異世界イズク   作:規律式足

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83話 新生活

 

 世界が震撼し、偉大な庇護者のいなくなった世界で人々は新たな形を模索する。

 変わりゆく世界、誰よりもそうあるべきだと動いた雄英高校は全寮制を導入した。

 そう、これから僕は家を出て、雄英での新たな生活が始まる。

 新たな始まりの前に大恩ある異世界おじさんにも連絡した、ミッドナイト先生から話を聞いていたおじさんは「ガチな高校球児みたい」とズレたコメントをして、僕はなんだか笑ってしまった。

 日常感というのかな、この世の誰よりもぶっ飛んでる存在なあの人はそんな日向の空気を纏っている。続いた心配の言葉もまた心に染み渡る。

 おじさんがセガをプレイして敬文さん達とズレたやり取りを続けてる、そんな日々を守りたいとヒーローを志す身として強く思うのだ。

 いってきます。

 母に、生まれ育った家に、おじさんに。

 呟いて僕は変わりゆく世界へと踏み出した。

 

 雄英敷地内、校舎から徒歩五分の築三日。

 ハイツアライアンス、ここが新たな僕の、いや僕らの家だ。

 これから僕達は生活のためのヒーロー活動から、ヒーロー活動のための生活にシフトする。

 

「しねーよ、内弟子じゃねえんだぞ」

 

 二十四時間ヒーロー尽くめだ。

 

「ただでさえ全寮制でも叩かれてんのに過酷なカリキュラムまで強いたら雄英高校終わるからな?」

 

 僕の軽口にツッコむ幼馴染のかっちゃん。

 なぜか顔が引っかき傷だらけだ。

 

「どうしたのそれ?痴話喧嘩?」

 

「ミルコのヤツも住むとか駄々こねてな。オールマイトとイレイザーヘッドと三人がかりで説得(物理)するのに骨が折れたわ。ババアは煽るしな」

 

「何それ超見たい」

 

 その説得(物理)は近接戦闘の極みのような超バトルに違いない。いやミルコの存在は安全面からしたらありがたいけどね、林間合宿での実績もあるし。

 

「掌を広げてにじり寄るな。挙げ句に先生方から節度ある健全なお付き合いしろと説教だぞ、俺が、この俺が」

 

 まあこの場合は男が悪くなるのは世の常というか、男の甲斐性の範疇だよね。かっちゃんはまだ未成年だけどさ。

 

「というかなんで当たり前のように爆豪家にミルコが居るのかツッコんで良い?」

 

 家庭訪問に同席とかそれもう身内。

 

「どこで狂った俺の人生設計」

 

 どこか煤けたように見える幼馴染の姿がそこにあった。

 変わりゆく世界。ここにまたその波に呑まれる一人の男がいたのだ。

 

「とりあえず褐色兎美女に好かれている爆豪勝己は死刑」

 

「「「「異議なし」」」」

 

 君達は変わった方が良いけどね。

 

 

「とりあえず1年A組、無事にまた集まれて何よりだ」

 

 ハイツアライアンスの前に集合した雄英高校ヒーロー科A組一同は担任である相澤先生からの話を聞く。

 

「まずはすまなかった、謝罪させて欲しい。雄英高校の不手際でお前達生徒とご家族の方には苦痛と負担をかけて、さらには無理まで強いている」

 

 生徒の安全の確保のため。

 そのための全寮制だが、実家暮らしの者たちだって引っ越しの準備はあるし、雄英高校に通うためにアパートを借りた者たちは解約手続きを含めて手間がかかる。年単位で暮らしその場所に思い入れがあるだろう先輩方などはどれだけ悩んだことだろうか。

 

「ヒーロー科では居なかったが何人かの生徒は雄英高校を去る決断をした。それが間違いだとは思わないが、お前達がこうして揃ってくれていることは個人的に嬉しく思うよ、あの日の除籍をしなかったことは間違いではないとな」

 

 辞める人もいたか、面識ない人達で仕方ないと思うけどなんだか寂しい気持ちだね。そしてこの場の皆もそうなってもおかしくなかったんだ。

 沈みかける気持ちも相澤先生の嬉しいという言葉で持ち直して前を向く。

 

「さて、これから寮の説明をするがその前に一つ。当面では合宿で取る予定だった仮免取得に向けて動いていく。凄くキツイがまあ、お前達なら平気だろう」

 

 フッと笑った相澤先生はそう言ってハイツアライアンスへと足を運んだ。

 

「「「デレたーーーっ!!」」」

 

 そして僕達生徒一同は相澤先生のデレに盛り上がり叫ぶのだった。

 

「デレが流行っているのかな」

 

「こっちを見るな、爆殺すんぞ」

 

 それからは寮の説明となった。

 一棟一クラス。

 ハ○ターハン○ーの幻影○団のコル○ピによってコピーされたかのような建物は全て雄英高校生の寮だ。男女で分かれた棟は一階の共同スペースで繋がっており、食堂や風呂・洗濯は共有だ。

 その整った設備にフラッとしている麗日さんがいたけど気持ちはわかる。

 自室エリアは二階からで一人一部屋、エアコントイレ冷蔵庫にクローゼット、さらに備え付けの机に椅子と棚とベッドまで付いた贅沢空間だ。

 

「寮生活だからてっきりズラリと並んだ二段ベッド生活かと思っていたなあ」

 

 ベッドの限られたスペースだけが自分の空間的な暮らし。

 

「あ、ちょっとそれは俺も思った」 

 

 何人かは僕の言葉に頷いていた。

 小中学校での宿泊学習で泊まったことのある施設とかを想像していたけど。

 

「スポーツ選手や自衛隊など集団単位で動くことが求められる存在ならそうだったろうが、ヒーローはあくまで個人が基本だからな。これからはさらに個人ごとに動く機会も増えるしな」

 

 学校が全寮制にしたからという理由もあるだろうけど、今後は全員でまとまって動くことが減るんだろうね。

 部屋割は学校側から決められたけど、エレベーター無いのに5階の子は大変だろうな。おじさんの部屋に米15キロ担いでいった宅配業者の方も殺意抱くレベルで大変だったみたいだし。

 

「とりあえず今日は部屋作ってろ。明日また今後の動きを説明する、以上解散!」

 

「「「ハイ先生!!!」」」

 

 こうして皆は自室のコーディネート作業へと向かった。

 

 僕の場合は収納魔法から出すだけだから一瞬で終わった。いや荷物とかは大体全部持ち歩いているから。

 

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