2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第10話(4)対峙

「? そんなに驚くことか?」

 

 日光はキョトンとした表情を浮かべる。

 

「き、貴様、どうやって……?」

 

「いや、普通に正面から入ったのだが……」

 

「そ、そんなことが……」

 

「同じ学園の学生が他の校舎を訪ねても何ら問題はあるまい」

 

「も、盲点だった……」

 

 天武は信じられないといった表情を浮かべる。日光は呆れたように呟く。

 

「……ひょっとしなくても……馬鹿なのか?」

 

「ぶ、無礼な!」

 

「落ち着け、美羽……」

 

 天武は美羽を落ち着かせる。美羽は頭を下げる。

 

「はっ……」

 

「しかし、あれだな、見直したぜ」

 

「何がだ?」

 

「お前がこいつを助けに来たことだよ」

 

 天武が床に倒れ込む花火に向かって顎をしゃくる。日光が首を傾げる。

 

「当たり前のことではないか?」

 

「はっ、同志ってのも案外馬鹿には出来ないもんだな」

 

「同志ではない」

 

「なに?」

 

「と、友達だ……」

 

「!」

 

 日光の言葉に花火が驚く。天武が笑う。

 

「はははっ、友達ときたか!」

 

「今日はただ挨拶に来たのだ。花火を釈放してくれ」

 

「ふん……おい、縄を解いてやれ」

 

 天武の命で、花火の縄が解かれる。日光が駆け寄る。

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい……しかし、何故わざわざここまで……」

 

「調査してもらうとは頼んだ。ただ、貴様単独でとは言っていない」

 

「‼」

 

「まあ、大怪我はしていないようで良かった。立てるか?」

 

「は、はい……」

 

 花火はゆっくりと立ち上がる。日光が天武の方に向き直って告げる。

 

「それでは失礼させてもらう」

 

「ちょっと待てや」

 

「……なにか?」

 

「なにかあるに決まってんだろうが。まさか、このまま返すわけにはいかねえよ」

 

「集団リンチでもするか?」

 

 日光と花火が身構える。天武が鼻で笑う。

 

「はっ、そんなダセえ真似はしねえよ。ただ……仁子日光、お前には聞きたいことがある」

 

「聞きたいこと?」

 

「ああ、単刀直入に聞く。お前の目的はなんだ?」

 

「2年B組をより良いクラスにしたいと考えている……」

 

「他にも言ってなかったか?」

 

「他にも? ……ああ、俺はB組を“落ちこぼれ”から“最高の連中”にしたいというようなことも言っているな」

 

「ふん、もっと大それたことを言ってなかったか?」

 

「? 大体大それたことしか言ってないからな……」

 

 日光が首を傾げる。天武が傍らの美羽に視線をやる。美羽が口を開く。

 

「仁子日光さん……2年B組の副クラス長に就任した際の挨拶で貴方はこのようなことを宣言しています」

 

「うん?」

 

「『俺と諸君らの微能力を駆使して、この能力研究学園に革命を……下克上を起こしてやろうではないか!』……と」

 

「そういえば、そんなことも言ったな。そこまで把握しているとはな……」

 

 日光が感心する。美羽が天武の方を見る。

 

「天武さま……」

 

「ああ、これは捨て置けんな」

 

「ん?」

 

「下克上というのは、下のものが上のものに克つということだ。この学園において上に位置するのは、俺たちC組だ……」

 

「ふむ……」

 

「つまり、これは俺たちに対する明確な宣戦布告ということだ……!」

 

「いや……」

 

「今更そんなつもりではなかったとかダサいことを抜かすなよ?」

 

「う~ん……じゃあ、それで構わない」

 

「んなっ⁉」

 

 日光のあっさりとした言葉に天武は面食らう。

 

「いずれはぶつかることになるとはある程度予想していた……ただ、一応、同じ学園の生徒だ。出来る限り学生らしいことで勝ち負けをつけたい」

 

「学生らしいことだと……?」

 

「ああ、例えばだが……」

 

 約十分後、日光と花火の姿はB組の校舎にあった。

 

「ふ、二人とも、よく無事で!」

 

 照美が二人を迎え入れる。

 

「だ、大丈夫でしたか?」

 

「ちょっと小突かれたが……問題はない」

 

 聡乃の問いに花火は平然と答える。

 

「しかし、無茶するわね。C組の校舎に乗り込むだなんて……」

 

「話し合いに赴いたまでだ」

 

「話し合い?」

 

 照美が首を傾げる。

 

「ああ、向こうが本格的にちょっかいをかけてくる前に先手を打った」

 

「せ、先手?」

 

 聡乃が戸惑う。朱雀が腕を組んで呟く。

 

「ほう、それは興味深いね……」

 

「知りたいか?」

 

「もちろんだとも」

 

「う~ん……」

 

「いやいや、日光っち、そこはもったいぶらずに教えてよ」

 

 日光の態度に玄武は苦笑する。白虎が両手を組んで、指をポキポキと鳴らす。

 

「メンバーを選抜してタイマンか⁉」

 

「いや、そんなことではない……」

 

 日光が静かに首を振る。白虎が拍子抜けする。

 

「ち、違うのかよ……」

 

「……こちらに勝ち目が薄すぎるでしょう。ちょっと考えれば分かることです」

 

「あ? 本郷、やる気か?」

 

 白虎が青龍を睨みつける。青龍はそれを無視して、日光に問う。

 

「一体、何をするのですか?」

 

「……今度、行われる学校行事を思い浮かべてみろ」

 

「学校行事……?」

 

「……球技大会が行われるだろう」

 

 首を傾げる照美に花火が告げる。日光が高らかに宣言する。

 

「その球技大会のドッジボール対決で決着をつけることになった‼」

 

「「「「「「‼」」」」」」

 

 日光の予想外の宣言に、照美たちは揃って驚く。

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