異世界イズク   作:規律式足

86 / 117

 オリ設定あります。


86話 必殺技を作ろう。

 

 朝、世界中の人々が轟君にソレは止めとけと突っ込んだような気がしたけど僕も全面的に同意する。確かにグランバハマルでは僕に優しく接してくれた数少ない人で嫌いではないのだが、残念な人なんだよねメイベル。

 とりあえず諦めさせようとアレコレとエピソードを伝えたが、

 

「誰だって駄目なとこあるだろ?俺だってそうだし」

 

 心もイケメンかっ!!

 いや天然か。

 うーん、やっぱりあの残念さは直に会わないと理解できないか。ガワは良いしあの人、ガワは。

 悪人じゃないし、嫌悪は無いけど、残念で駄目な人なんだよね、いや本当に。

 そして知ってることを簡単に一通り教えたら、

 

「俺は必ず異世界おじさんに勝つ」

 

 という考えに至ってしまった。メイベルがおじさんに惚れてると伝えてしまったからだけど。でもね轟君、その人って魔炎竜を凍神剣無しで単独で倒せる人(しかもかなり若い時に)だから自殺はやめなさい。

 そもそも異世界転移の手段が不明なんだけど、問い詰められたくない話題だから放置しよう。

 しかし、轟君は強いなあ。僕はアリシアさんがおじさんに惚れてると知った時点で心へし折れた(吐血)のに諦めないなんて。

 これがイケメンとトレントモドキの差なのかな。と、思い朝から色々と疲れながら朝食へと向かった。

 

 

「なんで居るん?」

 

 ゴゴゴと吹出君が個性を使用してるのかと疑ってしまうような威圧を麗らかな気性の麗日さんが麗らかでは無い表情で放っていた。

 その原因は僕の両隣に居る人達。

 右に塩崎さん、左にメリッサが座り、ランチラッシュがデリバリーしてくれた和朝食を食べていた。

 

「勇者様ある所に従者である私有りです」

 

「えへへ、せっかく同じ敷地内に住んでいるのだから朝ご飯を一緒にしたくて」

 

 そういえば博士が雄英高校に雇用されたからセキュリティも考えて雄英高校敷地内に居を構えてるんだよね。博士は今日は一人ご飯かな?

 

「だからといってイズクさんの両隣に座る必要は無いですよね(出遅れましたわ)」

 

「「?」」

 

「素で何を言ってんだろ?って表情なんが腹立つわ、二人とも美人やから余計に」

 

 どうしよう、穏やかな朝食の時間がよくわからないけどなんか大変だ。

 

「「ごっつぁんです」」

 

「まだ朝飯を食い途中なのに何を言ってんだよ、芦戸に葉隠?」

 

「男女の修羅場でしか摂取できない栄養素がある」

 

「朝からエネルギーが漲るー!!」

 

 シュラバミン、糖分の数倍のエネルギー能率を誇るため摂取のしすぎは太るので注意。

 

「おい、注意しろよ爆豪。尾白と口田なんか場の空気に耐えきれずトイレ行ったじゃねえか」

 

「ザマア、超ザマア!!」

 

「こっちも栄養素を摂取してる。まあ普段は弄られる側だしなコイツ」

 

 ザマアニウム、脳の多幸感を増幅させる作用がある、習慣性があるので注意。

 こうして賑やかな朝食の時間が過ぎていった。ある意味で共同生活らしい朝の始まりだ。

 

 

 教室。

 それぞれ席につき相澤先生の言葉を待つ。

 夏休み中での残りの日程を簡単に説明した後、本題である仮免取得についてだ。

 

「ヒーロー免許ってのは人命に直接係わる責任重大な資格だ。当然取得の為の試験はとても厳しい、仮免とはいえどその合格率は例年5割を切る」

 

「仮免でそんなにキツイのかよ」

 

 毎年決まった人数を合格させるのではなく、基準を満たした者を合格させる方式かな?例年の合格割合はアテにならなそうだね。

 

「そこで今日から君らには一人最低でも一つ二つ、必殺技を作ってもらう!!」

 

 クイッと相澤先生が指を動かせば、ミッドナイトとエクトプラズムとセメントスの3人の先生がいた。

 

「学校っぽくてそれでいて、ヒーローっぽいのキタァア!!」

 

 沸き立ち叫ぶクラスメイト達。皆こんな時にテンション上がるよね。

 

「必殺!コレスナワチ必勝ノ型・技ノコトナリ!」

 

「その身に染みつかせた技・型は他の追随を許さない。戦闘とはいかに自分の得意を押し付けるか!」

 

「技は己を象徴する!今日日、必殺技を持たないプロヒーローなど絶滅危惧種よ!」

 

「詳しい話は実演を交え合理的に行いたい。コスチュームに着替え体育館γへ集合だ」

 

 通称のヤバい体育館γに集合。

 セメントスの個性を最大限に活かせるかつ様々な器具を用意してある、生徒一人一人に合わせた地形と物を用意できる場所だ。

 飯田君の仮免試験に必殺技はなぜ必要なのかという質問に相澤先生が答えてくれる。

 どうしても僕達は必殺技とはオールマイトやエンデヴァーの攻撃技の印象が強い世代だからね。

 説明によれば仮免取得試験は、あらゆるトラブルから人々を救い出す仕事であるヒーローに必要な様々な適性を試す試験。だが先のヴィラン連合の件もあるがやはり最重要視されるのは戦闘能力であり、必殺技は備えあれば憂いなしの意味もあって必要なのだ。

 いかな状況でも放てる必殺技、安定行動が取れることが様々なトラブルに対処できる証明なのだ。飯田君は既にレシプロバーストとレシプロスラッシュ、一時的な超速移動と高速斬撃というあらゆる局面に対応できる技があるんだよね。

 なのでこれから後期始業まで残り十日余りの夏休みは個性を伸ばしつつ必殺技を編みだす圧縮訓練になるわけだ。セメントスが場を整えて、対戦相手としてエクトプラズム、ミッドナイトとイレイザーヘッドが万が一の事故対策とアドバイス、必殺技は名前も重要だからこそのミッドナイトだね。

 コスチュームの変更・改良も含めた訓練期間。やることだらけだ。

 全員とワクワクしつつも気合を入れながら訓練は開始した。

 

「緑谷、緑谷(ちょいちょい)」

 

 イレイザーヘッドが何やらこっそりと僕に話しかけてきた。

 

「どうしました?」

 

 うーん必殺技だと殺傷力が高過ぎて困る。

 

「ヒーロー公安委員会からお前にある打診があってな」

 

「ヒーロー公安委員会からですか?」

 

 ヒーロー資格とかランキングを管理してる組織だよね。いや国の治安もだけど主な役割はヒーローの規約や規定だ。なお面倒臭いことに個性使用や教育については国の別組織だったりする。

 

「前置きは抜きに、専職ヒーローに成らないかという提案だ」

 

「専職ヒーローって確か、一定の業務に従事するヒーローですよね?」

 

「ああ、希少な個性や戦闘に向かない個性持ちの中でさらに優秀な者に与えられる資格だ」

 

 希少なら転移や治癒や収納、戦闘に向かないのは超演算や交渉や嘘発見などが例に上がる。

 

「なんでもやる一般的なヒーローとは異なり要請に応じて個性を使うタイプのヒーローだが利点もかなりあってな。支援やら仲介やら保障も他のヒーローの比じゃないんだ、仕事の選り好みが出来ない欠点もあるが」

 

 ちなみにおじさんがエンデヴァーに誘われたのもコレだったりする。国民支持率やら人々との触れ合いは少ないけど仕事としては良い待遇なんだよね。

 

「神聖魔法ですか」

 

「神野で活躍したからな」

 

 国としてリカバリーガールに代わる治療特化のヒーローとして確保しておきたいだろうね。ちなみにリカバリーガールは専職ヒーローではない、その分類ができる以前からヒーローだからだ。

 

「了承すれば仮免試験は免除になり学生期間は仮免扱いで卒業後に正式に資格取得となるわけだが、どうする?」

 

 将来や進路に関わる打診だけど僕の心は決まっている。

 

「お断りします。僕はオールマイトの次の平和の象徴になりたいですし、皆と同じ試験に参加したいですから」

 

「ま、俺としてもお前には不要な事だとは思っていたからな。お前の意志は先方に伝えておくよ、ただ神聖魔法についてで要請はされると認識しておけ」

 

「はい」

 

 元より治療の依頼なら断る気はないしね。

 

 と、こんな出来事もありながらヒーロー仮免許取得試験までの日々は過ぎていくのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。