2年微能力組!~微妙な能力で下克上!~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第2話(1)現状の把握

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「ふぁ……」

 

 日光が小さくあくびをする。嵐のような転校初日が終わり、学園に向かって登校している。そこに照美が声をかける。

 

「日光君、おはよう」

 

「ああ、おはよう、照美」

 

「な、名前呼び⁉」

 

「なんだ問題あるのか? 友達ではないか」

 

「い、いや、別にないけど……」

 

 照美が鼻の頭を指でポリポリとこする。日光が首を傾げる。

 

「何か問題があるか?」

 

「ちょ、ちょっと、気恥ずかしいというか……」

 

「恥ずかしいだと?」

 

「え、ええ……」

 

「そうか……やっぱり、ンゴンゴガールの方が良いか?」

 

「良くないわよ。何よそれ?」

 

「ニックネームだ」

 

「金輪際呼ばないでちょうだい」

 

「親しみを込めたのだがな……」

 

「込めたからそれで良いってものじゃないのよ」

 

「そういうものか」

 

「そういうものよ」

 

「ふむ……」

 

 日光は腕を組む。照美が話題を変える。

 

「それにしても昨日は驚いたわ」

 

「ああ、どんなに強い風を受けても完全にはめくれ上がらない照美のスカートにはな……」

 

「って、な、なにを言っているのよ!」

 

「どういう理屈だ? もしかして本当に鋼鉄で出来ているのか、その制服は?」

 

「ど、どこを見ているのよ! 普通の制服よ!」

 

 日光が照美のスカートをガン見する。照美がスカートの裾を抑える。

 

「どうしても気になるからな」

 

「正直に言わないで」

 

「時には正直さも必要だとか言っていただろう?」

 

「時と場合によるのよ」

 

「難しいものだな」

 

 日光が苦笑しながら首を傾げる。照美が軽く頭を抑える。

 

「えっと、なんの話だったかしら……そうそう、昨日の発言よ」

 

「発言?」

 

「ええ、1年生の子に向かって啖呵を切ったでしょう? B組を“落ちこぼれ”から“最高の連中”にしてみせるとかなんとか……」 

 

「そういえばそんなことも言ったな」

 

「そういえばって」

 

「いや、ちゃんと覚えているさ」

 

「あの……昨日も思ったのだけど……」

 

 照美が言い辛そうにする。

 

「ん?」

 

「本当にそんなことが出来るの?」

 

「さあな」

 

「さ、さあなって……」

 

 日光が首を捻る。照美が呆れ気味の視線を向ける。

 

「その場の勢いで言ってしまったところもある」

 

「そんな……」

 

「まあ、自らの発言には責任を持たないといけないな」

 

「え?」

 

「だから出来る限りのことはやってみるつもりだ」

 

「そ、そう……」

 

「行動を起こす前に現状を把握しなければならない」

 

「現状把握?」

 

「ああ、俺と照美の微能力を確認しなければな」

 

「え⁉ わ、私も⁉」

 

「当然だろう」

 

 日光は何を今更と言った顔を浮かべる。照美は首を傾げる。

 

「い、いや、私はちょっと……」

 

「クラスをより良くするためだ、クラス長として当然の責務だろう」

 

「それもなし崩し的にそうなったというか……」

 

「なし崩し?」

 

「ええ、出席番号1番だからとか……そういう理由よ」

 

「理由になっていないような気がするが」

 

「昨日も言ったでしょう? モチベーションが低いのよ……ほら見て」

 

 校舎に入り、階段を上がって、2年B組の教室まできた照美は教室内を指し示す。もうすぐ朝のホームルームだというのに、クラスメイトはまばらにしか登校していない。

 

「なるほど……」

 

「皆、おはよう!」

 

 照美が教室に入って元気よく挨拶をするが、ほとんどまともな返事は返ってこない。照美は日光の方に振り返って、肩をすくめる。日光が腕を組む。

 

「うむ……」

 

「昨年度からこういう調子よ」

 

「よく進級出来たものだな」

 

「まあ、出席日数などについてはあまりうるさく言わないから。試験などを受ければそれで良し、みたいなね……職員室の皆さまがこのクラスに興味を持っていないとも言えるけど」

 

「そうか……」

 

「廊下で話しましょう」

 

 照美は日光を廊下に連れていく。日光が尋ねる。

 

「試験の時は、クラス全員が揃うのだな?」

 

「ええ、そうね、ほとんど出席していたはずだわ」

 

「……ということは各自進級への意思はあるようだな」

 

「そ、それは確かにそうかもしれないけど……」

 

「簡単なことだ。どうせこの能研学園も他の学校と大差ないところがあるのだろう」

 

「ええ? 例えばどこよ?」

 

 窓から外を眺めていた照美が尋ねる。同じように外を見ていた日光が教室側に向き直る。

 

「だいたい、リーダーのような生徒が数人いるものだ……その生徒たちが強権的な態度を取っているか、もっと温和な態度を取っているかは知らん……ただ、リーダーシップを持った生徒とは極めて稀な存在だ。他の大多数……言ってしまえば、『その他大勢』の連中はそういったリーダーの取り巻きになること、またはなんらかのつながりを持つことでクラス内での立場を確保する」

 

「う、うん……」

 

 日光の淀みない説明に照美が頷く。日光が尋ねる。

 

「言いたいことは分かったか?」

 

「ま、まあ、なんとなくは……え? ちょっと待って?」

 

「なんだ?」

 

「そのリーダーたちをどうにかするってこと⁉」

 

「いるんだな、このクラスにもリーダーたちが……」

 

「あっ!」

 

 照美が慌てて口を抑える。

 

「各々のリーダーにやる気になってもらわないといけない。不登校気味では困るのだ」

 

「……なにが困るのかしら?」

 

「⁉」

 

 日光たちが振り返ると、長身で髪の毛を丸めた女性がそこに立っていた。

 

 

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