2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第3話(4)違いの分かる女

「ふん!」

 

 七三分けの風紀委員が仲間を四人引き連れ、教壇にドカッと座っている。そこに日光たちが戻ってくる。日光がため息をつく。

 

「お前か……」

 

「あ! 見つけたぞ! 仁子日光! まさかこっちの校舎だったとはな!」

 

「……何の用事だ?」

 

「風紀委員会がこうしてわざわざやって来たんだ、風紀を正す以外にあるまい!」

 

「……教室を滅茶苦茶にしてか?」

 

「滅茶苦茶ではない! ちょっと机と椅子を左右に避けただけだ!」

 

「何の為にだ?」

 

「貴様が反抗した時の為にだ!」

 

「反抗?」

 

「そうだ、これを見ろ!」

 

 七三分けがブレザーの制服を広げてみせる。

 

「それは……」

 

「学園指定の制服だ! 仁子日光! これに着替えてもらうぞ!」

 

「断る」

 

 日光は即答する。七三分けは笑う。

 

「ふふっ、貴様のことだからそう答えると思ったぞ! ならば……」

 

「どうする?」

 

「無理矢理にでも着替えさせる!」

 

「横暴にも程があるな……」

 

「風紀ってなんだったかしら……?」

 

 日光と照美が呆れる。七三分けが声を上げる。

 

「下手に抵抗してくれるなよ? 仮に暴れたとしても風紀委員会きっての筋肉質コンビが貴様を抑え込む!」

 

「むん!」

 

「ぬん!」

 

 七三分けの両脇に立つ、大柄な生徒たちがこれ見よがしにポーズを決める。

 

「おっと、逃げようとも思うなよ? 風紀委員会きっての俊足コンビが貴様を捕まえる!」

 

「しゅん!」

 

「びゅん!」

 

 廊下側とベランダ側に見るからに足の速そうな生徒たちが位置どる。

 

「あ、あわわ……」

 

「案ずるな、聡乃。大したことはない」

 

 怯む聡乃に落ち着いて語りかけながら、日光が前に進み出る。照美が尋ねる。

 

「どうするつもり⁉ まさか素直に着替える気⁉」

 

「公開ストリップをする趣味は流石にない……」

 

「そ、そう……まあ、ここじゃなくてトイレとかで着替えた方が一番角が立たない気もするけど……せっかく制服も用意してくれているわけだし」

 

「押しつけがましいのは嫌いだ……」

 

 日光が更に前に進み出る。七三分けが声を上げる。

 

「そ、その態度! 素直にこちらの要求を呑む気はないようだな!」

 

「もう口調が風紀委員のそれではないような気がするのだが……」

 

「どうなのだ⁉」

 

「ああ、着替える気はない」

 

「そうか! ならば無理矢理にでも着替えさせる! 身柄を取り押さえろ!」

 

 四人の風紀委員が日光に迫る。日光が呟く。

 

「……出番だぞ」

 

「はああ! 『垢バン』!」

 

 日光の後ろから飛び出した朱雀が右手で銃の形を作り、発砲の動作を取る。

 

「う、うああ!」

 

「ぐ、ぐああ!」

 

「ず、ずああ!」

 

「ぬ、ぬああ!」

 

 四人がその場に崩れ落ちる。七三分けが戸惑う。

 

「な、なんだ⁉ どうしたというのだ⁉」

 

「全員、裏垢持ちだったのね……」

 

「ふ、風紀委員の方々も人間だったということでしょうか……」

 

 照美と聡乃が気の毒そうな顔で見つめる。七三分けが声を上げる。

 

「わ、訳が分からん!」

 

「訳を知る必要はないよ……」

 

 朱雀が七三分けに右手を向けて、発砲のジェスチャーをする。

 

「……? なんだ?」

 

「なに? SNSをやっていないのかい?」

 

「SNSくらいやっているが……それがどうした?」

 

「ヤバい裏垢とか持っていないのか⁉」

 

「持っていない!」

 

「そ、そんな……」

 

 朱雀が顔を覆う。七三分けが叫ぶ。

 

「こっちがおかしいみたいな反応をするな! 普通はわざわざ裏垢など作らん!」

 

「相手が重度、あるいはかなりのSNSユーザーでないと通用しない能力か……確かに微妙な能力……微能力だな」

 

 日光が淡々と呟く。朱雀が問う。

 

「くっ、どうするつもりなんだい?」

 

「あの七三分けにこれ以上デカい顔されるのもしゃくだろう?」

 

「そ、それはまあね……」

 

「ならば、俺と……友達になれ」

 

「は?」

 

「どうなんだ?」

 

「ま、まあ、別に構わないが……」

 

「ならば俺の左眼を見ろ。何色だ?」

 

 日光が眼帯をめくって朱雀を見つめる。

 

「オ、オレンジ色だね……」

 

「そうか……おい、七三分け!」

 

「な、なんだ⁉」

 

「貴様のヴィジランテ気取りの振る舞いはあまりにインジャスティスだ……」

 

「なにっ⁉」

 

「そのようなクレイジーな行動をこれ以上続けるというのならば……ここに倒れている四人と合わせて、クインテット揃って、カタストロフィを迎えることになるぞ……」

 

「な、なんだって⁉」

 

「サヴァイヴしたければまだ望みはある……」

 

「だから何を言っている⁉」

 

「タイラントのスティグマを押されたくないのであれば、この場からさっさとエスケープすることだな……」

 

「む、むう……」

 

「チェックメイトされたいのか⁉」

 

「くっ! 今日のところは引き上げる! おい、お前ら、早く起きろ! 行くぞ!」

 

 七三分けたち風紀委員会は教室から去っていった。聡乃が首を傾げる。

 

「え、えっと……?」

 

「やたらと横文字使いたがる系の中二病っていうことでしょう……能力か分からないけど」

 

「な、なるほど……あ、井伊谷さん?」

 

「す、素晴らしい……本当に君ならこのB組を変えてくれるかもしれない……この井伊谷朱雀、君に協力するとしよう」

 

「さすがは四天王、違いが分かるようだな」

 

 日光と朱雀が握手を交わす。

 

「私にはよく分からないわ……」

 

 照美が頭を軽く抑えて呟く。

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