異世界イズク   作:規律式足

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 残業を無くす個性が欲しいです(吐血)。
 オリ設定有り閲覧注意。
 いやこの展開は無理な人は本当に無理かも。



77話 復活

 

 ピクリピクリと意識を失ったまま身体を痙攣させるオールマイトを手術台の上に放置して、僕は完全防音された手術室から出る。

 治療(?)は無事成功。

 個性の発生により急速に発展した医療技術でも治すことの出来なかったオールマイトの古傷は、神聖魔法という神の御業により癒やされたのだ。

 

「無事に終わったようだな。尤も私の目にはこの未来は見えていたが」

 

 まあ手術台の上で痙攣してる姿では判断することが難しかったがなと、まるでサラリーマンのような見た目のヒーローであるサー・ナイトアイは言う。

 彼の個性で成功する姿が見えたら実行する。それはこの治療法を試みる前に決めていたルールだった。

 

「検査した結果だけど譲渡による個性因子の低下こそあるが、それでも以前よりはエネルギーの巡りが良くなっている。やはり負傷部位にかなりワンフォーオールの比重が割かれていたようだ」

 

 僕達より遅れて手術室から出たデヴィッド・シールド博士が検査データを見ながらそう告げた。それならば活動時間は今までより改善しただろう、こればかりはオールマイト本人に確認しなければならないけど。

 

「しかし麻酔も無しにやるのはどうかと思ったけどね。トシなら腹に穴の一つや二つ空いたところでまるで揺るがないのは間違いないが」

 

「デヴィッド博士に同意するな。確かにオールマイトならたとえ首だけになろうと笑顔を絶やさないだろうがな」

 

 流石は元サイドキックの二人。オールマイトへの信頼が半端ないです。

 

「グランバハマルだと麻酔無しだったのでつい。それに治療ならともかく再生魔法で麻酔効いてたら思わぬ副作用とかありそうなので」

 

 腹部そのものを吹き飛ばしてからの再生魔法、グランバハマルで何度もやったがその時に麻酔の類は使用していない。大丈夫か試して見ればよかったのだが、麻酔を投与してから腹部を吹き飛ばして再生魔法の治験なんて言うまでも無く違法だ。こっちの世界ではまだそこまで自分自身が重傷にもなってないので自分でも試してないし。

 

「神様の力ならなんとかなるんじゃないかな?」

 

「ああ偉大な英雄に奇跡は与えられるだろう」

 

「同一である確証はないですが、あんな異世界転移と転移ボーナスを与える神様ですよ。信頼できませんよ」

 

 再生音声でリージョンコードすら適当な神様なんですから。

 

「敬意は払っても妄信するな。自分に都合良く力が働くと思っちゃ駄目だよとおじさんも言ってました」

 

「ヨウスケらしい言葉だな」

 

「異世界おじさんか、この件が終わったら私も挨拶に行くとしよう」

 

 おじさんらしい深い言葉だけど、実はメガドライブのエイリアンソルジャーの経験かららしいです。取説にフェイク入っている点かららしいけど(あくまでおじさんの意見です)。

 おじさんらしいなぁ(遠い目)。

 

「しかしこれでオールマイトは復活した、経験を積んだ分だけ強化されてると言っても良い。個人的には彼が食事を楽しめることが喜ばしいがな」

 

「そうだね、ヴィラン連合に対する反撃作戦があるから直ぐにとは言えないが昔馴染みを集めてパーティを開きたいね。弱体化がバレないよう人付き合いも避けがちだったしね、トシは誤魔化し下手な嘘をつけない性格だし」

 

「その件なんですが」

 

 オールマイトは健康体になることで全盛期とは言わないまでも力を取り戻した。それはこれから控えているヴィラン連合との決戦にて大きな力となるだろう。だけど僕は、ここで彼らに一つの提案をした。

 

「トシは反対するよ」

 

「お前は何を言っているか理解しているのか」

 

 提案を聞いた二人も渋い顔をする。

 これはそれだけのことだからだ。

 

「歴代からの許可は得ています。そして初代からも今まで前例は無いが恐らくは可能だとも」

 

「しかしトシの気持ちがだね」

 

「いやオールフォーワンが現れる可能性が高い以上そうすべきではあるが」

 

 提案内容に悩む二人。

 この二人の思想はオールマイトが最優先、だからこそあの人の意に沿わぬことはしたくないのだ。

 だがこれは僕にしても退けないことなのだ。

 

「とりあえずトシに話してからだね」

 

「ああ全てはオールマイトが決めることだ」

 

 結論はそうなる。

 そう本人に無理強い出来ないことだから。

 僕は収納魔法で異空間から盃を取り出してオールマイトが目を覚ますのを待つのだった。

 

 

 

「うん爽快な気分だね。まるで生まれ変わったような感じだよ」

 

 ヨロヨロと手術室から出てくるオールマイト。その姿は痩せこけた骸骨のようではなく、マッスルフォーム時程ではないが筋肉質な男性の姿でデヴィッド博士とサー・ナイトアイは懐かしそうに見ている。これが6年前のオールマイトのトゥルーフォーム、八木俊典なんだろう。

 

「ありがとう緑谷少年。これで私は全力で最後の戦いに臨めるよ!!」

 

 拳を握りしめてオールマイトは言う。そこに決意を込めているかのように。けど、

 

「本当ですか?」

 

 僕はその言葉に頷けない。

 

「本当に全力なんですか?」

 

 だからオールマイトに問いかけるのだ。

 

「ああ、ワンフォーオールの残り火を燃やし尽くすつもりの今の全力だね!!」

 

「それは貴方の全力じゃない!!」

 

 これを最後と決めたヒーローの言葉を僕は否定する。今の状態ですら出来ることを全てやりきっているわけではないのだから。

 

「緑谷少年?」

 

 叫ぶような僕の言葉に呆気に取られるオールマイト。

 そんな彼に僕は告げる。

 

「ワンフォーオールを受け取ってくださいオールマイト。ワンフォーオールを宿した貴方こそが全力のオールマイトなんだ」

 

 僕は自らの血を溜めた盃をオールマイトに突き出す。

 自らの一部を飲ませ意思を込めることが、ワンフォーオールの譲渡の方法なんだ。

 

「待ってくれ、緑谷少年っ!!私はもう君に託したんだっ!!いくら勝つためでもその力を再び受け取ることなんて出来ないっ!!」

 

 叫びながら拒否するオールマイト。

 その意思は分かる、残り火の力でなんとかしてみせるという彼の決意は分かる。

 でも、

 

「ヴィラン連合の制圧に僕とおじさんは参加できません。治療のために後方に控えることはできても貴方と共に戦うことは出来ないんだ」

 

 かつてオールフォーワンを討った決戦、そこにはグラントリノだけが援護としていたらしい。

 トップヒーローが集結する今回の戦いにここまでする必要はないかもしれない。たとえ窮地に陥ってもオールマイトならその意思で逆境を打ち破ることができるかも知れない。

 

「貴方の最後の戦いに悔いなんてあってはいけない。ワンフォーオールがあればこうはならなかったと後悔して欲しくない。だから再びこのバトンを受け取って最後まで走り抜けて欲しいんだ」

 

「緑谷少年」

 

「僕に再びこのバトンを渡すために必ず生きて勝って戻ると約束して欲しいんだ」

 

 頭を下に向けて泣きだしそうな顔を隠す。

 保証が欲しいんだオールマイトが勝つことの。

 約束が欲しいんだ戻ってきてくれることの。

 僕はただ不安なんだ、戦いの結果を恐れている。オールマイトの死を恐れている。

 平和の象徴とすら謳われたヒーローを信じきれてない自分が情けなくてみっともない。

 世界は何が起こるか分からない。それを実感して知るがゆえに不安が拭えない。

 

 軽くなった手。

 顔を上げればグイと盃を傾け血を飲み干すオールマイトがいた。同時に自分の中から力と歴代達の意識が抜け出ることを感じた。

 

「約束しよう緑谷少年。私はヴィラン連合に、オールフォーワンに勝ち、君に再びこの力を託すと」

 

 輝かんばかりに気迫溢れる姿。

 今ここに平和の象徴は完全に復活したのだった。

 

「私が完全復活して来たっ!!」

 

 





 正直この展開は受け付けられないかもと考えて投稿を悩んでました。
 でも出来ることは全部しないと全力ではないと思うのでやりました。なお先代の生存がオールマイトしかいないため、再び継承できるかはオリ設定です。ご意見感想お待ちしております。
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