ!!)」
「後は完全な治療は傷が塞がってるから回復魔法じゃ厳しいか。なら光剣顕現(キライドルギド リオルラン)」
「え?なんで治療に光の剣?しかも構えるの?」
「その部分を吹き飛ばして、神聖魔法の人体蘇生をやればイケるかもしれません」
スチャリと光剣を構える。
大丈夫、痛いだけですから。
「怖い怖い怖い、発想が怖いから!!
いいから緑谷少年っ!!この傷は私の来歴みたいなものだから、巨悪といえど命を奪った戒めなんだ。だから消す必要ないよっ!!」
「なら仕方ないですよね」
(目がマジでスゲー怖かった緑谷少年)
「けどこの呪符も良いのかい?二度と手に入らないモノだよね?」
確かに在庫には限りあるし、オールマイトがそう思っても仕方ないけど、
「呪符作成はアリシアさんに習ったからいつでも自前で創れますよ」
「緑谷少年のヤバい情報さらに追加されたぁっ!!(ゲボォッ!)」
こうして雄英高校受験までのオールマイトとの日々は過ぎていった。
紹介されたオールマイトの師匠の一人であるグラントリノと鯛焼きを食べながら組み手したり、オールマイトのサイドキックだったサー・ナイトアイと最初は揉めたけど仲良くなったり(彼の個性と記憶再生の組み合わせがヤバすぎた)、洸太君との関係からワイルドワイルドプッシーキャッツのマンダレイと親しくなれたり(年上のお姉さん最高)、かっちゃんが異世界をマジだと知って卒倒したり、色々なことがあった。
思い返せば一瞬だったように感じるくらいに時間は早く過ぎたけど、それは今までの無個性の劣等感から俯いて生きた日々とは違う、とても充実した時間だった。
これもあの半年間があればこそ、あの異世界生活あればこそだなと思ってしまう。
現在、オールマイトの知り合いの警官である塚内さんに頼んでおじさんを探して貰っている。
雄英高校に合格したその時に、彼にお礼を言いたいから。貴方が助けてくれたからですと伝えたいから。
さあ気合いを入れよう、明日はいよいよ雄英高校の入試当日だ。
なんか最終回みたいか終え方ですが、まだまだ続きます。