2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第5話(2)学生寮へ

「しかし……」

 

「ん?」

 

「学生寮があったのだな……」

 

「いや、そりゃあ別にあったっておかしくないでしょう」

 

 日光の呟きに照美が呆れ気味に反応する。

 

「西学生寮とは一体どういうことだ?」

 

「学園から見て東西に学生寮があるの。西側が女子寮、東側が男子寮よ」

 

「なるほど、しかし二つもあるとは……」

 

「能研学園は生徒が全国から集まってきているからね。下宿している生徒などもいるし、必ずしも寮に入るという決まりはないけど……」

 

 照美が歩きながら日光に説明する。

 

「どこにあるのだ?」

 

「すぐ近くよ」

 

「照美、学生寮で騒ぎとはどういうことだい?」

 

「さあ? 詳しいことは何も……」

 

 朱雀からの問いに、照美は首を傾げる。

 

「まあ、女子寮、B組棟ってことは、十中八九、あの子が絡んでいるんじゃないの?」

 

「ああ、それは大いにあり得るだろうね……」

 

 玄武の言葉に朱雀が同調する。日光が首を傾げる。

 

「あの子?」

 

「日光っちのお目当ての子だよ」

 

「お目当てだと?」

 

「それは行ってみてからのお楽しみってことで……」

 

 なおも首を傾げる日光に対し、玄武が笑いかける。朱雀がため息まじりに呟く。

 

「笑い事で済むと良いのだけどね……」

 

「そんなに厄介なのか?」

 

「恐らくね……」

 

 日光の問いに朱雀は肩をすくめる。

 

「あ、あの能力を使っているなら、確かに厄介そうです……」

 

「なにか言ったか? 聡乃?」

 

 日光が離れて歩く聡乃に尋ねる。玄武が苦笑する。

 

「まだ若干の距離を感じるね……」

 

「……見えてきたわ」

 

 照美が前方を指差す。叫び声が聞こえる。

 

「……よって、我々はB組棟の施設改善を要求する!」

 

 積み上げられたバリケードから顔を覗かせ、拡声器を使って叫ぶ、凛々しい顔立ちの女子生徒の姿が見える。白髪のポニーテールが激しく揺れる。

 

「ああ……」

 

「やっぱりね」

 

 朱雀は頭を抱え、玄武は再び苦笑する。日光が照美に尋ねる。

 

「誰だ?」

 

扇原白虎(おうぎはらびゃっこ)さん、出席番号7番……」

 

「! ということは……」

 

「そう、我が2年B組のクラスメイトよ」

 

 照美が頷く。聡乃が補足する。

 

「し、四天王の一角です。『革新派』の筆頭ですね……」

 

「革新派……するとあの女の周りにいる四人もクラスメイトか?」

 

「いいや、違うね」

 

 朱雀が首を振る。玄武が首を傾げる。

 

「二人は3年の先輩だが、残りの二人は見たこと無いね……」

 

「1年生だろうね」

 

「ああ、なるほど」

 

 朱雀の言葉に玄武が納得する。

 

「先輩だけでなく、高等部に上がって間もない後輩までをも引き込むとはね」

 

「そんなことが……」

 

「十分に可能だろうね、彼女の能力ならば」

 

「ああ、確かに……」

 

 朱雀の言葉に照美も納得する。日光が首を捻る。

 

「俺はまだ納得していないのだが?」

 

「まあ、能力についての詳細は省くとして……」

 

「いや、そこを省くな。大事なところだろう」

 

 日光は真っ当に突っ込みを入れる。玄武が笑みを浮かべながら、日光の肩をポンポンと叩いて淡々と呟く。

 

「とにかく、この状況はあまりよくない」

 

「それはどう見ても分かる」

 

「……何より、他学年とはいえ、同じB組の生徒たちと一緒に行動を起こしてしまっている……これはマズい」

 

「む……」

 

「君がどんな絵図を描いていたかは知らないが、先手を取られたようなものじゃないか?」

 

「くっ、しかし……」

 

「しかし?」

 

「拙速に過ぎる。たった5人で何が出来るというのか?」

 

「あの5人が全勢力とは限らないよ」

 

「むう……」

 

「そして、今回のこの抗議活動はジャブのようなものだという可能性が高い」

 

「ジャブ……」

 

「そう、相手が弱みを見せたところで……強烈な一発を!」

 

 玄武が鋭い右ストレートを前方に振るう。日光が呟く。

 

「……叩き込む」

 

「そういうこと」

 

「誰に対してだ?」

 

「そこまでは……ただ、現状を見た限りでは、学園を相手取ろうという腹積もりなのかな?」

 

「それは困るわ!」

 

「照美……」

 

「ただでさえ、目が付けられやすいB組なんだから、こんなところで変に騒ぎを大きくして欲しくないのよ」

 

「……と、クラス長の照美ちゃんは仰せだ」

 

「下手に介入すると、共犯とみなされる恐れもある。ここは静観が賢いと思うが」

 

「おっと、強硬派の井伊谷ちゃんとしては冷静だね~しかし、事態がこのまま大人しく収束するかね~?」

 

「笠井くん、そういう君の意見はどうなんだ?」

 

 朱雀がムッとしながら玄武に問う。玄武は鼻の頭をこする。

 

「穏健派としては、クラス長と副クラス長、照美ちゃんと本荘ちゃんが学園側と話し合っている内に、俺たちであの革新派を落ち着かせるように説得するのがベストかな~と」

 

「わ、私たちも介入するんですね……」

 

「そうよ、聡乃さん、あの扇原さんが主導している以上、2年B組の問題に発展する可能性はなきにしもあらずよ。私たちも無関係のままではいられないわ」

 

「そ、そんな……」

 

「というわけで、行くわよ」

 

 バリケードを挟んで対峙する学園側の職員の方に照美が向かおうとする。

 

「待て!」

 

「え?」

 

「話し合いや説得などまだるっこしい。これは2年B組を誰がまとめるのかという話に関わってくる……俺たちであの革新派を直接止める」

 

「ええっ⁉」

 

 日光はバリケードの前に立って大きな声を上げる。

 

「2年B組の副クラス長、仁子日光だ!」

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