2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第7話(1)そこに三兄妹がいるでしょう?

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「あ、おはよう、日光君」

 

 朝の通学中、照美が日光に声をかける。日光が振り向いて答える。

 

「ふっ、覚醒には未だ至らず……」

 

「……まだ眠いってことね、睡眠はちゃんと取りなさいよ」

 

「毎夜研鑽に勤しんでいるのでな……」

 

「何の研鑽よ?」

 

「ふふっ、知りたいか?」

 

「いや、いいわ。どうせろくでもないことでしょうし」

 

「ろ、ろくでもないとはなんだ!」

 

「あ、おはよう、聡乃さん」

 

 照美は日光を無視して、聡乃に声をかける。

 

「あ、お、おはようございます……」

 

「こんな時間に会うとは……早いな、聡乃」

 

「い、いや、別に普通の時間帯だと思いますけど……」

 

「聡乃さん、こいつの言うことはある程度無視していいわよ」

 

「は、はあ……」

 

 聡乃が苦笑を浮かべる。

 

「あ、ある程度とはなんだ! ふあ……」

 

 日光があくびをする。聡乃が尋ねる。

 

「に、日光さん、眠そうですね」

 

「夜更かししていたのよ」

 

「研鑽だ」

 

「同じことでしょう」

 

 日光の言葉を照美が軽くあしらう。

 

「ふん……まあ、今後を考えると、胸が高鳴ってなかなか眠れないということもある……」

 

「今後? クリスマスは大分先よ?」

 

「誰がサンタクロースを楽しみにしているといった」

 

「違うの?」

 

「違う」

 

「そう」

 

 照美は笑う。聡乃が口を開く。

 

「し、四天王の皆さんを味方に引き入れることが出来ましたからね」

 

「そういうことだ」

 

 聡乃の言葉に日光は頷く。照美が手を軽く叩く。

 

「あ~そういえばそうね」

 

「そういえばって、随分と軽いな」

 

「まさか本当に協力関係を築くことが出来るとは思わなかったわ」

 

「ふっ、俺にかかれば容易いことだ……」

 

 日光が大げさなポーズをとる。照美は特にそれには反応せず、話を進める。

 

「クラスの出席率がかなり良くなってきたわね」

 

「そ、そうですね、3~4割くらいだったのが7~8割くらいにはなってきました」

 

「クラス長としては喜ばしい限りだわ」

 

「や、やはり、四天王の皆さんの影響力は大きいですね」

 

「そうね」

 

 聡乃の言葉に照美は同意する。日光が笑みを浮かべて呟く。

 

「この調子ならば、クラスをより良い方向に進めていくという目的も、思ったより簡単に達成出来そうだな……」

 

「いや~それは果たしてどうかしらね?」

 

 照美が首を傾げる。日光が問う。

 

「どういうことだ? なぜ疑問視する?」

 

「主な理由は大きく分けて二つあるわ」

 

 照美が右手でピースサインを作る。日光が首を捻る。

 

「二つ?」

 

「まず一つ目は、四天王といえども……っていうことよ」

 

「? どういう意味だ?」

 

「あまり言いたくないのだけれど……」

 

 照美は自らの唇を人差し指で抑える。

 

「そこまで言ったのなら言え」

 

 日光が話の続きを促す。照美が渋々口を開く。

 

「えっと……いくら四天王といえども、所詮は『微能力者』たちってことよ」

 

「ふむ……」

 

「微妙な能力よ、どうするの?」

 

「いつも言っている。どんな能力も使いようだ」

 

「そうは言うけれどもね……」

 

「……そういえばどんな能力だったかな?」

 

 日光が首を傾げる。照美がズッコケそうになる。

 

「把握してないんじゃないの……」

 

「い、井伊谷さんが『垢バン』、複数のアカウントを所持している人の心の闇を突く能力です。笠井さんが『パリピ』、簡単に言えば、周囲のテンションを上げる能力……扇原さんが『煽り』、言動によって、相手のペースを乱します。翻って味方のモチベーションアップを行える能力です。本郷さんが『スパダリ』、何事もほぼ完璧にこなします……」

 

「……なるほど、揃いも揃って微妙だな」

 

 聡乃の説明を聞いて、日光は深々と頷く。聡乃が戸惑う。

 

「い、いや、それを認めてしまっては……」

 

「それでよく四天王になれたな、あの四人は……」

 

「まあ、基本的なスペックがそもそも高いというのもあるけれどね」

 

 照美が呟く。

 

「なるほどな」

 

「で? どうやって下克上を成し遂げるの?」

 

「まあ、その辺は追々考える……」

 

「追々って……」

 

 照美が呆れる。日光が尋ねる。

 

「もう一つはなんだ?」

 

「ああ……確かに四天王の影響力はあるけど、それだけで必ずしもクラスの全体があなたになびくとは限らないということよ」

 

「ほう……」

 

 日光が腕を組む。

 

「物事はそう単純ではないということよ……」

 

「おはようございます」

 

 日光たち三人が校門を抜け、B組の校舎に向かっている背中に地山が声をかける。照美が振り返って応える。

 

「ああ、先生、おはようございます」

 

「三人お揃いでちょうど良かったわ」

 

「ちょうど良かった?」

 

「ええ、あなたたちのクラス運営に不満を持つ生徒たちが来てね……」

 

「ほら日光、早速おいでなすったわ……って、わ、私たちもですか⁉」

 

 照美が驚いた表情で地山に問う。地山が頷く。

 

「ええ、貴女と本荘さんも含めてよ」

 

「だ、誰が……?」

 

「私の後ろにいますよ」

 

 地山が自分の後ろに向かって顎をしゃくる。そこには三人の顔がそっくりな男女が立っていた。照美が顔をしかめる。日光が顎に手を当てる。

 

「む……」

 

「あれは……」

 

「そこに三人の大城戸(おおきど)三兄妹がいるでしょう?」

 

 地山が微笑を浮かべる。

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