アサルトリリィ ~月華の乙女たち~   作:鵺夜深

1 / 8
第一章 入学式編
入学式編 1


 近未来の地球。人類は謎の巨大生命体「ヒュージ」の出現で破滅の危機に瀕していた。

 

 ヒュージとは、ヒュージ細胞と呼ばれる巨大化細胞の暴走が生んだ生命体。

 捕食、寄生、成長を繰り返すことで多様な形状を獲得し、大きさや強さによって等級が分かれる。

 

 スモール、ミディアム、ラージ、ギガント、アルトラといった分類で区別される。

 

 出現はステルス飛行による空からの飛来と、「ケイブ」とよばれる異次元ワームホールから出現する。

 

 ミディアム級までは通常兵器での撃退が可能だが、ラージ級以上に属するヒュージはCHARM(チャーム)でなければ打倒することができない。

 

 CHARMとは、科学と魔法の力「マギ」を結集した決戦兵器であり、そのCHARMと高いシンクロ率を示すのが、10代の女性だった。

 

 だが、全ての10代の女性が高いシンクロ率を誇るわけではなく、CHARMを取り扱えない子もいる。

 

 そして、CHARMを取り扱える彼女達のことを『リリィ』と呼び、次第に英雄視されていくこととなる。

 

 ヒュージと戦うため、ガーデンと呼ばれるリリィ養成機関が世界各地にも作られ、日本国内でも有名なのが、

 

 鎌倉府にある、私立百合ヶ丘女学院、相模女子高等学館、聖メルクリウスインターナショナルスクール等9校。

 

 東京には、御台場女学校、神庭(かんば)女子藝術高校、エレンスゲ女学園、私立ルドビコ女学院等6校。

 

 千葉、幕張科学技術女子。新潟、柳都女学院等、その他、関西、九州、四国、そして、ここ、名古屋府の月華学院を含めて、28校が存在している。

 

 そして、本日、ここ月華学院ではリリイ科の入学式が行われていた。

 

「新入生の諸君、入学おめでとう。月華学院学院長の山口 五十六だ。このご時世、入学の祝辞をごたごた話すつもりはない。ただ、約束だけはして欲しい。死ぬな。例え何があっても、死ぬな。逃げろ。逃げてでも生きて帰れ。」

 

 力の籠った言葉だが、どこか哀しみが混ざっている抑揚。学院長の表情も哀しげに新入生を見ている。

 

 学院長の後ろには、月華学院・リリィ養成科4期生入学式と大きく書かれている幕が貼られている。

 

 講堂と思える場所に集まっている新入生は、学院長の言葉に戸惑いの表情を浮かべている者、ほっと胸をなでおろしている者。周りの様子を伺っている者もいた。

 

 それもそのはずで、リリィとはヒュージと戦うことが使命であり、時には命すら投げうってでも戦う必要があるのに、『逃げてでも、生きて帰れ』と言われると、戦闘に不安を覚えるものは安堵し、覚悟していたものは、戸惑うのも当たり前だった。

 

 そんな生徒達の様子を見ながら、学院長は、

 

「昔の戦争の話ではあるが、木村昌福少将が言った言葉を君たちに送りたい。『帰れば、また来られるからな』。この言葉の意味、各自しっかりと勉強するように。以上、私からの挨拶だ。」

 

 壇上から、新入生の顔、一人ひとりを確かめるように見ながら、下手へと消えていった。

 

 それを、確認してから、別の男性の声が聞こえた。

 

「ええ、講堂を出て、校舎棟の前にクラス分けの紙を掲示しているので、各自確認するように。明日は、一般学生の入学式のため、授業は明後日からになる。間違えて出校しないように。」

 

 その一言で、講堂内の緊張が解けたのか、少しだけざわついた。

 

「あと、中等部からの進学組、および、CHARM持参の者は、クラス確認後は解散。CHARMを当学院にて発注したものは、職員棟の2階の受け渡し所に来てから、帰宅、帰寮するように。では、解散。」

 

 一瞬の静寂のあと、一斉に、生徒たちが動き出したため、講堂の中が騒がしくなった。中等部からの進学組とおぼしき者は友人同士話しながら出口へと向かうと、それにつられるように、他の生徒達もあとに続いた。

 

 月華学院高等部・リリィ養成科。名古屋府(旧愛知県一宮市)にあり、月華学院は87年の歴史がある進学校である。

 

 しかし、2047年~2048年にかけて静岡に突如大量のヒュージが出現し、静岡が陥落。

 

 危機を覚えた名古屋府と関西府は、急遽、2049年に月華学院にリリィ養成科を設立。

 

 翌年の2050年に静岡にいたヒュージの大群が山梨方面を襲い、甲州が陥落。

 

 そのまま、東方面へ移動したことから、名古屋府方面の危機は去ったが、名古屋府内に、ガーデンが存在していないことから、そのまま引き続き、リリィ養成科を継続していくこととなり、今年で4期生を迎えることとなった。

 

 私立の高校でありながら、名古屋府・関西府・政府からリリィ養成に関する費用が公費として支給されており、半私半公という珍しい高校で、授業料等全ての科において、普通の公立より低い。

 

 そのため、リリィ科以外の普通科・特進科の入学希望者は多いが、リリィ科については、他の地域に比べると歴史が浅いため、希望者は少ない傾向にある。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 




初めまして 鵺夜深(やよみ)と申します。

以前、DISCODEにて掲載していた作品をこちらに移転させたものとなります。
DISCODE作成分に若干の手を加えながら、掲載していきますが、作成分がなくなると途端に筆が遅くなると思います。ご容赦ください。

予告編のユーチューブはこちら。初心者の作成なので、つたないです。
ご勘弁を。(音声はありません)

動画にある公開予定日は無視してください。
https://www.youtube.com/watch?v=OPo-7jwj_48

画像は月華学院の校章(知人の颯空さんに描いていただきました。著作権は颯空さんにありますので、転載不可です)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。