仕事多いのと熱中症とコロナで職場が壊滅して残業三昧でした。
オリ回でギャグ回です。
峰田君ファンは閲覧注意。
サー・ナイトアイによる未来改変計画がセガによって明後日の方向に旅立って数日、必死に用意した準備がパーになったショックで引き篭もりたいと叫ぶサー・ナイトアイをミリオ先輩と一緒にしばき倒して無理矢理働かせてなんとか死穢八斎會のアレコレは終わらせた。
死穢八斎會の中心人物であるオーバーホールこと治崎廻の逮捕。
死穢八斎會の他の逮捕者の選定と今後の彼らの処遇について。
エリちゃんの個性関連の対処とおじさんの元で暮らすための法的な手続きを一通り。
異世界おじさんの情報の秘匿、など。
これ学生のやる事じゃなくね?と思いながらもなんとかやり遂げた。
サー・ナイトアイが引き篭もりはじめたのもあり、長かったインターンを一旦切り上げて僕は雄英高校へと帰還した。なお流石のミリオ先輩も疲れ切っていたので帰りたがっていたけど強制的に残されてしまったようだ、南無。
不思議と懐かしく感じるハイツアライアンスの玄関の横に建てられた犬小屋に鎖で繋がれた峰田君にただいまと挨拶しながらくぐり、さて遅れている分の授業に思い馳せる。先生方の補習にも限界はある、インターンに参加すると自分で決めたのだからきちんと勉強しなければ。
ん?
今僕はなんかとんでもないモノをスルーしたような気がするんだけど?
出来たばかり学生寮、出来たばかりの僕らの新居、その玄関脇にある犬小屋と鎖に繋がれた峰田君。
峰田君っ?!
「どうしたのさ峰田君っ?!」
慌てて引き返し絵面も教育機関としてもアウトな状況の友人に声をかける。当の本人はロボットの持ってきた夕飯、メザシがのった味噌汁ぶっかけご飯を掻っ込んでいた。
食事内容までヤバいけどっ?!いや味噌汁ぶっかけご飯は美味しいけどっ?!冷や汁冷やご飯でやったら究極のメニューになるくらい。
「おう、これには深いわけがあってな」
食事を終え顔にご飯粒を付けたままで峰田君は、まあとりあえず座れと犬小屋から座布団を取り出して僕に渡す。この気遣いを普段からやったらモテるのにと思いながら僕は彼のマイホーム近くに座布団を敷いて座る。
「こないだお前に借りたけだものローブで」
「帰るね」
うん、何があったかもう予測できるよ。そういえば貸したねそんなアイテム、つーかこれ僕も説教される案件だよ。ただでさえおじさんの件で胃が荒れてるのに止めて欲しいよ全く。
「まあ聞けよ、男子達も避けるから寂しいんだ。話し相手になってくれ」
「座布団にモギモギ仕込んどいて何を言うかっ!!というか男子達も避けるとか何したのさ!!」
渡された座布団にはモギモギが張り付けてあってしっかりとズボンが座布団とハイツアライアンス玄関階段にくっついてしまった。時間帯のせいで微妙に暗いのと座布団の柄で気づけなかったなんて迂闊、これでは女子も居る寮でパンイチになる覚悟が無ければ抜け出せない。
しかし妙だな?性犯罪ぎりぎりの行為をしたからといってクラスメイトを避ける皆じゃないのに。
「それは、オイラがお前にけだもののローブを借りて女子達に可愛がられ抱きしめられておっぱいを堪能しようと画策した日のことだった」
「あのさ、バットを振り続けてマトモになったんじゃないの峰田君?あとどっかの子泣きじじいかなんかか君は」
そういえばグランバハマルでアリシアさんも同じ事をしてたな、気づいてないおじさんが羨まし過ぎるわ!!(血涙)。
「俺は甘くみていたんだ、雄英高校ヒーロー科の男子達を。我がクラスメイト達を」
けだもののローブ。
緑谷出久がグランバハマル生活にて襲いかかる冒険者達を返り討ちにしてドロップしたアイテムの一つで、魔法の品であるに関わらず普通に服屋で購入できる代物。大して荷物にもならないことから野営の多い冒険者は大抵所持していたりする。
ニホンバハマルにおいては再現不可能な魔法の品なのだが、寮の一室が埋まる程に所持していること(一部返り血がべっとり付着)、監視カメラやロボットなど機械は誤魔化せないなどの理由もあり、渡我被身子のような相手対策という峰田実の言葉にのせられつい貸してしまったのだ。
(上手くいったぜ)
インターンにて緑谷出久が長期間不在となることと、けだもののローブの事は記憶再生の魔法で知っていても緑谷出久が所持していることを他のクラスメイトは知らない。その事実から峰田実は自身の計画が上手くいったことを確信したのだ。
だが、それでも峰田実は安易に覗きに走ったりはしない。雄英高校の警備システムは侮れない、さらに自らことに及んでしまえば罰則(下手したら実刑)は免れない。
ゆえに取るべき手段は一つ。
あくまで女子達が自分で抱きしめること、そうなればうっかりけだもののローブを着ていただけの自分を罪に問うことは出来ないのだから。
(あくまで事故っスよ、事故。フヘヘ)
一階の共有スペースのソファ。そこで犬に見えるようにけだもののローブを身に纏い、至福の一時が訪れる瞬間を涎をたらしながら待っていた。
「ん、なんか居るな?」
だが彼、峰田実は失念していた。
別に男子だからといってカワイイ生き物が嫌いだとは限らないと。
むしろ、誰もいない格好つけたり見栄を張る必要がない時に男達はどれだけべっとりとペットを可愛がるのか(注、個人差有り)、女子とのネタ作りのため以外には動物に興味の無い峰田実は知らなかったのだ。
「犬か、誰が連れてきたんだ?しかしここまで近付いても逃げないとか人に慣れてるのか」
最初に現れたのは切島鋭児郎だった。
高校デビューマンは実は犬を飼って抱きしめたりモフモフしたかった。だが日頃から硬派を気取る手前、そんな軟弱な姿は見せられない。誰もいない状況、逃げない犬を前に彼はつい、
「カワイイなぁー、モフモフだぁー」
その犬(峰田実)を抱き上げてモフモフ(幻覚)その身体に頬擦りをしだしたのだ。
(ぎぃぃぃやぁぁぁっ!!)
心の中で悲鳴を上げる峰田実。
なぜしっとりと保湿性高そうな芦戸三奈の肌を堪能したいのに、個性を発動していないにも関わらず硬めな皮膚でさらに運動後なのか汗臭い切島鋭児郎に抱きしめられなければならないのか。
正直ぶち○したいくらいの苦行(自業自得)だが、来たるべきパライソがため、ここでバレたら御破算になってしまうためただひたすらに耐えるしかなかった。
「誰の犬かな?まァここに居るなら許可は取っているよな」
既に口田甲司が飼っている兎という例もあり、切島鋭児郎は教師に連絡すること無くその場を去っていった。モフモフに未練があるから、という理由もそこにはあったかも知れない。
一瞬なのか百年なのか分からない苦行の一時は過ぎ、峰田実は犬の姿のままぐったりとしていた。
(まだだ、まだ一人目だ)
辛い時間だった、だがそれを帳消しにする楽園がそこになるなら耐えられる。萎える気持ち振るい立たせ、峰田実は共有スペースに女子が訪れるその瞬間をひたすら待ち続けた。
八百万百の部屋、その大半を占領するベッドに乗りながら爆豪勝己から借りた幽遊○書のアニメを視聴している来ることの無い女子達を。
通りかかる男子生徒達に撫でられ触られ頬擦りされること数時間、もはやインターンで不在の緑谷出久を除き一年A組男子コンプリートは間近だ。
そのラスト二人のうち一人、爆豪勝己が現れた。
「犬?」
起爆性ある汗は擦りつけられたくねえよ、と冷や汁をかく犬(峰田実)。
「たくっ、ペットを放置しておくなよ可哀想だろ」
ガリガリと頭を搔きながら呆れたように爆豪勝己は言う。だが流石は爆豪勝己、先程まで撫でくりまわした男子達とは違って触れようともしない。
(なんとかなったか)
もう男子とべったり触れあいたくない峰田実がホッと一息ついた所で、
「内緒だぜ」
爆豪勝己は口元に人差し指を当てながらそっと犬(峰田実)の前にポケットから取り出した乾燥唐辛子を置いたのだった。
「なんでだよっ?!」
それには峰田実は堪えきれずにツッコミを入れてしまった。爆豪勝己はヤンキーが捨て猫に優しく接するようなシチュエーションで見事なまでの動物虐待をかましたのだ。本人としては善意のつもりで。
「あ?」
「あ」
「こうしてオイラは幻影がバレて罰として犬小屋に入れられたのさ、苦行の果てにコレだぜ?もう笑うしかねえよ」
「欠片も深いワケなんてないんだけど」
そして笑えない。
そら男子達が避けるワケだよ。
「まあ慣れたら快適だけどな」
ずっと犬小屋ではないだろうけど、すっかり順応しているなあ。
話としては面白かったけどインターンで疲れた身体に止めを刺された気分になった。
あと数日はこのままだと言う峰田君に別れを告げ(モギモギは収納魔法の早着替えで対処した)、僕は自室の前に相澤先生の元へ行くことを決めた。
「ニャンニャン」
そこにけだもののローブを着て猫になりきる担任という地獄があることを知らずに。