異世界イズク   作:規律式足

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 すいません、かなりギャグです。
 独自設定もあるので閲覧注意です。



79話 ワンフォーオール。

 

「目覚めなさい、目覚めるのですオールマイト。いや八木俊典よ」

 

(なんだ?)

 

 誰が呼ぶ声がする。

 私を呼ぶ声がする。

 それが助けを求める人々の声でないことにホッとしつつ妙な違和感を感じながら私は瞼を開く。

 身体に痛みなく寝れるのはいつ以来だろうかと思いながら床についた昨日の夜。どれくらい睡眠は取れただろうか緊急連絡以外で人に起こされるのは久しぶりだ。だが眠りについた筈なのに寝た感覚がしないことに私は気がついた。

 

(いや、まさかここは)

 

 心当たりはある。

 そう緑谷少年が歴代継承者達からハグされた(師匠にもとか超羨ましい)、ワンフォーオールの精神空間だ。

 

「起きましたねウィリス」

 

「ぎぃぃぃやぁぁぁっ!!」

 

 が、そこには触れそうなくらいドアップな見たことのないおじさんの顔があり、私はグラントリノのSIGOKI以来出したことの無い悲鳴を上げた。

 というか、誰?

 ジーパンにシャツ、さらにガンベルトを付けたフヨフヨと浮いたバーコード頭のおじさん。歴代にこんな方は居なかったよね?

 

「私はお前のコスチュームに宿る精霊!!そして此処は私の空間、ウィリス空間でウィリス(本当は勝手に間借りしてんだけど)」

 

「コ、コスチュームの精霊ですか。そんな存在も居るんですね」

 

 緑谷少年と異世界おじさんの使う精霊魔法があるのだから居てもおかしくはないが、なんでこんな見た目なんだろう?

 

「まあ特にこの国は八百万の神とかいうなんでも神様がいる国だから余計に発現しやすいんでウィリス。メイド服とか木刀とかギャルのパンティーにも精霊はいるでウィリス」

 

「そ、そうなんですか(個性関係無く、ファンタジーなんだな現実って)」

 

「お前が志が高いだけのクソザコナメクジな無個性だった時からお前のすぐ側にコスチュームの精霊は存在したんでウィリス」

 

 クルンと横回転してからこちらを指差してコスチュームの精霊は言う。

 

「だがそれももう終わり、別れの時はもう間近なのでウィリス」

 

 そうかわかった。

 なんでこのタイミングで彼がコスチュームの精霊が会いに来てくれたのか。

 塚内君達、警察の皆さんが突き止めてくれたヴィラン連合の拠点。その地の制圧、ヴィランの捕縛、そして居るであろうオールフォーワンとの戦いこそが私のヒーローとしての最後の務め。

 だからこそ彼は共に戦い抜いた戦友として私に別れを告げにきたんだ、と。

 てっきり緑谷少年に継承したことでワンフォーオールがバグったのかと思ったよ。

 お疲れ様はまだ早い。

 けど今までありがとう、ヒーローコスチューム。君という存在があったからこそ私はヒーローに成れて、ヒーローで在れたんだ。

 

「そう、最後の、最後の機会だから」

 

 涙を堪えるかのように俯いた精霊(自称)。

 ポツリポツリと何かを呟くと、飛び跳ねるようにいきなり顔を上げる、そこに狂笑を浮かべながら。

 

「積年の怨みを此処で晴らしたらあーっ!!」

 

 右手にチャカ、左手に長ドスを握りしめて襲いかかってきた!!

 

「えええーー!!」

 

 ナンデ?! ドウシテ?! 

 

「個性に耐えきれないからとコスチュームを破きすぎだテメェーーッ!!」

 

 どうしよう、心当たりしかない。

 

「「「「「「「「オールスターインパクト!!!!」」」」」」」」

 

「ひでぶ?!」

 

 だが、ヴィランにも劣らない激情と狂気と殺意をもって襲いかかってきた精霊は7人のヒーロー達が一斉に放った必殺技に呑まれ消えていった(初代は何故か椅子を投げてた)。

 

「危なかったな八代目」

 

「まさかここまで怨まれるほどコスチュームを壊したヒーローがいるとは」

 

「まあ大概のヒーローは怨まれる前に引退か死ぬからな」

 

「危機を察知できなかったな」

 

「仕方ねえだろ、コイツは現役長い上に激戦絶えなかったんだからよお」

 

「物は大事にな」

 

 一言ずつ呟きながらいつの間にかあった椅子に腰掛ける歴代の継承者の皆さん。そして、

 

「久しぶりだな俊典」

 

 あの日私に未来を託して散ったヒーローがいた。

 

「お師匠」

 

 誰よりも長くワンフォーオールという個性を身に宿した。けど今まで一度としてこんなことはならなかった。緑谷少年の言っていた歴代の皆さんと対話など正直いって眉唾な話だったのだ。

 だがその奇跡は、こうして今、私の目の前に存在したのだ。

 

「ありがとう、お前は私の誇りだよ」

 

 それは一度とはいえヤツを撃退したことの礼だろう。でもそれは貴女が繋いでくれたからなんだ。皆さんの覚悟が今を形つくったのだ。

 

「ああそうだ八代目」

 

「確かにまだやり残しはある」

 

「でも、それでもだ」

 

「ヤツを倒したのは君で」

 

「お前が倒してくれたから今があり」

 

「俺達が伸ばした手は希望へ届いたんだ」

 

「「「「「ありがとうオールマイト」」」」」

 

 心からのお礼の言葉。

 これがあるからヒーローは立てる。

 悪意に欲望に、立ち向かえるのだ。

 私は胸からこみあげるナニカを堪えきれず涙を流すのであった。

 ヒーローとして、平和の象徴として、オールマイトとしてのいつもの笑顔で。

 

 そこからは彼らとひたすら話した。

 起こるべき最悪の事態の予測、オールフォーワンの目的、歴代の個性の使用はどうするか、死柄木弔について、資料にも殆ど残っていないヤツの過去、緑谷少年の印象、私は十代目にもなったけど八代目のままであること、異世界おじさんには継承しないで、エルフ怖い。

 多くのことを語り合い、恐らく最初で最後となる彼らとの一時、それらを未来へと活かすと私は改めて誓った。

 

「またな」

 

 手を振る憧れの人。

 あの日とは違う、二度目の生涯の別れ。

 

「私は師匠が!!貴女が好きでした!!」

 

 だから言えなかった想いを叫んだ。

 初恋のあの人へ。

 子持ちの人妻に何を言ってんだと、困ったような笑みを浮かべた彼女の表情が新たに手に入れた私の宝物だ。

 消えるというより薄れて離れていくという感覚で私は目を覚ますのであった。

 

 

 

 

 しかし、部屋の隅のモニターとこんもりと積まれたゲームソフトの山は何だったんだろうか?

 





 シリアスな決戦前に何してんだとも思いましたが、このタイミングでしかやれない話しだったので。 
 オールマイトの初恋云々は捏造設定です。  
 なお歴代個性は使用せずパワー全振りです。
 どんな会話だったかは今後でるかも?
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