2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

33 / 51
第8話(4)薄いよ、何やってんの!

「ひょっとして……忍者か?」

 

「ひょっとしなくても忍者よ。くのいちって言った方が良いのかしら」

 

「ほう……」

 

 照美の説明に日光は頷く。

 

「ふん!」

 

 花火が後方に飛んで、日光と距離を取る。日光が構える。

 

「くのいちならば、戦闘能力も高いだろう、遠慮はいらんな」

 

「そんな余裕があるのか?」

 

「今日の俺の左眼は緑……よって、貴様の身体能力にも後れは取らん!」

 

「!」

 

「『宙二秒』!」

 

 背中に片翼の黒い翼を生やした日光が低空飛行でもって、再び花火の懐に入ろうとする。意外なスピードに花火は舌打ちする。

 

「ちっ!」

 

 花火は高速でパチパチパチパチと拍手をする。それによって土煙が起こり、視界が遮られる。日光が飛行を停止し、着地して顔をしかめる。

 

「くっ、姿が見えん……!」

 

「それが花火さんの微能力、『弾幕』よ!」

 

「弾幕だと……む⁉」

 

 照美の言葉に気を取られた隙をついて、豆鉄砲が日光めがけて飛んでくる。日光はかわしきれずに当たるがままになる。鬼の面を被った花火が笑う。

 

「よそ見している暇があるのか⁉」

 

「むう……」

 

「次はこれだ!」

 

「ちっ、炎か!」

 

「どうだ! 近寄れまい!」

 

 ひょっとこの面を被った花火が声を上げる。

 

「くそ……」

 

「お次はこれだ!」

 

「ぐっ、水⁉」

 

「当たるとなかなか痛いだろう!」

 

 狐の面を被った花火が叫ぶ。防御しながら日光が目を見張る。

 

「炎が水で消火された⁉ 今だ!」

 

「そうはいかん!」

 

「! い、いや、煙が生じてそのまま煙幕に……視界の悪さは変わらずか……」

 

「どうだ!」

 

「巧妙な二段仕掛けだな……」

 

「感心するとはまだ余裕があるな! これならどうだ!」

 

「ぐはっ⁉ 衝撃波! 紙鉄砲か……」

 

「そうだ!」

 

 おかめの面を被った花火が折り紙の紙鉄砲を構える。

 

「おもちゃをそこまでの威力に持ってくるとは……かなりの練度だな」

 

「ああ、拙者はここまで血のにじむような努力を重ねてきた!」

 

「単なる視界を遮るだけの能力だけでなく、攻撃にも転じることが出来るなんて……!」

 

 照美が驚く。

 

「……ふふっ」

 

「! なにがおかしい!」

 

 花火が紙鉄砲を笑う日光に突きつける。

 

「おかしいのではない……嬉しいのだ」

 

「嬉しい? 何を言っている⁉」

 

「この学園に来てから、どんな能力も使いようだと俺は言ってきた……」

 

「……」

 

「貴様はさらにその先を行っている。微能力を練り込み、より高みを目指す……何故なら能力に限界などはない……俺を含め、この2年B組の連中に足りなかった考えだ……」

 

「!」

 

 照美が再度驚く。四天王の面々もそれぞれハッとした表情になる。

 

「微能力の練り込みか……」

 

「なるほどね~」

 

「ちっ……」

 

「限界はない……確かにその発想が欠けていたかもしれませんね」

 

「気に入ったぞ、八角花火! 俺の友達になれ!」

 

「な、何を言っている⁉」

 

「ダメか⁉」

 

「ダ、ダメというか……拙者に勝ってからの話だ! それは!」

 

「それもそうだな!」

 

 日光が三度、花火に突っ込もうとする。花火が呆れ気味に叫ぶ。

 

「馬鹿め! 何度来ても同じこと! 貴様は拙者に近づくことすら出来ん!」

 

 花火が鬼の面を被り、豆鉄砲を放つ。青龍が声を上げる。

 

「豆の弾幕です! あれはそうそうかわせない!」

 

「かわさなければいい!」

 

「なに⁉」

 

 日光が豆をまとめて平らげる。そして髪をかき上げて呟く。

 

「飢えを満たすにはちょうど良い……」

 

「そ、そんな馬鹿な……ならばこれだ!」

 

 ひょっとこの面を被った花火が炎を噴き出す。白虎が叫ぶ。

 

「炎の弾幕だ! あれでは突っ込めねえ!」

 

「なんの!」

 

「な、なに⁉」

 

 日光が炎に突っ込み、突っ切ってみせる。そして側頭部を抑えながら呟く。

 

「地獄の業火など……な、慣れている……」

 

「邪気眼系の中二病が上手く作用している! 若干やせ我慢っぽいけど!」

 

 照美が驚愕する。花火が困惑する。

 

「な、ならばこれだ!」

 

 狐の面を被った花火が水鉄砲を放つ。玄武が声を上げる。

 

「水の弾幕! あれも厄介だ!」

 

「ふん!」

 

「なんだと⁉」

 

 日光が翼をはためかせ、水を弾き飛ばす。そして目元を撫でながら呟く。

 

「女の涙はいわば宝石のようなもの……褒美だと思えばなんということはない……」

 

「いや、宝石弾き飛ばしてるし! っていうか、ちょっとキモい!」

 

 照美が素直な感想を口にする。花火が戸惑う。

 

「わ、わけのわからんことを……それならばこれだ!」

 

 おかめの面を被った花火が紙鉄砲を放つ。朱雀が叫ぶ。

 

「音の弾幕! あれはかわせない!」

 

「衝撃波の弾道も……この邪気眼ならば見える!」

 

「な、なんだと⁉」

 

 日光がそのまま突っ込み、衝撃波をかわしてみせる。そして叫ぶ。

 

「中二ならばたやすいこと!」

 

「そうか! 子供じみているから、子供のおもちゃにも純粋に対応出来ているんだわ!」

 

「そ、そんな馬鹿なことがあるのか⁉ ……し、しまった⁉」

 

 照美のよく分からない説明に花火が突っ込みを入れ、視線を逸らす。そこに日光が迫る。日光の拳が花火の顔を掠め、面を外した。日光が淡々と呟く。

 

「四天王に対して一人で渡り合ったのは見事、ただ、俺への対策が取れていなかったな……だが、腕前はさすがだ……俺たちに協力してくれないか?」

 

「……四天王を同士討ちさせようとしたことについては?」

 

「誰かの差し金だろうが、どうせ口を割らんだろう。だがそれでいい。その徹底さが欲しい」

 

「! ……八角花火、仁子日光殿に協力させてもらいます」

 

 花火は膝を突き、日光に対し深々と頭を下げるのであった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。