2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第12話(2)脳みそパーティー

「瞬間移動と来たか……」

 

 日光が軽く頭を抑える。

 

「どうする?」

 

「さて、どうするかな……」

 

 照美の問いに日光は苦笑する。

 

「……俺に任せてもらえるかな?」

 

 玄武がボールを拾って、日光たちに歩み寄る。

 

「むっ……」

 

「はっ……」

 

「? どうしたの、二人とも? そのリアクションは?」

 

「い、いや、いつになく真面目だと思ってな……」

 

「笠井君、そういう顔つきも出来たのね……」

 

 日光たちの言葉に玄武は肩を落とす。

 

「二人とも、俺のことなんだと思っていたのさ……」

 

「能天気野郎」

 

「脳みそパーティー、略して『脳パ』」

 

「酷い言われようだな! あ、でも、『脳パ』は結構面白いかも……?」

 

 玄武が顎に手を当てる。照美が戸惑う。

 

「き、気に入っちゃったの……」

 

「まあ、そんなことはどうでもいい」

 

「日光っち、どうでもいいってことはないっしょ」

 

「任せても大丈夫なのか?」

 

「う~ん」

 

 玄武が首を傾げる。日光が戸惑う。

 

「お、おい、策はないのか?」

 

「ないというか、あるというか……」

 

 玄武が腕を組む。照美が注意する。

 

「ふざけている場合じゃないのよ」

 

「照美ちゃん、悪かった。まあ、ここはとにかく任してよ」

 

「そう……?」

 

「大将格のお二人はどっしりと構えていてちょうだい♪」

 

 玄武がボールを持って、前に歩く。日光が照美の方を見つめて首を傾げる。

 

「……大将格?」

 

「な、なによ、その目は!」

 

「いや、疑問があってな……」

 

「ク、クラス長は私なのだから、あながち間違ってはいないでしょう!」

 

「……そうそう、クラスは賑やかな方が良いよ」

 

 日光と照美のやりとりを背中で聞きながら、玄武は笑みを浮かべる。

 

「ふ~ん、次はキミがボクの相手?」

 

「そうなるみたいだね」

 

「楽しませてくれるのかな~?」

 

「楽しませることに関しては結構自信があるよ」

 

「へえ……」

 

 小森が腕を組む。

 

「腕なんか組んで、随分と余裕だね」

 

「お手並み拝見といこうかな~って」

 

「それは……さすがに舐めすぎだよ!」

 

「おっと!」

 

 玄武の投じたボールを小森は瞬間移動でかわす。バウンドしたボールは外野に渡りそうになるが、瞬間移動で回り込んだ小森がそれをキャッチする。玄武が首を捻る。

 

「う~ん、やっぱり厄介だね、瞬間移動ってやつは……」

 

「今更それ言う? なんだか期待外れかな……」

 

「ご心配なく」

 

「え?」

 

「ここからが本番だよ……」

 

 玄武は両手を広げる。小森は苦笑する。

 

「ここからって……これでおしまいだよ!」

 

「⁉」

 

小森が消えたかと思うと、コートのセンターラインギリギリに姿を現す。

 

「隙だらけだよ!」

 

「スクープ・ザ・シュリンプ! スクープ・ザ・シュリンプ!」

 

 玄武が上半身と脚をバタつかせながら掛け声を叫ぶ。小森が思わず吹き出す。

 

「な、なんだい、それは⁉ あっ……」

 

 力が抜けた小森の投じた球は玄武によってあっさりとキャッチされる。

 

「ふふふ……」

 

「し、しまった!」

 

「もらったよ!」

 

「くっ!」

 

「む!」

 

「瞬間移動があれば、かわせないことなど無いのさ!」

 

「……そこか」

 

「な、なに⁉」

 

 小森は驚いた。投げたと思ったボールが、まだ玄武の手に掴まれていたからである。

 

「……さっきの瞬間移動で、大体の移動時間とタイミングは計らせてもらったよ……」

 

「ま、まさか、さっきのはわざとボクに取らせた……⁉」

 

「そういうこと♪」

 

「くっ……し、しかし、その体勢で何が出来る! 今にも倒れそうじゃないか!」

 

「こういうことが出来るよ♪」

 

「なに⁉」

 

 玄武はボールを宙に浮かせ、体を一回転させてからボールを掴んで投げ込む。

 

「スロー・ア・シュリンプ・トゥ・キャッチ・ア・シーブリーム!」

 

「うっ⁉」

 

「B組、7ヒット!」

 

「おおっと! 笠井玄武のアクロバティックな投法が飛び出した! 虚を突かれたか小森一蘭、キャッチすることが出来なかった!」

 

「くっ、タイミングを外された……」

 

「お楽しみいただけたかな?」

 

 着地して体勢を立て直した玄武がニヤッと笑う。

 

「この……」

 

「あらら、お怒りモード?」

 

 睨みつけてくる小森に対し、玄武はおどける振りをする。

 

「みっともないぞ、さっさと外野へいけ」

 

「ちっ……」

 

 黒髪に所々白いメッシュを入れた男性に促され、小森は外野へ向かう。男性が転がっていたボールを拾い、淡々と呟く。

 

「さすがは『パリピ』の能力者と言ったところか……」

 

「え?」

 

「予想外の健闘ぶりでギャラリーの期待が膨らんでいるところにアクロバティックな技を繰り出して、さらに盛り上げるとは……お陰でこちらが悪者のようだ」

 

「ん?」

 

 玄武が周囲を見回す。

 

「おいおい! すげえ投げ方だったな!」

 

「C組の楽勝かなと思ったけど、B組、互角に渡り合っているわ!」

 

「ああ、これはひょっとするとひょっとするな!」

 

「……あらら、いつの間にかギャラリーが一杯いらっしゃる……」

 

「気が付かなかったのか?」

 

「もうとにかく必死だからね、目の前の勝負に集中していたよ」

 

「ほう……その執念、見事だな」

 

「C組きっての実力者、夜明光(よあけひかる)君にお褒め頂くとは光栄だね♪」

 

 玄武は目の前の男性にウインクする。夜明と呼ばれた男性が話す。

 

「周囲の期待、自分たちの希望が膨らんでいるところ申し訳ないが……」

 

「うん?」

 

「この勝負、ここまでだ……」

 

 そう言って、夜明は姿を消す。玄武が驚く。

 

「き、消えた! そ、そうか、夜明君は! ぐはっ!」

 

「C組、8ヒット!」

 

「あっと、姿を消した夜明光の投じたボールが笠井にヒット!」

 

「ふむ……」

 

 夜明が再び姿を現す。玄武が悔しそうに呟く。

 

「くっ、知っていたはずなのに、油断した……」

 

「油断か……それも実力の内だろう」

 

「ぐっ……」

 

「あ、あれは……?」

 

「夜明光君の超能力、『ステルス』よ……」

 

 日光の問いに照美が冷静に答える。

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