余談は置いといてといった表情をした学院長は、
「その資料にもある通り、着服した金額は反リリィ派組織に渡ってる。」
茜も資料を見ながら、
「まぁ、そうでしょうね。名古屋府知事はその代表格の一人でもあったわけですし。」
その茜の言葉に学院長は、フッと笑みをこぼした。
「何か私おかしなこと言いました?」
不思議そうな顔で言う茜に、
「いや、なに、今、過去形で言ったからな。ちょっとおかしくてね。」
「あっ。つい本音が。」
「恐らくあと1時間でその地位から失脚することになるだろうが、今は一応府知事だからね。」
と学院長は軽く念を押して、
「リリィ不要論。バカバカしい話だ。リリィが世界の敵になる。あほか。政治家の敵、もしくは国家の敵の間違いだろうと俺は思ってる。」
「ヒュージがいなくなったら、リリィを利用して戦争を仕掛けてくる国があるって話ですよね。」
呆れた表情で茜が学院長を見る。
「ああ、そんな企てをする国家や政治家だけが彼女達の敵になるだけで、何もしなければ普通の女の子だよ。人類が生き残るために彼女達は戦っているのに、人類同士で殺し合うために戦うわけなかろう。それを企んだ時点でその国家は滅ぶさ。リリィ達の手によって。」
そう言い、学院長は、再び、椅子の背もたれに体重をかけて、両手を頭の後ろで組み、
「これは、俺の予測、想像、そして願望でもあるんだがね。」
と一言前置きを言い、
「そもそも、ヒュージがいなくなるということは、マギそのものがなくなるということであって、マギがなくなれば、リリィとしての力もなくなり、普通の女の子に戻れると俺は思っている。」
その学院長の一言は茜の想定にはなかった一言で、驚きの表情と安堵の表情が入り混じっていた。
「もし、それが事実なら彼女達も本当の意味で普通の生活が送れますが、来ますか?そんな時代。」
そして茜は願いを込めて学院長に尋ねるが、
「来て欲しいもんだ。」
目を閉じながら、小さく呟く学院長に、少しでも希望を持った茜はその言葉に少しだけ後悔した。
学院長は再び目を開けて、引きだしの中からさらに資料を取り出した。
「実はここからが問題なんだが。その金の流れについて調べたものもあってだな。」
学院長は、茜に向かって別の資料を投げた。
「さらにその金額の大半が複数の企業に流れていたことが分かった。」
投げないで、きちんと手渡してくださいというような顔をしながら、しっかりと受け取った資料を見た茜の表情が変わった。
「これ、ゲヘナの関連企業じゃないですか。しかも複数社に金額を分けて。」
驚きというか、怒りも混じったような声で、今にも学院長に飛びつきそうな勢いでいう茜に、平然とした態度で
「ああ、それについては公にはなっていないから、府のアホたれが知らなくても仕方ないんだが。」
その学院長の態度を見て、
「あなたは、それをご存じだったんですか?」
「総司令からの資料でな。」
茜は再度資料を見て、
「良く調べられましたね。」
学院長は両手で顔を覆い両方の人差し指で鼻の上あたりを擦りながら、
「俺もここまで予測してなかったからなぁ。良く調べたよ。あのオッサン。でも危ない橋渡ってなきゃいいんだけどねぇ。」
茜も小さく頷く。そして一言。
「さすがに彼女達もここまでは突き止められないわ。」
呟いた。その言葉に、
「おいおい。エンジェルスピアの面々を叱るなよ。彼女達は自分達の仕事を完遂した。事実は予想のはるか上だっただけだ。」
「私もそこまで鬼じゃありません。逆にここまで手を出していれば、叱責してます。調べる前に報告しなさいと。」
その茜の言葉に頷きながら、
「まもなく政府、軍、警察も動く。名古屋府知事や側近、関係者も終わるだろうよ。」
「これで、この学院の反リリィ派連中もおとなしくならざるおえないでしょうね。」
「ああ、で、後任の人事の候補を上げておいてくれ、退役した軍人でも構わん。指導者向きのもの・・・」
ジリリリリリリリリリリリリリリリ
話の途中でけたたましい音が校内に鳴り響き、そのあとに、人工的な音声で、
「学院長室が爆発。火災も発生している模様です。全生徒は校庭にすみやかに避難してください。繰り返します、学院長室が爆発、火災も発生している模様。全生徒は校庭に避難してください。」
茜はクスクスと笑いながらい、
「あら、ここが爆発ですって・・・・。あの子は、相当あなたに対して、嫌悪感を持っているようですわね。きちんと話してます?」
「いや、爆発って。あれは、俺を抹殺しようとでも思ってるのか。」
「ふふふっ。それはどうでしょうね。そこは、あなたの出方次第でしょうね。」
「この学院に入学させてから、あの子が俺に対して、一線を引いてしまっていて、全く会話にならん。そこは、女性同士どうにかしてくれんか。」
困り顔でいう学院長に、茜は一言、
「あなたの判断は正しいと思ってますよ。でもあの子に何も説明もせず、同意も取らずに勝手に入学させたのはあなたの落ち度です。」
「いや、しかし、あのままでは、あの子は・・。」
「だから、結果は正しかったと、その手段が間違っていただけです。あの子を私たちで引き取った時から、あなたの判断は間違っていません。きちんと話せばわかってくれるとおもいますよ。」
そう言い切る茜だが、心のなかでは、語尾に ー多分ー とつけていた。
「いや、だからな。その思春期の女の子の扱いは・・・。」
困惑している学院長をよそ目に、
「はいはい、そろそろ動かないと、本当に爆発しますよ。陽子ちゃん。最後はあなたが出ていかないと。」
「はぁ・・・・・」
大きくため息をついた学院長は、ようやく椅子から立つと、茜と一緒に学院長室を出た。
いつもお読みくださりありがとうございます。
う~ん。今思えば、5と6分ける必要あったのかなって思うぐらい6の分量が少なかった気がする。
5が長すぎた気もするけど、切るところがなかったというのも事実で。
6はあまり読みごたえがないかもしれませんが、ご容赦ください。
入学式編の目途もついてきました。恐らく8か9ぐらいで次に行く予定です。
7についても、以前書いていたものに手を加えなければいけない状況なので、来週?再来週?ぐらいになりそうです。(早ければ、今週末ぐらいは無理だろうな。きっと)
申し訳ありませんが、筆が遅いので、お待ち頂けると幸せです。
入学式編と次の編の間に、簡単はキャラクターの紹介と各キャラの絵(颯空さん作画)を入れる予定です。
では、アサルトリリィ ~月華の乙女たち~ をよろしくお願いたします。
鵺夜深