とある聖槍の人理保存    作:ネシエル

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真 第三話 縁

ドーム会場(夕刻)

 

太陽が沈み、空の半分が闇に包まれる頃、

響の車がドーム会場の駐車場に到着した。

 

 

 

「着いた!」と響は元気よく車を降りる。

 

 

 

「やっとだぜ。もう、くたくただよ」と、

クリスは肩を回しながら大きく伸びをした。

飛び上がってはしゃぐ響とは対照的に、疲労感を隠さない。

 

 

 

「さあ、二人とも急いで! ステージが始まるわよ」

 

アオイが促すと、響は元気よく「はい!」と返事をした。

その肩には謎の生物、フォウが乗っている。

フォウも「フォオウ」とアオイに呼応する。

 

 

 

「フォウくんも楽しみだね」

響はフォウの頭を優しく撫でた。

 

 

 

「いつも思うけどさ、本当に何なんだこれ?」

クリスがフォウを指して呆れた様子で言う。

 

 

 

「うん、よくわからない」

響はあっさり返す。

 

 

 

「お前が連れてきたんだろ? なんでお前がわからないんだよ」

クリスはツッコミを入れる。

 

 

 

「だって、ずっと一緒にいたもんね」

響はフォウに微笑みかけた。

 

 

 

「フォウ」と鳴くフォウを一瞥し、

クリスは「くそ、さっさと行くぞ」と小さく呟いた。

 

 

 ▲▲▲

 

 

ドーム会場の裏側では、

風鳴翼が電話をしていた。

 

 

 

「そうか、みんなはもう着いたのか」

翼は静かに呟く。

 

 

「翼さんのほうはどうですか?」

電話越しの響の声が聞こえる。

 

 

「どうって?」翼は首を傾げる。

 

 

「マリアさんと謎の歌姫フェイトさんのことです。

デビューしてわずか二ヶ月でトップスターになった、あの超有名な!」

響の興奮が伝わってくる。

 

 

 

「ああ、私もマリアさんには会ったが、

フェイトという人にはまだだな」

 

翼が答える。その瞬間、視線が何かに奪われた。

 

 

 

赤い長髪の女性がドアを開けて部屋に入っていく。

その姿を目にした翼は急いでその扉へ駆け寄り、開け放つ。

 

 

 

「翼さん?」響が声をかけるが、

翼は「すまない、立花。もう切る」と言ってスマホを切ると、

素早く部屋へと入っていった。

 

 

▲▲▲

 

部屋の中

 

暗い部屋に入り、電気をつけた翼は周囲を観察する。

 

 

 

『誰もいない……やはり見間違いだったか』

そう思いながら、頭を垂れる。

そのとき、耳元で静かな声が響いた。

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

「!?」翼は驚き、急いで振り返り素早く構える。

 

 

『いつの間に!? この私が気配を取られるとは……』

 

 

剣こそ持っていないものの、拳を固めて警戒する翼の前に現れたのは、

金髪と仮面が特徴的な女性だった。

その声は機械的でありながら心地よく、少し高めだ。

 

 

「フェイトさんですか」

翼が尋ねると、女性は静かに頷いた。

 

 

「はい」

短く答えた彼女に、翼はすぐさま構えを解き、頭を下げる。

 

 

「すまない、つい癖で……」

 

 

 

「問題ありません。いきなり後ろに立った私が悪いのです。

それにしても翼さん、凄いですね。

あんな動きができるなんて……何かの武術の達人ですか?」

 

 

 

「ああ、幼い頃から父に教えられてな」と翼は答える。

 

 

 

「良い父上ですね」とフェイトは微笑むように言った。

 

 

 

「そうだな……父は素晴らしい人だったよ」と短く応えた後、

翼は尋ねた。「フェイトさん、この辺りで赤髪の長髪の女性を見なかったか?」

 

 

 

「赤髪の女性? いいえ、見ていません」とフェイトは首を振る。

 

 

 

「そうか、済まない」と翼は軽く頭を下げる。

 

 

 

「気にしないでください。それより、今夜のライブ、必ず成功させましょうね」とフェイトは柔らかく言った。

 

 

 

「ああ」と頷く翼。彼女は軽く息をつくと部屋を出て行った。

 

 

▲▲▲

 

ステージ上

 

風鳴翼、マリア、そしてフェイトの三人がステージ上で歌い始めると、会場の観客は熱狂の渦に包まれた。しかし、その最中にノイズが現れる。

 

 

 

「きゃああああ!」観客の悲鳴が響き渡る。

 

 

 

「何でここにノイズが!」と、周囲が混乱する中で、マリアが声を上げる。

 

 

 

「狼狽えるな!」その一喝で場の空気が少し落ち着く。

 

 

 

翼が状況を把握しようとする中、フェイトが警告した。

「動かないで」

 

 

 

「怖い子ね、この状況でも私に飛び掛かるとは」とマリアが冷静に言う。

 

 

 

「でも、あなたが良くても観客たちはどうなるかしら?」

フェイトは静かに呟きながらソロモンの杖を取り出した。

 

 

 

翼はその姿を見て驚愕する。「なぜ、それを持っている?」

 

 

 

「見てわかるでしょう。奪ってきたのよ。

現代兵器も意外と大したことなかったわ」とフェイトは冷たく言った。

 

 

 

「あなたたちは何者だ?」と翼が問い詰める。

 

 

 

フェイトは仮面に手をかけると、不敵な笑みを浮かべる。「忘れたの? 久しぶりの再会なのに」

 

 

 

仮面が外され、その素顔が明らかになる。観客も、そして世界中がその顔に注目する。その姿を見た翼の瞳は揺れた。

 

 

 

「かなで……」翼は小さく呟いた。

 

 

 

フェイト、否、天羽奏は懐かしむように微笑む。

「やあ、翼。久しいね。元気にしてたか?」




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