とある聖槍の人理保存 作:ネシエル
夜の研究室に突如として響いた警報音。
その音を聞きつけた天羽奏は、勢いよく扉を開け
、ナスターシャの研究室に足を踏み入れた。
「どうした」と簡潔に問いかける奏。
ナスターシャは冷静にモニターを見つめながら応じた。
「彼らがやってきました」
奏も画面に目をやり、映し出された侵入者たちを注視する。
「早いね。想像以上だ。
どうやら、向こうにも凄腕の調査員がいるみたいだ」
「感心している場合じゃないよ」
ナスターシャは鋭く言った。
「ネフィリムとその餌となる聖遺物はまだここにある。
それらを退去させるには、まだ時間がかかる」
奏は即答した。
「私が行く。マリアと切歌、
それに月読は出なくていい。
私ひとりで十分だ」
その言葉にナスターシャは目を細めた。
「いいのか。いくらあなたでも、
奏者三人を相手にするのは無理がある」
「舐めるな」と奏は鋭く返す。
「私は獣だ。獣がそう容易く倒れると思うのか」
▲▲▲
一方、病院ではクリス、風鳴翼、
立花響がシンフォギアを纏い、
襲い来るノイズたちを次々と撃破していた。
「やっぱり、ここが正解みたいだ」
クリスはそう言うと、両手に機関銃を構え、
弾丸の嵐をノイズたちに浴びせた。
「どこだ、どこにいる、奏」
翼は刀を握りしめ、ノイズを切り裂きながら焦燥感をにじませる。
響は拳ひとつでノイズを蹴散らしていた。
「はああああ!」
気合の声を上げながら、次々と敵を倒していく。
やがて、ノイズの群れを一掃し、
ひと段落したかに見えたその時、
病院の奥から白衣を纏った天羽奏が悠然と歩み出てきた。
「いや、違うぜ。ソロモンの杖がある限り、
ノイズは無限に湧き出る」
その姿を見た瞬間、翼が思わずその名を呼ぶ。
「奏……!」
奏は柔らかく笑みを浮かべた。
「久しぶり、というわけでもないね。
翼、どうしたんだい。そんな顔をして」
その一言に、翼は言葉を詰まらせる。
「本当に奏さんですか?」
と響が恐る恐る尋ねた。
「君は……あの時の少女か」
奏は響に目を向け、感慨深げに言葉を続けた。
「大きくなったね。人間は二年でここまで成長するのか」
響は律儀に自己紹介を始めた。
「私の名は立花響。趣味は人助け。
好きな食べ物はごはん&ごはん。
ちなみに彼氏いない歴=年齢です」
クリスがすかさずツッコミを入れる。
「ちょっと、この状況でそれを言うのか」
「そうか、君は立花響というのか」と奏は微笑む。
「覚えたよ。でも、なんで自己紹介をした?」
「初対面の人にはまず挨拶をしないと、と思いまして」
「敬語はいい」
奏は手を振った。
「こちらも名乗りたいところだけど、
今はその時じゃない。ごめんね」
その瞬間、クリスは銃を奏に向けて構えた。
「そんなことはどうでもいい、ソロモンの杖を返せ」
「君、いい子だね」
奏はどこか楽しげに言う。
「何がだよ!」とクリスが怒鳴る。
「いや、何でもない
普通に弾丸を打てば、運が良ければ当たるかもしれないのに。
いいよ。返してあげる。」
奏は肩をすくめると、ソロモンの杖を放り投げた。
クリスは驚愕しながら杖を受け取った。
「なっ……!」
「所詮は予備用の宝物庫。
お目当ての宝がない以上、もう興味がない」
その言葉にクリスは怪訝な表情を浮かべた。
「何を企んでやがる」
クリスは奏の後ろに歩いてくるノイズを見詰める。
『ソロモンの杖がなければノイズを操れない。
出したノイズも襲い掛かるというのに。
まさか、この状況であたしたち
三人とノイズを全滅できるのか』
翼が静かに奏に語りかける。
「もうやめよう、奏。投降するんだ。今ならまだ間に合う」
「そうですよ、奏さん」
と響も訴える。
「こんなことをしても、何の意味も――」
「ないのか?」
奏は冷たく響く声で言葉を返した。
その一言で、二人は言葉を失った。
「意味ならあるさ。私の行動にはな」
と奏は静かに言葉を紡いだ。
「無意味な生、無意味な繁栄……。
どれほど素晴らしい国を作ろうが、
どれほど素晴らしい王がいようが、
いつか必ず滅ぶ。
これこそ、何の意味もないのではないか」
奏の瞳に宿る決意。それを見た翼は確信した。
「やはり……」
「ああ、そうだ」
奏は後ろに現れたノイズを見やる。
「掃除をしなくちゃ。ノイズはノイズらしく雑音となって消えろ」
▲▲▲
潜水艦内
「!?。周辺地域に異常な重力波を検知。」
「発生点は作戦地域です。」
「なに!?」
▲▲▲
「・・・ネガ・メシア。展開」
奏が静かに呟いたその時、ノイズの大軍が一瞬にして灰となった。
「なあ!?」
「バカな」
奏は光ある影を生み出す。
「三対一だったけ。」
そして、その場には光ある影から生み出された甲冑を纏う騎士たちが姿を現した。
「少々疲れるが、便利なものだ」と奏は呟く。
「さて、粛清騎士。この者たちを殺せ」
鋭い剣を抜き放つ騎士たち。
病院内の空気が、瞬時に凍りついた。
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