異世界イズク   作:規律式足

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80話 決戦開始。

 

「どうだ勝己、惚れ直したか?」

 

 雄英高校ヒーロー科林間合宿のイベントである肝試しで起きたヴィラン連合による襲撃。誰よりも迅速に動き生徒どころかヒーローまでも救ったラビットヒーロー ミルコは最近お気に入りの爆豪勝己ことかっちゃんにそう言った。個性 兎の筈なのにその姿はまるで狩りをした雌ライオンが夫である雄ライオンに獲物を自慢しながら差し出しているようであった。

 

「直す必要なんて、あるわけねえだろ」

 

「ふえっ」

 

 だがかっちゃんはそんな彼女の言葉に顔を逸らしながら吐き捨てるように本心を吐露する。そこには同級生を助けてくれた感謝だけではなく確かな彼の本心が含まれていたように見えた。

 だがむしろ戸惑ったのは言い出したミルコの方であった。男性との付き合い自体は無いがその容姿と肉体美から言い寄る男のあしらいには慣れている彼女は、自ら積極的に絡むもののどこか未だに玩具認識だった少年のその言葉に不意を打たれて普段あげないような乙女成分マシマシな変な声を上げたのだった。

 

((((こいつツンデレ極めてやがる))))

 

 保護され治療されはしたが気だるくてぐったりしている生徒達と負傷者を必死に神聖魔法で治療していた僕は年の差ラブコメに癒やされ元気を貰いつつそんな風に思ったのであった。

 なお事件では無傷だった筈の峰田君はその光景を見たせいで吹き出した血涙を流し過ぎて出血多量で生死の境を彷徨っていたとか。

 

 

 そんな一幕もあった林間合宿後、検査入院する同級生達のお見舞いをして、オールマイトの治療と託された個性を一時返却し完全復活を終えた。

 そして暫し時は経ち、場所を変えた先に、日本が誇るトップヒーロー達は集結した。

 何故か呼ばれた僕が集合前にオールマイトの休んでいる部屋を訪ねたら、そこにはコスチュームやらサポートアイテムを前に何度も土下座を繰り返して謝罪している姿があり僕は頭に?マークを浮かべることになった。

 

「どうしたんですオールマイト?」

 

「いやね、日頃の行いを悔い改めるべきだと思い知らされてね」

 

「引退(予定)直前に何を言ってんですか、あと塚内さんが聞いたら物凄く頷きそうですよ」

 

「ごめんなさいコスチュームにサポートアイテムの皆さん、狙って壊したんじゃないです。必死だったりウッカリだったりウッカリだったり勢いよくだったりなんです。わざとじゃないんですごめんなさい」

 

「?」

 

 どこからか『だが許さん』という幻聴が聞こえた気がしけど、塚内さんから連れてくるように頼まれていたのを思い出して僕は謝り続けるオールマイトを引き摺るように連れていくのであった。

 

 

「そうそうたる顔ぶれが集まってくれた。さァ作戦会議を始めよう」

 

 オールマイトの担当であることからヒーロー達にもっとも顔の利く警察官である塚内さんの一言からヒーロー達の反撃は幕を開ける。

 敵は前代未聞の所業を繰り返す頭のネジの外れたイカれた集団であるヴィラン連合。

 その黒幕と予想される存在のせいもあり、集められる限りのトップヒーロー達が集結した。何故かヒーロー免許の無い一学生に過ぎない僕もその場に居るけど。実際に中学生時代の事件と雄英高校体育祭の活躍があるから顔を知らない人は居ないようだけど、大半のヒーロー達はなんでいるんだろ?と疑問符を浮かべていた。

 だがごく一部のトップ陣、エンデヴァーとベストジーニストとエッジショットは独自の情報網から公的には伏せられたI・アイランドでの活躍を把握しており理解を示していて、エンデヴァーに至っては神聖魔法による回復魔法も知っているため納得もしているようだった。

 

「雄英高校からヒーローは呼べないか、市街地であるがゆえにセメントスの助力がないのは惜しいな」

 

「林間合宿に参加したことからミルコも無理だな。彼女が動けば作戦行動していると告げるようなものだからな」

 

「襲撃事件から雄英高校は監視されていると見て間違い無い。向こうに転移個性がある以上、こちらの初動は知られてはならない」

 

 そう、監視や密偵の存在が推察されているため精鋭たる雄英高校教師陣とさらに今回の事件に関わったミルコとプッシーキャッツは動けない。

 また現在遠方にいるホークス、クラスト、ヨロイムシャ、リューキュウ、などのトップヒーロー達も無理だったのだ。

 とはいえギャングオルカとシンリンカムイにマウントレディに加え、グラントリノとサー・ナイトアイという強力な戦力も参加しているので戦力が足りないということはないのだが。

 オールマイト台頭以来、いやヒーロー飽和社会と言われてから初とも言えるトップヒーロー集団による制圧作戦。それはこれがそれだけの事だからだ。

 

「今回の事件はヒーロー社会崩壊の切っ掛けにもなり得る。総力をもって解決にあたらねば」

 

 社会の崩壊。

 それによる群衆の暴走はグランバハマルで何度か経験したことがあり、下手したらこの場の誰よりもその恐ろしさは理解できるかもかもしれない。

 あんなことがニホンバハマルでも起こる、それはなんとしても阻止しなければならない。

 

「生徒の一人が仕掛けた発信機ではアジトは複数存在すると考えられる。我々の調べでヴィラン連合メンバーのいるであろう場所はわかっている。主戦力をそちらに投入し主犯たる死柄木弔の捕縛を最優先とする」

 

 USJや保須市での行動から主導なのは間違い存在である手だらけ男の死柄木弔。黒幕が後ろに控えているとはいえヤツがヴィラン連合のリーダーだ。

 

「同時にアジト、恐らく脳無保管施設と考えられる場所を制圧し完全に退路を断ち一網打尽にする」

 

 いかに悪趣味ばかりとされるヴィランと言えど、改造人間である脳無、生命活動こそしているがもはや生きた死体のような存在と日常生活することは不快だろう。そのため八百万さんと泡瀬君の活躍でつけられた発信機の示す場所は調整や改良も必要な脳無の保管庫であると予測されていた。現在確認されているヴィラン連合メンバーに科学者がいないこともその理由の一つだ。

 

「今回はスピード勝負だ!敵に何もさせるな!現在報道されている雄英高校側からの会見で敵を欺くように難航中であるかの様に装ってもらっている!」

 

 被害者である雄英高校の教師達の謝罪会見。一個人としてはその悪者扱いには納得できないが、それこそが社会でそのしがらみに向き合うことが職業として存在する現代ヒーローの宿命だ。

 だが、それすらも反撃の一手としてヒーロー達は流れを覆す。

 

 リカバリーガールに代わる治療担当として後方に控えながら、僕は作戦に臨む。

 光差す明日のために。





 原作読み返すとタイムスケジュールがエグいです。ズレがあったらすいません。
 というか多分ヒーロー達は警察署ロビーに集められて作戦説明されて即実行の可能性が。対応力あり過ぎ流石ヒーロー。
 なお当作品オールマイトは、事件発生から、会議、内臓ぶち撒け、再生、個性再譲渡、就寝からウィリスイベント後に作戦と、スーパーハードスケジュール。
 ちなみに雄英高校生は緑谷君を除いて検査入院か自宅待機で、誰も攫われてないので出張る生徒とかいません。そして緑谷君は回復魔法のため超特例で参加しています。リカバリーガールが現場来れないので。
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