とある聖槍の人理保存    作:ネシエル

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第十一話 うたかたのゆめ

 

「その通りだ」

 

風鳴司令。いや、風鳴弦十郎は不屈ながらも認めた。

 

「 全てを救うことはできない。」

 

 フェイトが言ったことは事実であった。

全てを救うことはできない。

 

 ノイズ災害の時もどれだけ最善の指示をしても必ず誰が犠牲になる。

救えなかった命、零れ落ちた命は多くあった。

 

 奏の時も同じだ。

 彼女が身を挺して観客たちを助け、多くの命を救ったが

 彼女は帰らぬ人になった。

 

そして、心苦しみ、戦場で泣いていた女の子の心を長年救えることができなかった。

 

 全てを失うかもしれない、 全て救うことはできないけれども、

 

「 だがそれを言い訳に使えるわけではない。」

 

 最初から諦めていいわけではない。

 

「諦めていいわけではない

 俺たちは大人だ。

 子供の頃に願ったことを大人になってようやく実現できる。

 君が言った妄言をやっと現実にすることができる。」

 

 子供の頃。

 無理だったかもしれない。

 力がなかったかもしれない。

 お金がなかったかもしれない。

 

 だが、今はこうやって大きくなり、

 自分の手で何かをつかむことはできる大人こそが夢を見るべきなのだ。

 

「フェイト、すべてを失う確率もあれば全てを救える可能性もある。

 どんなことを言われてもどれだけ罵られても、

 全てを救うことは決して間違ってはいないんだと。

 俺たち、大人が証明するのだ 。

 子供たちに」

 

 それに対し、フェイトは苛立つこともなく、

 ただただ風鳴弦十郎を見つめた。

 

 「 奏者もいないのよくほざく。」

 

 「例え、響たちが居なくても俺たちは諦めない」

 

「その通りだ。

 歴史を変えた英雄は決してあきらめなかった。

自分たちは世界を変えられると信じた彼らこそが世界を変えられたのだ。」

 

 

ギルガメッシュ、イスカンダル、アーサー王、

多くの者は自分たちで何かを変えることができると信じ、

偉業を成せた。

 

夢物語。

大いに結構。

 

その妄言を現実にしたものが英雄だ。

 

フード男は杖を使い、

地面を叩いた。

 

「 やはり貴様か夢魔。」

 

 そうすると、花弁が巻いて、

 それが徐々に人の形をした。

 

「何、軽いトリックさ。

最果ての塔よ。

王はいずれあなたに会う。

その時にじっくりお話をしよう。」

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△

 

 

それは、美しくも悲しい尊い夢。

内側から架空の空に立派に添え、かの神に届こうとした

罪深く巨大な塔にも匹敵する偉大さ(スケール)を誇る。

 

そこで、立花響は目覚めた 。

 

「ここはどこ。」

 

 意識が朦朧としている中で辛うじて残った記憶は巨大な光に飲み込まれることだ。

 

辺りを見渡しても美しい花と立派にそびえ立つ塔。

あの塔に登ったらここらへんの全容が見え、

 ここがどこなのかがわかるかもしれないと思い、

 向かおうとした瞬間。

 

 

「そこには、向かわないほうがいい。

質の悪い魔術師が簡単に囚われて長年出られなかったそうだ。

君ではあそこに行った途端に精神は縛られ、

永久に囚われ続けるだろう。」

 

 後ろから声が聞こえた。

 振り返るとアニメの住民がそのまま出たような美しい女性が居た。

 

「ここはアヴァロン。

星が見る夢。

直ぐに消える泡沫の夢けれども客人ならもてなそう。

ようこそ、立花響。

星の内海へようこそ。」

 

 ロングに伸ばした髪は純金で作られたように輝き。

 風で舞い上がるのを見てまるでおとぎ話に出てくる精霊のように。

 

翼や奏。クリスといった美少女を見にした響でさえ、

 目を奪られた。

 

 それほどまで美しかったのだ。

 

「あなたは」

 

 顔立ちは空恐ろしいほどに整っている。

 

 形のいい鼻すじ。

瑞々しい唇、エメラルドのように輝く翠色の瞳。

 

 これは、人ではなくVRで出した映像と言われても信じてしまう気がする。

  

 服装は中世の村娘によく似ているが、

 

 なぜかその見た目に不釣り合いの王者の気配がする。

 

 

「私の名前はアルトリア。

かつてブリテンを収めた王、

アーサーと呼ばれたものです」

 

 

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