2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第5話(4)独自の世界観

「ぐおおっ!」

 

 超大柄な女性が太い手足を振り回す。日光と白虎は後方に飛んで、なんとかそれをかわす。日光が改めて白虎に告げる。

 

「白虎、手を貸せ!」

 

「う、うるせえ! 気安く名前を呼ぶんじゃねえ!」

 

「ぬおおっ!」

 

 女性が大きな唸り声を上げる。

 

「あの見るからに強力な奴を黙らせるにはお互いが協力するしかない!」

 

「はっ、うまいことを言ったつもりか!」

 

「貴様のお仲間は動けん! 俺の仲間たちも消耗している! ここは俺と貴様が手を組むしかない!」

 

「くっ……」

 

 白虎が唇を噛む。

 

「このままだと学園側にいいようにされてしまうぞ!」

 

「……のか?」

 

「え?」

 

「何か手はあるのか⁉」

 

「貴様の微能力を使わせてもらう!」

 

「⁉」

 

「どうだ⁉」

 

「分かった!」

 

 白虎が女性の前に立つ。

 

「!」

 

「大した馬鹿力だ……しかし、当たらなければ、単なる馬鹿に過ぎないな」

 

「! うおおっ!」

 

 女性が激怒する。咆哮だけで周囲が軽く振動する。白虎が戸惑い気味に尋ねる。

 

「こ、これで良いのか⁉」

 

「ああ、まずは第一段階突破だ!」

 

「だ、第一段階⁉」

 

「ぶおおっ!」

 

 女性が白虎たちに迫ってくる。白虎が声を上げる。

 

「来た!」

 

「ずおおっ!」

 

「うおっ!」

 

「おっと!」

 

 女性が繰り出したパンチを白虎と日光がかわす。その強烈なパンチは地面に軽くひびを入れるほどのものであった。白虎が舌打ちする。

 

「ちいっ! あんなもの一発でも喰らったらそこで終いだぞ⁉」

 

「そこで第二段階だ!」

 

 日光が女性の懐に飛び込む。白虎が驚く。

 

「なっ、危ないぞ⁉」

 

「白虎、俺を煽れ!」

 

「‼」

 

「速く!」

 

「えっと……『ザッコw』!」

 

「よし!」

 

「⁉」

 

 女性の振り下ろしたパンチを細身の日光が受け止めてみせた。日光が声を上げる。

 

「思ったとおりだ! 白虎、貴様の煽りは味方にとっては力を引き出す言葉になる!」

 

「し、知っていたのか⁉」

 

「いいや! ただの勘だ!」

 

「か、勘⁉」

 

「それ!」

 

「ぐおっ⁉」

 

 日光が押し返し、女性の巨体が転がる。日光が拳を握る。

 

「第二段階突破だ! 次は最終段階だ!」

 

「最終段階⁉」

 

「ああ、要はフィニッシュだ!」

 

「し、しかし……」

 

「なんだ⁉」

 

 日光は白虎の方に振り返る。白虎が言い辛そうに告げる。

 

「力を引き出すと言っても限度がある。アンタの力をマックスまで引き出したとしても、あのデカい女を倒せるとは思えん……」

 

「……」

 

 日光がゆっくりと白虎の方に歩み寄り、じっと顔を見つめる。白虎が戸惑う。

 

「な、なんだ⁉」

 

「俺を見ろ!」

 

「は、はあ⁉」

 

 日光は左眼の眼帯をめくって尋ねる。

 

「俺の左眼は何色だ⁉」

 

「ええっ⁉」

 

「速く答えろ!」

 

「あ、青色だ!」

 

「そうか!」

 

 日光は女性の方に向き直る。倒れていた女性が巨体をゆっくりと起こす。

 

「ぐうう……」

 

「女性に手を上げるのは本意ではない……」

 

「し、紳士ぶっている場合か⁉」

 

「紳士? いいや、俺は『選ばれし星の戦士』だ!」

 

「はああっ⁉」

 

「見ていろ……」

 

 日光が両手を前に突き出す。青い球体のようなものがその両手にそれぞれ発現する。白虎が驚いて声を上げる。

 

「な、なんだ⁉」

 

「喰らえ! 『スモールアースエクスプロージョン』!」

 

「‼」

 

 日光の両手から放たれた二つの球体が女性の体に当たり、遥か後方まで吹っ飛ばす。距離を取っていた、学園側の連中も巻き添えになって倒れ込む。日光が叫ぶ。

 

「ストライク!」

 

「い、いや、ストライクって⁉ 手を上げるのは本意ではないとか言ってなかったか⁉」

 

「そうだ、手を前に突き出しただけだ……」

 

「ア、アンタ、なんなんだ?」

 

「俺は星の戦士だ」

 

「いや、意味が分からん……」

 

 首を傾げる白虎に対し、照美が声をかける。

 

「彼は……『中二病』という微能力者なの」

 

「中二病……⁉」

 

「恐らくだけど、今回のは独自の世界系の中二病ってところね……」

 

「今回のはって……色々バリエーションがあるってことか?」

 

「鋭いわね、その通りよ」

 

「! はっはっは!」

 

 白虎が笑い声を上げる。正気に戻ったらしい日光がそれに気づく。

 

「……どうかしたのか?」

 

「仁子日光……アンタなら本当にこのクラス、いや学園までも変えてしまうかもしれないな。扇原白虎、アンタの活動に協力させてもらおうじゃないか」

 

「そうか、それは心強い……」

 

 日光と白虎が爽やかに握手を交わす。照美が向こうの様子を伺う。

 

「吹っ飛ばした学園側の人たち、大丈夫かしら……あ、引き上げていったわね……」

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