2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第11話(4)B組に過ぎたる者

「倍返しとは厄介な能力だな……さすがは超能力組と言ったところか……」

 

「そうね、どうやって倒せばいいものか……」

 

 日光の呟きに照美が反応する。

 

「残念ながら途方に暮れている暇はありませんよ」

 

 青龍がコートに転がるボールを拾う。

 

「青龍……策はあるのか?」

 

「まあ、一応ですが用意してありますよ。対茂庭秀美さん用のね」

 

 日光の問いに青龍は答える。照美が驚く。

 

「本当に?」

 

「それは頼もしいな」

 

「あまり期待はしないで下さいよ」

 

 青龍は苦笑しながらボールを持って相手陣内に向き直る。茂庭が呟く。

 

「本郷青龍さん、貴方がもう出てくるとは……」

 

「意外でしたか?」

 

「多少……ということは……」

 

「ということは?」

 

「そちらは大分追い詰められているようですね」

 

「ぶっ!」

 

 茂庭の言葉に青龍が吹き出す。茂庭が首を傾げる。

 

「違いましたか?」

 

「い、いいえ、半分当たっているなと思いまして……」

 

「半分?」

 

 茂庭はさらに首を傾げる。

 

「貴方がたとこうして相対するような事態になっている時点で、私たちは既にかなりのところまで追い詰められていますよ」

 

「なるほど」

 

 青龍の説明に茂庭は納得する。青龍は咳払いを一つ入れ、ボールを構える。

 

「さて……」

 

「どうぞ……」

 

 大柄な青龍にもまったく臆せず、茂庭は捕球の体勢をとる。青龍は苦笑する。

 

「堂々とされていますね」

 

「私のこの能力があれば、貴方がどのような剛球を投げてこようとも、何ら恐れることはありませんので」

 

「剛球って……女性に対して、そこまでムキにはなりませんよ」

 

 青龍は笑いながら首を振る。

 

「ほう、さすがは『スパダリ』の能力者……」

 

「ですが……」

 

「ですが?」

 

「それが勝負事となれば、話は別です」

 

「スパダリの定義と矛盾するのでは?」

 

「勝負で手を抜くというのは、相手に対して失礼に当たりますから」

 

「なるほど、そういう解釈で来ましたか……」

 

 今度は茂庭が苦笑する。

 

「では……参ります」

 

「どうぞ」

 

「ふん!」

 

 青龍がボールを投げ込む。鋭いがそこまでの強さは感じられない。茂庭は拍子抜けする。

 

(大した球ではない……まさか女相手だから本当に手を抜いた? 舐められたものですね。まあ、こちらとしては助かりますが……!)

 

 次の瞬間、ボールは急激に曲がる。

 

「本荘さん!」

 

「おう!」

 

「!」

 

 外野に下がっていた聡乃が青龍の投じた変化球を鞭で巻き付け、あらためて茂庭に向かって投げつける。

 

「そらっ!」

 

「しまった!」

 

「B組、5ヒット!」

 

「おおっと、ここにきて、内外野のコンビネーションが炸裂! 虚を突かれた茂庭、反応することが出来ませんでした!」

 

 審判がコールし、実況が叫ぶ中、茂庭が青龍を見つめて静かに呟く。

 

「なるほど……私狙いではなく、外野の彼女をめがけて投げたのですね」

 

「そうです」

 

「私や私のチームに向けられたわけではないから、私の倍返しの能力は発動しない……ふむ、これはなかなかの盲点でした」

 

 茂庭は深々と頷く。

 

「さっさとどけ、茂庭」

 

 筋肉質の短髪な男が茂庭を押し退ける。茂庭は顔をしかめる。

 

「乱暴なことをしないで下さい」

 

「これは時間制でもあるんだよ、チンタラしてらんねえんだ」

 

「……それはそうですね、ご健闘をお祈りいたします」

 

 茂庭は一礼し、外野へと歩いていく。青龍が軽く天を仰ぐ。

 

「今度は貴方が相手ですか……志波田勝(しばたまさる)さん……」

 

「へへっ、『B組に過ぎたる者、本郷青龍』……おめえとは一度本気でやり合ってみたいと思っていたんだよ」

 

 志波田と呼ばれた男が笑う。青龍が肩をすくめる。

 

「私はまったくそう思っていませんが……」

 

「まあ、遠慮すんなよ」

 

「遠慮したいですよ」

 

「まあまあ、つれないこと……言うなって!」

 

「!」

 

 志波田の投げた球を青龍はキャッチする。志波田は笑みを浮かべる。

 

「ほう、それを取るかい」

 

「マグレです……よ!」

 

「む!」

 

 青龍の投げた球を志波田がキャッチする。青龍が小さく舌打ちする。

 

「ちっ……」

 

「マグレでこんな球は投げられねえだろう」

 

「‼」

 

 志波田の投げた球を青龍は再びキャッチする。志波田は笑う。

 

「ははっ、良いねえ!」

 

「全然、良くありませんよ!」

 

「ふん!」

 

 青龍の投げた球を志波田も再びキャッチする。青龍が顔をしかめる。

 

「くっ……」

 

「おめえとはこうしていつまでも投げ合っていたいが……」

 

「そこまで子供ではありません」

 

「ははっ! 時間も限られている、これで決めるぜ! うおりゃあ!」

 

「⁉」

 

「C組、6ヒット!」

 

「ああっと、迫力ある投げ合いは志波田に軍配が上がった!」

 

「どうだ!」

 

 志波田が右手を高々と突き上げる。日光が首を傾げる。

 

「なんだ? 投げるごとに球の威力が増していったような……」

 

「あれが彼の超能力、『身体強化』よ。自分の筋力を増すことが出来るの」

 

「なっ、そ、そんなことが……?」

 

 照美の説明に日光が思わず唖然とする。

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