異世界イズク   作:規律式足

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 原作改変在りです。
 具体的にはグループ分けに別のグループの子がいます。

 


8話 雄英入試に勇者降臨。

 

 雄英高校ヒーロー科!!

 そこはプロに必須の資格取得を目的とする養成校!全国同科中最も人気で最も難しくその倍率は例年300を超える。

 オールマイトを筆頭とした現トップヒーロー達の出身校でもあり、それゆえ偉大なヒーローには雄英卒業が絶対条件とすら言われる。

 

 そんな何度も聞いた説明を思い出しながら入口へと向かう。僕は何回ここを歩くことを夢見ただろうか。最低限の条件である学力を身につけたのはこの道を歩く資格を得るためといっても過言ではない。

 すれ違ったかっちゃんに挨拶をして石畳の道を堪能するかのように歩いた。

 試験に受かれば毎日歩ける、そう思えばやる気も増すものだ。

 数字分けされたゲートをくぐり受験番号通りに席につく。同校のためかかっちゃんと席がとなりだった。

 雄英の講師は皆プロヒーロー、そのため試験の説明もラジオ番組でも有名なボイスヒーロー プレゼント・マイク。出だしにて滑りながらもハイテンションのまま試験内容を伝えてくれる、正直ゲームみたいだなと不謹慎な感想を抱いてしまう。戦闘能力が必要な仕事なのはわかるが、ヒーローの素質を計るのにそれで良いのだろうか?自分が力ではなく、行動でオールマイトに選ばれたから余計にそう思ってしまった。途中で真面目そうな受験生が質問などをしていたが、こんな時に気になったことを尋ねられることもヒーローの素質なんだろうなと思った。

 最後に雄英高校の校訓、プルス・ウルトラをプレゼントされ説明は終わった。

 

 広い敷地内をバスで移動し、街一つを再現した試験会場へとたどり着く。こんな施設が複数あるのだから最高のヒーロー科と呼ばれるのも納得だ。

 試験内容は仮想敵の行動不能。

 試験の規模からして仮想敵役に人を雇うのは現実的ではないから、仮想敵は雄英高校名物のロボット。

 つまり破壊して良し。

 だが他の受験生を巻き込む恐れがあるから広範囲魔法は使用できない、殴っても飛び散る破片が危ないから、光剣でたたっ斬るのが最善。

 加速や機動は精霊魔法よりワンフォーオールの身体能力増強が適切。

 

『ハイスタートー!』

 

 よしやるか。

 

「光剣顕現 キライドルギド リオルラン。

 ワン・フォー・オールフルカウル」

  

 右手には光剣、全身には電流が流れる発動イメージ、合わせて動いてぶった斬る。

 建物をぶち破って現れる仮想敵(ロボット、中に操縦者無し)を両断しながら突き進む。大地走査 バハマリオン スラドラーチの魔法で周囲を把握してから戦う手もあるが十分間しか時間がない以上は無駄手間だ。仮想敵が自分から襲いかかってきてくれるから出会ったそばからたたっ斬れば良い。試験中、闘いに慣れてないのか不意を打たれて怪我をしそうな受験生もいたので余計なお世話を承知で助ける。回復魔法が無いと怪我をしたら治すの大変だと思うし。

 

 もう終わりかな?

 獲得ポイントの計算は最初から投げている、合格基準が不明なのに余裕を持つのは危険だからだ。ましてや会場はここだけではない、全受験生での順位なら自分の会場でポイントが高くても油断できない。

 残り二分、終わりの時間が迫る中現れる脅威。スーパーマリオのドッスンと表現された、倒せない前提の危険ギミック、ビルサイズの巨大ロボットだ。

 実力に自信ある受験生も一目散に逃げる存在、その巨大さは腕の一振りで命が終わると思わせる、さらには倒してもポイントは0。脅威で恐怖で利点無し、ならば逃げることが合理的だ。

 異世界でも逃げるなんて日常茶飯事だったし。

 だから今回もそうしよう、そう思って振り返ればそこには巨大ロボットの進路で瓦礫に足を取られ倒れている少女がいた。

 この場合逃げるのが最善だ。

 この時間は自分のために使うべきだ。

 相手は競争相手だ。

 学校も受験で人死はださないだろう。

 そんな頭に浮かぶいくつもの考えは、助けることを辞める理由に断じてならない。

 彼女の足に乗った瓦礫を光剣で砕き、左手で抱き起こす。そして後方では無くもう目の前に迫る城を思わせる巨大ロボットに突っ込む。

 

「大丈夫?」

 

 片手でその少女を抱きかかえたまま駆ける。

 

「付き合わせて悪いけど、アレを倒すからちょっと我慢して」

 

 おじさんがやったみたいに魔法の鎖で吊るしても良いけどアレは見た目がなあ。いやこっちはこっちで密着感あるからセクハラになるのか?

 

「うん、大丈夫」

 

 だがこっちの考えは杞憂でその女の子はそう言ってくれた。顔色が青く気持ち悪そうだから負担にならぬよう一撃で決める。

 エドガーさん、貴方に教わった技を使います。

 

「テンペストキャリバー!!」

 

 精霊魔法の光剣と剣士の技、それにワン・フォー・オールの身体能力増強の合わせ技は一撃で巨大ロボットを消し飛ばした。

 

「勇者様や」

 

 そんな僕の姿を抱きかかえた少女と、現場の側で神に祈るように手を合わせた少女が熱い眼差しで見ていた。

 

「ヨッと」

 

 着地のコツは両足で。もし荒ぶる村人に追われ逃げるはめになった時、海や湖に飛び込む事態になったらそれを意識しよう。硬い地面でなく水であってもうつ伏せに飛び込んだら衝撃で内臓がパンッと弾けちゃうよ☆(実体験)。

 

『終了〜!!』

 

 そんな事を考えてたら試験は終わってしまった。

 十分間、学校の短い休憩と同じ時間なのにずいぶんと長く感じたな。

 

「あの、ありがとうね」

 

 解放して身なりを正していた少女はモジモジとした仕草でお礼をいってくれた。

 

「こっちも君が助かって良かったよ。それとこれはオマケ。神よ(こっちの世界にもいるのか今更だけど)癒やしの光を」

 

 気分が悪そうな彼女に治癒の魔法。

 なんか精霊魔法とは違う感覚だけどきちんと発動はしてくれる。

 

「うわあ、反動の吐き気がスッキリとした」

 

 物を浮かせてた個性にはそんな反動があったのか。個性って割とそういうトコがあるよね。

 

「じゃあ僕はこれで」

 

 結果はどうなるやら。

 

「あの、ウチの名前は麗「神の奇跡まで、やはりこの御方こそ」」

 

「「んっ?」」

 

 名乗ろうとする彼女の言葉を遮って割り込んできた少女の声。

 

「真の勇者様」

 

 いやそれはアリシアさんですけど。

 建物の間から現れた少女は、空を見上げ祈るように手を合わせながらこちらに寄ってくる。

 

「えっと君は?」

 

 その神聖さを感じつつも威圧感をもった気配は似たような気配を、グランバハマルでめっちゃ覚えがあるので彼女が近寄る分だけ無意識に後退る。

 

「私の名は塩崎茨、これから貴方様の従者として生涯お側にお仕えする者です」

 

「すいません、僕は従者とか募集してないのでお断りします」

 

 勇者でも無いし。

 

「ああ、その奥ゆかしさもまた勇者様」

 

 ヤバい、この娘は話を聞かないタイプだ。

 

「じゃ、じゃあ帰りのバスも来てるから僕はこれで失礼するよ」

 

 逃げるためにバスに乗らないで全力ダッシュしよう、同じ乗り物だと逃げ場ないし。

 

「コラ、出久坊!!暇ならアンタも手伝いな。治癒魔法必要な子はまだまだいるんだよ!!」

 

「わかりました、今行きますリカバリーガール!!」

 

 オールマイトとの付き合いの中、回復の呪符関連で紹介されたリカバリーガール。

 今では孫のように親しい間柄だ(根津校長によると身内としてアピールすることで治療関係の要求をされないための布石らしい)。

 だからこうして気安く接してくれる。

 

「ウチも手伝わせて!」

 

「これは従者の役目」

 

 リカバリーガールの手伝いで怪我人の回復をしたりして本日の試験は終了した。

 流石ヒーロー志望なのか、他の受験生も続々と手伝いに参加してくれてサクサクと終わった(仕事を奪われたロボット達が地面に手を突いて落ち込んでたけど)。中でも足にエンジンがついた眼鏡の生真面目そうな青年がやたらと凄いと言ってくれて照れてしまった。異世界だと自分が一番の格下だから活躍できなかったしね。

 この場にいる皆とクラスメートだったら嬉しいな、と心から思える一日だった。

 

 けど塩崎さん、僕の実家までついてこようとしないで自分の家に帰りなさい。君はどこぞのエルフか。

 

 

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