異世界イズク   作:規律式足

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 転職したり、ファイナルファンタジーのリマスターやったり、部屋の片付けしたり、ナノブロック作品を分解して収納したり、積みプラを消費してり、草むしりしたりしてたらいつのまにか時間が立ってました。
 ゴールデンウィークはずっと自宅です。



68話 うまくいった話(自己申告)

 

 峰田君の許容範囲の広さにドン引きしながら改めて記憶再生を実行する。

 そういえばおじさんが親しくないからグランバハマルの映像見せてもまだマシという判断だったけど、顔見知りになり一部では尊敬すらされている現状ではまずくないだろうか?

 もはや今更過ぎる考え、だけどワクワクしてる皆を前に再生をやめるわけにはいかない。 

 

(まあ人死なないから大丈夫だよね)

 

 そう思い直して再生を始めた。

 

 

 

「異世界人、酷すぎじゃね?」

 

 神に肉体を再構築された十七歳のおじさんが冒険者にボコられる映像が続いている。

 高校生のおじさんの姿にスマホを激写していたミッドナイト先生も、イケメン冒険者三人組に盛り上がっていた女性陣も青い顔になっている。

 グランバハマルでは(容姿がアレな存在には)当たり前なことだけど慣れてないと辛い光景だよね。敬文さん達はこのシーンを転移ボーナス検証のために再生したらしいけど、僕たちは目的じゃないからサクサク流そう。丸太に手足を括りつけられ運ばれるおじさんのインパクトのせいで、おじさんが会話できていたことにツッコミを入れられることなく見世物小屋まで場面は移り変わった。

 

『銅貨三枚だな』

 

 無情な査定結果は、金欠で古本を古本屋に売り払った時のことを思い出すね。いくら思い入れあった逸品でも一冊十円だったなあ。多分おじさんがかけていた眼鏡の方が高値だったよね。

 

「ちなみに緑谷の値段は?」

 

 と、拾ったたわしとおじさんの値段の差に皆がドン引きする中(ミッドナイト先生は自分の人生と引き換えにおじさんを買いますと叫んでた)で気になったのか轟君が聞いてきた。

 

「「「売られたことある前提で聞くなよっ!!そんな酷い経験無いかも知れないだろっ!!」」」

 

「金貨三十枚(時価)だったよ」

 

「「「やっぱりあったよ、そして値段の差があり過ぎだろっ!!」」」

 

 いやトレントの幼生体は瀕死の生オークと違って希少で需要もあるから。

 飼って良し、加工して良し、煎じて良しの魔獣なんだよね。

 

「で、おじさん(十七歳)は見世物小屋の地下にある檻にぶち込まれて」 

 

「意外と魔獣って割には大人しそうな兎とか鳥ばかりだな」

 

「可哀そう」

 

 兎を飼っているらしい口田君が辛そうに見てるけど、魔獣って武装した人間を殺せるかどうかが判断基準なんだよね。

 

「店主に忘れられて一週間経過と」

 

 そこからのリアル監禁映像にクラス内が再び静まりかえり、画面の中のおじさん(十七歳)の独り言だけが空気を震わせていた。座りこみながら正気を保つために月明かりに話しかけるおじさんの姿がなんか懐かしい。僕の場合もそうだったけどこれくらいなら全然正気だからだ。それでもおじさんは僕とは違って助けてくれる人がいない中でよく切り抜けれたなーと思うけど。

 光剣で檻と魔法陣を斬り裂いたおじさんの脱走劇、ついでに囚われた小型の魔物を逃す姿はまさにおじさんらしい行動だよね。

 

『ガヂィィン!!』

 

『ホアッ!?』

 

 その流れで窮地に陥る所も含めて。

 

「「「害獣かよっ!!」」」

 

 グランバハマルでは見た目良いとかカワイイとかは安全とか優しいとかとイコールじゃないから。

 助けられた恩など関係ないとばかりに喰らいつく魔獣達。戦闘に長けたA組でもこの状況になったら口田君以外だとどうしようもないよね。

 

『悪鼠獣!死狼獣!狂牙鳥!』

 

「名前からして凶暴な魔獣じゃねえーか」

 

 巨大ハリネズミが刺殺獣だったからなあ。ヒヒヒという鳴き声といい魔獣って獲物を嬲る生態があるんだろうね。

 おじさん(十七歳)の絶体絶命の状況に堪えきれずに画面に突っ込もうとする面々を魔法で拘束する。だから過去の記憶だって、十七歳の少年が一週間檻に入れられて四日間水しか飲んでない状況だから心配するのも仕方ないけど。

 

『君の役は』

 

「このフレーズは!?」

 

『ひたすら逃げまどう一般民衆か?』

 

 おじさん(十七歳)の呟きにミッドナイト先生だけが何かに気づいたみたいだ。

 

『それとも!?』

 

 覚醒。

 命の危機である時に思い浮かぶ光景。それが一歩踏み越えるきっかけになる。

 僕が拳を振り上げるオールマイトや、駆け抜けるおじさんの背中を思い浮かべるように、誰にでもある事なんだろうね。

 光剣を顕現し高速機動しながら斬り伏せる。おじさんの基本スタイルはこの時に生まれたんだ。

 見世物小屋の店主を助け(どこ飛ばしたんだろ?)一晩中おじさんは戦い続けた。

 戦いが終わり、日の出とともに食べた焼き肉は人生で一番美味しかったそうです(空腹は最高の調味料理論)。

 

 

「とまあこんな感じかな?」

 

「「「「「どこが比較的マシな話だあああっ!!」」」」」

 

 A組+αのツッコミが夏休み中の雄英高校校舎を揺らした。

 おじさんと僕の感覚的にはマシな話なんだよなあ。おじさんもかなりいいスタート切れたって照れながら言ってたし。

 

「いやでもこの後はろくでもないことしかないから、よりマシに感じるんだって」 

 

「ケロ、これより酷いことがある現実に絶望するわ」

 

「ヒーローってのはこんなモンを直視しなきゃいけねえのか」

 

「言っとくけど、流石にプロヒーローでもこんな状況に頻繁に遭遇したりはしないわ。でも事件でも事故でも災害でも同じくらい酷い状況があるのは事実よ」

 

 ワンフォーオールの中の歴代からしてもマシな話だったからね。

 

「それで何があったんだ?」

 

「「「聞くな轟ィー!?」」」

 

「普通に気になるだろ」

 

「そうだけどキリがねえんだよ!!」

 

 おじさんの記憶って止め時が難しいよね。グランバハマルでも夢中になって背後からの奇襲に気づけなかったこともあるし。

 

「そう、ろくでもないことでとても恐ろしい出来事だったんだ(ガクブル)」

 

「緑谷が震えるってどんだけだよ」

 

「おじさんがエルフさんを竜から助ける話で、二人のファーストコンタクトだからね」

 

「「「そっちが見たかったわ!!」」」

 

 いや後半に問題があって、記憶の精霊さんの検閲がちょっと。

 皆が続きを熱望したけど、時間が迫っていたので今日はお開きとなった。

 精神的なダメージになるけどやめられない中毒性が異世界生活、おじさんの記憶にはあるのだ。

 





 今後も投稿は不定期になりそうです。
 
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