異世界イズク   作:規律式足

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 ゴゥッ
 その一振りで竹についていた葉は全て散った。
 
「竹を振り続けその葉が全て落ちきった時、居合斬りが如き究極のスイングスピードを会得する。これぞ剛の秘打法・覇竹」

「し、師匠」

「君も来るんだ、この高みへ」

「はい!!師匠!!」

(((なんで根津校長が指導してんだろ?)))



90話 救助演習、仮免許試験終了。

 

 想定外の出来事に遭遇したけど、個性のみならず技術的にも隠密を得意とする渡我被身子が試験会場から去ったのは良い結果だったと思うことにする。

 軽食が並んだ控室にてモニターを眺めながら皆が突破するのを待つ。

 試験に落ちる心配はしていない。ぶっちゃけると触れたら終わりなもぎもぎを扱う峰田君と常日頃から鍛錬している僕達にこの試験は余裕だ。そもそもバカスカとボールを投げていたけど、射撃武器や投擲武器に長けた人でもない限り、動く的にボールが当たる訳が無い。さらにはここにいるのはヒーロー候補生、銃弾を想定している者達にはメジャーリーガーの剛速球でも遅く感じるだろう。

 ボールを持って殴りつけるか、捕縛し無力化してからボールを当てるか。その最適解に気付けるかどうかが試験突破のカギだね。

 そんな風に考えていたら、予想通りあっさりと雄英高校A組は全員突破した。

 かっちゃんが指揮をとり、轟君が場を整え、口田君と葉隠さんが襲撃者達を掻き乱し、峰田君と瀬呂君と八百万さんが拘束し、芦戸さんと青山君と耳郎さんが遠距離攻撃を迎撃しているのだから当然の結果だ。

 個人で切り抜けられる実力者達が的確な指揮の下に乱れなくコンビネーションを発揮したら勝てる者などいない。

 

『300人!!今埋まり!!終了!です!これより残念ながら脱落してしまった皆さんの撤収に移ります』

 

 1200人以上、怪我人を考えたら時間がかかりそうだね。

 

「オウ、トップ一抜け野郎。気になることは済んだかよ」

 

「ま、なんとかなったよ」

  

 渡我被身子の発言を信じればだけどね。

 黒霧、あの転移個性持ちがこの会場に転移できる事実を知れただけでも良かったかな。

 何があったかはあえて聞かないでいてくれるかっちゃん。変身個性持ちヴィランが転移個性持ちヴィランによって潜入してきたなんて普通に大事だからね。

 彼女との会話を思い出してすこし落ち込んだような気分になっていると、場を明るくしようと皆がさっきの試験での武勇伝を語ってくれた。こんな風に優しくしてくれる皆がいるから僕はここに居ようと思うのだろうね。

 合流した皆としばし会話を楽しんでいると。

 

『えー300人の皆さん、これご覧下さい』

 

 モニターに映ったのは先ほどまで居たフィールド。そしてそこが、

 BOOM!! BOOM!!

 BADOOOOM!!

 大爆発。

 

(((何故ーーー!!ハッ?!)))

 

「オイ一斉にこっちを見るな。俺じゃねえよ」

  

 てっきりかっちゃんの新技かと。

 

『次の試験でラストになります!皆さんはこれからこの被災現場で、バイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます』

 

「現場にいたという想定で救助演習するってことか」

 

「13号先生が教えてくれる科目だよな」

 

『ここでは一般市民としてではなく仮免許を取得した者として、どれだけ適切な救助を行えるか試させて頂きます』

 

 あー、現場でヒーローが消防隊員や救助隊と揉めるヤツか。神野だとトップヒーローばかりだからすんなりと行えたけど、しょっちゅう手柄争いとか起きてるらしいよね。

 さらによく見れば救助者役の人達までいる。雄英高校の授業だと人形か生徒が交代でやっているけど、要救助者役専門とか色んな仕事があるんだね。

 採点ポイント形式か、どう動くべきかな。

 

「とりあえず緑谷は神聖魔法担当だな」

 

「耳郎さんと障子さんが索敵ですわね」

 

「八百万は現場指揮か?」

 

「轟君の冷気と炎は要救助者には駄目だよねー」

 

「アタシの酸は瓦礫撤去かな、危ない?」

 

「アレ?電気の使いみちは無くね?」

 

「電気ポットでお湯を沸かすとか」

 

「大規模破壊だから救助を手伝いつつヴィランに警戒だろ。俺もそうする」

 

「もう緑谷増やそうぜ」

 

「変身魔法でイケるけど」

 

「「「出来るのかよっ?!」」」

 

「やめろ、コイツなら怪我を治して記憶消すという処置をやりかねねえ」

 

「やるけど」

 

「「「やるなよ!!」」」

 

「とりあえず他校との連携だな、雄英だからと反発しねえと良いが」

 

「ヒーローの足の引っ張り合いは社会問題になりつつあるんだよな」

 

 歩合制の早い者勝ち方式だからどうしてもね。

 

『敵による大規模破壊が発生!規模は○○市全域建物倒壊により傷病者多数!』

 

『道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ!到着する迄の救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮をとり行う。一人でも多くの命を救い出すこと!!!』

 

「やんぞテメエら、一人でも多く一刻も早く救い殺すぞ」

 

「いや殺しちゃ駄目だろ」

 

 でもまあ、かっちゃんが檄を飛ばすと不思議と気合が入るよね。

 

 そこからの演習だけど、あらかじめ役割を決めていたためかスムーズに事が運んだ。周りの受験者達も僕達の話し合いを見ていて方針に賛同してくれたようだ。

 受験者全員が控え室を避難場所として定め、僕は次から次へと運ばれてくる要救助者達を神聖魔法で治療していた。中には血糊ではなくガチで怪我してる人達もいてそのプロ意識は尊敬以上にドン引きした。

 神聖魔法にトリアージは関係なく死んでなければどんな傷でも治る。だからか要救助者役の皆さんも受験者達も驚愕の眼差しを僕に向けていた。

 途中で避難場所近くにギャングオルカ率いるヴィラン役の集団が襲いかかってきたので、伸ばした光剣(威力調整済み)で横一閃。半数を撃退したところでかっちゃんと轟君と士傑の夜嵐君が参戦してくれたので再び治療に専念。

 シャチのパワーと超音波攻撃を操る熟練の強者であるギャングオルカとその部下であるサイドキック達の連携に苦戦するも、かっちゃんが最大爆撃でギャングオルカを吹き飛ばして、そこに轟君と夜嵐君の氷と風の即興合体技『エターナルフォースブリザード』が決まりヴィラン集団を撃破した。生きてるよね?(震え声)。

 そして追加戦力を警戒しつつ治療を続けたら全てのHUCが危険区域から救助されて、仮免許試験全行程の終了が宣言された。

 なおこの後に僕はそのままギャングオルカ達を含めた怪我人の治療をすることになった、受験者も救助活動中と真堂さんみたくヴィラン役からの攻撃で何人か怪我をしたからね。その時にギャングオルカから海洋生物の治療も可能なのかと聞かれて治癒能力がどれだけ貴重なのか実感した。

 それから動き回って全員の治療(轟君と夜嵐君はやりすぎだよ)が終わった時にはもう合否発表直前になっていた。

 舞台上のモニターに映し出された自分の名前を確認して、夢にまた一つ近付いたのだと達成感が心と身体を満たした。

 そこにはこの場にいるクラスメイト達皆とここまでこれたことによる嬉しさもあったけどね。

 

『続きましてプリントをお配りします。採点内容が詳しく記載されてますのでしっかり目を通しておいて下さい』

 

 えっと、僕は。

 

『専職ヒーローになって(血文字)』

 

 嫌です(ビリビリ)。

 治癒能力が希少だからといって採点くらいしっかりしてよ。

 その後は、盤上の役員さんがヒーロー仮免許の説明と社会情勢についての話と二次試験で落ちた人達の講習案内をしてから終了した。

 

 手に入れた免許証。

 たった一枚の紙。

 けどそれが今までの積み重ねた結果で、これからも続く夢の一つだ。

 さあ、お母さんとオールマイトとおじさんに見せよう、皆が手を引いてくれた夢を。

 

 

 あと、渡我被身子について相澤先生に報告した。的確な対処だったと告げられた。そこからは公安と話し合って対策するそうだ。

 ヴィランの脅威は未だに健在。

 闇に潜む彼らは今どこへ歩いているのだろう?

 

 





 補足。
 二次試験はザックリと終了。
 原作よりステインがやらかしてないので甘い採点となってます。
 肉倉先輩、夜嵐君も普通に合格してます。 
 なお緑谷君は回復も戦闘もできるヤバいヤツという認識が定着しました。

 この後、かなり原作イベントが飛びます。ちなみに死穢八斎會編はあの人ががっつり絡む予定です。
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