爆豪君視点です。なおギャグ回。
「何してんだお前ら?」
三日目の晩飯は肉じゃが。
カレーの次の日に肉じゃがは嫌だなあと思いながらも大鍋調理が可能で二十人もの腹を満たす学生が出来る料理などそう多くない。イズクのように食いもんを持ち込めば良かったと後悔していたら、マンダレイから肉じゃがに使う肉を牛肉と豚肉か選ぶように告げられた。ぶっちゃけどうでも良いのだが、対抗心の強いB組の物間のせいでどちらにするのかその場で決まらなかったのだ。このままだとまた面倒な勝負になりそうだと察したA組一同はジャンケンで負けた俺に話し合いを押し付け部屋へと戻ってしまった。物間に慣れた結果スルーが一番効果的だと学んだのだろう。反応も相手にもされず寂しそうな物間の後ろ姿があったとか。
そんな経緯で決まった肉じゃがの話し合いだが、発端の物間が拗ねて部屋の隅で体育座りしだしたので、特に揉め事にならずもう肉を両方打ち込もうと両クラスの肉じゃがを協力して作ることになった。つーか物間が煽らないと敵対しないのなコイツラ。
牛豚ダブルの肉じゃがが確定して割り当てられた部屋に戻ったら、
「顔真似やります。オールマイトからの異世界おじさんっ!!」
「もう個性だろソレっ?!」
「一発芸、ラベンダー」
「グロっ?!」
「ザ・魔雲天」
「ブフーッ?!」
オールマイトの濃い顔から異世界おじさん顔に自分の顔を真似というか変形させる出久。
伸ばした一つの腕から突き上げるように掌を生やして遠目にはラベンダーに見えるが半端なくグロいことになっている障子。
後頭部に顔と柔道着を書き、某悪魔超人を表現している口田。
その様々な芸に寡黙なキャラ作りをしている常闇が黒影共々畳をパンパン叩く程爆笑していた。
「俺達ヒーロー候補生に遊んでる時間などない」
「いや遊んでるだろ」
パーティグッズのクルンとカールした付け髭を装着した轟は腕を組みながらそう言った。
「ヒーローにユーモアは欠かせない。ゆえに僕達は日々研鑽を続けなくてはならないんだっ!!」
「言っていることは理解できるが、迷走していることも自覚しろ」
星型サングラスをつけた飯田の真面目な言い草に突っ込む。やはりお前らの暴走かよ。
「「さあ次はお前(君)の番だ」」
A組男子一発芸大会と紙に書いて張り出されているからこの天然と生真面目があらかじめ用意していたのだろう、何してんだコイツラ。
しかしこの場で披露できる持ち芸なんぞそう無い。全くあらかじめ言っとけよ段取り下手め。
内心で悪態を付きながら荷物から徳用ボトルのタバスコを取り出す。
「タバスコ一気飲み」
蓋を外すのが面倒なので瓶の上部を手刀で切り飛ばし飲み干す。
「「おおー」」
「いや拍手してないで瓶を手刀で切れることに誰か突っ込めよ」
「プハーッ。旨い、もう一本っ!!」
とりあえず俺の番は終了だな。
「そろそろ補習の時間だから次で最後だな」
補習組は一発芸大会の後に補習をやるのか、エゲツねえ。
「よーし俺の番だな」
そしてこれから夜中に4時間座学補習なのに元気だな上鳴。
「峰田っ!!」
おそらく峰田のモノマネのつもりなんだろうが頭部にもぎもぎを大量に貼り付けて上鳴は勢い良く飛び出してきた。
「「「うわあ」」」
「え?」
だがそれを見た男子一同は上鳴の期待した抱腹絶倒爆笑大ウケではなく、コイツやっちゃったよというドン引きな目だった。
「え、どうして?面白いだろ?」
その反応に上鳴だけが理解出来ずに聞いてくるのだが、マジでやらかしに気付いてないらしい。
「なあ上鳴よ」
「ウェイ?」
皆の反応にもはや涙目の上鳴にこれから起こる悲劇を教えてやる。
「どうやってそのもぎもぎを取るんだ?」
「いや普通に引っ張って、あ」
ようやくやらかしたことに気付いた馬鹿(上鳴)。そう吸着力抜群の峰田のもぎもぎ、そんなモンを頭に付けたら峰田そっくりになれるだろうが剥がす時地獄に決まってんだろ。
「しまったーっ!!」
「ハゲ確定だな」
「皆で上鳴をハゲまそう(ドヤ顔)」
「まさにハゲ増しだな(ドヤ顔)」
「障子、この天然と生真面目を座布団で張り倒せ」
「ああ分かった」
頭を抱え叫ぶ上鳴にドヤ顔の二人。
処置を障子に頼んだが、これもユーモアかとそれすらも満足げだ。
そしてブチリブチリと上鳴の頭からもぎもぎを取る音と上鳴の悲鳴がマタタビ荘の夜に響いていった。
こうして合宿二日目の夜は過ぎていった。
なおこの上鳴の自爆は、後に『峰田の刑』としてA組のお仕置きとして恐怖と共に定着するようになる。まあ峰田本人と口田にはあまり意味は無いが。
補足説明。
障子君の一発芸、ラベンダー。
自分の個性で誰かを笑わせようと彼が苦心の末に生み出した一発芸。だが意図に反して半端なくグロいため子供は泣く。
元ネタと見た目は魔人探偵脳噛ネウロのイビルラベンダー。
攻撃技としての威力はかなりのモノ。