2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第8話(1)筆頭

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「さて、こうして集まってもらったのは他でもない……」

 

 木造校舎の空き教室に朱雀をはじめ、玄武、白虎、青龍の、『2年B組四天王』が机を囲んでそれぞれ席についている。青龍が尋ねる。

 

「東クラス長たちはお呼びしなくてもよろしいのですか?」

 

「ああ、呼ばなくて問題ないよ」

 

「……妙ですね、ならば何故我々だけが?」

 

「それは今から話す……」

 

 朱雀が席からゆっくりと立ち上がる。笠井がポンと手を打つ。

 

「あ! 俺は分かっちゃったよ~井伊谷ちゃん~」

 

「本当か、笠井?」

 

 玄武の言葉に白虎が反応する。朱雀が側頭部をポリポリとかきながら、問う。

 

「……何を分かっちゃったのかな?」

 

「照美ちゃんたちへのサプライズパーティーっしょ! いつもサンキュー的な……」

 

「ああ! それはあるかもしれんな!」

 

「扇原ちゃんもそう思うっしょ⁉」

 

 玄武と白虎は見つめ合ってうんうんと頷き合う。白虎が机をバンと叩く。

 

「こうしちゃいられねえ! さっさとパーティーの準備を始めねえと……」

 

「その必要は……まったくない!」

 

 朱雀が声を上げる。玄武と白虎が不思議そうな顔をする。玄武が尋ねる。

 

「サプライズパーティーは~?」

 

「そんなものを開いている余裕はない……」

 

 白虎が問う。

 

「転校生歓迎会兼副クラス長就任パーティーは……」

 

「そんなものを行っている時間はない……」

 

 玄武と白虎の提案を朱雀は一蹴した。玄武は愕然とする。

 

「そ、そんな今こそ、パーティーを開いて、照美ちゃんたちだけでなく、他のクラスメイトたちとの親睦を深める絶好の機会なのに……」

 

 本郷が口を開く。

 

「笠井さんの……」

 

「いや、俺のことは玄武で良いよ、青龍っち」

 

「せ、青龍っち……。 ま、まあとにかく、パーティーを下手に開こうものなら、あなたの微能力『パリピ』が黙ってはいないでしょう。ねえ、玄武さん」

 

「え?」

 

「そうやってすっとぼけても無駄です。パリピの能力における集団心理を上手く活用して、自らの派閥を強化しようとしているのでしょう」

 

「何のためにそんなことを……」

 

「知れたこと、このクラスでの2番手ポジションを絶対不動のものにしようとしているのでしょう」

 

「!」

 

「これは油断も隙もないな。笠井くん……」

 

 白虎は驚き、朱雀は頭を軽く抑える。白虎が詰め寄る。

 

「どういうことだ、笠井! それは抜け駆けじゃねえか⁉」

 

「まあまあ、落ち着いていこうよ~♪」

 

「これが落ち着いていられるかよ!」

 

「落ち着け、扇原さん。笠井くん、考えがあれば聞こう」

 

 白虎を落ち着かせながら、朱雀が話を促す。

 

「照美ちゃん……厳密に言えば、あの副クラス長、仁子日光くんがこのクラスをよりよいものにするために動き始めている。四天王として各々考えはあるようだけれども、彼の活動に協力を示すことは一致していたはずだよ」

 

「それは確かに……」

 

 玄武の真面目な説明に朱雀が頷く。

 

「そうでしょ~? だからこそさ……」

 

「だからこそ?」

 

 白虎が首を傾げる。ポニーテールが揺れる。

 

「四天王の『筆頭』を決めておくべきだと思うんだよね~」

 

「! 筆頭……」

 

「……」

 

 白虎は驚くが、青龍は腕を組んだまま黙っている。朱雀が口を開く。

 

「これは驚いた。僕とほとんど同じ考えだよ」

 

「それは奇遇だね~」

 

「まあ、その筆頭だが……僕がつくということで問題はないね?」

 

「ええ~?」

 

「ど、どうしてそうなる⁉」

 

「……納得が行きませんね」

 

「この四人の中で、日光くんと最初に手を組む意思を示したのは僕だ。向こうとしても異存はないと思うがね」

 

「そ、そんなのタイミングの問題だろうが!」

 

「白虎ちゃんの言う通り~」

 

 白虎の言葉に玄武が同調し、青龍が淡々と呟く。

 

「……この四人の中でいち早く旗色を鮮明にしたということは、翻って言えば、一番チョロいということ……」

 

「チョ、チョロいだと⁉」

 

 青龍の言葉に朱雀がムッとする。玄武が笑う。

 

「ははっ、そういう考え方も出来るよね~」

 

「……要は誰が一番力になれるかってことだろう?」

 

「扇原さん、なにか考えがあるのかい?」

 

 朱雀が白虎に問う。白虎が胸を張る。

 

「アタシの能力があれば、このクラスをより強力な組織にすることだって可能だぜ?」

 

「白虎ちゃんの『煽り』は効果的かもね~」

 

「煽動には長けていらっしゃいますね……」

 

 玄武と青龍が頷く。白虎が笑みを浮かべる。

 

「だろ? これはアタシが筆頭ということで決まりだな」

 

「……それで決まりというのはどうかな?」

 

「なんだよ、文句あんのか、井伊谷?」

 

「二人はどう思う?」

 

「扇原さんの煽りはやや過激な方向に走るきらいがあります……」

 

 朱雀の問いに青龍が答える。

 

「俺もそう思うよ~。そういう方向性は日光っちもあまり望んでいないんじゃないかな」

 

「むう……」

 

 白虎が黙る。やや間をおいてから青龍が口を開く。

 

「……答えは至極シンプルです」

 

「え?」

 

 朱雀らの視線が一斉に青龍へ向く。

 

「この何事においても完璧に近い本郷青龍が四天王筆頭ということで問題ないでしょう」

 

「却下だね」

 

「何故です? 井伊谷さん?」

 

「……なんとなく、鼻につくからだ」

 

「同じく」

 

「同意~」

 

「そんな……」

 

 三人の答えに青龍はやや戸惑う。白虎が立ち上がる。

 

「分かったぜ!」

 

「何が分かったんだい?」

 

「分かりやすい手柄を立てれば良いんだよ。例えば、あいつを引っ張りだすとかな……」

 

「あいつ……なるほどね。それも悪くないかもしれない……ならば、手柄を立てたものが四天王筆頭ということで行こう」

 

 朱雀の言葉に三人は揃って頷く。

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